
ネットで読んだ時も思いましたが、作品のラストは実にこの作品らしいもので、希望もありながら、同時に強い不安と恐ろしさもあるんですよねぇ。
さて本日は、Cuvie先生の『GLOSSY』(スコラマガジン)のへたレビューです。先生の(成年向け)前単行本『TEMPTATION』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
どうしょうもなく体を焦がす性欲に衝き動かされる美少女&美女達が熱っぽく乱れる様子を多彩な作劇でお届けな1冊となっています。

1話・作当りのページ数は24~28P(平均26P弱)と中の上クラスのボリュームで推移。ストーリー性こそコンパクトにまとめつつ、展開に惹きつける上手さが相変わらず魅力の作劇であり、十分なアタックと量的満足感のある濡れ場も安定供給されています。
【男女双方の快楽欲求で進行する多彩なお話】
ラブコメ系からヘビィ&ダークなお話まで作劇の引き出しの多さを誇る作家さんであり、今回もシナリオワークの方向性は多彩。その上で、これまでの単行本レビューでも繰り返し述べていますが、抗しがたい情動や欲望が登場人物を衝き動かしていく様相は、作劇の方向性を問わず大半の作品に共通する要素と言えます。
セックスの際に夢中になってしまいヒロインへの気配りの無さを悩む彼氏君とそれでもいいからちゃんとエッチをして欲しい彼女さんのラブエロ模様な短編「セカンドヴァージン」、居残り作業中な二人が疲れもあってか興奮してしまいヒロインによる悪戯がエッチなことに発展な短編「Splaaash!!」などは、男女二人に閉じたお話ということもあって性的な解放感を含めたポジティブさがある作品。
これに対し、エッチに興味津々な思春期ボーイズが隣人の奥様の不倫セックスを覗き見したこととで淫乱な彼女に誘われてそのまま浮気3Pへ~な短編「ボーダー」、職場の先輩に誘われてエッチされるも、そのルームメイドの女性にも誘われてベランダでいきなりの浮気セックス?に突入な短編「とらいあるっ!!」、ナンパして合意の上でエッチした女性が兄の婚約者であることが判明してしまう短編「最低の再会」などは、話としての明暗には幅がありつつ、浮気や寝取りといったインモラル系の要素が絡む作品。
インモラルさもありつつ、 棚ボタ据え膳展開からヒロインの意外な行動により姪っ子も含めてドタバタな騒動が繰り広げられる連作、決して覆ることのない母親の遺言を枷とさせ、単なる強姦以上にヒロインの尊厳や人生そのものを踏み躙る伯父を描く重苦しい短編「不自由…」など、その他の作品も雰囲気の明暗は様々です。

話そのものはコンパクトですし、非常に多作の作家さんということもあって話の構図に過去作との共通点がある、逆に言えばあまり新味がないというケースも散見されますが、とは言え、オチなども含めて展開の意外さ、明暗どちらの場合でも印象的な台詞・モノローグなど、適度に読ませる作劇の上手さは明瞭と言えるでしょう。
【端正な美しさがある美少女&美女のしなやかボディ】
ヒロイン陣の年齢層としては、JK級から20代半ば程度までとなっており、女子校生ヒロイン、女子大生ヒロイン、社会人ヒロイン(人妻含む)が概ね同数程度という陣容。
少し不器用であるが何だかんだで彼氏君ラブでエッチな彼女さん、伯父による性的搾取に苦しめられる真面目で働き者な女子大生、性的に奔放すぎる童顔巨乳若奥様、大人しい様で意外に大胆なスケベガールとクールな様で実は伯父さんラブなツンデレ的姪っ子ちゃんなどなど、多彩なヒロインを用意。
決して奇をてらったタイプのキャラ造形ではなく、エロ漫画的にオーソドックスな要素で形成するヒロインも多いのですが、男性キャラも含めて“分かっちゃいるが止められない”的な人間の普遍的な複雑さ・もどかしさが織り込まれることで、単調なキャラ造形にしないのが巧さと感じます。

ねっとりとした淫液が絡む舌や秘所、控えめサイズの乳輪&乳首、薄めでありつつ適度に主張する陰毛など、体パーツ描写は丁寧に描き込んで適度な淫猥さを持たせつつ、上述した女体描写のバランスを崩さない水準に収めています。
絵柄として完成していると同時に、成年向けだけでも今年3冊目という作品の生産速度の高さもあって言うまでもなく作画は安定。表紙絵の印象とも齟齬を感じさせない作画の適度な密度と細やかさもあって、訴求層が広い漫画絵柄と言えるでしょう。
【快感にのめり込んでいく適度に濃厚さとアタックのある痴態描写】
展開の都合上、エロシーンの分割構成が必須な短編「最低の再会」「とらいあるっ!!」といったケースもありますし、セックスに至るまでの導入に十分な尺を備えた構築も多いですが、ページ数の多さもあって特にメインとなる濡れ場には適度な量的満足感があります。
カップルの恋愛セックスもありつつ、作劇面で上述した様に不倫や寝取り的様相、凌辱エロなどインモラル系のエロシチュが多くなっています。その場合でも、性的解放感で比較的ポジティブな印象を有するケースもあれば、脱することの出来ない泥沼へと沈み込んでいく暗さ・重さがあるケースもあって、受ける印象は作品によって様々です。
エロシーンの分割構成をする場合では前戯パートはかなり短くまとめることが多い一方で、ヒロインの胸や秘所をねっとりと愛撫して快感を刷り込んでいく描写など十分な尺を用意することもあります。ヒロインのねっとりフェラや密着手コキなどの、彼女達の積極性を示すサービスプレイを適度な尺を投入することもありますが、この場合射精シーンは基本的に付随しないことは賛否が分かれる点でしょう。

比較的シンプルな表現ではありつつ、淫液にまみれた媚肉が絡みつく結合部アップ描写や断面図には十分な淫猥さがありますし、これも好みが分かれる要素ではありますが、ねっとりキスなども含めて男女の体の密着感を、男性の体躯を相応の面積で描くことで十分に強調しています。
小~中コマを詰めた画面構成とフィニッシュを含めた大ゴマの威力のある画面の緩急の上手さもあり、短編「ボーダー」等の少数の例外を含めて1回戦仕様でフィニッシュまでの十分な描写のタメがある構築も加わって、小刻みなアクメの連続から最高潮のアクメに至るフィニッシュの実用性を高く仕上げています。
派手さこそ無いものの、作劇・作画の両面に丁寧で細やかさ、繊細さを感じさせますし、総評としてはいつものCuvie先生らしい1冊だなぁと感じる最新刊。
個人的には、職場の先輩に誘惑されてセックス&そのルームメイトにも誘惑されて即日浮気セックスだが、果たしてその結末は!?な短編「とらいあるっ!!」が特にお気に入りです。