EternalStream 『アズールレーンコミックアンソロジー Breaking!!』vol.2(一迅社)を読みました。赤城さんが大好きな作家さんとして名高い鈴木さん先生の赤城さんラブラブ漫画が読めて嬉しかったですね。あく先生の撫でられるの大好き夕立ちゃんも実にラブリー。ヤマグチ先生のエッチなJK(重桜KANSEN)リフレ、熊野ちゃんが大変眼福でございました。ヤッペン先生のロイヤルメイド軍団も実によかった・・・etc

 さて本日は、黒青郎君先生の(本邦での)初単行本『永世流転』(茜新社)のへたレビューです。“生生流転”という人の世の理を示す言葉の対義語の様な造語を単行本タイトルにするのは、本作らしい趣を感じるところです。
美しい童女の姿のまま永遠を生きる者達との間で織りなされる純粋な愛と不死を求める激しい欲望の中華ファンタジー長編となっています。

EternalStream1 収録作は、薬種の商いを家業とする名家には当主のみが交わり“不老不死の秘薬”を得ることが出来る不思議な少女が居て、その家の少年は彼女に恋をするのであるが、彼らの一族と少女との約定は歪にほころんでいき、また流浪の身となった彼女と関わった者達それぞれの恋路と運命をそれそれ描いていく長編シリーズ第1~6話(以下続刊か;←参照 密かに幽閉された永遠の命の少女に一目惚れをしたが・・・ 同シリーズ第1話「永世の香り」より)+描き下ろしエピローグ(3P)。
描き下ろしエピローグを除き、1話当りのページ数は30~50P(平均33P強)と標準を優に上回るボリュームで推移。重厚なストーリー性でじっくりと読ませるタイプの構築であり、ハード指向のエロシーンは量的には物足りなさはありつつも質的に十分に強い存在感を備えています。

【永久を生きる者から見た人の儚さ、弱さ、尊さという無常観】
 秦の始皇帝が不老不死の薬を求め、三千人の童男童女(と百工)と共に東方へと向かった方士・徐福の伝承をベースとし、彼が作り上げた薬を飲んだことで不老不死となった少女を軸として長い世、具体的には秦から宋に至るまでの中国を舞台とした伝奇ファンタジーとなっており、まずこの設定だけで十二分なオリジナリティーがあると言えるでしょう。
 徐福あるいは鴆妃と名乗り、その髪や淫水が延命をも可能とする妙薬となる少女、自ら長春の術を練り上げ“徐福”に不老の薬をもらった踊りの伝説的名手の少女、“徐福”の血を得てしまったために永久に生きる肉塊となった太歳のうち、人型である少女の三人がメインヒロインであって、所謂“ロリBBA”的な設定のキャラクターとなっています。
オーソドックスなロリBBAヒロインが、関係を持つ男性にとって永遠に幼い可愛らしさと年長者としての慈愛をもたらしてくれる存在として描かれるのに対し、本作では永遠に生きていく彼女達の視点から、定命の者としての人間達が描かれていると言えるでしょう。
EternalStream2 美しく温かい約束も、時が流れ代が変わり、欲に支配されることで消え、その身に叶わぬ永遠の命を望んで、他者の命を軽んじ、己の命や尊厳まで失うこととなり(←参照 不老不死の秘薬であると同時に、命を軽んじながら不死を求める者にとって猛毒なのが鴆妃 シリーズ第4話「永世の鴆」より)、美しく純粋な愛を交わした者は死によって去り、また彼が遺した美しい約定も欲で消え失せていくという哀切は、永久を生きる者の目によって明らかにされうる“無常観”という、日本人にとっても馴染み深い観念に基づいています。
 無常観における人の儚さや脆さ、或いは醜さを描き出しながら、それでも定命の者の心からの愛や矜持を美しく尊いものとして描いており、それが失われることの切なさを描くエピソードもあれば(「永世の香り」)、その時その時を大切に愛する者と歩める幸福として描くエピソードもあって(「永世の舞」)、共に永遠を生きる三人の少女それぞれの価値観の違いがストーリーの方向性に影響しているのも語り回しの上手さと感じます。
 この3人の出会いが示唆されるエピソードでは、「一日無常到 方知夢裏人 萬般帯不去 唯有業隨身(無常(死)が訪れる日になって人は人生が夢の如きものであったことを知る。この世を去る時、持って行けるのはただその身における業のみである:管理人訳)」という語句を陰陽しており、不老不死の彼女達の無常とは、また業とはと想いを巡らされ、続きを読めるのを非常に楽しみにしています。

