年間・半期ベスト

2013年私的ベスト10作

  どうも、当ブログ管理人のへどばんです。時の経つのは早いもので、本年も大晦日を迎えましたが、今年も年内最後の更新は年間ベストの記事となります。
毎年、上半期ベスト10作と下半期ベスト10作を選出した上で、年間ベスト20作を選んでいたのですが、今年は本業が多忙のため、レビュー本数も例年の半数程度となり、上半期ベストを選出する余裕がありませんでした。
本年の更新頻度が低かったことは読者諸氏に対し申し訳ありませんし、また自分自身でも忸怩たる思いはございますが、斯様な事情故、年間ベストとして10作に絞って発表致したいと思います。

各作品の詳細なレビューはそれぞれのリンク先の個別記事をご参照下さい。当記事内では、雑感やランクインの理由等を記しておきます。
それでは、私が思うところの2013年珠玉の名作達をご紹介したいと思います。

10位 青木幹治『抱きしめなさいっ!』(コアマガジン)
PleaseHoldMe.jpg  エロにしろストーリーにしろ、とかく濃い味が持て囃される現在のエロ漫画ジャンルにおいて、さっぱりと清冽な味わいにして青春ラブエロとしての滋味も備えたラブコメディを描く作家さんの3冊目。日常の些細な心の動きをドラマティックに描き出す鮮やかさは見事であり、またキャラクターの良さがエロシーンにおけるヒロインの魅力をグッと引き立てているのも嬉しいところ。今年は色々不幸な目にあったコアマガジンですが、こういった優れた作家さんがいる限り、再び業界トップに躍り出る可能性があると信じたいところ。→単行本レビュー

9位 たけのこ星人『カクセイ彼女』(ワニマガジン社)
SheFoundHerself.jpg エロ漫画のご都合主義的な展開を敢えて逆手に取り、ラストのどんでん返しや強烈な台詞回しなどの切れ味鋭い仕掛けで魅せるストーリーテリングは奇才の名にふさわしいと言えるでしょう。素朴で漫画チックに可愛らしい絵柄が、いざエロシーンとなれば野卑とも評し得る強烈な煽情性を放って熱っぽいエロ描写に変幻するのも素晴らしい長所でしょう。→単行本レビュー

8位 みなすきぽぷり『ろりぐるい』(茜新社)
RolitaIsFanatic.jpg  キュートなロリっ子の純粋性をしっかりとリスペクトしつつ、汚れちまった大人達がその純粋さを踏み躙り、酩酊した様な表情を浮かべながら彼女達を凌辱する非常にブラックな作品集。この構図において、ロリータヒロイン達の熱狂的な性的陶酔は大変に高い煽情性を有しつつ、読み手に後ろ暗さをグサグサと突き込んでくる凶悪さも備えていると評し得ます。→単行本レビュー

7位 高津『白雪騎士ホワイティ(30)』(ティーアイネット)
ThirtyWhity.jpg  熟女になった元・魔法少女という非常に美味しいネタを有しつつ、その設定付けは結構に細かく、元ネタの特撮魔法少女モノへの愛情が無いと描けない作品。ショタボーイがお姉さんの肉感エロボディにしがみついてがっつりファックを繰り返す様は、おねショタエロとしても非常に優良であり、作家の趣味性が単なる自己満足ではなく、商業作品としての高い完成度を以て成功した証左。→単行本レビュー

6位 緑のルーペ『ガーデンⅡ』(茜新社)
GardenSecond.jpg  許されぬ性愛に生きる者たちが集う謎の集団“ガーデン”。そのおどろおどろしい展開の中、父親の理想に殉じて汚れながら生きる少女との関係を描き出す本作は、ヒリヒリする様な焦燥感とダークなインモラル感を有しつつ、最終的には極めて普遍的なボーイ・ミーツ・ガールに落着したわけで、おそらく作家さんが以前から描きたいものが無理なくハマったストーリーテリング。エロにしろシナリオにしろ、極めて用意周到な作家さんだなぁと思います。→単行本レビュー

5位 岡田コウ『せんせいと、わたしと。』(ヒット出版社)
TeacherAndMeA.jpg  不器用な男性と少女の恋愛模様を、エロ漫画的王道の逆張りをして得意の破滅展開へと至らせると思いきや、ごく王道の幸福なラブストーリーへと回帰させた、オーソドックスにして意外性のある展開が見事。少女漫画テイストの導入も非常に成功していたと言えるでしょう。非常に緻密に計算された演出・構図でロリータヒロイン達とろっとろの蕩け具合を表現するエロ描写も実に圧巻で読み手の脳髄を侵食する一品。→単行本レビュー

4位 新堂エル『新堂エルの文化人類学』(ティーアイネット)
ShidoLsCulturalAnthropology.jpg  古今東西の様々な元ネタを貪欲に吸収して自らの作品に取り込む胆力、過激なエロ演出とアブノーマルなシチュエーション立てを以て強烈無比に突っ走るエロシーン。共にエロ漫画ジャンルが得手としていたものの、小さくまとまりがちな昨今においてなかなか出来ないそれらを堂々とやってのけた剛腕に拍手喝采。エロ漫画ジャンルのメインストリームが追随する必要は全くないですが、こういう作家さんがいないと、このジャンルは面白くないなと感じさせてくれる1冊と評したいところ。→単行本レビュー

3位 ドバト『少女とギャングと青い夜』(ヒット出版社)
GirlGangBlueNight.jpg  エロ漫画ジャンル屈指の奇才が送る実質的に初長編作は、スリリングなクライムストーリーで淫蕩なロリータエロ漫画であり、そして大いにドラマチックな青春活劇。エロにしろシナリオにしろ、技巧派としての丁寧なコントロールとフックを示しつつ、ここぞでの心情表現の爆発力は、真ん中高めに剛速球を叩き込むような爽快さを有しています。ごく普通の少女像である様で、他に追随を許さない様な魅力をふんだんに含ませる豊潤な描き方は見事としか言い様がありません。→単行本レビュー

2位 モチ『死なずの姫君』(ワニマガジン社)
UndyingPrincess.jpg  濃厚な演出で彩るハードコアなエロシーンでありつつ、ヒロインのキュートネスもしっかり生かし切るバランスという、現在のエロ漫画ジャンルが脈々と築き上げてきたメジャー路線のエロ描写手法を完璧に己のものとした、最前線にして最高品質の新人作家。失礼を承知で申し上げれば、その完成度はレビュアーとして化け物じみたものを感じます。ストーリーの構築力はより磨かなければいけないものを感じますが、そこが備われば並の作品が束になっても敵わないずば抜けた実力を備えていると評し得るでしょう。→単行本レビュー

