
さて本日は、井上よしひさ先生の『くノ一淫縛大戦』(ヒット出版社)のへたレビューです。先生の(成年向け)前々単行本『制服JK』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
凛々しいくノ一美少女達を襲うハードな拘束凌辱系拷問の数々と被虐の快感に悶絶する痴態が詰まった1冊となっています。

1話・作当りのページ数は16~32P(平均25P強)と幅は有りつつ平均値として中の上クラスのボリューム。長編作として相応の読み応えがある作劇と、プレイ内容の過激さ・特殊性なども含めて存在感の強いエロシーンとが組み合わされた構築となっています。
【王道要素を含みつつ賑やかで壮大な長編くノ一もの】
共に特殊な術を操る忍集団・エスピオンと裏威派が戦いを続ける異世界を舞台とする長編作は、この作家さんお得意のくノ一拘束凌辱エロでありつつ、そのサブジャンルとしては初めての長編作であり、また全体的にシリアス色が強いことも新たな試みを感じるところ。
裏威派との激しい戦いの中で、「前世」における主人公とメインヒロインの関係が次第に明かされていき、異なる世界を跨ぐ思惑が描かれるなど、バトルものとしてのシリアスさと設定としての壮大さは大きな魅力。
とは言え、ドラマとしての分かり易さや展開としての盛り上がりが明瞭に示されているとは個人的には感じにくく、むしろ緊縛・拷問シチュエーションをスムーズに投入する展開をバラエティ豊かに織り込んでいることの方が作品の魅力とも感じます。

前述したコミカルな要素に加え、凄惨な戦いが繰り広げられつつ、最終的な大団円にまとめられることもあって、シリアスさを打ち出しつつ、読み口が過剰に重くならない様に仕上げられているとも言えるでしょう。
落盤事故に巻き込まれて強制ドッキング状態になった少年少女が互いの恋心を打ち明け、人生最後になるかもしれないセックスへ~というトンデモ導入を有する短編「せいかんトンネル」も含め、展開やシチュエーションの意外性で読み手を強く牽引してくるスタイルとも総括できるでしょう。
【多彩なキャラデザ・肢体造形の美少女ヒロインズ】
長編作では、メインヒロイン・陽葵を含むエスピオンのくノ一4名(一人は男の娘だ!)、とある目的でやはり裏威派の策謀を探るイングリッシュ忍者コンビ、裏威派のNo.2である覆面のくノ一に裏切りのくの一などに加え、モブキャラ的なくノ一も加わって、多数の女性キャラクターが登場。
キュートフェイスながら実は少年な男の娘くノ一や、金髪美少女のイングリッシュくノ一、凛々しい眼帯くノ一、怪しげな宣教師風衣装やモノクルをデザインに組み込んだマッドサイエンティスト系くノ一、文系メガネ美少女くノ一、短パン装備のボーイッシュくノ一などなど、異世界ということもあって、いい意味で何でもアリ感のキャラ設定が楽しく感じます。
多数のヒロインが登場することもあって、貧乳なちんまりロリ系ボディの持ち主も複数名いれば、豊満さのあるアダルトボディも登場しつつ、メインヒロインを含めて健康的な肉感のある巨乳ボディが主力ではあります。

比較的複雑な衣装なども含めて描き込みの密度は高く、それでいてクドさは感じさせない作画の安定感は強固であり、漫画チックな親しみ易さと程好い色気感を保つことで、ハードなプレイとそれによる痴態描写にインパクトが生じていると感じます。
【緊縛・拘束凌辱メインで苦痛と快楽の入り混じる悶絶痴態】
シナリオパートに長めに尺を取るエピソードもありつつ、各話に十分なページ数があることもあって濡れ場の量的な満腹感は強く仕上がっています。
量的なボリューム感に加え、可憐な美少女ヒロインが緊縛されてエロ拷問を受けるという構図であったり、リョナ的な要素を含む過激なプレイがあったりと(長編第6話)、視覚的にインパクトが強い描写が多いこともあって質的な満腹感もあります。

ヒロインの苦悶や悶絶なども描きつつ、自身やパートナーが酷い凌辱・エロ拷問を受けているという被虐や悔しさ、苦痛などが快感になってしまうという描き方は概ね一貫しており、くノ一凌辱というエロ描写としての攻撃性を高く有しつつも、破滅感などは抑えた雰囲気作りと言えるでしょう。
苦痛と恥辱を感じながらも蕩けていく表情付けや漏れ出る苦悶と嬌声、剛直が前後の穴の奥まで挿入される結合部見せつけ構図に断面図など、アタックの強いエロ演出を密度として緩急を付けながら施して、ヒロインの悶絶&快感を描写。
挿入器具からの薬液注入フィニッシュといった例外もあり、またフィニッシュシーンをエロシーンの最後に持ってこないケースもありますが、いずれにしても緊縛状態のヒロインに中出しして強烈なアクメを迎える様を大ゴマ~1Pフルで投入してハイカロリーな抜き所に仕上げています。
シリアスさとコミカルさが同居し、漫画チックな楽しさとストーリーの壮大さがある長編は、ストーリーを追う上で個人的にはやや理解しにくい面もあって多少のネックではあるのですが、作中の各種ネタやエロシチュ等に作家さんらしさが多彩に感じられるのは大きな魅力と言えます。
個人的には、表紙絵にも登場の強気眼帯美少女くノ一の月翳さんが特にお気に入りでございます。