
さて本日は、びんせん先生の初単行本『長寿戯画』(茜新社)の越年へたレビューです。捻りの効いた単行本タイトルに思わずニヤリとさせられますね。
それはともかく、多彩な設定の口リBBAヒロイン達と定命の存在である男性達との多様な関係性&セックスを描いた作品集となっています。

1話・作当りのページ数は16~28P(平均24P弱)と標準的なボリュームで推移。適度に読み応えのあるストーリー性を有しつつ、エロシーンの量的満腹感も十分にあるバランスの良い構築が揃っていると言えるでしょう。
【ロリBBAとしての設定の作り込みによる作品全体の魅力】
“永遠草紙”レーベルからの出版であり、いずれも口リBBAヒロインを擁する作品であるため、その存在を可能とするファンタジーやSFといった要素がある作品群となっています。
エロ漫画を含めた創作物において2021年現在では比較的ポピュラーなキャラ属性であるため、特にエロ漫画の短編作においては、その設定についての説明は比較的サクッとしてしまってもそれほど支障が無くなってはいるのですが、本作品集ではその設定を丁寧に描いていますし、設定そのものがストーリー展開と明確に関連していることが特色と言えます。
呪いによって好きな当主を独占し、何代にもわたって当主達と子を為してきた化け猫という、和風ホラーテイストもある短編「猫の怨返し」、主人公の好みではない容姿でありつつ、彼女が居ることそのものに幸福を得ていくことになる座敷わらしとの恋物語な中編シリーズ、切実な祈りを叶えるべく童貞男子を喰って子を宿す狼の女神様の奮闘?を描くエロコメ的なファンタジーな短編「結びの街」などなど、ヒロインの設定とそれぞれの世界観がきちんと結びついているのも魅力と言えるでしょう。
お気楽な雰囲気の作品からシリアス&ヘヴィな印象の作品まで幅があり、特に男性キャラクターが永い時を生きる“異質な”ヒロイン達とどのような関係性に至るかという点が読み口の多彩さにつながっており、相容れない者同士として悲しく描かれることもあれば、対等な存在としての恋愛関係、長く生きたからこそ達成された関係性や未来へのつながり、として描かれることもあります。

萌えエロ系的なヒロインのキャラ性を軸にした作品構築とも言えるのですが、その軸になるキャラクターについて丁寧な練り込みが為されている分、作品全体の魅力が底上げされているタイプと総括したいところ。
【人外としての異質性の魅力&未成熟ボディ】
いずれのヒロインも口リBBAキャラクターであって、見た目は幼い少女ですが、実年齢は非常に高く、年齢三ケタ代もざらに居ます。その長い年月をどのように過ごしてきたかという設定も重要なのはこのキャラ属性らしい面白さと言えるでしょう。
化け猫メイド、悪戯大好き座敷わらし、冷酷な“吸血鬼”として振る舞う不死の淫魔、童貞喰いの狼女神様など最初から人外というタイプも入れば、命を救うために竜の力を移植された竜神や、研究対象の超常的な力で若返りと不老を得た人間など、元々は人間であり、その時の記憶や経験がキーとなるタイプのヒロインも存在。
男性キャラよりも遥かに長命であり、人外としての能力による人間に対する有意性などもあって、ある種の上から目線であったり、支配的、或いは庇護的な言動をしたりといったキャラクターが多く、そういった態度と幼い見た目のギャップというこのキャラ属性における王道的な魅力を形成しています。

キャラデザインこそ様々ですが、小さく華奢さのある女体であり、ほんのり肋骨の存在か感じられる肉付きの薄い体幹、華奢な四肢、ぺたんこ~膨らみかけのバストにツルツル仕様の一本筋股間と未成熟感のあるものに仕上げられています。なお、過半数のヒロインが永い時の中でセックスを経験済みであるため、処女性にこだわりがある諸氏は要留意。
初単行本ながら絵柄は単行本を通して安定しており、表紙絵とも完全互換。程好くあざとい萌えっぽさがあり、作画密度も適度に高くというヒロインの可愛らしさで幅広い層に訴求できる絵柄と言えるでしょう。
【華奢なボディが快感に震えて蕩けるエロ可愛い痴態描写】
比較的ストーリー性を重視して、その中でヒロインの魅力を高めていく構築であり、導入を相応に重視していますし、展開によっては濡れ場の分割構成などもありますが、基本的には十分なボリューム感の強さがある濡れ場を用意。
いずれも和姦エロであり、ヒロイン側が主導権を陰に陽に握っていることが共通。甘味のある恋愛セックスもあれば、人外としての特殊な倫理観や性質が人間側にとっては背徳の要素になるシチュエーション、恋愛感情もありつつよりポジティブな快楽の全能感が先行するシチュエーション等、味付けの仕方はヒロインのキャラ性によって多彩であると言えるでしょう。
ヒロインの小さな体を抱擁しながらのキスや秘所を丁寧に指で弄ってアクメを迎えさせる愛撫などを投入することはありますが、前戯パートはコンパクトに畳むこと構成がほとんどであって、小さなお口でのフェラ等のサービスプレイの充実を御所望の諸氏には不向き。
その分、抽挿パートには十二分な尺を設けており、男性にまたがったり、妖艶な笑みで挿入を誘ったりなヒロイン側が主導する搾り取りセックスと、欲望が強烈に高まって小さな体をホールドしてガンガン突き込んでいく男性側がリードするセックスの両方を用意し、また射精シーンを複数回設ける仕様がメインとなっています。

時折潮吹き描写なども併せる結合部見せつけ構図に、描写として比較的シンプルながら効果的に配置される断面図などでもピストン描写を強調しており、勢いのよい中出しを受け止めながらビクビクと肢体を震わせるヒロインの様子を大ゴマメインで提供して複数ラウンド制を〆ています。
さすが口リBBA専門誌『永遠娘』で活躍されている作家さんだけあって、そのキャラ性がしっかりと生きた設定やストーリーになっていると感じた初単行本。
個人的には尽くしてくれるメイドさんでもありつつ、その偏執に恐ろしさもある褐色肌化け猫さんが描かれる短編「猫の怨返し」と、エッチで我儘でちょっと高慢だけどとってもキュートな狼耳の女神様とのエロ模様な短編「結びの街」が特にお気に入りでございます。