1位 赤月みゅうと『美少女クラブ』(ティーアイネット)
BeautifulDollClubFirst.jpg  今年のティーアイネット作品は、エロとシナリオの両方が共にレベル高く構成された作品が目立っていましたが、この作家さんの存在と成功がそういった優れた作風をこのレーベルに呼び込んだと言っても過言ではないでしょう。静謐にして熱狂と快楽が渦巻く性描写、閉塞を爽快に打破するストーリー展開、そしてこの作家さんの作家性の根本に間違いなくあるでろうSF(すこしふしぎ)要素が如何なく発揮された長編作であり、エロ漫画ジャンルの未来を明るく照らす傑作であると評したい。→単行本レビュー

と、以上のような順位になりました。どれも大変お勧めの作品ですので、もし未読の作品がございましたら、正月休みにでも楽しんで頂ければと良いかなぁと思っております。

  前述した通り、本年は仕事の忙しさ故にレビューの更新頻度が下がり、同人活動の方は全く出来ない日々でございました。読者諸氏に大変ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げますが、やはり日々レビューを書くことを楽しみにしていた自分にとっても苦しさのある1年間でした。
正直に申し上げれば、この散々な状況を続けるぐらいであればブログを閉鎖しようと思ったこともございました。6年間レビューサイトを続けてきて、止めようと思ったことは無かったのですが、本年はそれを何回も考えるほど、私にとってもしんどい状況だったのです。
  しかしながら、今回の記事で挙げた秀作の存在は、私に「レビューを書きたい!伝えたい!」と思わせてくれましたし、ベスト10には選出されなくても私の心とち○こに闘志を与えてくれた作品が本当に沢山あったことが、このブログを続けられた最大の要因でした。
全ての作品、作家様、出版社様への厚い感謝を申し上げる共に、当ブログを読んで下さる読者諸氏にお詫びと御礼を申し上げます。おかげさまで、私はまだまだレビューを頑張れそうです。優れた作品に出合った喜び、感動、衝撃。それを感じ続けられる限り、私のエロ漫画への愛情は決して枯れることはないと信じております。

2014年も素敵な作品に沢山出会えることと、エロ漫画を愛する全ての人に幸せな一年であることを祈りまして
一エロ漫画愛好家 へどばん拝

エロ漫画私選10作(2012年下半期)

 どうも、当ブログ管理人のへどばんです。大晦日&冬コミ3日目もいよいよ間近となって参りました。今年は私生活の方でも本当に色々ありまして、あっという間に過ぎた印象です。け、決して年のせいではないはずです(汗
大晦日(31日)には、毎年恒例の年間ランキングを発表致しますが、まずは当サイトの下半期ベスト10を発表させて頂きます。
 毎度の説明で恐縮ではございますが、この下半期ベスト10の結果と上半期のベスト10、および両方における“惜しくも選外”の作品を再考しまして、年間ベストは決定しております。

 さて、12月30日現在において今年7月から12月に発売された(Amazonに記載の発売日に準拠)エロ漫画新刊のうち、僕が購入・読了したのは131冊(内、未レビュー18冊)となっております。後半の多忙が響いて、未レビューが多いのは申し訳ありません。
なお、紹介致しました各作品の詳しいレビューは各短評内のリンク先をご参照下さい。
 それでは本年下半期にそれぞれの魅力を放っていた、お勧めの作品を紹介させて頂きます!

高崎たけまる『当主な俺と×××な彼女』(コアマガジン)
FamilyHeadAndMySteady.jpg キャッチーなキャラクター属性と、スベスベ素肌のスレンダー巨乳ボディで魅せる美少女ヒロイン達を魅力の核とするラブエロ系として確たる安定感を評価。
演出やプレイ内容でエロをきっちりハードに仕上げつつ、シナリオラインとの齟齬を生じさせない調節力は特に中編作で輝いていました。
読み口がよく、作画が丁寧で、かつ抜けるというラブエロ系で当然に求められつつも発想力・努力を要する基礎がしっかりしていると感じます。→単行本レビュー

赤月みゅうと『奴隷兎とアンソニー』(ティーアイネット)
SlaveRabbitAndAnsony.jpg シナリオ面での読み応えをある程度抑制した感はありますが、それでも豊かな叙情性やドラマティシズムを織り込む作劇は時に優しく、時に爽快。
もともと、エロ演出面に派手さや過激さを追求しておらず、それでいて静かで濃密な官能性を徐々に満たしていく表現力の高さは揺るがぬ美点でしょう。
ストーリー面やキャラクター描写に関して、一定の幅が出てきた感もあり、今後も成長し、挑戦し続ける作家さんだと思います。→単行本レビュー

白石明日香『乱交娼館 暇神』(エンジェル出版)
AngelAndDevil.jpg エロ漫画業界屈指の奇才が送る長編ファンタジーエロは、素っ頓狂なドタバタコメディからスケールの大きな愛の物語にシフトする自由闊達なストーリーで魅せます。
ショタあり、フタナリあり、ロリあり、ハーレムありと、ファンタジーとしての自由度を生かしつつ、性と愛の乱痴気騒ぎが単なる快楽欲求を越えた幸福なものへと変化して行くのが見事。
好みを分ける部分はあると思いますが、この作家さんにしては割合に間口を広く取った傾向にあり、その上で作家性も揺らいでいないのが非常に嬉しいところ。→単行本レビュー

駄菓子『純潔の終わる日々・・・』(ワニマガジン社)
BeautifulDaysOfLosingVirginity.jpg 緻密でありつつ程良い乱れで淫猥さを醸し出す絵柄、淫液に濡れる女体を中心にじっとりと高めていく濃密な官能性、アモラルな雰囲気を張り巡らせる作劇と新人離れした技巧を示す初単行本。
作画・作劇共に、意外に派手さやキャッチーさはないのですが、叙情性にしろ煽情性にしろ、読み手の胸中にじわじわと沁み込ませる技巧があり、程良いヘビィネスのあるタイプと言えましょう。
また、エロ・シナリオ共にコントールの効いたエモーショナルさを感じ、快楽や感情の強烈さでシナリオを牽引しつつ単調にならないのも巧さでしょう。→単行本レビュー

