FirstThings 林ふみの先生の『異世界ちゃんこ』第3巻(竹書房)を読みました。管理人も親子丼好きなのですが、鶏肉を炙ってからの親子丼、美味しそうでしたねぇ。疑似米はクスクスみたいな感じなんでしょうね。
エリーセ達の長女であるコルネリアさんが登場しましたが、大関の苦労は更に増えそうな気もします。


  さて本日は、牛野缶詰先生の初単行本『いろはにほへと』(コアマガジン)のへたレビューです。耽美な趣のある絵で目を惹く表紙と感じます。
繊細で瀟洒な絵柄で描かれる多彩な美少女ヒロインと彼女達が美しく熱っぽく乱れるエロ模様が詰まった作品集となっています。

  収録作はいずれも読み切り形式の短編11作+全作品のヒロインが集合してのパジャマパーティーな描き下ろしおまけ漫画(8P)。
1作当りのページ数は16~24P(平均20P弱)と中の下クラスのボリュームで推移。ストーリー性そのものが強い訳ではないものの、魅力的な絵作りによる雰囲気の表現力がある分、一定の読み応えを生んでおり、またエロシーンの満腹感も程好く強く図られています。

【奥行きのあるキャラメイクと雰囲気の良さが魅力の作劇】
  作劇の方向性は多彩であり、思春期ボーイ&ガールの青春ラブ模様もあれば(短編「惚れたら負け」)、幼さを残す少女の魅力に囚われる倒錯性もある恋模様(短編「サラセニア」)、雪の降り止まない世界で交わる男女(短編「あさって」)、はたまた無人島に流れ着いた男性と神様美少女との出会いというファンタジー作品(短編「蛙の恩返し」)などもあって、それぞれ異なる雰囲気となっています。
FirstThings1  基本的にはヒロイン側がセックスへと導く流れが多いものの、ラブコメ的な棚ボタ感を基調とする作品は少なく、時にミステリアスに、時にピュアな勇気と恋心を以て、時に妖しく倒錯的にと、様々な様相を呈するヒロインの性愛に関する積極性が作劇の軸を形成していると評し得るでしょう(←参照 ミステリアスな外国人美少女の誘惑 短編「Sacrifice」より)。
共に容姿のせいで周囲から忌まれてきた新婚夫婦、降りやまない雪に閉ざされていく世界、“桃娘”の故事にならってか果実のみを食べ続け、教師との関係を続けるヒロインの胸中、交わった男性が次々と疾走していく浮世離れした美しさの少女などなど、舞台設定やキャラクターの背景に関して詳しく説明はしないものの、それで作劇の面白みが減衰することはなく、むしろ不明瞭な部分に読み手の想像を呼び込むことが魅力のスタイル。
また、そういった不思議な要素を盛り込みつつも、設定を大上段に構えたタイプでは全くなく、ラブエロ系を中心に印象的なシーンでの台詞回しもヒロインの等身大の気持ちがナチュラルに表現されるスタイルであることも、読み口の良さにつながっています。
 妖しい余韻を残す作品も存在しますが(短編「Morpho」「Sacrifice」)、ラブエロ系を中心としてハッピーエンドと言えるまとめ方が揃っており、登場人物達の性愛関係が幸福に持続されることを示して読後感を良好なものに仕上げています。

