SensualDays 『アズールレーンコミックアンソロジー』vol.7(一迅社)を読みました。レフトハンド先生の鉄血軍団ドタバタ模様、今回はドイッチュラントのポンコツ的な可愛さという意外?な面が見れて楽しかったですね。あと、晴瀬ひろき先生のクリーブランド姉貴のコスプレ変化もとってもキュートでした。アニメ化も楽しみですねぇ。

  さて本日は、ヤマダユウヤ先生の『官能びより』(文苑堂)のへたレビューです。先生の前単行本(初単行本)『溺れる白昼夢』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
日常の中に程好く甘い幸福感が漂うラブストーリー&上品な色気感のあるエロシーンとが楽しめる作品集となっています。

SensualDays1  収録作は、官能小説家である叔父のネタ探しのために、羞恥プレイやセックスなどで協力している姪っ子であるが体を重ねるうちに・・・という関係を男女双方からの視点で描くタイトル連作「官能日和」前後編(←参照 ノーパンで一日を過ごしてきて・・・ 同連作前編より)、および読み切り形式の短編7作。
1話・作当りのページ数は16~24P(平均21P強)と標準的なボリュームで推移。ストーリー性自体は強くないものの適度に存在感のある作劇であって、穏やかさのあるエロ描写を十分量提供する濡れ場と合わせて、程好さが魅力の読み口となっています。

【日常の中でのちょっとしたドラマと幸福感】
  少し変態チックなプレイもする連作や男性教師と教え子という禁断の関係を描く短編「私の先生」といった作品も存在しつつ、それらの作品でもインモラル系としての倒錯性や非日常感を追求するのではなく、日常の穏やかさの中で恋愛感情や性欲が滲み出てくる様子を描く作品が揃っています。
  意中の女性とお酒を飲むことになってドキドキしてしまう展開や(短編「秘蜜の関係」)、ラブホテルの前で再開した男女の話(短編「路地裏のアリス」)、彼女さんが彼氏の部屋の煙草臭さに文句を言いながらそのまま部屋でセックスをするお話(短編「煙草と珈琲」)など現実世界の何処かで起きていても不思議ではない設定や展開が多いことは特徴の一つ。
  エロゲーを作成中に協力してくれていた後輩ガールにエッチな誘惑をされたり(短編「猫耳Romance」)、官能小説の愛好家同士でエッチに興味津々なヒロインに目隠しクンニプレイをお願いされたりと(短編「あんなこと」)など、いかにも棚ボタ的な展開を投入する作品もありつつ、コメディ的な勢いで押し通すのではなく、男女関係の近接していく流れの一形態として無理なく描き出している印象があります。
SensualDays2  最初から恋愛関係が形成されていることもあれば、セックスも含めて関係を深めていくことで自覚していく流れもありますが、いずれにしてもシンプルな好意とその確認が登場人物達のモチベーションであって、それが分かり易く発揮され、また相互に認証される流れに心地よさや幸福感がある作劇と言えるでしょう(←参照 “私のこと”を好きだから 短編「秘蜜の関係」より)。
この展開において、ドラマチックな台詞回しや甘味たっぷりの雰囲気作りなどはほとんどせず、上品で穏やかさを保った中で若人たちの性愛の瑞々しさ、いい意味でのシンプルでストレートな在り方を表現しているのが最たる魅力であると同時に、話のインパクトやドラマ性には基本的に欠けるスタイルであるため、好みは分かれるタイプとも言えるでしょう。
  登場人物の恋心や願いが充足されるハッピーエンドを基本としており、大きなドラマは生じないものの、ゆったりとフェードアウトしていく流れに心地よさがある〆であって、読後感の穏やかさも含めて作劇の魅力と感じます。