クジラックス『ろりとぼくらの。』(茜新社)
RolitaAndOurReal.jpg ハッピーロリータから過激な凌辱エロまでいずれも抜きツールとしての信頼性が高いことがまずは特筆すべき点であり、エロ演出の強度やインパクトで魅せるスタイル。
抜きツールとしてのロリエロ漫画という点を自らの作品としてもしっかり押さえた上で、“ロリコン”という存在に対して苛烈な打擲も繰り出す作劇は、読み手に何ともアンビバレンツな読後感を残します。
テーマ性や演出表現などに関して、これまでのLO作家陣が積み上げてきた長所を、着実に取り込んだ上で自らの表現として獲得したという印象があり、その意味でも実にLOらしい作家さん。→単行本レビュー

De『きゃっと❤がーるずがーでん』(マックス)
CatGirlsGarden.jpg キュートなロリっ子ちゃんと繰り広げる甘いラブエロ話と彼女達が激しく乱れる熱狂的なエロ描写という、桃源郷的世界が広がる作品集。
いわゆる“萌えエロ系”がジャンル全体の中で下火になりつつある印象がある一方で、抜ける萌えエロとしての圧倒的な強みと、可愛らしくて楽しいキャラクター造形を武器としてこの路線を貫いているのは頼もしいところ。
“可愛い絵柄なのに過激なエロ”というコンセプトの勝利とも言えるでしょう。→単行本レビュー

エレクトさわる『おっぱインフィニティ∞!』(茜新社)
Bustinfinity.jpg キャッチーなアニメ/エロゲー絵柄ながら、いい意味で下品さを有する爆乳描写や粘膜描写、そして圧倒的な物量の液汁描写を絡める女体描写の存在感が先ずは大きなアドバンテージ。
シナリオ面では、ハッピーな日常ラブコメ、鬱屈とした寝取られエロ、愛憎入り混じる凌辱エロと様々ですが、それぞれ小粒でありつつも明確な方向性で各シチュエーションに踏み込んだ構成力は他レーベルでの長編作と共通する美点でしょう。
連呼される白痴系エロ台詞や前述の白濁液大量投入など、物量勝負の強みを保持しつつ、技巧的な画面構成や表情付けの多彩さなど、細かい部分での進化も伺えます。→単行本レビュー

チキコ『獣姦彼女カタログ』(ティーアイネット)
BeastFuckCatalog.jpg アブノーマルエロス街道を爆走する雑誌BUSTERが世に送り出した獣姦特化の奇才が放つ初単行本。
獣姦という行為を過激な凌辱行為・恥辱行為として描くのではなく、パートナーとしての動物達との営みとして描く点が独特であり、その特殊性に説得力を持たせる豊饒な世界観作りに真価を発揮しています。
野郎のち○こは一切出ませんが、しっかりコダワリを持って特徴付けをした獣姦を描き、かつ十二分なアタックの強さのあるエロ描写となっているのも長所。→単行本レビュー

たけのこ星人『ゴーイン乙女』(コアマガジン)
GoingMaidens.jpg 少年漫画的な熱血(エロ)バトル、ギャグエロ、ホラー、まさかの4コマ漫画とのハイブリット形式などなど、漫画としての面白さや意外性のある展開で魅せた作品集。
熱血馬鹿台詞などで妙な存在感を誇る野郎連中と、ラブコメ系では王道のキャラクター造形と思わせつつ巧みな終盤展開でがらっと印象を変えるヒロインがちゃんと作中で輝いていたのが嬉しいところ。
それでいて俄然パワフルなエロ描写も光っており、もっちりと柔らかなおにゃのこボディを激しくピストンして、じゅぽじゅぽと擬音を撒き散らす勢いの良さは実用面の基盤を形成しています。→単行本レビュー

Hisasi『ポルノスイッチ』(ワニマガジン社)
PornoSwitch.jpg 基本的に、王道的なコンビニ誌ラブコメのスタイルで通しており、恋愛の甘さや幸福感を程良い濃度で重点することで読み口の良さをキープしています。
セックス描写に関しても概ね標準的なプレイ・展開にはなっているのですが、ねっちょりとした液汁(特に唾液)描写の淫猥さと表情付けで語り出す陶酔感の強さが抜群の長所となっています。
作劇およびエロ作画の強みを作家自らしっかりと認識して、それを生かす演出や行為をきっちり配置したことで明確なセールスポイントして確立させたことを評価したいところ。→単行本レビュー

と、以上が管理人の選ぶ下半期ベスト10です。
なお、今回の惜しくも選外の5冊は以下の通りでございます。
蒟吉人『ミダラBooks』(富士美出版)→単行本レビュー
まるキ堂『劣情の穴ぼこ』(ワニマガジン社)→単行本レビュー
ほりとも『アンリアルシンドローム』(キルタイムコミュニケーション)→単行本レビュー
板場広し『RIN backstage』(ジーオーティー)→単行本レビュー
大守春雨『かなことおじさん』(コアマガジン)→単行本レビュー

 今回、どの作品をベスト10に選出するかはかなり悩みまして、突出した1冊というのは多くないのですが、どの単行本もレベルが高い上に、しっかりとした強みや個性を持っている秀作でしたね。
この選考結果も踏まえまして、明日には年間ランキングを発表したいと思います。また、選出に頭を抱えることになりそうですが、それぞれの良さを見比べるのもレビュアーとして楽しいことであるなと感じます。
 年間ベスト選出の結果それ自体は僕の自己満足ではございますが、読者諸氏のエロ漫画ライフのご参考になれば幸いでございます。

下半期に紹介した全ての作品とその作者様・出版者様、そして当ブログの読者諸氏に心よりの感謝と敬意を表して
一エロ漫画愛好家 へどばん拝

エロ漫画私選10作(2012年上半期)

 夏コミまで早くも残り1月半となりましたが、如何お過ごしでしょうか?当ブログの管理人のへどばんです。
同人誌の原稿は概ね順調でそろそろ入稿といった算段ですが、そちらがもう少し後にご紹介させて頂くとして、今回は、毎年7月1日恒例の上半期ベスト10の選出となります。
今年もなかなかの豊作でして、だいぶ悩んでの選出となりましたが、どれもお勧めの作品ですので、読者諸氏のエロ漫画ライフに多少なりともお役に立てば良いなと思います。

