MissMuramatasSecret 湖西晶先生の『下を向いて歩こう』第1巻(芳文社)を読みました。ビーチコーミングという個人的には馴染みのない趣味のお話ですが、色々な楽しみ方や発見がある趣味ということがよく分かりました。
明るく人懐っこいシエルちゃんと、真面目でちょっと内向的な硝子ちゃんや世話焼きヤンキー系の陶子ちゃんの組み合せが微笑ましいです。

  さて本日は、井雲くす先生の『村又さんの秘密』(コアマガジン)のへたレビューです。先生の(成年向け)前々単行本(初単行本)『終夜セクソロジー』のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
素直な感情と性欲が爆発する年上ヒロインとのドキドキラブストーリー&彼女達が蕩ける熱気に包まれた濡れ場が楽しめる作品集となっています。

MissMuramatasSecret1 収録作は、優しく明るい頼れる職場の先輩・村又さんと宅飲みすることになり、ひょんなことから彼女の秘密(スプリットタン)を知り、童貞を貰って頂き交際を始めることになるのだが・・・な中編「村又さんの秘密」全3話(←参照 それ=主人公の童貞 同中編第1話より)、および読み切り形式の短編5作+フルカラーピンナップ(計4P)。
1話・作当りのページ数は24~29P(平均26P)と中の上クラスのボリュームで推移。シナリオ軽め・エロメインの作品構築でありつつ、登場人物の心情描写で適度に読ませる作りであり、その上で程好い満腹感のあるエロシーンを安定供給しています。

【男女双方の不器用さや戸惑いが解消されるラブストーリー】
 クラスメイトの女の子とのちょっと変わったエロ模様な短編「百瀬は知る」を例外としつつ、いずれも年上のヒロインとのラブ&エロを描いた作品となっています。
 ひょんなことから頼れる先輩の秘密を知って、彼女と交際することになった中編作は、優しくしっかり者の年上美人に誘惑されたり、翻弄されたりといった棚ボタ的な幸福感があるのは確かで、この点は他の短編群にも概ね共通する要素。
MissMuramatasSecret2中編作ではその状況における男性のドキドキ感や年上美人に委ねる安心感を描くと共に、ヒロイン側を“万能の存在”として描くのではなく、彼女は彼女として恋に戸惑ったり恥ずかしがったりし、また彼女の“弱いところ”が示されて、男性側がそれを受け止めることで双方が受容しあう対等性を形成しているところに(←参照 先輩の涙を受け止めて 中編第3話より)、ラブストーリーとしての誠実さや善良さという美点があります。
 短編「蕎麦屋の春さん」もこの作劇スタイルに近く、年上お姉さんが積極的に~という要素を有しつつ、男女双方の初心さであったり、恋の戸惑いであったりを表現した上で素直に恋心を表出して幸福な関係性を築くという描き方となっています。
 短編「バックステージ」「MARCHING!」のように、主人公の年上ヒロインへのもどかしい恋心や不器用さが性欲と絡まり合って暴走してしまったり、短編「飴よ鞭よ、弓と弦」のようにヒロインの主人公に対する独占欲が多少嗜虐的な形で表現されたりと、感情の歯止めの効かなさがエロ面でインモラルさや攻撃性につながることもありますが、これらの作品でもそういった事態になる程強い気持ちというものが、男女の間で共有・受容されることで平和なメイクラブへと収束することに作劇の力点が置かれていると評し得ます。
 紆余曲折はありつつも、いずれの作品においてもそれ故に互いに分かり合うことが出来た故に、幸福な恋愛関係が形成されたことを示す微笑ましくラブラブなハッピーエンドにまとめており、読後感も大変良好となっています。

