
幕間のコスプレイラストで羞恥の表情を浮かべている滝沢さんが大変に性的で、閉じた口の輪郭が波打った表現がすごい好きなんです!!
さて本日は、ビフィダス先生の『イビツな愛の巣』(エンジェル出版)のへたレビューです。先生の前単行本(初単行本)『キミを誘う疼き穴』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
退廃的でありながらも人の素直な情欲が激しく燃え盛る精気を感じさせるストーリー&熱情のエロスが詰まった作品集となっています。

描き下ろし作品およびフルカラー作品を除き、1作当りのページ数は20~24P(平均21P弱)と中の下クラスのボリュームで推移。短編集ながら個々の作劇に存在感があり、その上でエンジェルレーベルらしいエロの満腹感を備えていると評し得るでしょう。
【キャラメイクの良さが光る豊満ボディの近親ヒロイン】
二名ほど女子校生級の美少女キャラも登場していますが、ヒロイン陣の主力を占めるのは20代前半~30代後半程度と思しきアダルト美人さん達で、綺麗なお姉さんというよりも年増美女的な女性キャラクターも複数名登場。
今単行本の特徴として、短編「陽だまりの兄嫁」に登場する兄の嫁(義理の姉)を除き、いずれのヒロインも従姉や母親、叔母などの血縁ヒロインであり、前述の例外を含めてその関係の禁忌性や不義の側面が表現されていることは共通しています。
後述する様に、それら禁忌や不義の面を強調して暗く重く沈み込んでいくのではななく、結果としてはどうあれ、性的な欲望や承認欲求、恋心など人の根源的な情欲を素直に表出させていく様子を、丁寧に描き出すことでヒロインを中心としたキャラクターに深みを与えているのは特筆すべきポイントでしょう。

艶っぽい唇や大粒の乳首、股間に濃い目に茂る陰毛や濡れた秘所など体パーツ描写の淫猥さを明確な武器としつつ、それらのセックスアピール満載の肢体描写に依存しすぎることはなく、快活な美少女キャラや愁いを感じさせる美熟女などキャラデザインの描き分け、快楽に飲み込まれながらも自身の意志を感じさせる何処か凛とした印象の付与など、視覚的にもキャラの魅力を立てていく技量の高さがあります。
【豊満ボディが快楽に染まっていく熱っぽさと欲望の貪欲さ】
性愛にまつわる人の情念とその奔流を描き出す作品であるため、エロシーンでも心情描写による語り回しの良さでシナリオラインを紡ぎつつ、抜きツールとしてのアタックを十二分に有する濡れ場の比重は十分に高く、大変に長尺という水準ではないものの、適度な満腹感はあります。
コスプレH的な趣向であったり(短編「アユの喫茶室」)、ほんのりと寝取られっぽさ(あくまで“ぽさ”)があったりと(短編「あとのまつり」、エロシチュの味付けを加えることはありますが、いずれも近親エロスで統一されており、アモラルな雰囲気を常に形成。
その一方で、それら“イビツ”な性愛を描きながらも、相手を求める感情・相手を受け入れる欲望は非常に素直かつ真っ直ぐなものであり、であるからこそ、貪る様な激しいセックスとその中での高揚感にパワフルでエモーショナルな印象を生じさせて実用性を底上げしています。
どちらかと言えば、挿入までのエロシーンに尺を取る方であり、人妻ヒロインの自慰行為や少年の欲望が暴走しての馬乗りパイズリ・素股、兄嫁ヒロインのテクニックを知ってしまうフェラご奉仕に乳房や秘所にむしゃぶりつく愛撫などで盛り上げを図った上で、“最後の一線”を越えるものとして挿入から膣内射精までのシークエンスに威力を持たせています。

アへ顔的なアタックの強いエロ演出も用いつつ、量的に過剰にすることなく、豊満ボディの存在感を常に前面に押し出した上で、結合部見せつけ構図や断面図など粘膜描写の淫猥さもストレートな淫猥さを叩き出しており、大ゴマ~1Pフルのフィニッシュでは演出の盛り上げも最高潮であり、かつ二人の関係性が明確な踏み込みを魅せたことを表現しています。
【愛の不確かさと快楽の確かさに乱れる愛欲の奔流】
愛する者の身を掻き抱き、その身も心も独占したいというシンプルな欲望の奔流を、前述したパワフル&エモーショナルなセックス描写を中心として描き出しつつ、その情念に関わる登場人物達の関係性は複雑であって、饒舌でありながらも抑制の効いた筆致でそれぞれの性愛を描き出しています。
いずれも近親愛や兄嫁とのダブル不倫など、アモラルな関係性を描き出しており、前述した様に素直で根源的な欲望によって引き起こされるそれらは、しかして単行本タイトル通りに“イビツ”な側面を有していることも確かです。

しかしながら、超越した視点でシニカルに性愛を俯瞰するのではなく、例え愛の永続性など保証されなくても、目前にある愛おしい人を強く求め、或いは受け入れる喜びとそれが与えてくれる強烈な性的快楽を登場人物達にとって確かな価値のあるものとして、彼らの目線に立って描き出していることが明確な美点。
明るいハッピーエンドもあれば、じっとりとインモラルな雰囲気が残存するラストや切なさを残す作品もありますが、登場人物達の何らかの変容を描き出していくことは共通しており、前単行本で魅せた日常から非日常への切り替わりと、そこで溢れ出す愛欲の奔流を、今回はミステリアスさではなく、等身大の欲望を以て表現していると感じます。
けたたましく響き渡る蝉時雨や轟音と共に花開く花火の様に、その精気を溢れんばかりに解き放ちながら、それらが終わった時に残る寂寥感をも感じさせる様な叙情を感じさせ、また余韻にこそ味わいのある作品が揃った短編集と総括したい所存。
前単行本で示した作劇・エロの両面を伸長させ、特に作劇面ではキャラメイクの丁寧さも含め、前回とはまた異なる魅力の打ち出し方をしてきた意欲的な2冊目と感じます。
個人的には、身を焦がす乾きとそれが満たされる幸福に翻弄されるセックスレスの人妻を描いた短編「セックスレスでごめん」と、長身巨乳な日焼け肌快活美少女を独占セックスな短編「あとのまつり」が特にお気に入り。お勧め!