 7月1日現在で2012年上半期に発売された(発売日はアマゾン準拠)成人向け単行本の購入・読了数は、新装版やアンソロジーを除いて新刊141冊(内、未レビュー3作)となっております。
冊数としては例年並みですが、レビューの未消化率がかなり低いのは我ながら頑張ったなと思います。6月に原稿作業で慌ただしかったので、本来ならもうちょっと行けたかなと思いますが。
 なお、例年と同じく、現在の時点では順位付けは行っておりません。加えて、個別の作品のレビューは短評の末に付記したリンク先をご参照下さい。
では、上半期のベスト10のご紹介と参ります。

ReDrop『へんカノ』(ワニマガジン社)
SoStrangeGirlFriend.jpg キャッチーながら艶の乗った絵柄と、口当りの良さを重んじながら感情描写に程良く奥行きを持たせた作劇で魅せるスタイルが魅力的。
コンビニ誌的に王道なラブコメディ・エロコメディにも鉄板の魅力を持たせつつ、元々広めであった作劇の方向性の個々に面白みが出てきたのも○。
絵としての華やかさを活かしつつ、ラブエロ系にしても妖艶エロ系にしてもしっかりと濃厚な雰囲気で包み込むのも高い実用性に貢献しています。→単行本レビュー

GGGGGGGGGG『自発あるいは強制羞恥』(一水社)
ActiveOrForcedEmbarassing.jpg 二次元エロとしてのエロ漫画におけるフォーマットが存在し、それを踏襲する“エロ漫画漫画”に対し、生身の欲望をそのまま叩きつけた“エロ漫画”を指向した著者初単行本。
絵柄にしても作劇にしても、端正さや安定感は敢えて追求せず、登場人物達を通じて初期衝動的な欲望を叩きつけていくかのようなアグレッシブさは非常に鋭く、痛快です。
強烈なエロ演出と、身を焦がす快楽への渇望を語り出す台詞との組み合わせはエロシーンにうねるような躍動感と緩急を生み出しており、非常にパワフルな抜きツール。→単行本レビュー

ドバト『じゅうよん。』(ヒット出版社)
Fourteen.jpg オークス時代はハチャメチャなコメディで鳴らしたこの作家さんのヒット移籍後初単行本は、キャラクターの魅力やシナリオの勢いの良さをそのままにより多彩な方向で才能を開花させています。
大仰なドラマで構えない一方、登場人物の感情の爆発は非常に鮮烈な印象を読み手の胸中を吹き抜けさせ、人と性愛の善性の称揚を奏でています。
可愛らしさを増した絵柄と、その魅力を殺さない範囲内で快楽表現の強力さが伴っているのも魅力であり、実用面でもレベルアップが図られた3冊目。→単行本レビュー

堀博昭『白昼夢-肉に堕つ-』(クロエ出版)
WhiteDayDream.jpg この作家さんのダーク&インモラル系作品の集大成的作品とも言えるタイトル中編シリーズの魅力がずば抜けた1冊。
寝取られエロや催眠凌辱などの要素を詰め込み、暗い欲望が渦巻く世界をねっとりと描き上げながら、その中で1人の男の絶望的な闘いを描き上げたストーリーテリングは現在のエロ漫画ジャンルにおいて非常にユニーク。
十八番であるアヘ顔や白痴系エロ台詞の連呼、下品なポージングなどで美女達の正しく醜態を曝け出させる猛然たるエロ演出・エロ作画も圧巻の出来と言えましょう。→単行本レビュー

五月五日『びゅーびゅー❤びっち』(三和出版)
ByuByuBitch.jpg かなり短めの短編・掌編が多数詰まった1冊ですが、キュートなロリビッチ達が野郎どもを捩じ伏せながらガンガン腰をふって快楽を貪る様が強烈なインパクトで連発されるという、正に怪作。
“ロリ業界のトンデモ暴力装置”の異名に嘘偽りなく、余計な要素を全て取っ払って暴走特急の如くエロで疾走するトリップ感・ドライブ感は、ショート作品である故に輝いているとも言えるでしょう。
エロの強烈さに目が行きがちですが、設定のアイディア力や奇抜な台詞回しなど、作品の面白さ・エロさをしっかりお膳立てする要素にギャグエロ由来のセンスが光っているのも好印象。→単行本レビュー

ドリル汁『スペルマニアックス』(富士美出版)
Spermaniax.jpg 策謀渦巻く魔法少女達の熱血バトルと汁ダク濃厚なフタナリエロが大量充填された長編作の第2弾。
ストーリー展開に関しては、少年漫画におけるバトルものの王道の魅力を備えており、その中で多数の登場人物達それぞれの魅力をしっかり引き出してくる筆致が冴えに冴えています。
ふたなりエロということで好みを分けるとは思いますが、過激な演出を各種大量に詰め込んでシナリオの勢いそのままに激烈に駆け抜けるエロの攻撃力の高さもまた印象的です。→単行本レビュー

杉浦次郎『俺の嫁メモリアル』(茜新社)
MyWifeMemorial.jpg ファンが待ちに待った約4年ぶりの単行本は、エロとストーリーにおける“裏次郎節”の魅力をやはりお届け。
愛すべきロリコン駄目人間どもと、そんな連中を優しく受け止める女の子達の織りなすストーリーは、素っ頓狂でお馬鹿で、それでいて穏やかな温かさが彼ら彼女らを優しく包み込んでいます。
デジタル作画への移行も良好であり、線の粗さ故にいきていたぐしゃぐしゃに蕩ける痴態の演出が、描線が綺麗に整理されてもしっかりと生きているのも有難いところ。→単行本レビュー

師走の翁『ピスはめ!』上下巻(ヒット出版社)
PeaceHameA.jpg エロ漫画において乱交エロのサブジャンルを代表する作家の1人にして、ヒットの大看板が送り出したのはなんと学年まるごとエロの対象という超ゴージャスな学園物語。
棚ボタ的な幸福感を追求する一方、この作品の本質は愛する女性を得るために奮闘し、成長する主人公の熱血青春ストーリーであり、格闘あり麻雀ありな様々なバトルでも魅せてくれる長編作でした。
言うまでもなく、多数の女の子達とガツガツやりまくるセックス描写のパワフルさと、そこから生み出される解放感・多幸感も漲っており、流石第一線で活躍し続けるベテランのお仕事と評し得ます。→単行本レビュー

