TamingLoverSecond DOUBLE-S先生(原作:真刈信二氏)の『イサック』第8巻(講談社)を読みました。イサックとロレンツォの一騎打ち、壮絶でしたが、最後のロレンツォの狂気的な執念がともかく凄かったですね。火縄銃を失ったイサックはこれからどうしたものなのか・・・。
エリザベートさんが生きてて良かったですし、あまりにもポンコツ蛮勇な計画をクラウスに咎められて怒ってるのも可愛かったです。

 さて本日は、めぬ。先生の『調教彼女2』(ジーウォーク)の越年へたレビューです。レビューがだいぶ遅くなってしまい、申し訳ありません。先生の前単行本(初単行本)『調教彼女』のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
黒い感情と心の痛みが渦巻く重苦しいドラマと凌辱&調教系のハードなエロシーンが展開される長編作となっています。

TamingLoverSecond1 収録作は、かつて自分を苦しめたものの今は彼氏である東雲との交際に悩むヒロイン・志乃は、東雲による過去のハメ撮り映像を何故か持っている女装男子・美玖に弱みを握られ再び凌辱・調教に晒される日々を過ごす中で、彼女の心的外傷と東雲への不信は徐々に高まっていくのだが・・・な長編第7話~最終12話(←参照 東雲の弟にして彼女を再び地獄へ追いやる女装男子・美玖 同長編第8話より)。
なお、今単行本が前単行本に続く第2巻であり、第1巻を読了していないと話の理解はかなり難しいので、もし未読であるならば第1巻とセットで購入して読むことを強く勧めます。
1話当りのページ数は30~40P(平均32P弱)と標準を優に上回るボリュームで推移。長編作として十分に読み応えのあるストーリーであり、抜き特化の構築という訳ではないものの、エロシーンの存在感も強く仕上がっています

【精神的に追い込まれていくヒロインの重苦しい姿】

 前単行本の最終話で、東雲との関係に悩むヒロインの前に現れた女性、と思いきや女装男子である美玖によってヒロインが再びハードな凌辱・調教へと叩き込まれていく展開で第2巻はスタート。
過去にヒロインをその幼馴染の少年から寝取った東雲が、今回においてはその弟の美玖によってヒロインを寝取られるという逆転した構図になっているのが特色であって、以前の獰猛さや狂気を感じさせず、状況に何らコミットしないままヒロインに対して穏やかに接する彼の変貌ぶりは一つのキーポイント。
TamingLoverSecond2 時々の飴と凶暴な鞭を使い分ける美玖の姦計によってヒロインは彼に対して依存するようになり、彼女の手による調教・凌辱が過去に受け付けられたトラウマを呼び起こして彼女の心身を苛んでいくと共に、彼氏である東雲君に対して強烈な不審・猜疑を抱いていくことになり、東雲との関係の破断さえ可能性として見えてくるようになります(←参照 東雲に対し、“自分をまだ苦しめ足りないのか?”と 長編第10話より)。
信じていた美玖によって志乃絶望の沼に叩き落される瀬戸際において、拒絶していた東雲君が乱入し、美玖の本性と真の狙い、そして彼の東雲への愛憎が明かされる最終盤から、この複雑な寝取り-寝取られ関係がどのように落ち着くのかは読者ご自身の目で確かめて頂きたいところ。
詳細を伏せて語るのであれば、穏やかで冷静な様子を見せていた東雲は、単に志乃を離したくないための仮面であって、大切な彼女を奪い、守るためならば手段を選ばないという狂気性や執着が実のところ全く失われていなかったことが示されます。
 悩み、苦しみ続けたヒロインが最終的に彼の狂気の愛を受け入れるラストは、二人にとっての救済という面がない訳ではないものの、地獄を味わい続けたヒロイン自身が既に尋常の状態ではないことが読者には分かる故に、苦く暗い余韻を残すものとなっています。

