NTRTimeLeap 武田一義先生(原案協力:平塚柾緒氏)の『ペリリュー 楽園のゲルニカ』第8巻(白泉社)を読みました。確からしい証拠を得ても敗戦を認識することが出来ないことに関してはコラムでも触れられていましたが、写された平和故の笑顔が戦争を生き続けた故に違和感を生ずるという状況そのものにも悲しさを覚えました。吉敷と田丸が大変なことになりましたが、どうなるのでしょうか?

 さて本日は、桃之助先生の『ネトラレタイムリープ』(ジーオーティー)のへたレビューです。先生の前単行本『褐色マーメイド』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
何回も繰り返されていく寝取られ展開というハードでダークなストーリーと背徳の快楽に溺れるセックスが描かれる1冊となっています。

NTRTimeLeap1 収録作は、幼馴染の凛と恋人になり初めてのセックスをした主人公・浩太であったが、彼女が不良に襲われ快楽に蕩けた姿を晒すのを目にしてしまい、そのショックで交通事故に遭って死亡するも、不思議なアプリの力で過去に飛び、彼女を別の男達から守るべく、主人公は自死と過去への跳躍を繰り返していくのだが・・・なタイトル長編「ネトラレタイムリープ」全10話(←参照 次こそ彼女を守るために・・・ 長編第7話より)+サブヒロインの聖さんの描き下ろし番外編(13P)。
描き下ろし番外編を除き、1話当りのページ数は20~22P(平均20P強)と中の下クラスのボリューム。とは言え、長編作としてストーリーの読み応えは強く、その上でエロメインの構築での濡れ場の存在感もしっかり図られています。

【繰り返される寝取られの悲壮感とその打開への焦燥感】
 以前にも書きましたが、寝取られ作品においては寝取られる側の主人公がヒロインとの関係性を取り戻す好機を逃してしまうということが、展開の決定打として印象付けられる王道的な作劇要素になりえるのですが、本作は過去へのタイムリープというギミックによって主人公側に寝取られ展開を打破する選択肢が与えられ続けるという点は特徴的であり、このアイディア自体の面白み・新鮮さは強い魅力です。
 不良による寝取られ展開を回避すれば、それが別の男の魔の手を呼んでしまい、過去に戻って対抗策を打てば更に別の寝取られ展開を呼び込んでしまうという、何回もの“やり直し”にも関わらず、愛する彼女が別の男に汚されてしまうという終わりなく絶望感とそれでも必死にあがき続ける主人公の悲壮感が話の展開と共に高まっていきます。
寝取られる彼女の痴態の目撃と自死を繰り返し、心が荒んでいく主人公は、不思議なアプリの開発者・聖と出会い、彼女を凌辱してしまうなど、その精神の不安定化は顕著になっていき、ヒロインとの初めてのセックスだけを繰り返す選択肢すら芽生えてきます。
NTRTimeLeap2 その選択を蹴り、彼女の体さえ利用して、繰り返しの中での経験から寝取り側の男性全てを破滅に追い込み、終に彼女を独占できる状態になった主人公は、既に元の純朴な青年ではなく、また守りたかった純粋なヒロインも強く淫蕩な存在となってしまった事実に対し(←参照 自身が変えてしまったヒロインに何を思うのか 長編第10話より)、彼が最終的に如何なる結論を導き出すのは読者諸氏自身の目で確かめて頂きたいところ。
 詳細は伏せるとして、寝取られ展開としての暗さ・重さという魅力が主人公自身も染め上げてしまうというダークでアイロニカルな決着と言え、“怪物と戦う者が怪物になってしまった”という構図に仕上げているのは唸らされました。
 寝取られモノとしての王道さとそこにタイムリープという要素を加えることで王道展開をひっくり返す展開の面白さ、繰り返しの中での試行錯誤や時系列の組み立てといったタイムリープものの面白さが共に光っており、緊張感を以てラストまで読ませる長編と評したいところ。

