IWannaBeABaby 阿部洋一先生の『羊角のマジョロミ』第1巻(富士美書房)を読みました。ウザ可愛い系の後輩女子と二人きりの不思議な世界で翻弄されちゃって~なラブコメ&冒険的なお話から、その世界の成り立ちに関連する魔女となったヒロインの黒く、見方によっては歪んだ感情が、ショッキングな描写と共に示されていく作品でして、1巻終盤には唸らされました。

 さて本日は、唐辛子ひでゆ先生の『きみのおっぱいをしゃぶりたい』(ヒット出版社)のへたレビューです。5年ぶりの単行本となりますが、3冊目の単行本『スウィート♥ペッパー』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
漫画チックに楽しいトンデモ展開のラブコメ・エロコメとヒロインのキュートフェイスが快感に染まるエロシーンとが詰まった作品集となっています。

IWannaBeABaby1 収録作は、成績最優秀者に有名大学の推薦&学費免除が与えられる学園で、万年二位であったヒロイン・さやかは、友人・ノリの助言もあって常にトップの少年・一色君を色仕掛けで籠絡した後、こっぴどく振ることでそのメンタルを損なわせようと画策するものの、自身のことを誠実に愛する一色君に本当に惚れてしまうのだが・・・?な連作「青春は詭道なり」前後編(←参照 初めは邪な気持ちで近づいたけど・・・? 同連作前編より)、および読み切り形式の短編・掌編7作。
描き下ろしの「ユイファンちゃん」シリーズ(8P)とフルカラー掌編「いつもの体操」(4P)、宣伝漫画な短編「こうして私の妹は」(4P)を除き、1話・作当りのページ数は24~38P(平均30P弱)と標準を優に上回るボリュームで推移しています。ストーリー性が強いタイプではないものの、アイディアの楽しさがある作劇には一定の存在感があり、ページ数相応にエロシーンの量的満足感もある構築となっています。

【ユニークな展開&設定で楽しく読ませるコメディ系】
一般誌でのお仕事に加えてあとがきによると育児に勤しまれていたようで、5年ぶりとなる単行本ですが、初出時期の大半は2015~2017年が占めることもあって、従来の年明るく楽しい雰囲気のラブコメ・エロコメとしてのスタイルは今単行本でも共通。
 色仕掛けと失恋のショックという卑怯な手段で主人公の成績を落とそうとするも、それには“失敗”して、彼とエッチもしながら勉強にも励むという正道にヒロインが戻るという展開から、意外な黒幕が明らかになって~という連作は、姦計や裏切りといったシリアスっぽい要素もありながら、お勉強バトルとエッチが関連するというコミカルさが先行しています。
その他の作品についても、存在感の無い自分に無力感を覚え、卒業式の日に屋上からオナニー射精をしてみた真面目な(!?)男子とやはり真面目な委員長さんのボーイ&ミーツ・ガールの短編「グラデュエーション」、独身男性限定企画の“理想の家族付き”の住宅展示販売に参加して綺麗な奥さん&可愛い子供に囲まれるも実は・・・な短編「モデルハウス」など、設定のユニークさが漫画としての面白さにつながる作品が揃っているのも特色と言えます。
IWannaBeABaby2 また、これらの作品に加え、赤ちゃんプレイに邁進する登場人物を描く短編「エリート男性のための赤ちゃんプレイ」「ナニーマイラブ」などを含め、登場人物達は至って真面目であるものの、傍目からはトンデモな状況というギャップの面白さも魅力と感じます(←参照 “オヤジ いったいあんた何者”じゃあないんですよ 短編「ナニーマイラブ」より)。
これらトンデモなエロ模様では、登場人物が迷走してしまったり喪失するものがあったりなケースもありますが、前述した様に登場人物達はそれぞれに真面目に取り組んでいることもあって、彼ら彼女らの頑張りが報われる形でポジティブなラストにまとまっているのも、読み口を良好にしている要因。
 総じてスタンダードなラブコメ系とはまた異なるタイプで、多少好みは分かれる可能性はありますが、設定や展開の漫画チックな面白さが活きた作品が揃っていると評し得るでしょう。