緑のルーペ『ガーデン』第1巻(茜新社)
Garden.jpg 綿密なシナリオ展開と多層的な心理描写で魅せる圧巻の作劇と、入り込んだら出られない泥沼の如き快楽への耽溺で魅せるこの作家さんの2冊目は、単行本跨ぎの長編作で今回はその第1巻。
善意と悪意、歓喜と絶望、快楽と苦痛が入り混じる重厚な作劇は、ひり付く様な焦燥感を読み手にもまた喚起しており、ページをめくる手を止まらせない静かな迫力を有しています。
過激なエロ演出には決して突っ走らない一方で、凶悪な快楽をじわじわと高ぶらせていく悪魔的な陶酔感の練り込みは凄まじく、暗いものを感じさせながらがっつり抜かせるエロ描写となっています。→単行本レビュー

川崎直孝先生『アとエのあいだ』(コアマガジン)
BetweenAandE.jpg ユニークなキャラクター達の大真面目なトンデモ台詞が機銃掃射される中、ロリっ子達とのパワフルファックもまた連発されるという怪作にして快作の著者初単行本。
本年はもう1冊の単行本が発表されていますが、ハイテンションに激走する勢いの良さとそのパワーをそのまま継承しつつ、抜かせるし笑わせるエロ描写もこちらの方に軍配を上げたいところ。
単発単発のエロやギャグ要素に十二分な勢いを感じさせつつ、作品全体のトータルの構築において個々の要素が威力を発揮する練られた作りも見事→単行本レビュー

 と、以上10冊が管理人の上半期のベスト10でした。どれも作家さんの個性が非常に強い魅力として発揮されているのが頼もしい作品でしたね。また、エロ漫画における長編作の復権を強く意識させてくれる作品が多かった様に感じます。
 また、これも恒例ではございますが、今回の選考において惜しくも選外な作品を5本に絞って挙げますと、
犬星『月見荘のあかり』(コアマガジン)→単行本レビュー
サブスカ『ボディランゲージ』(ティーアイネット)→単行本レビュー
蜂矢マコト『性権』(ワニマガジン社)→単行本レビュー
江戸屋ぽち『きゅんきゅんスイッチ』(コアマガジン)→単行本レビュー
大和川『Powerプレイ!』(茜新社)→単行本レビュー
となります。ほぼ間違いなく、年末のベスト20選出にも絡んでくる作品ですし、こちらの5冊も併せて注目して頂ければ嬉しく思います。

2012年下半期もエロくて面白い多様な作品に出会えることを祈りながら、上半期に紹介した全ての作品とその作者様・出版者様、そして当ブログの読者諸氏に心よりの感謝と敬意を表して、

一エロ漫画愛好家 へどばん拝

2011年私的ベスト20作

恒例となりました年最後の更新、2011年マイベスト20作発表となります。お待たせを致しました。
なお、管理人が2011年に発売された成人向け新刊単行本(発売日はアマゾン準拠、新装版・アンソロジーは除く)の中で購入・読了した作品数は287作(内、未レビュー9作)。今年発売されたエロ漫画新刊がアンソロジー本を除いて575冊(えろまんがけんきゅう(仮)さん調べ)ですので、今年も概ね半数の単行本を読んでおります。
今回のランキングに当っては、上半期ベスト10と下半期ベスト10の結果を踏まえた上で、それらで“惜しくも選外”となった作品も加えた34作品(上半期16冊・下半期18冊)をノミネートし、その中から再び選考を致しました。
毎年々々繰り返しておりますが、年間ベストに限って付けている順位は、僕の主観が強く働いたものですので、あくまで目安とお考え下さい。
また、順位の判断基準は、いつも通りに、“抜ける”“熱い”“インパクトがある”“泣ける”“笑える”“コダワリが光る”等々、様々な要素を含んだ僕にとっての“エロ漫画としての面白さ”です。

各作品の詳細なレビューはそれぞれのリンク先の個別記事、または上半期ベスト下半期ベストの短評をご参照下さい。
当記事内では、雑感やランクインの理由等を記しておきます。
前置きが長くなりましたが、今年輝いていた素晴らしい作品達を、第20位から発表です。

20位 蒟吉人『Bitch Trap』(富士美出版)
BitchTrap.jpg上半期では“惜しくも選外”の5作にも入らなかったものの、この作品の持つ90年代チックな郷愁がどうしても忘れられずにランクイン。
女性の肢体のエロティックさなどを十分な魅力としながらも、実に泥臭いコミカルさのある作風は独特で、実はエロ漫画のオールドファンにこそ進めたい1冊。
こういった作風がまだまだ商業でイケるってのは嬉しいことだと思いますね。→単行本レビュー

19位 JUN『純愛メロウ』(茜新社)
PureLoveMellow.jpg今年はやたらと勢いを感じた天魔レーベルの初単行本組の中で、特に輝いていた作家さんの一人。下半期ベストの“惜しくも選外”から復活のランクイン。
作品の構築自体は割合にスタンダードなラブコメ系ではありますが、非常にガツガツとした欲望の勢いでエロを魅せる優良抜き物件という印象があります。
それでいて、その攻撃性を包み込むラブエロ系としての甘い幸福感があり、総じてバランスに優れた1冊と感じました。→単行本レビュー

18位 石川シスケ『みだらなけもの』(ワニマガジン社)
EroticBeasts.jpgここのところ、以前ほど熱心に快楽天本誌を読まなくなってきてしまったのですが、改めてこの雑誌の持っている独特な魅力を感じさせる1冊。
初単行本故に、固まっていない部分はあるのですが、何処かすっトボケていたり、気だるい感じがしたりと、うるさくない程度のサブカル臭が漂うのが面白いです。
視覚的にも黒ベタが妖艶さを醸し出していて、白黒絵の魅力が際立っているのも特長でしょう。→単行本レビュー

17位 内々けやき『発情楽園』(ワニマガジン社)
EstralParadise.jpg『ハッピーノーリターン』(コアマガジン)とどちらを選ぶか悩んだ末に下半期ベスト“惜しくも選外”から復活ランクイン。
作風の引き出しが多く、青春ラブの叙情性からダーク系の切れ味の鋭さまで、いずれも読み手に鮮烈な印象を与える魅力も両単行本で共通。
ただ、作風が様々でありながらも性愛のもたらすものの大きさという点でこちらの方がまとまりが良かったなと思って選出。→単行本レビュー

