InfedilityPicnic グレゴリウス山田先生の『三丁目雑兵物語』下巻(朝日新聞出版)を読みました。連載自体の長さはともかく、もうちょっと話数があればラブコメ展開とかもありえたわけで、ちょっと勿体ないかったなとも思いますが、特にコラムは非常に楽しく読んでおりました。
自尊心をやられたヴァイキングさんがかなり長期に引き摺っていましたが、あれはあれで可愛かったですね。

 さて本日は、朝倉クロック先生の『不倫ピクニック』(エンジェル出版)のへたレビューです。“白石なぎさ”名義での前単行本『淑女はまだ、妻でも母でもなく』(ジーオーティー)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
アダルト美人との多彩なインモラルストーリーと彼女達が官能に包まれる艶っぽい痴態が詰まった作品集です。

 収録作はいずれも読み切り形式の短編で計10作。1作当りのページ数はいずれも18Pと控えめのボリュームで固定。ストーリーの存在感には作品によって幅がありますが、短編ということもあってコンパクトな作劇と重過ぎず軽過ぎずな満腹感のエロシーンとで構成されています。

【ヒロイン側の心情の動きで紡ぐ多彩な背徳ストーリー】
 棚ボタ的なドタバタエロコメ系からインモラル系まで多彩な作劇が揃っており、人妻ヒロインの不倫・寝取られ系を軸としながら作品から受ける印象も様々です。
 冷え切ってしまった夫婦関係のために、自分を求めてくれる男性と関係を深めていく浮気セックス(短編「壊れた夫婦~裏切りと秘密」「不倫ピクニック」)、夫の出世のためにその上司に体を許すことになる寝取られ系(短編「夫の出世と接待枕と・・・」)、名家に嫁ぎながら不遇な女性と写真家志望の誠実な青年との出会いと秘密の逢瀬を描く叙情的なストーリーと(短編「額縁の妻」)、旦那以外との男性との浮気・寝取られ系でも作劇の方向性は様々です。
 また、担当している女性官能小説家の創作のために変態露出プレイに編集の男性が付き合うことになる短編「淫夢見る官能小説家」、更衣室荒しの男性が女性研究者に捕縛されて怪しげな新薬の被検体となるも、その薬のおかげで巨根絶倫化&精液に催淫作用で二人の美人研究員を好き放題に~な短編「100万回射精した男」はコメディというか、とぼけた雰囲気と大変に分かり易い棚ボタ展開を用意。
InfedilityPicnic1インモラル系を含めて話が重苦しくなることはあまりなく、これはヒロイン側が現状に満足しておらず、女性として男性に求められたいという希求や性愛の幸福を自ら求めてそれを叶えるという描き方を基軸としている故という印象であり(←参照 妻であり母でもある前に女として 短編「不倫ピクニック」より)、彼女達の心情の動きでシナリオワークを追わせる作りとも言えるでしょう。
このため、旦那からの“寝取り”が成立する場合でも、ヒロイン自身の意志はそれとして保たれており、他者による強引な性的侵犯としてではなく、ヒロイン側自身が加担するものとしての背徳感を生み出しています。
 全般的に官能小説的な構図・語り回しであって、読み手の年齢層をやや選ぶ印象はあり、ビターにまとめたり、ポジティブな解放感のあるまとめであったり、ほろ苦さと幸福感を両立させる繊細なオチであったりと、各種の余韻を持たせる話のまとめ方も、そういった語り回しらしい魅力とも感じます。

