DedicatedVehicleForFemaleMolesters あけましておめでとうございます。当ブログ管理人のへどばんです。今年は年末年始がドタバタしており、4日ほど更新をお休みさせて頂きておりましたが、本日より2020の更新を始めます。今年も、多くの作品の魅力を掘り下げられるようなレビューを書けるように精進して参ります。5日程レビューを書かないだけで、筆や思考の進みが悪くなっている気がするんですよね・・・。

 さて本日は、史鬼匠人先生の『TR逆痴漢専用車両』(ティーアイネット)のへたレビューです。先生の前単行本『桜宮姉妹のネトラレ記録』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
美しさと淫猥さが同居する女体の美少女&美女との快楽に溺れる倒錯のストーリー&エロスが詰まった作品集となっています。

DedicatedVehicleForFemaleMolesters1 収録作は、通勤電車内でストレス発散のために女性を盗撮していた男性は、逆に自身が盗撮をしていることを盗撮され、そのことをネタに被害者や情報を共有した女性達によって性的な玩具とされ、その生活を侵犯されていくことになるのだが・・・なタイトル中編シリーズ「逆痴漢専用電車」全3話(←参照 自身が盗撮と性的搾取の被害者へと転じる時 同シリーズ第1話より)、および読み切り形式の短編2作。
収録本数こそ多くないものの、1話・作当りのページ数は20~46P(平均36P強)と幅は有りつつ平均値は標準を優に上回る水準。中編シリーズもオムニバス形式ということもあって、ストーリー性自体は控えめではありますが、ボリューム感の強いエロシーンにおける展開と合わさって読み応えのある作品が揃っていると感じます。

【身勝手な欲望がすれ違っていく中で生じる倒錯の快楽】
 仕事ばかりの人生に疲れたおじさんとJKガールの出会いを描く短編「ナマイキJK温泉旅行」を雰囲気としてやや例外にしつつ、前単行本に引き続き、ダーク&インモラルな雰囲気を有した作劇でまとめた作品がメイン。
DedicatedVehicleForFemaleMolesters2男性を集団で痴漢し、情報を共有し、自分たちの快楽と要求を満たす場を作り出していくネット上の女性達の集団を描く中編シリーズ「逆痴漢専用電車」であったり、社会からドロップアウトしてしまった兄を世話し、独占する喜びのために彼を社会から隔絶させようとする妹を描く短編「嘘」であったりと(←参照 愛する兄への言葉“もっと惨めになって” 同短編より)、女性側が主導性を以て男性を支配するシチュエーションが多いのは確かでしょう。
一方で、アイドルを目指す少女と彼女を応援して自身もアイドルとなる少女の百合的な関係性を描きつつ、人気のための過激なファンサービスや枕営業に二人で身を投じていく中編シリーズ第3話は、女性キャラクター側が男性の欲望に晒され、その心身を支配されていく展開を有した作品と言えます。
 主導権がいずれにあるかにせよ、これらの作品に共通するのは、単なる肉体への侵犯以上に、他者に自分の人生を侵犯される被害者の恐怖、また他者に対して好き買ったに踏み込んでいく欲望の歪みであって、性的な快感の介在を描きつつ、それらの欲望としての倒錯性が作劇に織り込まれていると言えるでしょう。
 性犯罪の男性加害者が、女性達に性的に好き勝手にされ、その情報を勝手に流布・共有され、心無い一方的な言葉を投げかけられる被害者へと逆転する中編シリーズ第1話や、アイドルを目指す少女達の向上心が歪な形で利用され、歪な結実を示す中編シリーズ第0話は、ネット上のつながりであったり現代アイドルの活動であったりと現実的な要素を備えている分、性的な欲望や視線が時として持つ身勝手さや、それ故の被害者にとっての恐怖や逸脱感を描き出すことにつながっているとも感じます。
 退屈な日常に疲れた二人が性的な解放感を共有し、緩やかな絆を形成して日常を生きる力を取り戻す短編「ナマイキJK温泉旅行」に対し、その他の作品は男女の欲望の向かう先が合わさることなく、強烈な快楽だけがやりとりされる行為から必然的にビターなラストへと収束していきます。

