NymphoGarden ここ2週間程仕事での案件が溜まってしまい、また出張もあって更新が止まっておりました。申し訳ありません。疲れましたが、なんとか大体片づけましたので、今日から更新を再開します。
今月中にレビュー2000冊を成し遂げるように頑張りたいものです。

  さて本日は、内々けやき先生の『ニンフォガーデン』(ワニマガジン社)の遅延へたレビューです。なお、先生の(成年向け)前単行本『接続された人妻』(コアマガジン)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
読後のほろ苦さで魅せるストーリーと豊満ボディが過激に乱れるエロ描写が詰まった作品集となっています。

NymphoGarden1  収録作は、第二次大戦へと突き進む激動の時代、両親の都合によって山中の療養所へと押し込まれた主人公の青年はそこでとある疾患を持つ麗しく妖しい女性に出会い、彼女への崇拝を抱えたまま大人達との爛れた関係に浸っていくのだが・・・という長編「駒草の君」全6話(←参照 閉鎖された世界へと閉じこもっていく 同長編第1話より)、および読み切り形式の短編3作。
1話・作当りのページ数は20~26P(平均23P弱)と標準的ながらコンビニ誌初出としては平均を優に上回る水準。ストーリーとして十分な読み応えを持ち、またエロの質的・量的なボリューム感もしっかりとある作品構築で安定しています。

【人のナイーブさとそれでも生きていくポジティブさ】
  作劇面で幅広い引き出しを有する作家さんですが、今回はいわゆる“サナトリウムもの”である長編に加え、いずれも生きることの窮屈さや不器用さを抱えるヒロインを描く短編3作も、ストーリーとしてのビターさを読後にも残す作劇となっています。
自分に好意を抱いていると思っていた幼馴染の少女がどうしょもない同級生に調教され続け、それに加担してしまう短編「リモート彼女」、周りから優秀で真面目であることを押し付けられ続けた少女が吐き出すように過激に乱れる場を求める短編「こわれもの」、複雑な事情で体を売る女性に恋をした青年を描く短編「君の名は。」と、それぞれ強烈な性の快楽と生きることの儘なら無さが同居するストーリーと言えます。
  長編作は、大人からの愛情に飢え、周囲に振り回されて山中の療養所に閉じ込められた青年が、院長である女性医師や他の患者、看護師の女性などと関係を持っていくストーリーであり、ハーレム的な設定でありつつ、ウハウハな全能感は皆無であり、むしろ何もなしえず、繋ぎとめられない無力感と諦観が徐々に高まっていく作劇と言えます。
NymphoGarden2内々けやき作品の多くに共通する要素として、セックスの身を焦がす様な強烈な快楽を劇薬の様に描きつつ、それを他者を繋ぎ止めたり、人としての在り方を大きく変えたりする絶対的な価値を持つものとしては描かない(←参照 激しいセックスを交しても 長編第3話より)、そしてだからといってそれが“無価値”なものではないというスタンスがあると思っているのですが、長編作はその好例と言えるでしょう。
  他者と他者が形作る世界の中で、誰しも息苦しさや無力感を覚えるナイーブな面を持っている、強烈な性的快楽や恋の熱情に翻弄されながら“私が私であること”を自らで何とかしていかなければいけないという描き方は普遍的なものであって、であるからこそ激動の時代を生きた昭和の文豪の作品であっても、本作であっても現代を生きる我々の心に染み入るものがあると評し得るでしょう。
  ストーリーそのものの爽快感や分かりやすい盛り上がりのあるタイプではないため、即効性のあるエンタメとしては評価しがたい部分はあるものの、モノローグの語り回しの上手さも含めて読み応えのある作劇であると高く評価したい所存です。

