Fanaticism 武田一義先生(原案協力:平塚柾緒氏)の『ペリリュー 楽園のゲルニカ』第2巻(白泉社)を読みました。功績係として、生き残った者達の記憶の中にある死に触れざるをえない主人公の立ち位置は壮絶であるなと感じました。「こんなのあんまりだ」という一人の人間としての叫びに胸を打たれます。
大局の中での価値を失っても戦いという命の損耗が続く無情さに何とも言えないため息がでます。

  さて本日は、しおこんぶ先生の『Fanaticism』(文苑堂)のへたレビューです。なお、先生の前単行本(初単行本)『恋まぐわい』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
近代欧州を舞台として多彩な人間模様の中で柔らか肉感ボディの美少女&美女達が強烈な快楽に染め上げられる作品集となっています。

Fanaticism1  収録作は、立派な屋敷で働くことになった新人メイド・アリッサは上級使用人である奥様付きのメイド・コレットによって若主人の性教育係の補助を命じられ、優しい若様との恋に落ちるが、その平穏な屋敷に隠されていた狂気が徐々に明らかになっていき・・・なタイトル中編「Fanaticism」全4話(←参照 初心な美少女メイドが夜伽を 同中編第1話「憧憬の視線」より)、および読み切り形式の短編2作。
計6本と収録本数こそ少ないものの、1話・作当りのページ数は36~40P(平均37P弱)とかなりボリュームがあり、単行本としての厚みも十分。ページ数が多いこともあって、短編・中編共にストーリーとして相応の読み応えがあり、もちろんエロシーンの分量も充実した作品構築となっています。

【“カントリー・ハウスもの”的な魅力を織り込んだ作品群】

  前単行本が和装・和風の要素で統一した作品群であったのに対し、今単行本では18世紀後半~19世紀初頭程度の英国・欧州風の世界を舞台とした作品群となっています。
Fanaticism2 初心なメイドが優しいご主人様と恋に落ちるも、彼女は厳然とした社会階級の壁と上級メイドであるコレットの策謀(←参照 表出する狂気 中編第3話「劇場の誘惑」より)、名家の中に渦巻く狂気の風習といったものに飲み込まれていき、純粋な恋愛関係を引き裂かれた彼女の末路は・・・というのが中編作のストーリー。
閉鎖空間の中で渦巻く愛憎や陰謀といった点は、アニメ/ゲームジャンルにおける“館モノ”の要素を踏襲していると言えますが、その一方で貴族と平民の格差および使用人の中での格差といった人物関係をベースにした中での恋愛や駆け引きを描いているのは、例えば『ゴスフォード・パーク』『ダウントン・アビー』といったイギリスの“カントリー・ハウスもの”の面白さと共通点を感じます。
  純真なヒロインが性愛の喜びを知り、そして堕ちていくヘビィな中編作に対し、名家のお嬢様とそのお付きのメイド美人との信頼・性愛関係を描いた短編「Lily ties」や、看護婦として従軍した結果、精神を病み、麻酔(麻薬)中毒となったヒロインを幼馴染の主人公が愛情を以て助け出す短編「mitigation」はよりポジティブな雰囲気であり、優しい読後感を残してくれています。
身分違いの恋、家の方針による望まぬ結婚、戦争の惨禍に遭った人間と、それぞれの作品の主題は相応に重いものであるため、軽い読書感を求める方にはやや不向きではありますが、これも“カントリー・ハウスもの”の特徴と言える要素で、個人的には“らしいな”と感じました。
  前単行本に引き続き、共通する作品の舞台設定・世界観をしっかりと構築することで、それらの面白さや魅力を十分に抽出して、エロ漫画的な翻案を加えつつも、作劇そのものの魅力に昇華できている点は高く評価したいポイント。

