AFewDays  鳴見なる先生の『ラーメン大好き小泉さん』第6巻(竹書房)を読みました。山椒の辛さで舌が痺れる麻婆豆腐が好きなので、カラシビというのは凄く気になりますね(都内に三店舗あるようです)。
エロ漫画でもそうですが、前提条件無しでお勧めを教えてというのは小泉さんの言う通り答えられないんですよねぇ。

  さて本日は、幾花にいろ先生の初単行本『幾日』(ワニマガジン社)の遅延へたレビューです。大変に売れ行き好評だそうで、レビュー書く前で既に重版が決定していると聞いております。景気の良いことで大変よろしいですな。
多彩な魅力を有するスレンダー美女達との日常ラブ模様&官能的なセックス描写が詰まった作品集となっています。

  収録作はいずれも読み切り形式の短編で9作。なお、読み切り形式ながら作品世界は共通しているようで、登場したキャラクターが別の短編にサブキャラとして登場といったケースがしばしばあります。
1作当りのページ数は18~24P(平均20P強)とコンビニ誌初出としては標準を上回るボリュームで推移。短編集ということもあって、ストーリーそのものとしては小粒でありつつ、しっかりと読ませる作劇であり、その上で標準的な分量のエロシーンを用意した構成となっています。

【王道的な魅力に丁寧な構築で現実味を持たせる作劇】
  細部は後述するとして、作風の大枠としてはコンビニ誌掲載作として実にスタンダードな棚ボタ的ラブエロ系と評し得ます。
AFewDays1  ネットの友人と出会ったら美人さんで信頼関係のある二人がすぐに打ち解けて~な短編「咬合」(←参照 突然の誘惑にドキリ 同短編より)、バイト仲間のギャルさんがオタクな主人公のお家にパチンコで知ったアニメを観にやってきて仲良しに~な短編「寄辺」、職場のクールな地味子さんのオフの姿を独り占めできることになる短編「演色」などはその好例。
いずれも登場人物達の日常の中で恋が芽生えたり、またカップルさんがイチャイチャしていたりする様子を描いており、“こんなことが実際にあったらいいのになぁ”という読者の願望を引き出し、充足させる流れは、コンビニ誌的な作風ではポピュラーな魅力であると言えます。
そして、この作家さんの場合は、日常の中での男女の関係性や、個々のキャラクターについてディティールを丁寧に描き込んでいくことで、“実際にあったらいいこと”に一種の「リアリティ」を持たせることで、前述したポピュラーな魅力の幸福感を読み手に浸透させやすくしていることが明確な美点であると評し得るでしょう。
また、男女の関係性の機微などを丁寧に表現し、ラブエロ系の甘味や適度なコミカルさなども有しつつ、それらの濃度を漫画チックに高めることはしないのも、現実味があってオサレな雰囲気を形成することにつながっています。
  ラブラブな雰囲気を打ち出しつつの平和なまとめ方で読後感も大変に良好であり、作劇の魅力を引き出す計算が綿密に為された構築でありつつ、その作為を感じさせずに自然に作品に没入できるように仕上げられているのも明確な巧さと評し得ます。