【キュートなキャラデザと怪異としての性質の共存】
 ヒロインはいずれも遥かな時を生きる存在であるため、実年齢は非常に高齢と思われますが、見た目は可愛らしい童女という印象であり、それでいて年齢相応の尊大さや余裕もあるというロリBBA的な王道さも備えたキャラクターに仕上げられています。
 特に“徐福”は好いた人間やその子孫に慈愛を注ぐ存在ではあるのですが、同時に人間を破滅させる存在でもあり、主人公君とポジティブにラブラブな日々を送る公孫大娘さんも精兵を軽くあしらえる剣技の持ち主、驚異的な再生能力と人を喰らう修正を持つ人型の太歳と、三人とも人間にとっての怪異という面も明瞭に描かれた存在です。
人間にとって奇跡の薬にも、激烈な毒にもなり得る“徐福”の在り方は、本物の徐福が望んだ結果通りのものと言え、作劇面で上述した様に、個々のキャラクターが彼女達と如何に関わるか、彼女達がそれをどう受け止めるかによってそれぞれのキャラクター性の掘り下げと、ストーリー性が形成されていると評して良いでしょう。また、彼女達は超越的な不死の存在でありつつ、決して不変な存在ではなく、人との交わり、特に良き交わりに強い影響を受けていく存在として描かれているのも特徴的です。
EternalStream3 黒く長い美髪と落ち着いた色香を持つ“徐福”、美しい銀髪で舞子としての華やかさのある公孫大娘、獣の如き猛々しさと少女の美しさが同居する太歳と、それぞれキャラデザの味付けは変えつつ、ぺたんこバストにほっそりとした四肢、鏡面仕様の股間(1名除く)という未成熟感のある女体造形であることは共通(←参照 公孫大娘さん シリーズ第3話「永世の舞 後編」より)。
なお、シルクロードを通した影響を感じさせる公孫大娘の衣装からして、おそらくそれぞれのエピソードの舞台となる時代(漢、唐、宋代)らしい衣装をチョイスしているのだと感じるのですが、管理人はそれ程詳しくないのでその辺りの正誤は分かりません。とは言え、衣装や髪型、調度など、日本人にとっては異国情緒を魅力的に感じさせ、中華ファンタジーとしての雰囲気作りを丁寧に行っていると感じる点でもあります。
 背景や衣装の細やかな描写、老若男女の描き分け、コミカルで漫画チックな表現から緊迫感のあるバトル描写や恐ろしさを感じさせる残酷な描写まで、多彩で自在な筆致を誇り、全般的に文字が多いものの、それに依存することなく、エロシーンも含めて絵・漫画としての説得力を持たせているのは見事と感じます。

【ハードな演出と細やかな作画で表現するアグレッシブな痴態】
 ストーリー性重視の構築であるため、濡れ場がほとんどを占めるような作品構築は避けるべきですし、その長短や分割構成の有無にも作品によって相応に幅がありますが、ページ数の多さもあって適度な尺を確保していることが多く、またハードな演出による質的な満腹感もあるスタイル。
 友人の息子君と関係を持ったために、周囲から隠れながらのドキドキ羞恥系エッチを展開する「永世の舞」前後編や、太歳ちゃんが主人公君を(性的な意味で)食べちゃう「永世の業」前編など、背徳的ではありつつポジティブな雰囲気のエロシチュもありますが、数として多いのは複雑な感情や歪んだ欲望が絡むハードでインモラルなシチュエーション。
EternalStream4 大好きな存在である故に、彼女が肉親達と交わり快楽に包まれてきたことへの強い嫉妬と独占欲が、激しい形で叩きつけられることになる「永世の香り」、超越的な存在である彼女達と強制的に交わり、また不死を得るために快楽堕ちを目論む惨い凌辱を描く「永世の鴆」や「永世の業 後編」などはその好例であって(←参照 太歳を支配するための過酷な凌辱が・・・ シリーズ第6話「永世の業 後編」より)、ロリBBAヒロインを可愛がったり可愛がられたりなラブラブHをお望みな諸氏は要留意。とは言え、これは前述した人の愚かしさやままならさと、それを注がれ続ける不死の存在の対照的な在り方を表現した性描写とも言え、作劇全体の重厚さを高めるものとも個人的には感じます。
 これら攻撃的なエロシチュエーションを中心に、エロ演出はハード指向であって、アヘ顔を含めて強烈な感覚を物語る表情付け、小さな体が抑え込まれたり抱き上げられたりと男性の膂力に圧倒されている状態、断面図を含めたストレートな結合部見せつけ構図といったものに十分なインパクトがあります。
また、細やかな髪の毛の表現や適度な分量の液体描写、情熱的なキスの描写などにおける粘膜描写のエロさなど、細部まで丁寧に描き上げているのも、質的な濃厚感に寄与。
 童顔ながら経験豊富故に巧みである小さなお口でのねっとりフェラ、余裕の笑みを浮かべながらの脚コキなど、ヒロイン側のサービスプレイ(がある場合には)から射精に導かれる前戯パート、双方が快楽を貪りながら絶頂に至る中出しアクメを大ゴマで提供して締める抽挿パートを用意しており、前者は比較的抑えた、後者は十二分に強い煽情性の盛り上げが図られています。

 ロリBBAというキャラクター属性を十全に活かした上で、それを作者ならではの壮大なスケールの中華ファンタジーの中で生かすユニークさは唸らされる点であって、エロ漫画でこういうことが出来るんだと感心させて頂いた1冊。
第2巻を非常に楽しみにしていますが、この第1巻だけでも十分に作者の才気を感じさせる逸品と言えましょう。お勧め!