
徒に巨大兵器のスイッチを押して大量破壊しても人に迷惑にならないと楽しげですな。
さて本日は、かかし朝浩先生の『JKをおしえて』(メディアックス)のへたレビューです。久しぶりにレビューの俎上にあげましたが、成年向けジャンルでの3冊前の単行本『ドM改造計画』(一水社)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
ヒロイン達が色々と“変身”して知らなかった性的快楽の奔流に飲み込まれて喜悦に浸る作品集となっています。

描き下ろし作品を除き、1話・作当りのページ数は18~24P(平均20P強)と中の下クラスのボリュームで推移。中編作についてはストーリー面に一定の存在感はありつつ、基本的にはシナリオをコンパクトに畳んでエロを充実させる作品構築がメインと言えるでしょう。
【強烈な欲望に登場人物達が牽引されていくアブノーマル感】
お馬鹿テイストをたっぷり込めたエロコメ的な作品と、アブノーマル系としてのハードさを追求した作品のどちらも得意とする作家さんであり、今単行本でも両方のスタイルが楽しめます。
男性主人公が女性に性転換する、いわゆるTSモノ(TSF)であるタイトル中編は、女性の体になり、アナルを中心としてその性感を開発されながら、男性としての自意識を保つ主人公が、不良ガールコンビの差し金もあって、如何に男性としての自意識を振り切って精神や性的興奮の在り方も女性に変化していくかという流れを描いています。
優等生であった主人公が、女性としてのセックスの快楽に飲み込まれていくという点においては、堕ちモノ系の雰囲気はありつつ、周囲からの強制がある程度存在していたとはいえ、最終的には自覚的かつ自発的に“女性”としての在り方を主人公が選択するという描き方であるため、暗さ・重さの印象はそこまで強くないとも感じます。

また、性感を強烈に高めるツボや多重人格、エロ魔術等の漫画チックな各種ギミックや、真面目な優等生さんがビッチ目指して頑張って大変なことになる展開(短編「ちょろギャル」)など、コミカルさを有した要素も多い一方で、どちらかと言えば登場人物達を支配する快楽の強烈さを、劇画的なアングラさや一種禍々しい様相も交えて描いている為、カラッと明るいギャグ的な印象は強くないと感じます。
前述した様に短編も含めて重苦しい読書感は抑えており、明確なバットエンドではなく、おトボケ風味であったりヒロインが自ら快楽を求めるようになったりなまとめ方であるため、アブノーマル感は十分打ち出しつつ、読み口は軽めであると総括できます。
【スレンダー巨乳ボディの美女&美少女ヒロインズ】
指圧師の女性やコールセンターに勤めるOLさんなど、大人ヒロインも数名登場しつつ、中編の性転換主人公も含めて女子校生級の美少女さん達が主力を担います。

また、勉強のできる優等生少女(偏差値75)が偏った知識を基にギャルを目指してビッチ堕ちする短編「ちょろギャル」、女性の性的感覚を強烈に高める指圧術をマスターしてしまった主人公が登場する短編「プラチナフィンガー」、何処となく弘前市の某魔女姉妹を想起させるヒロインコンビが登場する連作「ビッチウィッチ」など、設定やキャラデザにパロディを認識させるキャラクターが多いのも特徴でしょう。
徐々に女性らしい体型に変化していく中編作の性転換主人公など、等身や全体の肉感などには年齢設定等による一定の描き分けはありますが、すらりとした手足と肉付き弱めのスレンダーなボディに豊満バスト&形の良いヒップを組み合わせたボディデザインで概ね統一。
一般向けジャンルでも活躍されている作家さんであり、比較的素朴で親しみやすい絵柄でありつつ、現在のエロ漫画ジャンルを席巻するキャッチーさとお色気の濃厚さを高い水準で両立させる絵柄に比べればオールドスクール感や物足りなさは否めないところ。
とは言え、ベースとなる絵柄がさっぱりとシンプルな印象がある分、後述するエロ演出のアタックの強さや淫猥さがギャップとして引き立っている印象があり、また柔肌やタイツといった質感が重要なものの描き方には十分な密度を載せているのも印象的です。
【ハードなエロ演出で彩る熱狂的なヒロイン達の痴態】
明確にエロをたっぷりと提供することを意図した作品構築であり、ページ数こそ多い方ではないものの、抜きツールとして標準的な分量を用意して、ヒロイン達が熱狂的な痴態に包まれていく様を提供。
女体化した主人公とビッチギャルとのレズセックス調教や、アナル性感開発、拘束された男友達とのセックス強制などなど、アブノーマルなプレイを満載する中編の他にも、ピュアな性格の女の子を魔法で発情&言いなりにしたり、性感を異常なまでに高めて高慢ヒロインに制裁を加えたり、多重人格それぞれの性質に沿ってプレイや言動が次々と変化していくシチュエーションであったりと、変化球のエロシチュ・プレイが多くなっています。

そういったヒロインの変容・変化を強調する企図もあって、エロ演出は攻撃性の高いものをチョイスしており、淫語搭載のお下品なエロ台詞やち○こを前にしての喜悦の表情、ピストンされながら曝け出す、目を潤ませ舌を突き出すだらしのないアへ顔、じっとりと溢れ出す汗や白濁液のシャワーに濡れる女体等々の演出を十二分な密度で織り込んでいます。
前述した通りに、絵柄の性質もあってこれらのエロ演出が十分なアタックの強さを生んでいるのが強みであると同時に、逆に言えばベースとなる絵柄との相性が必ずしも高いわけではなく、一種のどぎつさを感じることもあるのは確かであり、良くも悪くも露骨さやアングラ感のあるエロ描写とも評し得ます。
状況の変化なども含め、複数のエロシチュを含めてエロシーンを構成しつつ、各パート・プレイがやや駆け足になっているのは難点ですが、前戯・抽挿パートの双方に射精シーンや絶頂シーンを投入する複数ラウンド制は嬉しいところで、大ゴマでのフィニッシュシーンでも液汁描写や台詞表現等を添加することでエロとしての過激さ・高揚感をアピールしています。
作劇・作画共に読者によって好みが分かれる要素はありますが、ユニークな面白さがある作品集であることは間違いなく、一風変わったエロ漫画を読みたい諸氏にはお勧め。
個人的には、堅物優等生さんがギャルを目指して騙されまくりビッチ道をガンガン疾走することになる短編「ちょろギャル」に笑わせて頂いて、これがお気に入りでございます。