
辣腕にして数多の怨嗟の対象であった井伊直弼がどう描かれるのかも楽しみですね。
さて本日は、岡田コウ先生の『だれにもいえないコト』(ヒット出版社)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『Aサイズ』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
キュートで儚げで、それでも芯の強いちびっ娘達の姿をハラハラドキドキなラブストーリー&ぐしゃぐしゃに蕩けて乱れてまくりな濃厚エロでお届けな作品集となっています。

計6作と収録本数こそ少ないものの、1話・作当りのページ数は37~50P(平均42P強)と個々にかなりのボリュームのある構成であり、単行本としての厚みは十二分。この大ボリュームをしっかりと長尺のエロシーンに充てつつ、登場人物の心の機微で読ませるシナリオ要素にも一定の存在感を持たせています。
【少女の純粋な愛情が罪科も背徳も受け入れる優しさ】
後述する様に凶悪なレベルで濃厚な陶酔感で満たすエロシーンの存在感が圧倒的でありつつ、そこで描かれるセックスの罪悪感や開放感と直結するシナリオワークにも強い存在感のあるスタイルが特徴の作家さんであり、本作でも登場人物達の心情描写を軸に、全体としては日常にある小粒なドラマに十分な読み応えを生み出す技量を示しています。
今回は、基本的には和姦エロでまとめていますが、読み手を色々な意味で悶絶させる強烈な凌辱・寝取られ系も描く作家さんであり、その両方の作風に共通するのは、登場人物の関係性という天秤がどちらに傾くのか分からないという緊張感・ドキドキ感にあると評してよいでしょう。
兄に対する罪悪感と誠実な愛情を有する妹と、これまた妹への罪悪感と自らの状況も含めたものへの焦燥感を抱える兄との歪な関係を描く連作「足かせ」、素直に恋愛感情や性欲を伝えることができずつい“理由”を求めてしまう少女を描く連作「めんどくさい!」、エッチな女の子とそんなヒロインをちょっぴりいじわるもしつつ愛でる青年を描く短編「あと三年待ってみる」は、いずれも一般的な倫理から観て「正常」な男女関係ではない部分を抱えるために、ある種の不安感や緊張感を有しているのは確かでしょう。
また、この作家さんの基本的なスタンスとして、いたいけな少女に手を出してしまう男はゲスなヤツであるということが挙げられ、寝取られ・凌辱系統ではそのゲスさを顕著に発揮させつつ、今回の様な和姦エロにおいても、例えば罪悪感や嗜虐性といった面でそういったゲスさをある程度表現しています。

二人の関係性を男性側からと少女側の双方から示した連作「足かせ」を中心として、性やら愛やらに振り回されつつ、登場人物の感情や願望を表出していく流れの上手さと、単に説明するだけではなく、適度に読者をやきもきさせる巧さがある分、ほんのり喪失感があったり(短編「深窓の」)、微笑ましさがあったり(両連作)なラストまでじっくり読ませる作りと言えます。
【ぺたんこバストのキュートでいい子なちびっ娘ヒロインズ】
思春期入りたて制服ガールズで統一されたヒロイン陣は、想定される年齢層よりも幼さを感じさせるキャラデザインであり、その守ってあげたくなる小動物感が、男性の保護欲もしくは嗜虐欲を感じさせるタイプ。前者もベースとしつつ、特にエロシーンにおいてがっつり後者を刺激するのがこの作家さんのスタイルと言えるでしょう。
クーデレ系の連作「めんどくさい」のヒロインの様にある程度キャッチーなキャラクター属性を含ませることもありますが、特定の属性の型に強くはめ込むタイプのキャラ設計ではなく、家族や周囲を慮ることのできる“いい子”ちゃんなタイプの女の子が多く、そんな汚れや悪徳を知らなそうなキュートな少女がこんなエロエロに!?というギャプが岡田コウ作品の実用面での肝と評しても良いでしょう。
短編「深窓の」では、初心な少年と色々と事情がありそうな少女との牧歌的である種対等というか、男性側が支配的でない状況を描いていますが、男性キャラクターが自身の行う行為の罪科や背徳を知った上で如何に振る舞うかという点も重要であり、彼らが敢えて踏み込むことで生じる征服欲やドキドキ感などを生み出しています。

既に十分なキャリアを積んだ作家さんであり、絵柄は単行本を通して安定。雑誌掲載時から更に描き込み密度を高めており、個々の描写と画面構成が組み合わさった上での濃厚感は凄まじいものがある一方、絵柄そのものはふんわりと柔らかい印象のものであるため、軽重のバランスが適度に取れている印象があります。
【濃厚なエロ演出で彩る強烈な陶酔感を長尺で提供】
各エピソードに十分な分量があることもあって、エロシーンは相当な長尺を誇っており、またこの長尺の濡れ場において、射精連発的なドライブ感よりも、ねちねちと少女の弱いところをたっぷりと刺激して蕩けさせ続けさせるようなタメを存分に効かせた構築が大きな特徴。
今回は基本的に和姦エロで統一していますが、前戯パートの愛撫や抽挿パートのピストン運動の連続などによって強烈な性的感覚をヒロインに与え続け、とろとろに蕩けたか弱き少女を男性的な欲望で支配・征服する一種の嗜虐性を備えていることは共通していると感じます。
下着や着衣の上から、次いで直にと、秘所や乳首といった性感帯を指や舌でねちねちと弄り倒して少女達を次第に蕩けさせていく描写や、それらの愛撫を続けながら小さなお口に怒張を含ませてご奉仕をさせる描写など、前戯パートにおけるねっとりとした描写は、勘所を押さえたアップ構図や連続描写に支えられており、この作家さんの高い技量を物語る一要素。
抽挿パートに移行後も、淫蜜をたっぷり分泌する小さな秘所に抽挿を繰り返しつつ、舌をねろねろと重ねるキスや、乳首や陰核、下腹部などを刺激する愛撫描写などを重ねて手数を増しており、それらをやはり複数アングルや連続コマなどでたっぷりと見せる情報量の高さと、それでいて画面が煩雑にならない調整力を示しています。

尺の長さを生かして前戯パートにおける口内射精に加えて、抽挿パートでも中出しを連続させる構築を取りますが、前述したように射精シーンまで十分なタメがあり、ぐしゃぐしゃに蕩けたヒロインの全身をたっぷりと攻め抜きながら、子宮内にたっぷりと白濁液を注入して彼女らにアクメを連続させていく流れも強烈であり、熱っぽく蕩けふにゃふにゃに脱力した少女達が白濁液を受け止めるフィニッシュも十分な演出を載せて複数回お届けの優良抜きツールに仕上げています。
シナリオに関して一定のシリアスな要素を有してはいますが、この作家さんとしてはかなり訴求層を広く取った上で、いつも通りに高質・長尺のエロシーンを提供しており、万全の口リエロ系優良抜きツールと評し得るでしょう。
個人的には、お兄ちゃんの葛藤やストレスのはけ口にされ、がっつり犯されながら、しかして彼女の純粋な善意と優しさが兄の罪を浄化していく連作「足かせ」が抜き的にもシナリオ的にも最愛でございます。