
さて本日は、ほんだありま先生の『ストレス昇天機構 甘えんじぇる』(エンジェル出版)の遅延へたレビューです。先生の前々単行本『ケダモノ女子は発情期❤』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
スレンダー巨乳ボディの美女天使たちによるそれぞれのストレスを浄化してくれる甘やかしエッチがたっぷり詰まった1冊となっています。

1話当りのページ数はいずれも20Pと中の下クラスのボリュームで固定。長編作ではありつつストーリー性は軽めにまとめており、程好いアタック&ボリューム感のエロシーンが安定供給された作りとなっています。
【生に活力をもたらす“甘やかしエッチ”という一時の自己解放】
複数話に渡って登場する天使さんが存在したり、あるエピソードに登場したサブキャラが別のエピソードではメインキャラであったりと、作品世界が同一なシリーズ作であることを伺わせますが、形式としては個々のエピソードが独立したオムニバス形式に近い構成。
ストレスの溜まった人物のところに、エッチで優しい理想の存在としての天使が降臨して心身を快楽で充足させてくれるという大変にドリーミーな様相であるのは確かであって、棚ボタエロ展開的なウハウハ感が魅力の一つではあります。
とは言え、仕事でのミスがトラウマとなっての“逃げ癖”を抱える会社員、失恋のショックから他人の恋路への強い嫉妬に囚われている男性、大学デビューに失敗し孤独感と自信喪失に苦しむ男性、離婚や上司のセクハラにストレスを抱える女性など、全体的にコミカルに描かれながらも登場人物の抱える悩みやストレスは現実的であり、時として深刻な問題になるものです。

また、甘えんじぇる達は“機構”とある通り、非常にシステマチックに動いており、ストレスの浄化後には行為の記憶を消す担当者たちが存在します。“甘やかす”という行為が継続的に保障されるのではなく、一時的な“非常に都合の良い”甘い幸福が、ポジティブに生きていくことをアシストしてくれるという構図は、ドリーミーなエロ妄想に元気を貰いつつ、同時にそこに逃避や依存をするのでもないという、エロコンテンツとの理想的な付き合い方を示しているとも解釈できるでしょう。
人間のストレスの浄化をしている内に、昇天機構側のメンバー(特にリーダー)にも疲労が溜まってしまい・・・という意外な展開が最終話で用意されていますが、特にシリアスになることはなく、穏やかでポジティブな雰囲気を保ったまま、長編として緩くまとまっていると言えるでしょう。
【スレンダー巨乳ボディの多彩な美人天使たち(+α)】
第8話に登場する20代後半の女性講師さん、第7話にサブヒロインとして登場する悪魔(甘淫魔)を例外として、基本的に天使がヒロインであって、人外の存在ということもあって年齢層は不明ですが、キャラデザインとしては綺麗なお姉さんタイプが揃っています。
天使たちはストレスが溜まった対象(男女を問わない)の理想の姿で顕現することもあって、キャラデザインやキャラ属性は様々であって、推しが(スキャンダル的な意味で)燃えたドルオタの前には大好きなアイドルそっくりの姿&声で、保育士の仕事のストレスに悩む男性には憧れの存在であり、自身の保育士への就職を決定づけた想いでの保母さんの姿でと、対象者が心を開ける存在という面が強調されます。
なお、この業務に励む天使たちは志願制であり、生前に人の愛で救われた経験を持つのですが、彼女達の生前の記憶であったり、対象者との縁であったりとがストーリー上重要になることもしばしばあって、この辺りに由来するヒューマンドラマ的なハートウォームさも魅力の一つと言えるでしょう。

なお、全裸セックスの投入頻度が高いものの、アイドルオタクのためにアイドル衣装で登場したり、憧れの保母さんのエプロン姿であったり、メガネ&パンストの女教師風であったり、偽甘えんじぇるを捕縛する対魔特殊部隊の天使さん達はシスター・巫女・シャーマン装束であったりと、着衣セックスの場合は衣装の種類がなかなかに充実しています。
程好く濃いめの色気感を織り込みつつも、重さ・濃さに偏ることは排して漫画チックな親しみ易さを保つ絵柄は単行本を通して安定しており、表紙絵とも完全互換。意外に華やかで細やかな、時に少女漫画チックな修飾性があるのも特色と感じます。
【個々の願望に沿った甘やかしエッチの幸福感】
ページ数の関係上、エロシーンのボリューム感が強いとは言い難いものの、抜きツールとしての標準的な尺は有しており、雰囲気としての甘味の密度で勝負するスタイルとも言えるでしょう。
年下好きドMな女性のストレスを解消させるために男性天使が派遣されて積極的に攻め、彼女の性癖を満足させるといった展開もありますが、このケースも含めて女性側が主導的であり、特に男性を甘やかすエッチというシチュエーション作りがメイン。
その上で、結婚に憧れを持つ故の新婚いちゃらぶプレイ、保育士の男性が憧れの保母さんに童心に帰って甘えるプレイ、アイドルに絶望したドルオタが伝説のアイドルのパフォーマンスを独り占めしながらのデュエットHなどなど、個々のストレス源と密接に関連し、それを解消してくれる幸福をもたらすプレイが各エピソードに用意されています。
柔らかバストでち○こを包み込んでくれるパイズリや、丁寧な舌&唇遣いで肉棒を気持ち良くするフェラなど、サービスプレイを投入するケースでは射精シーンを付随させていますが、全体的なページ数の関係もあって前戯パートの尺は短い傾向にあります。

エロシーンも含めて登場人物の救済、天使さんと人間の分かり合える部分の表現など、作品全体のハートウォーム感と密接に関連する描写が多く、エピソードによっては抜きに集中しがたい構成であるのは確かで好みが分かれる点かもしれませんが、ヒロインが嬉しそうなエロフェイスで白濁液を受け止めるシーンの使い心地の良さは小さくない魅力と言えます。
たっぷりこってりなエロ描写を求めるのはやや避けるべきですが、理想的な存在に心から甘えて、気持ち良くして貰えるというシチュエーションそのものの魅力が大きく、ストーリーとしても心地よさがあります。
個人的には、浪人中の主人公が自身の学びや憧れの初心を美人女教師さん風の天使さんとのエッチで取り戻す第2話が特にお気に入りでございます。