【肉感控えめボディの清楚系美人ヒロインズ】
  概ね女子大生クラスと思しき女の子がヒロイン陣の主力であり、そこに3名程のJKヒロインが加わる陣容。男性キャラクターは年下系から年の離れたおじさんまで様々ですが、同世代の男性がメインとなっています。
  大胆に迫ってくる教え子ガールにサバサバとした印象の彼女さん、先輩をからかう硬派ちゃんなど、キャッチーな要素をある程度含ませたキャラ造形にすることもありますが、分かり易い属性付けはほとんどせず、最愛の熱情を発揮させつつも穏やかにヒロインの心情やリアクションを引き出してくるスタイルとなっています。
SensualDays3 さらさらとした黒髪を持つ女性キャラクターが多いことや、絵柄や肢体設計の性質もあって、清楚感のあるキャラデザインが揃っている印象があり、エロシーンでもその印象を保ちつつ上品な色香と熱気をまとっていくという変化がヒロインのキャラ描写上の魅力の一つ(←参照 短編「年の差熱情」より)。
並乳クラスをメインに貧乳~控えめ巨乳のバストとパイパン仕様から比較的濃いめまで幅のある陰毛が生えた股間とを、柔らかい肌に包まれたスレンダー寄りの体幹に組み合わせた現実味のあるボディデザインが揃っており、マッスたっぷりのバスト&ヒップのエロさをお求めの諸氏には不向きではありますが、上品な官能性をはありますし、何より作劇の方向性とよくマッチしているのがポイント
  作画密度が低い訳では全くないものの、絵としての濃さを感じさせず軽やかな印象のある絵柄は、適度に洒落た印象も含んだ創作系寄りのタイプで華やかさにはやや欠けつつも端正な美しさを感じさせますし、表紙と完全互換で単行本を通して強い統一感があるのも加点材料となっています。

【抑えた演出でじっくりと積み上げるセックスの熱気と高揚】
  話の流れ全体で恋のドキドキ感や恋愛感情や性欲が叶えられる幸福感を形成しており、その中でエロシーンをスムーズに投入しているため、穏やかな雰囲気の作風でありつつ濡れ場の占める割合は高め。
  羞恥系のプレイがあったり、ソフトな緊縛でのエッチがあったり、場の流れで猫耳コスプレをしたりと、エロシチュに一定の倒錯性があったり見た目のアクセントを付けたりしつつ、あくまで好き合う男女が素直に相手を求める様相を描き出す和姦エロであり、恋愛セックスへと収束していく流れ
SensualDays4後述する様にエロ描写としてのアタックの強さや陶酔感の濃厚さを打ち出すスタイルではないものの、好き合う相手と繋がれた幸福感や充足感で双方が性行為に夢中になり、肉体的な快感を精神的な快感が噛み合っている様子がエロシーンの高揚感やポジティブさに直結しています(←参照 生意気系後輩ちゃんの熱っぽい痴態が 短編「猫耳Romance」より)。
  フェラやクンニ、シックスナインに互いの性器へのさわり合いなど、男女とも相手の秘所を気持ち良くするという行為に重点を置いたプレイが充実しており、演出としては抑え目であっても徐々に快感を高め、潮吹きや口内射精など何らかの性的絶頂を示す描写を投入して量的に十分な前戯パートでの抜き所としています。
瞳を潤ませ頬を紅潮させ、それでいて落ち着いた印象を損なわない官能フェイスに漏れ出るハートマーク付きの喘ぎ声、相応にストレートな威力のある結合部アップ構図を用いつつ断面図や透過図は用いない抽挿描写など演出的には抑制を強く効かせたスタイルが特色で、即効性の高いハードコアなエロをお求めな諸氏は要留意。
  その一方で、慈しむように相手に回す手やゆったりと絡み合う舌のキス描写、直線的でやや単調ながらもテンポよく描写とヒロインの反応を重ねていく画面構成と、技巧を感じさせる描写でもあって、大ゴマ~1Pフルのフィニッシュまでじっくりと煽情性を積み上げます。なお、ゴム付きセックスや外出しフィニッシュも多く、そこらも現実的ですが、生中出し原理主義の諸氏は留意されたし。

  シナリオ・エロ共に悪く言えば地味なのですが、穏やかな日常の中で自然と生じていて不思議でない温和な性愛の様子は心地よく、またエロ描写として過度に走らない故の恋愛セックスとしての説得力があって、このスタイルこそヤマダユウヤ作品らしさというものがしっかりと主張できた2冊目ではないかと思います。
個人的には、サバサバ系彼女さんの最後の台詞でグッとラブラブ感が上がる“畳の上のセックス”を描いた短編「煙草と珈琲」が大変エモくて(若者言葉)良かったです。