【印象的な表情描写で魅せる登場人物達】
 今単行本開始時でメインヒロインの志乃ちゃんは女子大生であり、不安や恐怖、疑念で頭の中がぐちゃぐちゃになりながら、精神的に追い詰められていく彼女の姿が作劇の重苦しさを形成しています。
 彼女の感情の動きをストーリーの軸に据えながら、今単行本で存在感が強いのが見た目はふわふわ系キュート女子な東雲の弟・美玖であり、明るく柔和な表情を示しながら、そのどす黒い感情や狂気性が諸所で溢れ出すことで不審な存在として作劇に緊張感を持たせています
TamingLoverSecond3調教の過程で不特定多数の男性に志乃を襲わせるように、美玖は兄である東雲と違い、志乃そのものに対する執着は無く、彼が志乃を追い詰める理由は別にあることが明らかになり、寝取られ展開における寝取り側と寝取られ側の巨大な感情こそが美玖を中心とする三者の関係で重要なウェイトを占めているのが作劇としてもキャラクター描写としても特色(←参照 美玖の東雲に対する愛と憎 長編最終第12話より)。
 キュートな女装男子・美玖ちゃんは自ら竿役として出動することもあるものの、基本的に他の男性に志乃を襲わせることもあって、健康的な肉感の体幹に程好いボリューム感のバスト&ヒップをお持ちな志乃の女体をエロシーンの要としており、胡乱な表現ではありますが、“普通に可愛い”女の子のキャラデザに仕上げた上で、それが大変な目に遭っているという状況の落差を形成している印象があります。
 可愛らしい表情、重苦しい沈痛な表情や茫然とした表情、怒りに震える表情、はたまた狂気や悪意を剥き出しにした表情と、登場人物達の強烈な感情を描き分ける筆致はストーリー性を高めることに大きく貢献する魅力であり、絵としての軽さ・華やかさを保ちつつ、丁寧な描き込みを見せるスタイルとなっています。

【ヒロインの精神が強烈な快楽と感情で掻き混ぜられる痴態】
 エロシーンのボリュームに特化した作品構築ではなく、ストーリー性を重視した作りであって、ページ数として濡れ場の占める割合はそこまで多くないことに加えて、おしっこシーンのみでセックス描写すらない回(第10話)があるなど、エロシーンの強い量的満足感を求める諸氏にはやや不向き。
 とは言え、ヒロインの精神を摩耗させていく凌辱・調教描写はかなりハードかつ陰湿であり、脅迫されての凌辱、全裸露出で犬扱いされての露出プレイ、見知らぬ男とのセックス強要、突如叩き込まれる輪姦&撮影等々、美玖の仕掛けによる各種性行為は、志乃のトラウマを抉ったり東雲への不信を生み出したりで、彼女のメンタルに強い負荷を掛ける所業として描かれている分、その存在感はかなり強烈。
日常シーンにおいても、彼女の中で渦巻く様々な感情とそれを制御できない不安定さが描かれていますが、これはエロシーンでも同様であり、相手への信用とそれを裏切られた絶望、性行為への強烈な嫌悪感・忌避感とそれに反する調教済みの体に溢れる強烈な快楽、冷静になるほど悪化する自己嫌悪と、アンビバレンツなものの間で心情が激しく揺れ動く様子を畳みかけるように描写してきます。
TamingLoverSecond4 焦点を失った瞳に輪郭がふにゃふにゃになる口、涙や涎でぐしゃぐしゃになる紅潮した頬など、官能的な表情付け、こらえきれずに漏れ出し連呼される嬌声など、高密度のエロ演出を施して、ヒロインの強烈な反応を引き出しており、快楽の強さとそれに身を任せることの絶望感がない交ぜになった痴態描写を形成(←参照 長編第7話より)。
 かなり小ゴマの切り出しが多いことが特徴の画面構成であり、様々な感情や記憶が入り混じるヒロインの混乱を表現するなどの描写で効果を発揮しているものの、エロシーンにおいてはやや雑然としてしまったり、大ゴマでの描写密度の低下が目立ったりすることにつながっており、好みにも依りますが、個人的にはやや減点材料。
性器結合の無い場合ではヒロインの失禁や潮吹きでフィニッシュシーンを形成していますが、中出し描写等でも中ゴマ~1Pフルの分量で抜き所を投入しており、演出的な盛り上げにはエピソード間で高低の差を感じつつ、ヒロインの心身にトドメを刺してくるような流れで突入しています。

 前単行本から東雲君が寝取られ側に回るという逆転の構図を取りつつ、彼の狂気が再び巡ってくる展開は重厚であって、ひたすら重苦しい状況の中で緊迫感と展開の衝撃がある長編に仕上がっていました。
なんだかんだで、美玖ちゃんの巨大感情に引き込まれましたね。