【多彩なキャラデザインの美しい少女達】
  外見上はミドルティーン級にも見える美少女さんも数名存在し、また年齢不詳なタイプの人外ヒロインも登場しますが、概ね女子校生~女子大生クラスと思しきヒロインが主力。
  男性教師に従順な教え子、長身地味系なバレー美少女、気弱そうながら男性の心を絡め取ってくるエロエロガール、優しく快活な褐色肌女神様、アルビノと思しき新妻さん、嫉妬深い男性に甲斐甲斐しく尽くす系幼な妻、素直になれないことにもどかしさを感じる日舞を習う京都弁お嬢様などなど、ヒロインの設定は多彩です。
設定の多彩さもあってキャラデザの多様性も特色であり、地味系ガールに華やかなギャル系ガール、清楚な和服美少女に涼やかな美しさのある外国人美少女、高身長&ショートヘアのスポーツ美少女などが登場。また、それぞれの設定に合せた各種衣装の描き込みも丁寧です。
FirstThings2  短編「ハートトリートメント」の健康ムチムチボディな女性や、短編「Morpho」のスレンダー巨乳女子大生など、柔らか弾力のバスト&ヒップに存在感を持たせたタイプと、低身長&控えめサイズのおっぱいを組み合わせた華奢ボディが概ね半々という印象で(←参照 後者のタイプ 短編「サラセニア」より)、伸長高めで貧~並乳クラスのスレンダー感を強調した中間的なタイプも登場しています。
なお、華奢ボディのヒロインに対して筋骨隆々な旦那さん、豊満ボディのヒロインに対して華奢さも感じる青年キャラなど、組み合わせとして対比的なものも含めて男性のキャラデザインも多彩。イケおじ系も含めてイケメン的な要素のある男性キャラが多いですが、男性読者の抵抗感を生むタイプではあまり無く、絵柄との親和性が高い分、ヒロインと共に作品の雰囲気の形成に寄与していると感じます。
FirstThings3  唇や髪の毛の細やかな描き込むや、前述した丁寧な衣装描写など繊細な筆致が魅力の絵柄は、単に描き込み密度を上げるスタイルではなく、描写密度の緩急や描写の動静が意識されることで印象的なシーンメイクが為されるタイプと感じます(←参照 静けさの中、相手の鼓動が聞こえる 短編「あさって」より)。初単行本ということもあって、タッチには多少の変遷を感じますが、それがネックとなることはなく、いずれも質の高さを感じさせる描画となっています。

【ヒロインの美しさを保ちつつ適度な濃厚感を打ち出す和姦エロ】
  旧コンビニ誌基準として標準的なボリューム感を有するエロシーンであり、抜きツールとしての適度な満腹感を有していますが、エロシーンの前段階の性的な描写や前戯パートを比較的じっくりと構築していく分、長尺の抽挿パートを期待するのはやや避けるべきではあります。
  ラブエロ系を中心として和姦エロで統一されつつ、男性の嫉妬心や欲望が暴走してヒロインを圧倒するやや嗜虐的なエロシチュもあれば、年下ヒロインの蠱惑的な魅力に没入したり、男性にとって被虐的なプレイがあったりと作品によって味付けを少しずつ変えていますし、そのことが作品全体の雰囲気とも関連しています。
美しい顔の唇や優美な指が怒張に触れる口淫描写や、陰毛標準搭載な股間の秘所を丁寧に愛撫される描写など、ヒロインの美しさと体パート描写の淫猥さが絶妙な塩梅で同居することでプレイ内容の官能性を大きく押し上げているのは前戯パート・抽挿パートの双方に共通する美点。
FirstThings4  演出面では適度なアタックを有しつつ、ヒロインの地の美しさを明確に保つスタイル。熱っぽく紅潮した頬と潤む瞳の官能的な表情付けに、思わず漏れ出る嬌声、男性側の劣情を掻き立てる蕩けた台詞回しなどのベーシックかつ丁寧な演出によって快感に包まれるヒロインの痴態を表現しています(←参照 短編「Morpho」より)。
前述したイケメン男性達の体躯や表情についてもエロシーンにおいて一定の存在感があり、この点は好みを分けやすい要素ではありますが、肌の密着感や行為に没入する力強さに寄与。
  フィニッシュまでのタメには多少欠けることもあるものの、体を駆け抜けるアクメの感覚に瞳をキュッと閉じ、涙を流しながら喜悦の声を上げるヒロインの官能的な絶頂痴態を大ゴマでお届けな中出しフィニッシュ(一部ゴム付き)となっており、程好い濃厚感を打ち出しています。

  表現力の高さとヒロインの多彩な美しさがある絵柄の魅力が明確な強みであり、作劇としてもそれを存分に活かしたスタイルと感じます。
個人的には、妖しくも美しい外国人美少女とのエッチとミステリアスな雰囲気が魅力な短編「Sacrifice」が特にお気に入りでございます。