【落ち着いた色香を纏う巨乳アダルト美人たち】
 20代後半~40歳程度の年齢層であるアダルト美人で占められたヒロイン陣であり、若々しさもありつつ、年相応の色気感を重視したキャラデザがメイン。
InfedilityPicnic2人妻ヒロインが過半数を占めると共に、お堅い女性教師(←参照 人妻美熟女教師! 短編「愛子先生のハメ撮り“裏”授業」より)、温泉宿の女将、官能小説家に白衣の女性研究者といった設定も用意しており、官能小説家の先生はともかくとして、真面目であること貞淑であることを求められるキャラクターがその抑制から解放される、または解放させられるという展開に寄与する設定と言えるでしょう。
勿論、エロ漫画的にポピュラーな設定でもある一方で、美人女将のしっぼりエロサービスとか、美人堅物教師さんのエロ授業とか、人妻さんの熱っぽい浮気模様といったキャラとエロシチュの組み合わせは、前述した官能小説的な味わいにもつながっています。
 艶っぽい黒髪や口紅をひいたリップ、濃いめの陰毛標準装備の股間といった各種体パーツ描写もアダルト美人の成熟した色気を生み出しています。
InfedilityPicnic3等身高めでしなやかな印象のあるボディに、十分なボリューム感のあるバスト&ヒップを組み合わせた女体が揃っており(←参照 美人妻の尻! 短編「夫の出世と接待枕と・・・」より)、明瞭な特徴こそ無いものの、幅広い層にアピール可能なタイプ。
 絵柄にオールドスクールな印象が明瞭であり、アニメ/エロゲー絵柄的な華やかさやキャッチーさを求めるのは避けるべきではありますが、丁寧な作画で前述の美人ヒロインの艶っぽさを引き出していますし、表紙絵と完全互換で安定しているのも安心材料です。

【程好い濃密感のエロ演出で彩る快楽への没入】
 ページ数の都合上、長尺のエロシーンを期待するのは避けるべきではあり、量的に多少の物足りなさはありますが、濡れ場の占める割合は十分に高く、抜きツールとしての満腹感は適度にあります。
 人妻が旦那以外と関係を持つシチュエーションが多く、ヒロインが積極的な浮気セックス、ダブル不倫、寝取られ、はたまた男性機能に問題がある夫が主人公に妻とのセックスを依頼する“寝取らせ”的なシチュエーションなど、その方向性は様々ですし、ボンテージ姿の女流官能小説家に犬扱いされる変態プレイ、主人公絶倫化による催淫3Pセックス、女将による棚ボタ的なエロエロサービスプレイなども投入しており、作劇の方向性の多様性と関連しています。
また、作劇面で上述した様に、ヒロイン側の心理描写を軸とすることはエロシーンの盛り上げにおいても同様であって、背徳の快楽に心を乱すと共に、解放感や充足感を基調とするポジティブな幸福感をヒロイン側が感じて行為に没入していくという様相を表現していきます。
InfedilityPicnic4 しなやか巨乳ボディの存在感を前面に打ち出すと共に、その柔肌との密着感や結合部見せつけ構図や局所アップのストレートな淫猥さで煽情性を打ち出しており(←参照 短編「家庭内不倫」より)、シンプルな印象はありつつも、女体そのもののエロさを適度なインパクトで連続させることは強みでもります。
明瞭に紅潮した熱っぽい表情付けに快感を堪えるように瞳をきゅっと閉じた表情、下品さは抑制しつつもアヘ顔っぽい表情など、ヒロインの表情付けで強烈な快感を物語っており、やや単調さも感じるものの、分かり易く淫猥な擬音と断面図等の演出と合わせて適度な濃密さを感じさせるエロ描写に仕上げています。
 前戯パートにフェラ等からの射精シーンを投入することもありますが、基本的には1回戦をじっくり描くエロシーンの構成であって、びくびくと体を震わせながら感極まった表情&台詞を曝け出す大ゴマ~1Pフルのフィニッシュで〆ています。

 カバー裏のあとがき漫画で作家さん自らが書いていますが、作劇にしろエロにしろ“白石なぎさ”らしさは明確に保たれている作品集であり、好みは分かれる部分も多いですが、短編ながら味わいもある作品が揃っています。
この作家さんらしさがストーリーに特によく出ている短編「額縁の妻」が最愛でございます。