16位 MARUTA『アマノジャクが恋をして』(富士美出版)
ContraryLove.jpg前単行本が2009年ベストで第3位であったのに比して順位をかなり下げたものの、基本的な魅力は変わりません。
今回の中編作の話の座りがちょっと悪かったかなぁとは感じるのですが、そこらのいい意味での“曖昧さ”も作劇の魅力の一つである分、なかなか判断には悩みました。
とは言え、お姉ちゃん系ヒロインの魅力がグッと高まったのは今回の大きな収穫かなとも感じております。→単行本レビュー

15位 夏庵『オトメドリ』(コアマガジン)
RobbedVirgins.jpg上半期ベスト10から順当にランキング入り。1冊目ではやや抑え気味であった寝取られエロの強烈さをむき出しにしてきたのは見事。
メガストア系列でやったことにこそ意味がある作劇であるとも言え、序盤のオードソックスなラブコメ模様から猛烈に話を切りかえしてくる鋭さはそれ故の輝きを持っています。
寝取られが苦手な方には完璧な毒薬ですが、その凄みに痺れましたねぇ。→単行本レビュー

14位 宮内由香『青の時代』(茜新社)
BluePeriod.jpg作家の強烈な個性で魅せる作品群とスタンダードなハッピーロリータが入り混じるLO系列において、前者に属しつつも両方の魅力を抑えているとも言うべき1冊。
個々の作品単体でしっかり魅せながらも、描き下ろしの後日談掌編を多数付け加えてくれたサービス精神も特長で、それぞれの作品の魅力を伸長させる構成であったと言えます。
前単行本から結構間が空きましたが、その間に高まった期待に十二分に応えてくれたのが嬉しいところ。→単行本レビュー

13位 灯ひでかず『よりどりEcstasy!!』(茜新社)
VariousEcstasy.jpg初単行本であるため、やや過大評価かなとも思う部分はありますが、同時に今後への期待感の強さもあってこの順位に。
非常に完成度の高い作画・作劇でありながら、初単行本らしい勢いを感じさせており、まずもってオーソドックス依存に陥ることはないであろうと感じさせます。
エロくて楽しくてそれでいてユニークと、基本的な魅力にしっかり忠実という印象があります。→単行本レビュー

12位 松本ドリル研究所『まマまま!』(コアマガジン)
MaMaMaMa.jpg楽しいキャラを多数配置してドタバタ劇を繰り広げ、むっちり美女・美少女が汁ダクでめろめろハードファックというこれで売れなきゃ嘘だろ的著者成人向け2冊目。
刊行までえらく時間のかかったものの、その特濃感が単行本化されることでより高まった印象です。
世界観の面白さやキャラの多さから、無理に1冊にまとめなくても・・・と思いましたが、例え放り投げジャーマンでも魅力になってしまう部類かなと。→単行本レビュー

11位 青木幹治『Only You』(コアマガジン)
OnlyYou.jpg2009年度ランキングでは17位だった初単行本から順調にランクアップしてこの順位。
絵柄がより洗練され、抜きの強度も高めた上で、キャッチーでありつつユニークなキャラクター造形の質が大きく高まってきたことを高く評価したいです。
短編「やりたい季節 新緑のさかり」の陽菜ちゃんの恋の喜びを表現する台詞は2011年エロ漫画界屈指の名台詞。→単行本レビュー

10位 SASAYUKi『魔法少女イスカ~after school~』(キルタイムコミュニケーション)
MagicalGirlIsuka.jpg最近のキルタイムは、短編中心での触手凌辱エロというイメージからの脱却が著しく、かなり多様な方向性が示されていますが、この作品は従来の方向性に近似。
しかしながら、原作脚本の支援を受けることで、闘争劇として熱いドラマ性と魅力的なキャラクターを備え、かつ作画がそれらを十全に生かし切った作品と言えます。
いわゆる“即堕ち”が特徴となるジャンルながら、メインヒロイン・イスカの圧倒的な強さをラストまで温存したのも巧いところ。→単行本レビュー

9位 無有利安『お兄ちゃんとにゃん❤にゃん❤にゃん❤』(茜新社)

NyanNyanWithBro.jpg意外な順位と思われるかもしれませんし、僕自身もそうなのですが、まさか無有利安先生の作品でほろりとさせられる日がこようとは・・・。
ヒトの心を癒す甘く優しいファンタジーが、読み手にとってだけでなく、小さな胸に悲しみや寂しさを抱える登場人物達をも救う慈愛こそが、激甘テイストに隠された魅力でしょう。
ぷにぷにしておりながら、何処か儚げでもある女の達がトロトロに蕩ける様は真に眼福。→単行本レビュー

8位 柚木N’『姉❤コントロール』(ティーアイネット)
SisterControl.jpg初単行本からいかなりレベルの高い作家さんは今では珍しくないですが、この作家さんはむしろ高い成長力でのし上がってきたタイプの人。
催眠凌辱エロとして非常にスリリングで背徳感あふれる構成を為したことを評価しての順位でもありますし、作劇の引き出しが豊かになったことを示しているのも評価の一因。
デビュー時にはやや粗かった描線・デッサンが端正に整理されており、一般進出もなるほどと頷けるものがあります。→単行本レビュー

7位 新堂エル『TSF物語』(ティーアイネット)
TSFStory.jpg昨年度16位から大幅ランクアップな著者2冊目。コミックMujinの誌風の変化を物語る代表的な作家の一人でもあります。
本来なら悲愴感があってしかるべき、肉便器への堕ちモノ展開を、快楽を貪欲に求める主人公の揺るぎない“意志”に委任することで、頼もしさにまで昇華したのはユニーク。
ストレートな過激性を追求しながら、技巧も光るエロ作画、うねる様な勢いのあるエロ演出は見事。→単行本レビュー

6位 天太郎『flower』(コアマガジン)
Flower.jpg今年も数多くの素晴らしい巨乳エロ漫画がありましたが、そのジャンルの中で2011年マイベストの1冊。
少女漫画チックなテイストを好んで投入し、感情の明暗の機微を描き込むスタイルは、好みを多少分けるかもしれませんが、定番ラブコメに安住しない意欲を感じさせます。
弾力溢れるゴム鞠巨乳好きの未来は、この作家さんが成人向けに居てくれる限り安泰であると言えましょう。→単行本レビュー

