GirlAsGodness  宇仁田ゆみ先生の『ねむりめ姫』最終第2巻(白泉社)を読みました。夜寝子が家族の愛情や周囲の同級生との結び付きを改めて感じることができても、彼女が眠りの精霊として人の生を放棄してしまうのか、最後までハラハラした作品でした。睡眠は成長に欠かせませんが、夜寝子の成長の話だったのかなとも感じます。

  さて本日は、山崎かずま先生の『少女神』(コアマガジン)のへたレビューです。先生の(成年向け)前単行本『おとなのまねごと。』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
思春期ガール達の瑞々しい感情と未成熟ボディが蕩ける痴態が詰まった作品集となっています。

GirlAsGodness1  収録作は、不遇な家庭環境からSNSに没入し、そこで出会った男性達にちやほやされる中で、彼女に手を出そうとした不埒な男性に対して彼女が取った行動とは・・・な短編「少女、神に成る。」(←参照 人を赦すのは“神”なのか 同短編より)+描き下ろし後日談のフルカラー掌編(4P)、親戚のクール娘のつっけんどんな態度に何か腹が立って手を出してしまった少年だが、二人の恋は肉体関係から始まってしまい・・・?な短編「逆さまの夏」+描き下ろし後日談短編(12P)、家出娘をその求めに応じて“買った”官能小説家の男性だが・・・?な短編「うらはら」+描き下ろしほのぼの四コマ(2P)、その他読み切り形式の短編・掌編8作。
描き下ろし作品およびフルカラー掌編「めぐるさいくる」(4P)を除き、1作当りのページ数は20~22P(平均22P弱)と書店売り誌初出としては中の下クラスのボリュームで推移。短編集ながら個々に作劇面の存在感はしっかりとあり、その上で程好い濃度のエロ描写を適量お届けな作品構築となっています。

【ラブエロありシリアス系ありSFありな多彩さ】
  作風の引き出しの多い作家さんであり、今回もほのぼのラブエロ模様あり、SFあり、ビッチヒロインものあり、シリアスな思春期ストーリーもありと、各作品の趣向は様々
その中で描かれる思春期少女達の快活さや、純粋さ、瑞々しい性的な魅力な魅力は作品にチアフルさを付与しており、例えば短編「8.5畳の楽園」や「ねくすと☆Expression」などのラブコメ・エロコメ系はそれらの魅力を前面に出したタイプ。
GirlAsGodness2その上で、そういった男性にとっての理想像としての少女ではなく、彼女達が持つ孤独や自己嫌悪、不器用さや衝動的で利己的な性といったものも描く作品もあり、それらの作品では男性キャラクターもしくは読者が彼女達の“本音”に触れていく過程に一定の緊張感やシリアスさ、悲哀などを感じさせます(←参照 複雑で不器用な恋の交錯 短編「逆さまの夏」より)。
表紙絵の通り、男性達によって祀り上げられ、深い孤独を歪な形で解消する少女を描く短編「少女、神に成る。」、慈母の様に優しく娼婦の様に性的な“伴侶”が登場しながら意外なラストでアイロニーを生じさせる短編「リソウノカノジョ」など、人が作り上げた理想の神としての少女像ではなく、良くも悪くも不完全な存在の人間としての少女を描いていると評し得るでしょう。
  お気楽なエロコメ系作品もある通り、このテーマ性を大上段に掲げている訳ではありませんが、善なる感情にしても歪な感情にしても、多感な思春期ガール達のキャラクター性を掘り下げ、エロとシナリオ両面の魅力を伸長させる心理描写が出来ていると感じます。
  不穏さが残るラストの短編「少女、神に成る。」、ブラックジョーク的な天罰が下る短編「スタンプちょうだいっ!」、SF的にはある種王道なラストを迎える短編「2190プロジェクト」と、まとめ方は様々ですが、性愛を通して少女達が居場所や恋愛関係を見つけることのできるハッピーエンド系が主流と言えるでしょう。

