
あと、何気に編集・三上さん、すごく有能ですよねぇ(今更
さて本日は、高遠くろ助先生の『淫湿ハニーホール』(エンジェル出版)の遅延へたレビューです。これが2冊目となる作家さんですね。
肉感たっぷりボディに暗い欲望をぶちまけるお下品ハードセックスが詰まった作品集となっています。

1話・作当りのページ数はいずれも20Pと中の下クラスのボリュームで固定。ストーリーそのものとしては読み応えには乏しいものの、エロシチュを含めたヘビーな雰囲気とエロの濃厚感とで強い満腹感を生み出しています。
【陰湿さや倒錯性がある凌辱エロ・堕ちモノ系】
作劇の方向性としては、欲望が強烈に奔流する凌辱エロや倒錯性の強い変態セックス耽溺系がメインと言え、序盤からバットエンドへの転落が容易にうかがえる構図を投入。

ヒロインに対する配慮や情けを感じさせない男性キャラクターの台詞が繰り返され、弱い立場に追い込まれた人間を囲んで棒で叩くが如き有り様は、後述するエロ描写の過激性と相まって、単行本タイトル通りに陰湿な印象があって、読み手の好みを大きく分けることは間違いないでしょう。
お嬢様ヒロインがクラスの除け者となっているキモメンボーイに目を掛け、彼との変態的なセックスに耽溺する短編「汚辱ナルシシズム」、家事代行サービスかと思ってレンタルママをお願いしたら実はデリヘルサービスでそのままママの優しい励ましセックスを堪能な短編「レンタルママがやってきた!」は、共にヒロイン側が積極的な展開であり、雰囲気の明暗は異なるものの、倒錯的なシチュエーションであることは共通。
いずれにせよ、欲望の歪みや強烈さが状況を支配する構図そのものは作品を通して一貫しており、展開そのものとしてはストレートな凌辱劇や快楽耽溺系でありつつ、その状況に翻弄される者達の末路もあって重苦しさや倒錯性のある作劇が揃っていると感じます。
【ムチムチボディの豊満ガールズ&レディズ】
女子校生級の美少女ヒロインも複数名用意しつつ、概ね過半数を占めるのは20代前半~30代前半程度のアダルトレディ達。
過去の性遍歴から幸福な日常を破壊され、家族を巻き込んでの崩壊へ向かう人妻ヒロイン、隠れた性癖を見抜かれ男達の肉便器にされる優等生、自らの高慢さが仇となりファンに輪姦されることになるアイドル等々、凌辱エロを中心として転落・変容を明確にしたヒロイン描写を形成。
また、前述した様に変態セックスにある種のマゾヒズム的嗜好で耽溺する優等生お嬢様や、無表情に男性達の性処理係を担当するOLさん、甘やかしママさんプレイに徹してくれるデリヘル嬢さんなど、ヒロイン側に積極性や状況の受容が描かれるケースもありますが、これらの場合でも、状況の異常さや奇妙さが目立つヒロイン描写と言えるでしょう。

これに対して、男性キャラクターは中年太りしたおっさんタイプや体臭や容姿を異性から嫌われるブサメン系、粗野な言動の不良等、凌辱エロ等での典型的な悪役タイプが揃っており、基本的に女性キャラクターの肢体にフォーカスして男性キャラのボディの描写を抑えていますが、ヒロインとの美醜の対比を形成。苦手な方も多いタイプのキャラ造形と思いますので、留意されたし。
描線の強弱や修飾性の濃淡など細部である程度の変遷は感じますが、基本的には表紙絵と完全互換の絵柄で安定。概ねアニメ/エロゲー絵柄系統のキャッチーさを基調としたスタイルですが、同時に主に演出の過剰さに由来するクセや荒さ、コマ間での描線や作画密度の振れ幅なども、勢いを生む長所でもありつつ、短所とも感じる点です。
【アングラ感さえある強烈さで押し通すエロ描写】
ページ数そのものは多い方ではないものの、序盤からサクサクとエロシーンに突入していく構成であり、また前述した様に暗く思い雰囲気や倒錯性の濃厚さ、後述する描写の過激さなどもあって抜きツールとしての満腹感は特に質的な方面で十分に強く仕上がっています。
ママ系キャラとのラブラブプレイなどもありつつ、元・肉便器の人妻さんを再開発⇒輪姦⇒近親セックス強要な堕ちモノフルコース、特殊勤務なOLさんによる不特定多数を相手とする性的奉仕な日々、突然結婚宣言をして引退しようとしたアイドルへの性的制裁のような輪姦凌辱に脅迫しての奉仕強要&強制母娘丼と、悪意や歪んだ性癖、支配欲や加虐性が発揮されるエロシチュエーションが多く、前述した様に重さや暗さのあるエロシーンと言えるでしょう。
全裸土下座をさせられたまま全身を好き放題にまさぐられたり、フェラやパイズリでの奉仕を強要され、口腔内や乳房を好き放題に使われたり、ケツ穴舐めをさせられたりと前半からヒロイン側に屈辱感や被虐心を感じさせるプレイを充実させており、浅ましさを感じさせるひょっとこフェラや大量に放出された精液が口や鼻からあふれ出る状態など、序盤から既に無残に性欲の捌け口とされている状況を明示。

これらの表情描写や擬音・台詞表現のインパクトに加え、男性キャラクターの下卑た自己中心的な台詞回しが多用されるのも特徴であり、前述した様に男性の体躯の存在感は抑え気味にしつつも、男性キャラがヒロイン達を好き勝手に使用しているという構図を常に意識させる描き方になっていることも、凌辱系統としての攻撃性・支配欲を大きく高める要因。
複数ラウンド制を基本として抜き所を多数設ける構成である分、ページ数の関係もあって早漏展開気味ではあり、演出での力押しが良くも悪くも目立つ分、多少の単調さは感じますが、仰け反らせた肢体をビクビクと反応させてアクメフェイスを曝け出すヒロインに大量膣内射精で〆るフィニッシュは十二分に強烈で、インパクトの強さで押し切るにはちょうど良い分量とも評し得るでしょう。
絵柄やエロシーンの雰囲気等で好みが分かれる部分はあると思いますが、構成としてはオーソドックスでありつつ、じわっと染み出てくる悪意や歪みに特徴があってエロ描写のハードさともよくマッチしているのは美点。
個人的には、人妻ヒロインがずるずると快楽に堕ちていく連作「人妻便女リターン」が特にお気に入りでございます。