Nasty 柳本光晴先生の『響 小説家になる方法』第12巻(小学館)を読みました。『お伽の庭』のコミカライズに関する一大騒動、関わっている人物それぞれが熱意を以て行動する故に拗れに拗れるという展開が見事で、花井の響に対する過剰とも思える信頼が危うさでありながら、それを叶えてしまう響という存在の特異性もものすごいと感じる展開でした。あと、タカヤ君が元気でほっこりしました。

  さて本日は、Cuvie先生の『NASTY』(スコラマガジン)の遅延へたレビューです。先生の(成年向け)前単行本『LYRICALLY』(富士美出版)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
インモラル系を含めて多彩な性愛の在り方とヒロイン達の美しく熱っぽい痴態を彼ら彼女らの日常の中で描き出す作品集となっています。

  収録作はいずれも読み切り形式の短編で8作。1作当りのページ数はいずれも26Pと中の上クラスのボリュームで推移。短編作ながら適度に読ませる作りであり、量的にも質的にも程好い満腹感のある濡れ場を提供しています。

【多彩な性愛の形が表出されるシナリオワーク】
  作劇の引き出しの多い作家さんであり、今単行本も初々しさを感じさせる思春期ラブエロ系から棚ボタ的なエロ展開、アモラルな不倫セックスものと作劇の方向性は多彩
全般的にヒロイン側が性愛に関して積極的なことが多く、ヒロイン側が状況に流されるタイプの展開においても、秘めていた情欲が発揮され、ヒロイン側が事態を進展させていく形式になっており、高まっていく登場人物達の快楽が行為を更に押し進めていく流れを形成しています。
Nasty1  この流れにおいてラブエロ系であれば魅力的なヒロインにリードされたり求められたりな幸福感を生んでいますし(←参照 家族の様な存在の幼馴染のお姉ちゃんとの間に共に異性を見出して 短編「ぬきうち」より)、不倫や特殊なプレイなどのアモラルなエロシチュでは強烈な性的快楽に夢中になっていく熱気を打ち出していきます
また、この展開故に男性側にとって棚ボタ的な状態を序盤で描出していますが、登場人物達の欲望やセックスに対するモチベーションが葛藤や羞恥を超越して性行為に至る流れをある程度丁寧に追わせているのも特徴であって、ストーリー性を高めるというよりかはエロシチュエーションの明確化・雰囲気作りに大きく貢献している美点。
  モテモテ男子である主人公が自分の彼女を度々“寝取ってしまう”姉への複雑な感情が絡まる短編「サキュバスとインキュバス」、交際している相手とのデキ婚を望んでその相手への恨みを有する弟とセックスすることになる短編「只の器」など、特殊な関係性も含め、インモラルな要素を含んでいても作品全体の雰囲気は比較的軽く穏やかであることは共通しています。
強烈な性的快感を描き出しつつ、それ自体で登場人物の日常にドラスティックな変化はもたらされないのが作劇としての特徴であり、それでいて性愛の充実の幸福感や更なる欲望の疼きなどを時に明るく軽やかに、時にじわっと淫靡に描き出すまとめ方も巧さと評し得るでしょう。

