
正月は風邪で臥せっておりまして、寝床でアズレンのイベントやったり、流行りのバーチャルYoutuber見てたりしてました。
さて本日は、煌野一人先生の『ドールズ』(ティーアイネット)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『パラサイトクイーン』(キルタイムコミュニケーション)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
女性がオナホとして徴発される狂った世界観の中で繰り広げられるドラマとハードエロがたっぷり詰まった1冊となっています。

1話当りのページ数は24~32P(平均28P弱)と個々にボリューム感のある構成。エロシーンに十二分の存在感を有しつつ、長編ストーリー全体としての読み応えも有する重厚な作品と評したいところ。
【狂気のシステムを受容した社会で持続される歪み】
何かしらの法律や国家権力によって性的な他者の支配が合法化されるという設定は、エロ漫画ジャンルにおいてある程度ポピュラーなものですが、その中での人間ドラマや狂気の世界観の掘り下げによって本作では、単なる便利なエロギミックであるだけでなく、十分な読み応えを産む要素となっています。
それまで普通の生活を送っていた人間が、突如人権を停止され、他者にモノ扱いされるだけでなく、首輪型デバイスによる心身の操作や苛烈な扱いの中で壊れていく様が悲惨であることに加え、既存の他者との関係性も崩壊させられていくのも悲劇性を高めています。

自分には関係ないと無関心であった法律や権力によって自身が搾取される側にされてしまう恐怖や理不尽、結果として数字が出て法的な裏付けがあればその過程が生む非人道性に麻痺していく官僚主義の悪弊など、全体主義の恐怖やディストピア“的”な世界観では王道の要素を有していることも作品の深みに寄与。
第1話との対比でも魅せる最終話「緒方千鶴編」では、この法律の運用における強烈な問題点の端緒が示されており、当レビューにおいて詳細の記述は避けますが、権益を生み出すシステムがシステムとして維持されるために、犠牲者の与り知らぬところで選別が行われるという構図は非常に恐ろしく、また風刺的でもあります。
便利なエロギミックの便利さを十分に用いつつ、それを丁寧に掘り下げ、その“秩序だった狂気”が生み出すものを描き出した作品と総括できるでしょう。
【スレンダー巨乳ボディの美少女&美女さん達】
オムニバス形式のシリーズ作品であるため、登場ヒロインの数は多く、女子校生級のハイティーン美少女を主力としつつ、20代半ば~30代前半程度と思しきアダルト美人さん達も数名登場。

DV夫から逃れラブドールとしてながら、購入者の男性とささやかな幸福を得た薄幸美人の元・人妻さんは前述の女性キャラクターと境遇が異なりますが、彼女の場合も人権を停止された存在である故の悲劇が最終的には待っており、個々のキャラの背景や恐怖や絶望の心理を一定掘り下げていることもあって、いずれのバットエンドも相応に重さがあります。
おっぱいサイズや女体の熟れ具合にはキャラ設定によってある程度のバリエーションはありますが、基本的にはしなやかな四肢の伸びるスレンダーボディに弾力感のある美巨乳&むっちりヒップを組み合わせた万人受けするエロボディが勢揃い。
この端正な肢体が、無茶なエロプレイの数々によって蹂躙されることでむごたらしく変化する様子も一定の過酷さがあり、子宮脱やガバマン化、精神崩壊などが待ち受けます。
程好い濃さ・重さも有しつつ、当世流行りのキャッチーさや華やかさもある絵柄であり、表紙絵と完全互換のクオリティで安定しているのも大きな安心材料と言えるでしょう。
【強烈なエロ演出で彩るハード&アブノーマルな凌辱】
分かり易くエロメインの構築が可能な設定であり、個々に十分なページ数のある各エピソードでは長尺の濡れ場で、ハードなプレイと強烈で狂気的な痴態をたっぷりと投入。
元・人妻ラブドールさんによろ年上の優しいリードによる童貞貰い受けエッチなども例外的にありますが、デバイスによる性感強制増幅での快楽ガンギマリ、人格改変による羞恥プレイの強要、胴を固定しての所謂壁尻シチュエーション&肉便器化、売春強要&輪姦などハード&アブノーマルなシチュエーションで固めており、システムの受益者が一方的に被害者を囲んで棒で叩くという冷酷さ・理不尽さが徹底されています。
強気ヒロインへのご奉仕フェラ強制や、一方的にお口ま○こを使用するイラマチオ、処女ヒロインを操作してのストリップやらオナニー見せつけの屈辱プレイも投入し、ねばっこいザーメンをお口にたっぷり出して精液鼻提灯をさせたり、美少女フェイスを白濁で汚したりで前戯パートを形成。

豊かなバストが突き込みに合わせてゆさゆさ揺れる描写や、肉棒がズンと最奥まで一気に貫く結合部アップ描写、バスト&ヒップが揉みしだかれたり腰を叩き付けられたりで変形させられる弾力感など、肢体描写の存在感の強さと、各種エロ演出の強烈さ・濃厚感が噛み合ってアタックの強い演出を連続させるドライブ感は強烈。
上下前後の肉穴に次々と白濁液を注入され、狂気的な快楽に溺れながら自我を喪失していくヒロイン達は、多回戦仕様のエロシーンを経てから1Pフル~2P見開きの大ボリュームのフィニッシュシーンへと突入し、ち○こと白濁液に塗れながら、アへ顔&絶叫のハードアクメに達して取り返しのつかない状態に至ったことを示唆し、その絶望感を漂わせながら強烈な抜き所に仕上げています。
前作に引き続き、作品世界の作り込みがストーリーに重厚さを与え、エロの多彩さやシチュエーションの魅力の強化とも密接にリンクしていたのが最大の評価ポイントと感じます。
2018年最初のレビューでこのヘビィな1冊をレビューできて嬉しかったです。エロのハードさ・ストーリーの冷酷さもあって万人向けではないですが、個性的なエロ漫画が読みたい諸氏にお勧め!