【多彩なキャラデザ&端正さのあるボディデザイン】
 女子校生キャラと素敵な美人奥様、元風俗嬢のベビーシッターさんに赤ちゃんプレイ専門店の風俗嬢のお姉さんといった20代半ば~後半の美人さんとで構成されるヒロイン陣。
 男性を赤ちゃんとして慈愛に満ちた扱いをしてくれるママキャラや優しくてエッチな奥様キャラなど、“バブ味”的な属性を重視したケースもありますが、変態のおじさんと赤ちゃんプレイで真剣勝負なベビーシッターさん、詭道を弄しつつ正道へと回帰する負けず嫌いガールに、主人公と同じく地味で真面目な自分の殻を破ろうとする女の子と、多彩なヒロイン達は漫画チックなキャラ属性で固めるというよりも、それぞれの展開の中で個性を発揮していくキャラクターが揃っている印象。
また、正統派の黒髪美少女さんに真面目さが外見にも表れている眼鏡ガール、ふんわりと柔らかい雰囲気のママ系キャラ、褐色美人さんとキャラデザインも多彩。
IWannaBeABaby3 JKヒロインについては、スレンダーボディに並乳~ギリ巨乳クラスのバストを備えた女体設計であり、アダルト美人についても程好いボリューム感の巨乳をお持ちなキャラをメインとしていますが(←参照 短編「エリート男性のための赤ちゃんプレイ」より)、バスト&ヒップの存在感を強く打ち出したタイプではなく、スレンダーで美しく整った印象が先行するボディデザインと感じます。
 初出時期には開きもありつつ、漫画チックな親しみ易さをベースとしつつ、キャラ描写の細部に少女漫画的な細やかな修飾性があることが特徴の絵柄は単行本を通して安定。その修飾性による華やかな印象はフルカラー絵の表紙絵と共通していると言えるでしょう。

【程好いアタック&密度の演出で彩るヒロインの痴態】
 中核となるエロシーンに至るまでの展開に漫画としての面白みがあるタイプであって、導入パートに一定の尺を設けていますが、掌編クラスを除いて十二分なページ数があるため、エロシーンの量的満足感は適切に図られています。
 無力で欲求を他者に委ねてしか解消できない赤ちゃんという存在になって、女性にお世話して貰う赤ちゃんプレイが3作品で登場していますが、そのプレイとして正攻法な短編「エリート男性のための赤ちゃんプレイ」と、赤ちゃんなりきり変態おじさんを満足させられるかというセックスバトル的展開になる短編「ナニーマイラブ」とでは読み口がまた異なります。
そもそも好みが分かれそうなエロシチュである赤ちゃんプレイですが、その他の作品はコメディ色が強い要素が織り込まれることもありつつ、男女双方が興奮と快楽に包まれていく和姦エロであって、恋愛セックスがメイン。
 前戯パートには十分な尺を設けており、お世話シチュエーションでのものを含めてフェラやパイズリ、女体を優しく丁寧に愛撫したり、ギュッと抱きしめあったりなプレイ、ヒロインのオナニーシーンなどを投入し、サービスプレイを含めて射精シーンといった明瞭な抜き所をあまり用意せず、むしろ穏やかな雰囲気で抽挿パートへと進展させています。
IWannaBeABaby4 抽挿パートはたっぷり長尺である場合も、短くまとまった場合もありますが、ドキドキ感を醸成しつつ、男女双方が目前の快感を素直に満喫するエネルギー感のある描写に仕上げており、エロ演出の密度・強度は絵柄のふんわりと柔らかい印象を阻害しない水準に収めた上で、熱っぽく蕩けていく表情と台詞を描写(←参照 短編「モデルハウス」より)。
 トロンと蕩けきりながら何処か満たされた印象もある表情を浮かべ、ビクビクと震える肢体で中出し精液を受け止めるヒロインの痴態を大ゴマ~1Pフルで投入してエロシーンを〆ており、そこまでの描写のタメもあって抜き所としての実用性を十分に有しています。

 漫画としてのユニークな楽しさがあるラブコメ・エロコメ系であり、ドタバタ模様や意外な展開を繰り広げつつポジティブにまとまるスタイルに心地良さがありますし、程好いアタックのエロ描写を十分量楽しめるのも○。
個人的には、校舎の屋上から大空に向かって一人射精する主人公の姿から始まってしまう誠実な青春ラブストーリーの短編「グラデュエーション」が最愛でございます。