【健康的な色気感のあるキャラデザイン】
  女子校生級の美少女ヒロインを主力としつつ、女子大生~20代後半クラスの綺麗なお姉さんタイプも数名加わる陣容であり、キャラデザインに華やかさを持たせるケースもありつつ、健康的なお色気感があるキャラメイクが主流。
Nasty2  年上男性に熱烈アタックを仕掛ける小悪魔系ガール、弟的な存在である主人公が発言した性欲を優しく進んで受け止めるお姉ちゃんキャラ、くすぶっていた性的欲求に火が着いて更なる不貞の快楽を求めていく人妻さん(←参照 フェラで髪を掻き上げる指に光る指輪!王道!! 短編「ひみつ、ふたつ」より)、母子プレイにノリノリ状態になる母性的で面倒見の良い年下彼女さんなどなど、多彩なキャラ設定でそれぞれの性愛のモチベーションやのめり込み方が作劇の骨組みを形成しているのは前述の通りです。
短編「ひみつ、ふたつ」に登場する目の表情を描かない竿役男性はあくまでヒロインの情欲を引き出すための装置として表現されていますが、ヒロイン主導の展開でありつつも男性の心情描写にも相応の比重を置いており、やや特殊な性癖を有する男性の葛藤や興奮の在り方(短編「a part of you」)、兄に性的に仕込まれた女性に対する一種の略奪の興奮(短編「只の器」)、幼馴染への女性に対する強い感情と性欲(短編「ぬきうち」)等、ヒロイン同様に性愛に対する動機づけや欲望の奔流が表現されています。
Nasty3  ヒロイン陣のボディデザインについては概ね統一されており、骨格の存在を感じさせる肉付き弱め~健康的な肉付きの体幹に、程好いサイズ感の並~ギリ巨乳&形の良いヒップ、控えめな濃さの陰毛が茂る股間を組み合わせた女体は、リアル寄りの印象と端正な美しさを同居させるタイプ(←参照 短編「Don’t preach!!」より)。
 ベテラン作家らしく絵柄は安定しており、前述した健康的な色気感や女性の美しさを表現しつつ、エロシーンでの熱っぽく蕩けた表情やエロティックな仕草とのギャップというよりかは、両者が無理なく混在することでの人物の多面性みたいなものを引き出しているようにも感じます。

【熱っぽい痴態描写と淫猥な液汁描写の組み合わせ】
  前述した様にエロシーンへの導入を比較的丁寧に行うスタイルですが、ページ数の多さもあって濡れ場には十分な尺があり、シチュエーションや雰囲気の変化をエロ展開に織り込んだ上での複数ラウンド制を取っています。
  彼女とのセックス中にナチュラルにセックス好き&テクニシャンな姉が乱入しての3Pセックス、兄貴の彼女に要請されての孕ませ不倫セックス、相手の“成分”を自分に取り込むことに興奮を覚える少年が相手を舐めながらのセックスにヒロインの母性が炸裂するお仕置き母子プレイなどなど、アブノーマル系の要素が絡むことが多いながら、それらも含めて登場人物達の願望や性欲が開示されて求めあう和姦エロであることは共通。
 体パーツ描写そのものに強い淫猥さがあるタイプではないものの、どろりとした淫液や柔肌を濡らす汗なども含めて、女体の各種淫液の組み合わせに適度に生々しい煽情性があるのが特色で、舌を絡めあうキスやグチュグチュと水音を奏でるねっとりフェラ、男女双方の乳首舐めや愛液が零れだす秘所への愛撫といった前戯パートでの描写の実用性の基礎に直結。
Nasty4  この液汁描写の淫猥さは抽挿パートにおいてもアタックの強い擬音をちりばめながら、汁気たっぷりの結合部を見せ付ける構図で強い効果を発揮していますし、美しさを保ちつつも熱っぽく蕩ける表情付けや思わず漏れ出る嬌声などと合わさって、適度な濃厚感を痴態描写に付与することにつながっています(←参照 短編「只の器」より)。
四角コマを連続させる比較的シンプルなコマ割りを基本としつつ、肢体全体の描写とここぞの表情アップの組み合わせ、敢えて表情を出さずに台詞と腰の動きだけで体の動きを表現したり、宙に浮く足先にフォーカスさせたりな技巧的なコマなど、見やすさを保ちつつ要点を的確に押さえ、かつ表現力のある画面にしているのは流石の上手さ。
  男性の肢体の存在感が相応に強く、密着することで更に快感を求めていく前のめり感やラブエロ系としての甘味を形成しているのも特徴的です。ややあっさり描写な断面図にエロさを個人的には感じにくいものの、アクメ感覚にビクビクと肢体を反応させて絶叫するヒロインの痴態を大ゴマで投入する中出しフィニッシュ(一部にゴム付きセックス・外出しフィニッシュあり)まで、パワフルなピストン描写のタメを積み重ねています。

  シナリオ・エロ共にこの作家さんらしい技巧の光る作品揃いであり、インパクトのある作品を読みたい諸氏には両面で物足りなさはあるものの、多様な読み口を幅広い層が楽しめる形で提供してくれる1冊と言えるでしょう。
個人的には、幼馴染のお姉ちゃんへの欲望が溢れだしてしまうもお姉さんは優しく明るくそれを受け入れて~な短編「ぬきうち」が最愛でございます。