【発達途中の思春期ボディなティーンガールズ】
  多少例外的なヒロインも存在しますが、基本的にはロー~ミドルティーン級と思しき制服美少女で占められたヒロイン陣であり、思春期ならではの快活さや無邪気さ、はたまた孤独感や不器用さがある若者として描くのは前述した通り。
  心理描写に一定の注力をしつつ、セックスにがっつくビッチガールに、箱入り娘で浮世離れした思考のお嬢様、クールで不器用な親戚美少女に、ふんわりキュート&エッチ大好きおまけに一途な彼女さんなど、キャラとしての親しみ易さを増す設定・属性を多彩に用意。
なお、少年と少女同士の恋もあれば、中年男性が登場することもありますが、いずれにせよ、ヒロインにある種の理想像を求めてしまうか、逆に一つの個人として認め合うことが出来るかは、お話の帰結に一定の影響を及ぼします。
GirlAsGodness3  短編「リソウノカノジョ」に登場する豊満ボディのお姉さん系ヒロインを例外として、思春期ガールズのボディは膨らみかけバスト(←参照 ちっぱい!ちっぱい! 短編「8.5畳の楽園」より)、寸胴寄りの体幹や多少肉付きの良さを感じさせるお尻や太股に、ぷにっとした質感の無毛地帯な股間を組み合わせた発育途上なものであり、未成熟さを殊更に強調することはない一方で、一定の背徳感を煽る女体でもあります。
メガネっ子や艶やかな黒髪美少女など、どちらかと言えば地味なキャラデザインが多いですが、その辺りのデザインが普通に居そうな可愛いらしい思春期少女という印象に直結。
  程好いデフォルメ感などで美少女キャラの可愛らしさを引き出す漫画絵柄は、濃さ・重さを追求することなく、ふんわりとした軽さ・柔らかさを保つタイプで、十分なキャリアを積んでいる作家さんということもあって、表紙絵と完全互換で単行本を通して安定しています。

【抑え目のエロ演出で彩る少女達の熱っぽい痴態】
  標準程度のページ数に加え、セックスに至るまでの過程と、セックスの後に変容した関係性の描写に一定の尺を設けるスタイルであるため、抜きツールとして十分な尺は有しつつも、ボリューム感の強いエロシーンをお求めの諸氏は要留意。
  思春期ボーイの性欲や自尊心が暴走しての無理矢理エッチといったシチュエーションもありますが(短編「逆さまの夏」)、基本的には合意の上でのセックスであり、その上でラブラブHもあれば快楽や金銭で割り切ったり、性欲とはまた別の欲望が混じるセックスがあったりします。
ヒロインの小さなお口でのフェラご奉仕で次第に蕩けていく表情や放出された白濁液に表情や肢体が染まる様などを充実させた前戯パートも多く用意していますが、全般的に抽挿シーンを量的に重視したスタイルであり、その中でヒロインが快楽に夢中になっていく様子を描写
GirlAsGodness4  エロ漫画として強い快楽にヒロインが包まれていく様子を描き出しつつ、彼女らの陶酔表現を過剰に押し上げることはせず、目前での行為に反応し、また次第に高まっていく快楽に翻弄されながらも蕩け、夢中になっていくシークエンスでじっくりと煽情性や没入感を高めていくタイプ(←参照 短編「スタンプちょうだいっ!」より)。
これに伴って演出面は概ねマイルドにまとめており、質的にも量的にも適度なアタックが生じるように仕上げつつ、紅潮し熱っぽい表情でエロ台詞を奏でる痴態にも、結合部をしっかり見せ付けつつスベスベの柔肌に包まれた肢体全体を魅せる構図にも、程好く上品さがあります。
  大ゴマメインのフィニッシュシーンでは、言葉にならないアクメボイスの絶叫や結合部から溢れ出る白濁液など、演出強度を高めて抜き所としての実用性を高めていますが、そこまでの演出的な流れから大きく外れることなく、ヒロイン達のエロ可愛さを損なわないスタイルで通していると言えるでしょう。

  他者の手で少女が“神”にあつらえられる印象的な表紙絵から想起されるテーマ性や、思春期の少年少女の繊細さを感じさせるシナリオワークなど、ストーリー性でも明確な個性を発揮しつつ、濃過ぎず薄過ぎずな濃度を以て美少女ヒロイン達の痴態が楽しめる作品集。
個人的には、前述のテーマ性が明確に描かれた短編「少女、神に成る。」が特にお気に入りでございます。