ForGirlsToBloom 桜井のりお先生の『僕の心のヤバいやつ』第3巻(秋田書店)を読みました。二人の距離がどんどん縮まっているのに、ちょっとした思い違いから市川が山田を避けようとした際にはハラハラしてしまったのですが、直ぐに仲直りできていて何よりでした。
好きなのに手に入らないから遠ざけてしまうという市川のスタンスこそが、“心のヤバいやつ”でもあるんだろうなと思いましたね。

 さて本日は、山崎かずま先生の『いつか、花咲く君たちへ。』(コアマガジン)の遅延へたレビューです。先生の前単行本『少女神』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
おとぼけコメディからしっとり青春ストーリーまで多彩な作劇で思春期ガールズが快感に包まれるエッチをお届けな作品集となっています。

ForGirlsToBloom1 収録作は、妹の友人であるまりもは大人しそうな少女であったが、主人公に対して大胆な誘惑を日々仕掛けてきて、そこから始まる手さぐりなラブ&エロな短編「恋愛なんてわかんない」+描き下ろし後日談2作、考古学者である父親が持つカップラーメンにお湯を注いだところ、邪馬台国の女王・卑弥呼(臺與、作中では壱与。『魏志倭人伝』に記された方の卑弥呼の後継者)が復活して現代日本でヤマタイ再興を目指すことを宣言するのだが・・・な中編「卑弥呼であるっ!」シリーズ全3話(←参照 カップラーメンから全裸で復活! 同中編シリーズ第1話「卑弥呼であるっ!」より)、および読み切り形式の短編7作。
描き下ろし作品を除き、1話・作当りのページ数は22~32P(平均23P強)と標準的なボリュームで推移。ストーリーの存在感は作品によって軽重の幅がありつつ、穏やかさのあるエロシーンを程好いボリューム感で安定供給しています。

【漫画チックなコメディからシリアス系や凌辱系まで多彩】
 作風の引き出しの多い作家さんであり、今回の単行本もインモラル系からラブコメ、繊細さのある作劇な青春モノと多彩な方向性の作品が収録されています。
 中編「卑弥呼であるっ!」シリーズは卑弥呼が現代社会に復活して妙な方向での邪馬台国再興を目指す活動をしたり、クレオパトラも復活して彼女の活動に加わったりという漫画チックに楽しいラブコメディであって、天才であるがエッチなことに皆目知識がない女の子がセックスにも果敢にチャレンジな短編「空想科学少女じーにあす」も同様にコミカルな読み口。
ForGirlsToBloom2また、分かり易く棚ボタ的な導入でありつつ、思春期の率直で不器用なラブ&セックスを特に描き下ろし後日談で掘り下げていく短編「恋愛なんてわかんない」シリーズや、幼馴染の少年少女が互いの気持ちを打ち明けて初めてのエッチに至る短編「ビター」は、思春期の性愛を温和な筆致で描き出しています(←参照 素直に嬉しいことを二人で 短編「ビター」より)。
 これらの作品に対し、同じ青春モノでも田舎の閉塞性とそれ故に自分の感情を押し殺している少女を描き、ほろ苦い余韻を残す短編「脱穀」、コミカルな印象も序盤で有しつつ無知な妹への騙しエロであり彼女の淫靡な変容を描く短編「sweet slut パティシエール」といったシリアスで重い読み口やインモラルな雰囲気を有する作品もあります。
また、ピュアな女の子を催眠術によって肉便器調教する短編「psY」は男性側の暗く歪んだ欲望がストレートに発揮される凌辱系作品であり、壊れたヒロインとそこからの負の連鎖が描かれるラストは暗さ・苦さを読後に残します。
 斯様に多彩な方向性であり、かつ軽い読書感のものから相応に重い読書感のものまで幅もあり、特定のサブジャンルが好きな諸氏にはやや不向きではありますが、多彩さそのものが魅力となる1冊とも評し得るでしょう。