5位 岡田コウ『好きで好きで、すきで』(ヒット出版社)
AsILoveYou.jpg昨年2位からややダウンの著者3冊目。とは言え、その魅力が衰えた話ではなく、静謐ななかにひりつく緊張感のあるシナリオと陶酔感の凶悪なエロの魅力は健在。
基本的な作風を大きく変化させない一方、大ボリュームに挑戦したりキャラ描写に工夫をしたりと、著者なりの真摯な模索が伺えるのが最近のこの作家さんという印象があります。
“勝負の3冊目”で十二分に個性を確立させた上で、今後何を変化させ、何を維持するのか、非常に楽しみにしています。→単行本レビュー

4位 エレクトさわる『PANDRAⅡ』(キルタイムコミュニケーション)
PandraSecond.jpg2巻構成で魅せた長編作は、1巻(昨年度11位)と2巻それぞれストーリー展開の意図が明確であり、様々な面での切り返しにインパクトのあった作品。
正と邪を単純に割り切ること無く、その中で各キャラクターの持つ強い意志が作品に熱っぽいドラマ性を持たせていたのは、キルタイム系ファンタジーエロに重要な足跡を残すものでしょう。
しかも、体感的なボリュームが圧倒的である濃密エロが味わえるのですから文句なし。→単行本レビュー

3位 オイスター『ワタシキレイ?』(一水社)
ShoneMe.jpg毎年ランキング上位の一角を占めていますが、それもそのはず、作風が全く揺るがないのに慟哭の様なテーマ性の凄みが常に鮮烈なのです。
ストーリーの結末は、昨年度3位の『人デ無シ乃宴』(同社刊)のそれとある意味では対となるものであり、そのどちらもこれまでの作品の集大成的な要素があります。
悲愴感をこれでもかと充填しつつ、読み手の脳髄を痺れさせるエロのアタックの凶悪さもまた揺るがぬ魅力。→単行本レビュー

2位 霧恵マサノブ『魔法少女まじかるゆかたん』(ジーウォーク)
MagicalYuHuka.jpgロジカル、テクニカル、クレバーという形容詞が作品構築に当てはまりながら、それらの評に付き物でもある小賢しさを全く感じさせない激情的な生と性の咆哮は筆舌に尽くしがたい魅力。
つながっていく人と人、人と人ならぬ者、その間にある“他者”を求める業がこれまた激情的なセックス描写を形成しており、過激でありながらある種の清冽ささえ感じさせます。
著者の『海』シリーズ(最終巻は2008年度1位)ともリンクがある広大な世界観から次はどんな物語が紡がれるのでしょうか。期待しています。→単行本レビュー

1位 赤月みゅうと『少女×少女×少女』(ティーアイネット)
GirlGirlGirl.jpgその傑出した才能を以て昨年度19位から本年1位に跳躍。少女の息遣いさえ感じさせるような静けさの中に体温を感じさせる表現力の高さ、常に2P見開きを意識するダイナミックなコマ使いは、純粋に漫画表現として見事。
爛れた退廃も、孤独の悲しみも、欲望の代償も込めながらも、それを超越する生と性の喜びが上質なファンタジーとして立ち上がり、少女達に祝福を与えるラストには静かな感動が溢れます。
じっくり読ませるし、がっつり抜かせる。その“エロ”と“漫画”を共に高いレベルで協調させた手腕と、作品から迸る作家さんの情熱は激賞に値すると、一人のエロ漫画レビュワーとして確信しております。→単行本レビュー

と、以上のような順位になりました。1位・2位に関しては、これだ!と直ぐに決まったのですが、やはり順位付けというのは苦手で、選外からの復活作品も含めて、なかなかに悩んだ選となりました。いずれの作品の、心とち○こに訴えかけるものがあったんですよねぇ。
個々の単行本レビューも参考にして、是非チェックしてみて下さいな。読者諸氏のエロ漫画ライフのちょっとした参考になれば、へたレビュアーとしては大変な喜びです。

まずは、今年読んだ全ての作品達とその作者さん、関係する編集・出版者の皆様に心よりの感謝を。
作品に込められた様々な情熱こそが、へたレビュワーとしての僕を衝き動かしてくれているのだと常々感謝しております。

このブログや記事を紹介して下さる全てのサイト様にも厚く御礼申し上げます。これからも信頼の置けるレビューを書けますよう精進して参ります。

そして、当ブログの読者諸氏にも敬意と感謝を。皆さまそれぞれ、趣味・嗜好が異なり、世代も異なり、性別も異なるでしょう。それでも読者諸氏に共通する、エロ漫画というジャンルへの真摯な愛情と共にあり続けることを管理人は願っております。
来年も読者諸氏の期待に少しでも応えられますよう、より鋭く、より論理的に、より面白く、そしてより愛情の詰まったレビューを描けますよう、今年の年末に決意を新たにしております。

2011年は本当に色々なことがあった年でした。それ故に変わっていく表現は、今を生きる人間が生み出し、受け取る以上、勿論あるでしょう。しかしながら、変わらなくて良い物も沢山あります。
エロ漫画が良質なエンターテイメントとして我々の傍に存在してくれること、それそのものが不変であることを願っております。

2012年も素敵な作品に沢山出会えることと、エロ漫画を愛する全ての人に幸せな一年であることを祈りまして
一エロ漫画愛好家 へどばん拝

エロ漫画私選10作(2011年下半期)

どうも、当ブログ管理人のへどばんです。大晦日もいよいよ間近となって参りました。あっという間の1年であったようにしみじみ感じます。
大晦日(31日)には、毎年恒例の年間ランキングを発表する予定ですが、これも例年通りにまずは僕の下半期ベスト10を発表させて頂きます。
この結果と、上半期のベスト10、および両方における“惜しくも選外”を再考しまして、年間ベストは決定しております。

12月29日現在において今年7月から12月に発売された(アマゾンの発売日に準拠)エロ漫画新刊のうち、僕が購入・読了したのは155冊(内、未レビュー6冊)となっております。
毎年のことではございますが、半期ベストの時点ではまだ順位付けをしていません。また、紹介致しました各作品の詳しいレビューは各短評内のリンク先をご参照下さい。
それでは下半期のに耀いていた、“これぞ!”という作品達を紹介させて頂きます!

