
さて本日は、岡田コウ先生の『思春期のココロ』(コアマガジン)のへたレビューです。先生の前単行本『だれにもいえないコト』(ヒット出版社)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
キュートなJCガールズが悩みながらも夢中になる複雑な恋愛模様と彼女達がトロトロに蕩けて乱れまくる濃厚セックスが詰まった作品集となっています。

収録本数が計5本と少ないものの、描き下ろし作品を除いて1話・作当りのページ数は32~52P(平均44P弱)と尋常でない平均値を叩き出しており、これがこの作家さんのスタイル。ページ数相応にストーリー面での存在感はありつつ、この大ボリュームでヒロイン達が蕩ける濡れ場をたっぷりと用意することに注力した構築でもあります。
【性愛に翻弄されまた夢中になっていく思春期ガールの揺れ動き】
儚げなタイプからツンツンタイプまで幅広いながらも、いずれも不器用さを内包する少女達が恋に性に戸惑い、悩み、また充足を得る様子を繊細な筆致で描き出すスタイルはこれまでと出版社が異なる今単行本でも共通しており、ヒロイン達のいじらしい様子が微笑ましさやハラハラとした読み口を生み出します。
この作家さんの特徴として、そういった未熟で不器用な女の子達に対して、性的に強者で、ぶっきらぼうであったり女癖が悪かったりと、彼女達を翻弄したり好き勝手なことをしたりな年上の男性キャラクターを投入することで、作劇としてヒロインの立ち位置の不安定感や危うさなどを醸し出すことも作劇の存在感を生み出しています。

シンプルに美少女ヒロインを甘く優しいラブエロ空間で包み込んであげたい諸氏には不向きな部分があるのですが、そういった危うさや不安定さの中に放り込むことで、ヒロインの心が揺れ動いたり、ピュアな恋愛感情が生じたり、強烈な性的欲求への不安と陶酔の行き来が描かれたりといった反応を敢えて引き出してくるのが、この作家さんの強烈な嗜好を感じさせる点であり、また大きな特徴と評し得るでしょう。
少女達にとっての性的快楽を含め、他者や異性、もしくは自分の感情や欲望における“分からないこと”をそれぞれの登場人物に自覚させた上で、それぞれがどう相対するかという作劇でもあって、ストーリーとしての大きな動きは無い一方で、個々の心理描写の丁寧さも明確な美点。
性的に開発された相手を恋人と思っていた少女に突き付けられる事実が悲しい連作の描き下ろしラストは思わず溜息が漏れましたが、その他の作品は基本的に微笑ましさやポジティブさを感じさせるまとめになっています。
【華奢な未成熟ボディのショートヘアJCヒロインズ】
JC級の女の子で統一されたヒロイン陣であって、前述した通りに男性キャラクターは年上の青年。
ツンデレ的な妹キャラ、大人しく子犬系薄幸ガール、性的快楽に翻弄されてしまうピュアな良い子ちゃん系ガールなどなど、一定の属性付けを施しつつもそれらの型に当てはめるというよりかは、個々の不器用さや純粋性を揺り動かしながら表出させていくキャラクター描写が作劇としても主眼と言えます。

幼げな可愛らしさや思春期の健康的な清楚感などを感じさせる一方で、艶っぽい唇や濡れる性器、小さ目乳輪に比してぷっくりと大粒に膨らむ乳首など、官能性を感じさせる体パーツの描写が差し挟まれることで、彼女達の性的な魅力が覗き見えてくるのも強烈な陶酔感を有する濡れ場への布石と感じます。
また、エロシーンでは筋肉質な男性の体躯との比較においてその柔らかさや小ささが強調されることも、背徳感を増加させる要因の一つ。
初出時期に多少の幅があるためか、描線の強弱やキャラの等身などに一定の変化があるようも感じますが、少女漫画チックな繊細さを有するふんわりと柔らかい絵柄の方向性と魅力は不変であって、ベテラン作家の域に入りつつある作家さんらしい作画の安定感を有しています。
【濃厚な陶酔感の描写と技巧的な画面構成をたっぷり提供】
幅は有りつつもいずれのエピソードも十二分なページ数を有しており、エロシーンの分割構成を取ることがあってもコアとなる濡れ場は標準的な分量を優に上回る長尺で展開させるなど、抜きツールとしての単純な量的満足感がそもそも強いのは強力な武器。
不器用な兄妹が親の居ぬ間に互いにがっついてセックスしまくりな短編「親の居ぬ間の選択」といったストレートに欲望が発揮される和姦エロもありつつ、JC美少女をハードなセックスに突入させている構図そのものに倒錯性が濃厚であることに加え、ピュアなヒロインを淫らに調教していく連作や、睡姦が描かれる短編「私が寝ている間に」など、エロシチュとしての背徳感・倒錯性を有するものも用意しています。
合意の有無や背徳性の濃淡に関わらず、強烈な感覚をヒロインに叩き込んで彼女達を混乱させたり戸惑わせたりしながらも強制的に蕩けさせていくという、一定の嗜虐性を含んだ流れは共通しており、体重をかけて押し込む寝バックや手首などをホールドしながらの正常位、両腕を掴んでのバックからの突き込み等、ヒロインの小さな肢体を膂力で制圧しつつハードなピストンを加えていく流れはなかなかに強烈。

これらの濃厚なエロ演出だけに依存するのではなく、ピストンしながらの舌を絡めるキスにクリや乳首をくにくにと弄る愛撫、ヒロインの柔肌への甘噛みといった手数の多さ、ヒロインの反応と行為を並べて連続コマで魅せていく画面構成の情報量の多さ、断面図や口元のアップ、ぴくぴくと反応する足先など狙いが明確な小ゴマの配置など、確かな技巧でエロ描写をまとめ上げていくスタイルも流石の一言。
必ずしも前戯パート→抽挿パートの順番にこだわりませんが、イラマチオやお掃除フェラも含む口淫描写でキュートなお口に白濁液を放出する描写や少女の肢体を好き放題に弄って蕩けさせる愛撫を投入する前戯パートの抜き所も用意しつつ、演出の濃密さを増しながら蕩けまくったヒロインに膣内射精するシーンへと誘導し、断面図や透過図での強調や最後まで注ぎ込んでゆっくり引き抜くシークエンスなど追撃描写でもねっとり感を出しているのは、尺の長さ故の強みと言えるでしょう。
この作家さんらしさが作劇・エロシーン共にしっかりと打ち出されており、ドキドキ・ハラハラの読み口を味わいながらも濃厚なエロ描写を特盛で味わえるという大変にハイカロリーな1冊となっております。
個人的には、徐々に変容していく少女の痴態描写に強烈な背徳感が宿っていく連作が最愛でございます。お勧め!