【スベスベな柔肌に包まれた肉感ボディ】
  中編作にサブヒロインとして登場な伯爵家の奥様や、短編「Lily ties」に登場するヒロインのメイドにして“お姉様”など、20代半ば~30代後半程度と思しきアダルト美人達も数名投入しつつ、主力級を担うのはハイティーン~20歳前後と思われる美少女さん達。
共に戦禍を潜り抜けた平民である主人公とヒロインの絆の再生・救済を描く短編「mitigation」をやや例外としつつ、前述した様に“カントリー・ハウスもの”ということもあって、メイドさんや貴族の御令嬢といった女性キャラクターが揃っています。
優しい若様の“本性”を目覚めさせ、それに従属するために策謀を巡らすコレットさんなど、印象的なキャラクター性を持たせることにも成功していますが、分かりやすい属性を添付するというよりかは、身分の差など、作中における人物関係の構図においてそれぞれの立ち位置を明確化させることで、作品の主題を浮き立たせるタイプのキャラクター作りと評し得るでしょう。
Fanaticism3  身長やおっぱいサイズにある程度のバリーションを設けつつ、基本的には柔らかなお肉をたっぷりまとった肉感ボディであることは共通しており、巨~爆乳のたっぷりおっぱいに、これまたボリューミィなお尻や太股などのストレートなセックスアピールと(←参照 主人とメイドの禁断のレズセックス 短編「Lily ties」より)、ツヤツヤとした柔肌や淫靡な粘膜描写等の体パーツ描写の丁寧な描き込みで魅せる女体。
舞台設定の要の一つといってよい衣装描写も丁寧であり、また艶やかな髪の毛の表現など、デジタル作画的な密度の高さや華やかさを前面に押し出した画風。エロシーンを中心に計28Pを擁するフルカラーでの絵柄とモノクロ絵とで印象や情報量に差が小さいのは大きな武器と言え、単行本を通して表紙絵と完全互換で絵柄は安定しています。

【たっぷり長尺でお届けな美少女ヒロイン達の狂乱の痴態】
  カラーページを冒頭に持ってくる構成上の都合や、複数のエロシチュエーションを1話・作の中に織り込む構成などもあって、エロシーンを分割構成することも多い一方、各エピソードのページ数が多いため、個々の濡れ場に十分な尺が設けられており、抜きツールとしての満腹感は強く仕上がっています。
  中編作の中でもラブラブHもあれば、参加者達が本性を曝け出して肉欲に塗れる乱交の宴、純真なヒロインが凌辱・調教され続けその精神が壊れていく過程と様々なエロシチュが含まれますし、短編作でも百合セックスや麻酔の濫用で快楽中毒に陥ったヒロインが貪るように腰を振るセックスなど、エロシチュや濡れ場の雰囲気は様々。
そのように多彩なエロシチュの中である程度共通している要素は、性的快楽をヒロイン自身が強く求めるという点であり、それが身の破滅や狂気に包まれるものであることもあれば、信頼する相手との絆を確認するための行為であるなど、指向する方向性が前述したエロシチュの多様性につながっていると評し得るでしょう。
  凌辱・調教系のエロシチュでは、首絞めセックスやイラマチオ、輪姦などヒロインの心身を蹂躙するハードなプレイが多く、読み手の好みを分けるところですが、和姦エロにおいても激しく体を絡ませ、強烈な快感に震えながら、更なる快楽を求めて蕩けきった痴態を曝け出すアタックの強い表現を連発。
Fanaticism4汗やら汁やらでシズル感を増す柔らか肉感ボディそのものの存在感に加え、要所で投入するアへ顔やお下品な歓喜の嬌声(←参照 中編第4話「狂宴の聖夜」より)、たっぷりバストを重たげに揺らす乳揺れ描写、コマぶち抜きの結合部見せつけ構図に結合部アップの連続コマを付随させる画面構成など、威力の高い構図・演出を多数用いて、絵柄の性質もあってエロの密度を存分に上げつつ、決してクドくなり過ぎない水準に留めているのは○。
  前戯・抽挿パートを併せて複数の射精シーンを搭載し、ヒロインの絶頂描写なども含めて抜き所を多数搭載するエロシーンの構成となっており、フィニッシュシーンでは蕩けきったメス顔やら狂乱のアへ顔を浮かべ、最早言葉にならない悶え声を上げながらアクメに震えるヒロインの表情と、がっつり押し開かれ白濁液を注ぎ込まれる秘所やアナルを1Pフル~2P見開きでたっぷり提供しており、これもページ数の余裕が為せるサービスと言えるでしょう。

  “カントリー・ハウスもの”的な作品世界を共通させ、それ故の魅力をしっかりと織り込んだ構築力を高く評価すると共に、ハイカ口リーなエロの満腹感も高い逸品。暗めの話が嫌いな方には勧めがたい点は留意すべきですが、次回はどんな世界観で魅せてくれるか大変楽しみですね。
個人的には、序盤で普通の?メイド美少女ものと思いきや、いい意味で裏切られた中編「Fanaticism」がお気に入り。お勧め!