天太郎『flower』(コアマガジン)
Flower.jpg適度なリリカルさを個性的なアクセントとして生かす心地よいラブコメディーであり、おっぱい星人にとって本年屈指の抜き物件。
ばるんばるんと揺れまくる巨乳・爆乳の存在感を核としつつ、それ単体の魅力で終わらせない女体の描き方と、エロ演出の攻撃性の強さがこの作家さんの武器でしょう。
メガストア系列の“王道”を形成しながら、決して凡庸にならない魅力と迫力のある最新刊。→単行本レビュー

無有利安『お兄ちゃんとにゃん❤にゃん❤にゃん❤』(茜新社)
NyanNyanWithBro.jpg可愛らしいロリプニょぅじょさんとの脳髄蕩ける甘々ハッピーロリータ作品として高い完成度を示していますが、それだけの魅力に留まらなかった1冊。
孤独の悲しみ、喪失の嘆きを作品の中に込めながらも、それらが登場人物達の純粋で優しい感情に包まれることで、それぞれが幸福を得る温かいファンタジーとしての魅力があります。
ちんまいロリボディがメロメロに蕩けるエロ描写も非常に破壊力があると言えるでしょう。→単行本レビュー

霧恵マサノブ『魔法少女まじかるゆかたん』(ジーウォーク)
MagicalYuHuka.jpg練りに練った作品設定を以て、ファンタジーとしての面白さと登場人物の激情を描き切る特異な作風を遺憾なく発揮。
ブルータルとも言うべきエロの攻撃性が決して浮つくこと無く、ストーリーの躍動感と有機的に組み合わさるのも見事です。
読み返す度に違った面白さを感じられる1冊です。→単行本レビュー

赤月みゅうと『少女×少女×少女』(ティーアイネット)
GirlGirlGirl.jpg読み手の心を打つドラマ性、および蕩ける様な官能性を躍動的な作画で表現しうる技術力とそれを可能にする作者の情熱の滾りを感じさせる2冊目。
ややもすれば荒削りであった部分を、その魅力を残しつつ洗練させてきたのは作者の成長の証でしょう。
それぞれの“生”と“性”の喜びを噛みしめる少女達の姿が非常に魅力的で、彼女達への祝福を呼び込む作風。→単行本レビュー

青木幹治『Only You』(コアマガジン)
OnlyYou.jpg軽快さを保ちながら、詩的でさえある表現が読み手に鮮烈な印象を与える登場人物達の台詞回しのセンスが一級品。
ばんがいち掲載作らしいラブエロの甘さと、エロの程良い攻撃性のバランスが心地よい塩梅でまとまってきたのも嬉しい点です。
ヒロインのキャラクター性にも深みと幅が生じてきており、今後に強い期待を抱かせる飛躍の2冊目。→単行本レビュー

オイスター『ワタシキレイ?』(一水社)
ShoneMe.jpg強欲と狂気の泥濘に沈み込みながら、決してその輝きを失うことのない人の美徳に価値を見出すオイスター先生の“イズム”が強烈なドラマ性を以て描かれる傑作。
業界屈指の暴虐性を以て描く調教・凌辱エロであるからこそ、作劇・キャラクターに強い魅力が生じています。
ホラー漫画として秀逸な『見るも無惨』も構成力の高さを示しましたが、個人的にはこちらを優先して挙げさせて頂きました。→単行本レビュー

MARUTA『アマノジャクが恋をして』(富士美出版)
ContraryLove.jpg派手でもなく、またパンチ力もないものの、その穏やかな雰囲気の中でふくよかな芳香を放つ思春期ラブの叙情性が実に味わい深い1冊。
アナログ作画の魅力は丁寧な画作り、等身大的な魅力を持つ美少女達の描写、そして熱っぽいエロ描写のいずれにも大きく貢献しています。
独特のフェッティシズムも含ませており、コンビニ誌的なキャッチーさもありつつ、たっぷりと余韻を楽しめる1冊と言えます。→単行本レビュー

柚木N’『姉❤コントロール』(ティーアイネット)
SisterControl.jpg単行本を出す度にその成長力の高さに驚かされるこの作家さんの最新刊は、催眠調教エロとしての金字塔を打ち立てる1冊。
陶酔感の溢れるエロに登場人物達と、読み手が溺れていく内に、蓄積された歪みが終盤において一気に爆発するスリリングな構成に痺れました。
エロの演出面もレベルが高く、それが実用性と読みの面白さの双方に寄与しているのも高く評価したい点。→単行本レビュー

灯ひでかず『よりどりEcstasy!!』(茜新社)
VariousEcstasy.jpg初単行本ながらキャッチーな絵柄の完成度が高く、ヒロインのキュートネスとエロのアグレッシブさを両立させる技術の安定感も◎。
エロアイテムや触手など、定番のギミックを使って賑やかな展開を可能にしつつ、その用法自体に作品の面白さを生み出すことが出来るのも素晴らしい点。
“エロ漫画”としての自由度を活かした面白さが、エロとシナリオの双方を魅力的にしていると言えるでしょう。→単行本レビュー

エレクトさわる『PANDRAⅡ』(キルタイムコミュニケーション)
PandraSecond.jpg絨毯爆撃的な濃密かつ強力なエロで読み手を圧倒しつつ、伏線をしっかり張って展開させた長編ファンタジーのストーリーの魅力も頼もしい1冊。
2冊単位の長編として、前巻からの切り返しが非常に鮮烈な印象を与えており、善悪や攻防を複雑に入り混じらせる構成は作家さんの作劇の丁寧さを物語る点でしょう。
無論、だらしなエロボディの汁塗れ描写にも余念がなく、ゲップが出るほど満腹になれるのも嬉しいところ。→単行本レビュー

と、以上が管理人の選ぶ下半期ベスト10です。
相変わらず、選出作の趣向がかなり多彩であり、悪く言うと僕自身のコダワリが弱いのかもしれませんが、エロにしろシナリオにしろ幅広い面白さが明確に存在するのがエロ漫画というジャンルと思っておりますので、その意味では良い選になったなと自負しております。
どれも本当にお気に入りの作品ですので、読者の皆様に何らかのご参考となればレビュワーとして嬉しく思います。
また、年間べストの方も楽しみにしていて下さいな。

下半期に紹介した全ての作品とその作者様・出版者様、そして当ブログの読者諸氏に心よりの感謝と敬意を表して
一エロ漫画愛好家 へどばん拝
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