【端正な美しさと濡れた粘膜の淫猥さが同居する女体描写】
 一人ヒロイン制である短編2作に対し、中編シリーズでは多数の女性キャラクターが登場しています。シリーズ第0話のアイドルを目指しているヒロイン二人や短編作の二人を含めてJK美少女さんを人数的な主力としつつ、20歳前後~30代前半程度まで幅広くアダルト美人も加わる陣容。
 年上のおじさんを翻弄する生意気&奔放な女の子(短編「ナマイキJK温泉旅行」)、引きこもり状態で精神的に弱っていく兄を独占する歪んだ愛情を注ぐ妹(短編「嘘」)、アイドルを目指すためという目的が変質していく二人の少女など(中編シリーズ第0話)、個々のキャラクター性が重視されるタイプのヒロインもいますが中編シリーズの第1話・第2話のように不特定多数の女性によって性的に支配されるという構図が重要なケースもあります。
 なお、作品によって男性キャラのタイプは様々であって、女性に支配され搾られる被虐の快感に支配されていく社会人男性やエッチなお姉さん達に搾られ続けるショタ系少年、気が弱そうな眼鏡男性、日々の退屈から抜け出して温泉宿に出かけた普通のおじさんなどが登場しており、いずれもヒロイン側との立場や性格の対照性が目立つ印象があります。
DedicatedVehicleForFemaleMolesters3 柔肉たっぷりの美巨乳の持ち主も存在しますが、どちらかと言えば並乳クラスですらりとスレンダーな印象の女体が揃っている印象。このしなやかボディの端正さやさらさらとした髪の毛の美しさなどに対し、濡れて艶っぽさを増していく柔肌の表現や各種淫液の絡まり合う舌や唇、乳首や秘所といった粘膜表現の淫猥さに濃厚感があるのが特色(←参照 絡まり合う舌をアップで 中編シリーズ第0話より)。
また、これらの体パーツ描写の淫猥さに加え、濡れた靴下や下着といった着衣関連の描写にも細やかさというか執拗さを感じさせることもしばしばあります。
 初出時期に最大で3年程度の差があることもあって、描線の濃淡や肌の質感の表現などには作品間で印象の差異があることには一定の留意が必要です。とは言え、メインの中編シリーズは表紙絵と完全互換で安定しています。

【倒錯のエロシチュを濃厚な絵柄と技巧的な画面構成でお届け】
 各エピソードのページ数に幅があることに加え、エロシーンをほとんど途切れさせることなく行為に熱中していく流れをたっぷり描く構成もあれば、複数のエロシチュをザッピングさせつつ大乱交に統合していく構成や、性的行為のエスカレートを段階を踏んでじっくり描いていく構成などもあって、エロシーンのボリューム感は様々という印象。
DedicatedVehicleForFemaleMolesters4 中編シリーズは、女性による男性に対する痴漢行為を主軸としつつ(←参照 車内でお姉さん達に童貞を奪われてしまう少年二人 中編シリーズ第2話より)、鉄道警備隊の女性がその乱交エロに巻き込まれてしまったり、はたまた地下アイドルの女の子達が支援者のための撮影やおさわりなどの性的サービスを電車内で行ったりと、痴漢エロそのものとは異なる趣向を含むケースもしばしばあります。
また、痴漢や露出、(主に男性にとっての)被虐といった要素を軸とする中編シリーズに対し、合意の上とはいえ露出セックスや目隠し拘束プレイ、首絞めプレイなどのハードな行為も実践する中編「ナマイキJK温泉旅行」、兄と妹の爛れた近親セックスであり、妹側の偏愛が危うさを強める短編「嘘」など、短編群でも倒錯性やインモラルな印象が重視されたエロシチュであることは共通。
 艶っぽい唇が唾液塗れの怒張を這う描写、ズボンの上からち○こをまさぐり手コキで射精に導く描写、はたまた濡れた靴下での脚コキに丁寧に描かれたパンツを別アングルでも見せながらの愛撫等々、各種体パーツ描写や着衣描写の官能性が明瞭にアピールされる前戯の質的な存在感は強く仕上げられています。
シチュエーションの関係上、このプレイの間にヒロインによる言葉攻めや一方的な感想が紡がれるケースが多く、これは抽挿パートでも共通していて、男女の“余裕”の明瞭な差を示し、かつ彼女達に快楽で圧倒される構図に“逆転”がほぼ発生しないことも特色。
 絵としての濃厚さや淫猥さはありつつ、演出のアタックとしては比較的抑え目。四角いコマをシンプルに投入しているようで、上下の描写の連続性や複数アングルの組み合わせを連続させていく画面構成、淫猥な結合部描写の積み重ねがあると思えばストレートに2P見開きの大ゴマを用いる等、描写の緩急も含めて演出密度を補う様な技巧的なコマの使い方も特色です。

 女性にエッチなことをされるウハウハ感ではなく、理不尽な性的欲望とそれを持つ集団の理不尽さに心身を蹂躙され、変容させられるという痴漢犯罪の卑劣さが男性側が被害者になるという状況で表現されると共に、一方でその変容がヘビィである分、伴われる倒錯の快楽の強烈さも印象付けられるという異色の作品。
個人的には、アイドルに憧れる女の子と彼女を応援したい女の子が、グループのためにがんがる気持ちを利用され、快楽の中で自分を見失っていく中編「逆痴漢専用電車」第0話がお気に入りでございます。