【柔らかバスト&ヒップに存在感を持たせた年上ヒロイン】
 20代半ば~後半程度と思われる中編の村又さんや短編「蕎麦屋の春さん」のバイト店員さんなど、社会人の女性も登場しつつ、短編群では女子校生級の女の子が主力。前述した通りに、大半のヒロインが主人公の男性よりも年上となっています。
 優しく頼れる上司、昔から面倒を見たり仲が良かったりしてくれた顔なじみのお姉さん、年下である主人公をからかってくる先輩にクールで御主人様タイプの先輩など、年上ヒロインらしい魅力を備えたキャラ造形にしつつ、その属性で固めすぎることなく、彼女達のピュアな恋心であったり、色恋沙汰への戸惑いによる不器用さであったりを描き出していくことで、それらを性別に関わらずに共通する心の動きとして主人公の男性とも、また毒さとも共有できるように描かれているのが最大の美点と評し得るでしょう。
 ショートヘア、またはコンパクトにまとめた髪型が多いことはキャラデザインの傾向として特色であり、スポーツウーマンであったりキャリアウーマンであったりな印象を明瞭にしつつ、そういった健康的でさっぱりとした印象を持ちつつ、エロシーンでは熱っぽく蕩けて一気に性的な魅力を高めるという構図にキャラデザが一役買っている印象があります。
MissMuramatasSecret3 短編「バックステージ」のバレーボール女子なお姉ちゃんは並乳クラスではありますが、その他のヒロインはもっちり柔らか質感の巨乳の持ち主であって、お尻や太股にバストに見合う肉感の強さがあるタイプ(←参照 飼い主系弓道ヒロインのご褒美! 短編「飴よ鞭よ、弓と弦」より)。キャラクターによってトランジスタ・グラマーな印象のヒロインもいれば、長身スレンダーな印象が先行するヒロインもいるなど、肢体全体のバランスについてはバリエーションがある印象です。
 日常パートでは描き込み密度を抑えてさっぱりと健康的な色気感や親しみ易さを打ち出しつつ、エロシーンでは十分な濃密さを形成するスタイルは共通しつつ、作品の初出時期に最大で約5年の開きがあるため、絵柄の統一感を気にする諸氏は要留意。前述のボディデザインの多彩さも、絵柄そのものの変化に由来する部分は多いと思われます。

【程好いアタック&十分な密度なエロ演出で彩る熱情的なセックス】
 感情の表出をエロシーンに担わせていることもあって、作劇全体の雰囲気や性愛の熱量を高めていく濡れ場にはボリューム感の十分な強さがあり、前戯・抽挿パートにそれぞれ抜き所を配置した複数ラウンド制としています。
 嫉妬心や焦り、独占欲などから強引なセックスが展開されたり、クール美人に攻められたりといった攻撃的であったり倒錯的であったりなエロシチュを投入することもありますが、それらも含めて互いの性欲と感情が共有され、更に高ぶっていく流れの恋愛セックスとしてまとめていくスタイルであって、相手を強く求めるエネルギー感は各作品に共通。
 スプリット・タン(先が割れた舌)をお持ちな村又さんの場合、その舌によるフェラやキスなどのプレイが普通の人では不可能な快感を生み出す行為として描かれていますし、優しいお姉さんによるキスをしながらの密着手コキや、ご主人様系ガールによる言葉攻め&脚コキ&ねっとりフェラ、普段はからかってくる先輩を組み敷いての腋コキ&フェラなど、キャラ性やエロシチュに併せて多彩なプレイを前戯パートまたはそれに類するパートに投入し、射精シーンを標準搭載させています。
 丹念な描写で行為をねっとりと描き出し、かつ白濁液を受け止めるヒロインの熱っぽい痴態で抜きツールとして十分なカロリーを形成した前戯パートから、男女双方が収まりきらずに突入する抽挿パートは更に欲望の奔流を高めてガツガツと快楽を貪っていくパワフルな様相を呈しています。
MissMuramatasSecret4 ヒロインの年上美人な印象を保ちつつ、潤んで蕩けた瞳の表情に紅潮した頬、途切れ途切れでハートマークが付随する余裕のない台詞回し、ねっとりとした淫液の奏でる抽挿音といった十分な演出のアタックと密度に加え、絡み合う肢体の密着感や断面図・結合部見せつけ構図によるストレートな淫猥さも実用性を大きく高めています(←参照 ねっとりキス&結合部見せつけポージング 短編「蕎麦屋の春さん」より)。
ピストンしながらの密着やキス、乳首舐め等々、描写としての手数の多さを常に確保する流れを形成しており、男女双方が陶酔感を高めて突入していくフィニッシュには演出的な盛り上がりを十分に施し、タメが一気に放たれるエネルギッシュな勢いも感じさせています。

 棚ボタ的な幸福感やエロの前のめり感を有しつつ、それらと同時に男女の対等性と相互認証の誠実さや微笑ましさがある作品であって、情動が駆動するセックスとしての熱量が図られた構築と言えるでしょう。
個人的には、優しくてかつ翻弄してくる年上ヒロインとしての魅力を有しつつ、支え合うべき存在としての愛おしさも感じさせる村又さんの魅力で中編作が最愛でございます。