EveryDayIsSexDay  大谷紀子先生(原作:七月隆文氏)の『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』第3巻(宝島社)を読みました。異なる時間の流れを生きる二人が、作中の言葉通りに“端と端を結んだ輪になった”ストーリーが、切なくも優しい別離のシーンと優しい再開のシーンでまとめられていました。
時間を共に重ねることをユニークな視点から描いた作品でしたね。

  さて本日は、奥森ボウイ先生の『毎日が挿入日』(富士美出版)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『俺得修学旅行』(ジーオーティー)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
柔らか肉感ボディの美女&美少女達との日常の中での多彩なラブ&エロ模様を描く作品集となっています。

EveryDayIsSexDay1  収録作は、ホームレスとなった主人公は昔バンドマンであった時に熱烈過ぎるバンギャであった女性と出会い、現在は風俗業に従事している彼女は昔の激しさを失って主人公に尽くしたいと言ってくるのであるが・・・な短編「徒花が咲く頃に」(←参照 コスプレソープ嬢のお誘い 同短編より)+描き下ろし続編(16P)、および読み切り形式の短編8作+一部短編の後日談な描き下ろしフルカラー掌編(2P)。
描き下ろし作品を除き、1話・作当りのページ数は18~20P(平均19P強)とコンビニ誌初出としては中の上クラスのボリュームで推移。短編作ながら一定の読み応えを有するストーリーテリングであり、エロシーンも程好いボリューム感を備えています。

【ピュアな青春ラブエロ系と実話系エロの現実感】
  シナリオワークの方向性としては、若い男女のラブエロ模様を適度な甘味で描くタイプと、男と女のちょっと複雑な関係性を描くタイプに大別され、共に日常を生きる人間の現実感が織り込まれた作劇と感じます。
EveryDayIsSexDay2  カップルさんの嬉し恥かし初エッチを描く短編「夏色バズーカ」「エンジェル・イヤー」などは前者のタイプの作品であり、好き合う男女の気持ちが通じ合うことや恥ずかしがりながらもエッチに至ることのピュアで等身大の幸福感を柔らかい筆致で描き出しています(←参照 甘ーい! 短編「夏色バズーカ」より)。
ラブコメディ的な賑やかさや話としてのユニークさには欠けますが、特殊な設定・展開を擁しない分、話としての親しみ易さや作中の幸福感を素直に受け取れる度合いが高まっていると評しても良いでしょう。
  これに対して、不自由な暮らすセレブ人妻さんの保険セールスマンとの浮気セックスを描く短編「美魔女特約」や、地味な優等生が同窓会で男を誘う遊び人になっていた短編「劣情優等生」などは、いわゆる“実話系”の作品。
棚ボタ的な幸福感はありつつ、日常から非日常への漫画チックな解放感や幸福感を前面に出さず、その背景にある欲望の暗さ・危うさなども感じさせるストーリーとなっており、幸福かそうでないかのどちらにも振り得る雰囲気に現実感があります。
  自分の全てを受け入れてくれるという女性を信じきることができない男性を描く連作「徒花が咲く頃に」「毎日が挿入日」などのように、両者の中間的なスタンスの作品もあり、いずれも地味ではありつつ、多彩なストーリーそれぞれの味わいが楽しめる1冊と言えるでしょう。

【多彩な設定と健康的な肉付きのボディを有するヒロイン陣】
  短編「エンジェル・イヤー」のJKヒロインを例外としつつ、女子大生~20代半ば程度の綺麗なお姉さんが主力を担い、30代半ば~後半程度と思しき若々しい姿の人妻さんなども加わるアダルトレディのヒロイン陣。
隣人である眼鏡美人のお姉さんや、メイド衣装のソープ嬢さん、有閑マダムに普段の内気さと反対に情熱的なダンス姿を披露する受付嬢に、ちょっと恥ずかしがり屋だけど明るく優しい彼女さんなどなど、多彩な設定が用意されています。
  青春ラブストーリーなどでは、素敵な彼女さんのピュアな恋心を優しく紡いだり、実話系ではほの暗い情念やスリルを追う欲望を淫靡に振る舞うヒロイン達の表情にふっと混ぜ込んだりと、キャラとしてのキャッチーさをある程度押さえた上で、性愛を巡る機微を表現しているのは巧いと感じる点。
EveryDayIsSexDay3  おっぱいサイズや全体的な肉付きにはある程度のバリエーションはありますが、いずれにしても健康的な肉付きを感じさせる体幹に、程好い量感の並乳~巨乳&桃尻、黒い茂みをはやす股間を組み合わせた女体は、強力なセックスアピールこそ無いものの、現実感のあるバランスによって官能性を生じさせています(←参照 短編「トナリノ女」より)。
  初出時期に2年半とある程度幅があることもあって、基本的な絵柄そのものは大きく変化していない一方で、描線や修飾のまとめ方の細かい部分で変化はあり、近作になるにしたがって、作画の密度は概ね保ちつつも、よりさっぱりと健康的な色香やキャッチーさが目立つ方向に変化していったように感じます。

【ヒロインの柔らかボディと密着する幸福感】
  ページ数の都合上たっぷり長尺とは言い難いものの、コンビニ誌初出として標準的な分量は投入されており、導入パートや序盤でエロのドキドキ感を十分に煽ることもあって充足感や開放感で質的なボリュームを生み出すスタイル
  基本的に和姦シチュエーションで統一されていますが、彼女さんとのラブラブHもあれば、不倫セックスやメイド服ヒロインのご奉仕プレイ&主従おしおきプレイ、綺麗なお姉さんの誘惑筆下ろしなどなど、各作品でエロシチュの趣向は様々になっています。
いずれにしても、キュートな彼女さんがエッチに積極的な姿を見せてくれたり、クールなお姉さんタイプが情熱的な言動を示したり、優等生女子が好きモノ女子の本性を現したりと、ヒロインの意外な一面がエロシーンで出てくることが、ラブエロ系としての甘味や実話系エロのスリルに直結しています。
  比較的長めの尺を取る前戯パートでは、恋人同士のシックスナインや誘惑美人のねっとりフェラやパイズリご奉仕、洗体プレイなどの行為を投入し、ここで射精シーンを投入することもあれば、待ちきれなくなったヒロインが挿入にいざなるケースも存在。
EveryDayIsSexDay4じっとりと汗をかいてシズル感を増したヒロインの肉感ボディと密着する感触や徐々に蕩けていく熱っぽい表情付けなどを見せることに注力したエロ描写であり、演出面では派手さ・過激さを重視せずに適度な密度・アタックに抑えていますが、その分フィニッシュシーンなどでの演出的な盛り上がりが効くタイプです(←参照 短編「俺の彼女はすーぱーぷに子」より)。
大ゴマ~1Pフルの中出しフィニッシュを含め、大ゴマの描写に十分な威力や密度があるタイプですが、局所アップの小ゴマやカットイン的な演出を含めて比較的凝ったコマ配置をする傾向があり、コマを追うのに忙しいことがあるのは少々のネックでありつつ、同時に限られたページ数で情報量を増すことにも貢献しています。

  作劇・エロ共に落ち着いた部分があり、テンションの高いラブコメやハードな演出目白押しのエロ漫画をご所望な諸氏には不向きである一方、軽さ・穏やかさを保ちつつじっくりと楽しめる部分もある作品構築と感じます。
個人的には、本人はコンプレックスなものの柔肉たっぷりボディが愛おしい短編「俺の彼女はすーぱーぷに子」がお気に入りでございます。