【主人公の明確な存在感と清楚黒髪巨乳美少女の魅力】
 サブヒロインとして、アプリの開発者である研究員の女性や、ヒロインである凛ちゃんの母親が登場していますが、メインヒロインである主人公の彼女・凛ちゃんが一貫してストーリーの軸を担います。
 毎度ひどい展開で寝取られに巻き込まれる清楚で優しい凛ちゃんや強くて凛々しいアダルト美人の聖さんなど、ヒロインには明確なキャラクター性と作中での役割がありますが、時間跳躍を繰り返しながら記憶を保つ主人公の目線から話が語られることもあって、“寝取られ側”である主人公の存在感がヒロインよりも強く印象付けられます。
 また、粗暴な不良の少年、下衆な悪徳教師、歪んだ執念と独占欲を持つ伯父、邪悪さを無邪気な言動で隠すドSショタなどなど、繰り返される時間の中で寝取り側としてポピュラーな男性陣が多彩に登場するのも寝取られ系作品の王道的要素を上手く取り込んだ点ですし、ヒロインの在り方やこの悪人達の所業も、主人公を追い込み、変容させていくという役割を果たしています。
NTRTimeLeap3 ヒロイン・凛ちゃんは黒髪ロングの清楚美少女であり、ギリ巨乳クラスのおっぱいと形の良い桃尻の持ち主であって、その清楚感や綺麗さのある表情や肢体が悪い男達に汚されてしまうという背徳感を形成。しなやかなスレンダーボディに巨乳&肉感ヒップをお持ちな強気美人の聖さんや艶っぽさのあるママさんなども、女体のしなやかさや美しさと適度な肉感の押し出しにバランスが取れたタイプと言えるでしょう(←参照 悪漢達に襲われるアダルト美人の聖さん 長編第6話より)。
もじゃっとした陰毛に淫猥さを感じさせますが、その他の体パーツ描写の淫猥さは抑え気味であって、基本的にはしなやかな女体の端正な印象を阻害しないタイプの描き方。
 最先端の濃厚かつキャッチーな絵柄というよりかは、より素朴さによる親しみ易さや健康的な色気感のある絵柄であって、表紙絵と完全互換で単行本を通して安定させています。

【寝取られエロの王道要素&美しいものが変容する背徳感】
 ページ数の都合もあってたっぷり長尺という訳ではないものの、長編ストーリーを構築しながら各話におけるエロシーンの比重は十分に高く取っており、抜きツールとして適度な満足感のある水準。
 繰り返される時間の中で主人公とヒロインの恋愛セックスも描きつつ、毎回異なる男性に凌辱されて身も心も籠絡されてしまう寝取られエロをメインとしており、そこに精神が荒んでいる主人公や悪漢による聖さんへの凌辱エロも加わっており、話と同様にダーク&インモラルなエロシチュで固めています。
NTRTimeLeap4主人公への恋心や歪んだ欲望への恐怖から主人公以外の男性達との行為を拒みながらも、強烈な快楽によってその心身を蝕まれ、寝取り側の支配を受け入れる言葉を喜悦と共に口にしてしまうという寝取られ系シチュの王道的なエロ展開を踏襲しており(←参照 “浩太とのは・・・SEXじゃなかった・・・” 長編第1話より)、これを1話にまとめる分、展開としてコンパクトで展開としてやや急という感がありますが、これが毎度繰り返されていくという絶望感や無力感は寝取られ系としての相応の強みと言えるでしょう。
 主人公の変容と共に、エロシーンにおけるヒロインの変化もまた魅力であって、徐々に陶酔感を高めていき、最後まで一方的な凌辱として描くケースでも、ヒロイン自らが腰を振って嬌声を上げるような痴態に仕上げる場合でも、性表現としてのアタックを高めることと守りたい存在が守れなかったという事実の明示とが両立されています。
乱れる髪の毛や汗でじっとり濡れる柔肌など、上品な艶っぽさのある表現と共に、時に瞳の焦点を失った様な強烈な表情付けであったり、巨根が内側から下腹部を押し上げる表現であったり、濁音メインのマッシブな擬音であったりとアタックの強い演出も組み込んでおり、ハードさを有しつつ過剰さは排した塩梅にまとめています。
 基本的に抽挿パートの尺を重視する構成であり、前戯シーンにおけるヒロインのアクメなどを含めて1~2回戦の展開の中で抜き所を複数用意しつつ、ビクビクと反応しながら内も外も白濁液を浴びるヒロインの痴態を1Pフルでお届けなフィニッシュに向けて十分なタメも形成しています。

 寝取られとタイムリープを組み合わせるという発想の勝利であり、そのアイディアだけに留まらぬストーリーの重厚さ、エロの十分な存在感で読み応えのあるエロ漫画に仕上げています。
アプリの機構など細部には?という部分も残りますが、最後までぐいぐい牽引される読み口が良かったですね。