【豊満バスト&ヒップの美少女&美女】
  長編にサブヒロインとして登場する女学生や短編「リモート彼女」「こわれもの」のJK美少女さんに加え、女子大生から20代半ば~30代半ば程度のお姉さんキャラや美熟女さんなども登場してヒロイン陣の年齢層は幅広め。
  男性にとっての高い性的魅力を有しつつ、生きることの難しさの中で不器用さや絶望感、ある意味では歪んだ欲求を有している女性キャラクターが多く、男性達もある種の単純さを描きつつ、鬱屈と諦観、そこからの成長が描かれる長編の主人公をはじめとして、彼らなりの純粋性とそれ故の苦悩を普遍的なものとして描き出しています。
また、男女共に、自身および他者からの認識としての“理想”と“現実”に苦しむ者が多く、性愛が生み出す強烈な快楽がそれを埋めてくれているようで実は埋めていないということも、彼らが不器用に苦しんでいく理由の一つであって、そうであっても人は生き続けていくのだというスタンスは作劇に深みを生み出している要因でしょう。
NymphoGarden3  清楚可憐な幼馴染ガールに、真面目そうな優等生タイプ、凛とした美熟女な女医さんにそばかすメガネでぼさぼさヘアの地味系ガールなどなど(←参照 短編「君の名は。」より)、多彩なキャラデザインが用意されていますが、エロシーンでは皆さん過激に乱れてメスフェイスを曝け出す強烈なギャップを生み出しています。
  おっぱいサイズにお肉の熟れ具合などには多少のバリーションがありますが、基本的には健康的な肉付きの体幹に豊満な巨乳&桃尻を組み合わせた肉感ボディであり、それが淫液に塗れてグッとシズル感を高めるエロシーンの女体描写の淫猥さは実用性の高さの基盤と言えるでしょう。
喜怒哀楽や感情の奥行きの深さを物語る表情付けや、作品の雰囲気に合った背景描写など、丁寧な作画は安定しており、艶っぽい色気と漫画チックなキャッチーさを独特の塩梅で両立させる絵柄の独自性も強い訴求力を有していると評したい所存。

【強烈な陶酔と耽溺に心と体が震え悶えるエロ描写】
  各作品に十分なページ数があることもあり、ストーリーとしての面白みをしっかりと担保しつつ、自らの欲望や鬱屈、不器用さといった様々な欲求をぶちまけながらセックスの快楽に積極的に耽溺し、乱れる痴態をたっぷりと提供する優良抜きツールとして構築。
ある意味ではそれ以前の感情の未分化を有しつつ、寝取られ調教エロ的な色彩を有する短編「リモート彼女」、悪いこと禁じられたことに身を委ねてある種の破滅感と開放感と人らしい幸福の入り混じった自己破壊的なセックスに溺れる短編「こわれもの」、男性の性欲と恋の単純さと女性の複雑な状況が対比される短編「君の名は。」と、インモラルさとシンプルな欲求の素直さが入り混じる複雑な味付けが目立ち、それは長編作でも同様。
強烈な快楽に悶え、互いを求め合うという全能感や解放感を濃厚に描き出しながら、それはセックスの外の関係性を決して保証してくれないという無力感も漂うエロシーンであり、であるからこそ、一時一時の快楽への陶酔・没入を鮮烈に印象付ける描き方と評し得るでしょう。
  舌を絡めあうキスや、たっぷりバストに包まれるパイズリ、下品な水音を奏でるフェラなど前戯パートでの“がっつき感”を十分に打ち出しつつ、抽挿パートを量的に充実させて激しく腰を動かしながら、目前の快楽を貪っていく様な激しい行為を連続させていきます。
NymphoGarden4汗や愛液に濡れる豊満ボディの淫猥さ、頬を紅潮させ、焦点を失った瞳を潤ませた陶酔の表情、濁音混じりの淫猥な擬音が様々に撒き散らされる演出、激しい突き込みにガクガクと揺らされ、アクメの快感に仰け反るダイナミックな肢体の動きの描写など(←参照 長編「駒草の君」第4話より)、演出の飽和感と個々の描写のアタックの強さを連続させる描き方は十二分にテクニカルと感じます。
  乱れ切った表情と高揚した台詞を曝け出しながら精液を受け止めてハードなアクメに震えるヒロイン達の過激な絶頂痴態を迎えるフィニッシュまで、描写の流れの良さと演出の勢いで推し進めるパワフルさは大きな魅力で、射精シーンへのタメも十分に図られた構築と言えるでしょう。

  作劇面の味わい深さは大きな魅力で、ビターな読後感を残しつつ決して諦観や虚無に浸るだけの後ろ向きさとは一線を隔しているのは感心するところ。抜きツールとしての信頼性も折り紙つきで、がっつり抜けてじっくり読める1冊と評したいところ。
個人的には、人の業を知り、人の生の檻を理解しても、それでも生きていくラストシーンに心打たれた長編作がやはり最愛でございます。