【しなやかなスレンダーボディの美人ヒロインズ】
  コンビニ誌初出ということもあって、ヒロイン陣の年齢層は女子大生~20代後半程度と思しき範囲であり、可愛らしい美少女というよりかは綺麗なお姉さん、美人さんという単語が似合うタイプの女性キャラクターが揃っています。
AFewDays2クールで大阪弁で悪戯好きな長身糸目先輩、気さくなヤンキー系ギャル(←参照 皆大好き、オタクにもオープンマインドなギャルヒロインだ! 短編「寄辺」より)、ずぼらであまえたがりで自由な猫系のセクシー彼女さんに普段は地味な眼鏡さんながら以外に押しが強い同僚美人などなど、キャラクター属性としてはオタクコンテンツ的にオーソドックスなものも各種用意しつつ、その上で現実に居そうな人物像にまとめていくことで、前述した作劇における幸福感のリアリティに結び付けています。
  背景等も含めて描き込みの密度が高いですが、美人さん達の衣装やアクセサリーなども丁寧に描かれており、それぞれのキャラクター性の魅力を伸長させるアイテムとして明確に機能しているのは○。
AFewDays3  おっぱいサイズや身長にはキャラクターによってバリエーションがあるものの、全体的に体幹の肉付きが弱めのスレンダーボディが主力となっており、しなやかな腕や脚、締まったウェストがスレンダーさを強調しつつ、並乳~巨乳クラスのバストや桃尻の柔らかい肉感を対照的に引き出しています(←参照 短編「燦爛」より)。
全体としては端正な印象のある女体設計として明確にまとめつつ、骨格の存在を感じさせる肉付きの弱さには一種の生々しさがあり、また男女を問わずに性器描写や、もじゃっとした陰毛描写に女性のしっとりとした唇など体パーツ描写に明確な淫猥さがあるのも実用性を大きく底上げ。
  新鋭の作家さんでありつつ、快楽天本誌の王道たるオサレ感のある創作系寄りの絵柄であって、好みはある程度分かれる部分はありますが、丁寧な描き込みやコミカルな描写等でタッチを変化させる闊達さなどもあって、絵柄そのものを明確な個性・長所としているタイプ。

【アタックの強い演出・構図を用いての密着セックス】
  セックスに至る過程に棚ボタ的な幸福感を持たせることで作品全体の魅力を大きく高める設定である分、逆に言えばたっぷり長尺の濡れ場とは言い難い構成になっていることもありますが、コンビニ誌初出としては概ね標準的な分量があり、また雰囲気の良さや適度な描写の濃厚感で魅せるスタイル。
  ヒロインの色香に当てられた主人公が、彼女に対する独占欲を剥き出しにしてハードなピストンを~といった状況や、個室居酒屋で隠れながらのボディタッチ→挿入といったドキドキシチュエーションなどもありますが、基本的には和姦エロでまとまっており、恋人とのラブラブ感や、普段と異なる痴態を曝け出すヒロインの魅力に囚われるドキドキ感などをベースにしたエロシチュと言えます。
  場合によっては抽挿パートを量的に圧迫することがあるものの、前戯パートは比較的長めに設けており、唇が触れあうキスやスレンダーボディの性感帯を刺激する愛撫、リアルに描かれた男性器に美人フェイスが丁寧な舌遣いを魅せるフェラ描写などで双方の興奮の高まりをじっくりと描き出しています。
AFewDays4初出時期によって演出としての強度に多少の変遷はありますが、ほんのりアへ顔チックなものも含めて美人フェイスが淫蕩に乱れる表情付け、快感に仰け反るしなやかな体、描き文字で描かれるハートマーク付きの嬌声、性器やアナル、陰毛などが淫猥な股間描写を存分に生かした結合部見せつけ構図など(←参照 短編「視野」より)、演出・構図として強いアタックを示すものを十分な密度で重ねていきます。
  前戯パートも含めて、男女の肢体の密着感を重視しており、そのことが相手の肢体を求めるガツガツとした力強さをエロシーンに付与する長所であると同時に、エロシーンで男性の体や表情を視界にいれたくないという諸氏は要留意。
ゴム付きセックスの頻度が高いため、生中原理主義者の諸氏は留意が必要ですが、いずれにしても大ゴマ~1Pフルのフィニッシュでは、脈動するち○こを根元まで包み込みながらアクメ汁を拭き出し、肢体をビクビクと反応させるヒロインの痴態を提供して、前戯パートに射精シーンが無い分、十分なタメからのパワフルな抜き所となっています。

  作劇・エロ共にスタンダードな魅力を踏襲しながら、オサレ感や雰囲気の良さなど、個性をしっかりと打ち出して訴求層を広げる巧さがあります。初単行本ながらかなりハイレベルな1冊と言えるでしょう。
個人的には、ヤンキー系ギャルさんと仲良くなって肉食系エッチな短編「寄辺」と、勝手気ままな猫系彼女さんとラブラブHな短編「白猫」が特にお気に入りでございます。