【発育途上ボディな地味系&清楚系思春期ガールズ】
 休眠時を含めると1700歳以上が確実視される中編シリーズの卑弥呼ちゃんなどを含め、思春期ガールズで統一された陣容ですが、高○年クラスのランドセルガールから女子校生ヒロインまで年齢層には一定の幅があります
 作劇の方向性に合わせ、現代社会に妙な適応もしつつ奮闘する古代女王コンビであったり、辿り着いた男性を世話する代わりに子種を頂戴する女性だけの島の住人達であったり、はたまたちょっと抜けている天才少女であったりと漫画チックな楽しいキャラ付けであることもあれば、性愛であったり世間との折り合いの付け方であったりへの等身大の反応を示す“普通の女の子”として丁寧に表現されるキャラクターであることもあります。
ForGirlsToBloom3 華やかな印象の美少女キャラも居ますが、どちらかと言えば地味さや清楚さを感じさせるキャラデザインが多く、眼鏡キャラが半数弱を占めるのは特徴的(←参照 短編「恋愛なんてわかんない」より)。そんな女の子達が恋愛やセックスに関与していくことでのギャップや背伸び感なども魅力と言えるでしょう。
 お菓子の食べ過ぎで肥満体(マシュマロボディ)になってしまった短編「ぷちっとXL」の姪っ子ヒロインや、健康的な肉感に巨乳をお持ちなJK美少女さん達(短編「ビター」「脱穀」)を例外としつつ、身長低めで発展途上の貧乳をお持ちな思春期ボディで統一。体のバランスや肉感の打ち出し方にあまり漫画的な誇張のないタイプでありつつ、生々しさを打ち出したタイプでもありません。
 アーティスティックな印象もある1枚絵なども含めて、細部を細やかに描き込む描画スタイルではありますが、絵としての高密さよりも軽く柔らかい印象を重んじたスタイルと感じられ、女の子の可愛らしさにも素朴で親しみやすい印象があります。また、十分なキャリアを有する作家さんであり、表紙絵と完全互換で中身の絵柄が安定しています。

【抑制を効かせたエロ演出でヒロインの蕩けボディを魅せる濡れ場】
 テンション高めの作劇でサクサクとエロシーンに突入することもあれば、男女のやり取りに適度な尺を設けてから次第にエッチへと移行するケースもありますが、いずれにしても抜きツールとして標準的なボリューム感のある濡れ場を用意。
 恋愛セックスを中心とした和姦エロがメインであって、全体的にポジティブな描き方ではありますが、前述した様に催眠凌辱であったり騙しエロ的な要素があったりと欲望がヒロインの心身を侵していくインモラル系のエロシチュも数作で投入されています。
 前戯パートの尺は作品によって幅はありつつ、どちらかと言えば短めにまとめることが多いものの、美少女フェイスが男性の反応をうかがいながらのフェラや手コキで射精に導くシークエンスを標準搭載しており、量的・質的にややタメを欠きつつ前半の抜き所を形成。
処女ヒロインが多いものの、挿入時から性的快感に包まれていくエロ漫画的ドリーム仕様であり、男性の体躯の存在感をほとんど前面に出さず、肢体をビクビクと反応させつつ性感に蕩けていくヒロインのリアクションとボディに集中できる抽挿パートに仕上げています。
ForGirlsToBloom4 エロ演出の強度としては抑制の効いたタイプであって、熱っぽい官能フェイスやハートマーク付きのエロ台詞、小ゴマを中心とした結合部アップ描写などベーシックな演出を程好い密度でといった塩梅は(←参照 短編「空想科学少女じーにあす」より)、多少の単調さやアタックの物足りなさを感じますが、絵柄との相性はよいスタイル。
大ゴマで中出しを受け止めてアクメフェイスと乱れた描き文字の嬌声を曝け出すフィニッシュシーンは、結合部アップのカットインなども含めて適度なアタックの強さを打ち出しており、複数ラウンド制の〆として適度にハイカロリーな抜き所となっています。

 素敵な表紙絵の印象と一致するタイプの作品もあれば、いい意味でおとぼけ風味の作品やダーク&インモラル系の作品もあって、この多彩さを魅力と感じるか否かは単行本としての評価をある程度左右するでしょう。
個人的には、田舎の閉塞性を憎み、都会からやってきた少年と恋仲になりつつも、同郷の男子に割り切れぬ想いを抱えたままの少女を描くシリアスでほろ苦い短編「脱穀」が最愛でございます。