
さて本日は、ポン貴花田先生の『隣のパパの性欲がスゴくて困ってます!』(エンジェル出版)の遅延気味へたレビューです。先生の前単行本『おっとりみだらな三上さん』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
幼馴染な美人ヒロインとの大人なラブストーリー&程好い熱っぽさで包み込むエロシーンが楽しめる1冊となっています。

1話当りのページ数は16~20P(平均18P強)と控えめな部類で安定。長編作として一定の読み応えがありつつ、話についてもエロのボリューム感についても本レーベルらしいライト系と言えるでしょう。
【男女の再出発を描く大人のラブストーリー】
“性欲がスゴいパパ”というワードに何やら淫靡な響きがありますが、これは主人公が父子家庭の父(バツイチ)であるという以上の意味はなく、彼と幼馴染の女性がよりを戻すラブストーリーが長編の主軸となっています。
性欲の過剰な強さを含めて主人公の駄目な部分を、母性的でしっかり者のヒロインが受け止めてくれるという構図となっていますが、主人公の性欲の強さや駄目さはコミカルな要素としての範疇を越えており、多忙と風俗通いが息子へのネグレクトや前妻との離婚につながったり、ヒロインが許すのをいいことに場所を選ばずセックスをしたり、ネグレクト等の結果、息子の情操にも問題が生じたりと相応に深刻な事態を招いています。

主人公の性欲の強さの理由についても作中で明らかにされており、“本当に大切な人とのセックス以外では人は満たされることがない”という道徳観念が作劇のベースであるとも言え、保守的ともロマンを感じさせるとも言えるでしょう。
例え一人親家庭であっても、努力と愛情、周囲の援助によって幸福な親子関係を築いている親が世の中には沢山いることを決して忘れてはいけないですが、本作においては“一人”では父親として色々問題があった主人公が、二人でやり直すことによって家庭の立て直しにつながっており、番外編で息子君の健やかな成長を確認することが出来るのもハッピーエンドの印象を強めています。
話としてはやや冗長で、話としての盛り上がりはラストまであまり無いのですが、別れたカップルが元鞘に収まる流れとしては、そのズルズル感であったり、なんだかんだで信頼し合っている故の安心感であったりな様子に一種の自然さがあるとも言えるでしょう。
【健康的な色気感のある短髪巨乳アダルト美人】
息子を実家に預けて自宅に呼んだデリヘル嬢さん(第1話)や、やはり息子を母に迎えに行かせて職場の同僚と良い雰囲気になって自宅に連れ込んだりと(第2話)と、メインヒロイン以外の女性と性交渉をすることもありますが、彼女達はストーリーの本筋にはほぼ関係しません。
幼馴染であり、高校時代の恋人でもあるメインヒロイン・咲希さんは28歳のアダルト美人であり、番外編では若々しい容姿のまま38歳になった彼女の姿を拝めます。
主人公の性欲パワーに押し切られてしまうこともしばしばありつつ、前述した様に芯の強さや相手を信頼し続ける度量のある女性であり、その強さを前面に出すのではなく、優しさや明るさの中に確固として有しているタイプのヒロインとも言えるでしょう。
さっぱりとしたショートヘアや健康的な肉付きに十分なボリューム感のある巨乳&桃尻を併せ持つ女体には、ストレートなエロさもありつつ、さっぱりとした程好い色気感が漂うデザインとも感じます。

どちらかと言えば、あっさりとした印象の絵柄ではありますが、細部まで丁寧な描き込みで艶っぽさを打ち出しており、絵としての親しみ易さとのバランスが取れているのが美点。ベテラン作家さんらしく完成された絵柄でありつつ、細かい所でアップデートを感じさせるのも○。
【程好い濃度の熱っぽさで包み込むセックス描写】
ページ数がそれ程多くない上に、エロシーンが占める割合もそれ程高くないため、濡れ場のボリューム感に強く期待するのは避けるべきですが、主人公の性欲が強いこともあって複数ラウンド制の構築とすることが基本。
いずれも合意の上のセックスで、終盤に向けて恋愛セックスとしての甘味・幸福感が強まっていく傾向にあります。主人公の性欲に歯止めが効かないこともあって、電車内での密着からトイレでのセックスや、旅行先で息子君が寝ている横でのセックスなど、ヒロイン側の羞恥心や緊張感を引き出すエロシチュも投入されています。
デリヘル嬢さんのプロフェッショナル手コキや、同僚美人に対してやや強引にお願いするフェラなどが前戯パートで投入されることもありますが、メインヒロインとのエロシーンでは短めの尺ということもあって、キスや愛撫などで構成する前戯パートは手短にまとめて抽挿パートの分量を確保。

派手な演出は無いものの、ヒロインが次第に声を我慢出来なくなっていったり、表情の蕩け具合が増していったりと、フィニッシュシーンに向けてセックスの高揚感を形成していく流れは魅力的。
大ゴマ~1Pフルのフィニッシュシーンは、そこまでに比して強め・密度高めに演出を施しており、ゴム付きセックスや外出しも中盤までは多いことは好みを分けそうですし、描写としてのタメにも欠く傾向にはありますが、オーラスとしての盛り上げはしっかり図られています。
ヒロインの包容力や強さを対比的に強調する役割もあってか、主人公の駄目さがやや深刻なレベルであって、風俗ではなくて心療内科に行くべきでは?とすら個人的には感じますし、幅広い層にとって好みを分ける要素と推察しますが、基本的にはハッピーエンドに収束する心地良さでまとめています。
ラブ☆デリのリサちゃんは八重歯が可愛かったですね~。