
陽さんも加わることで、平和ではありつつお姉ちゃんの独占欲も高まる仕様で、キスシーンも大変眼福でございました。
さて本日は、みぞね先生の『異種恋愛』(文苑堂)のへたレビューです。先生の前単行本『モンスター娘の堕とし方』(ジーウォーク)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
多彩な人外美少女さん達とのハートフルな純愛ストーリー&優しく力強い恋愛セックスが詰まった1冊となっています。

なお、短編「理想の彼女」には前々単行本『ばけものえっち』(文苑堂)に収録の短編「愛しの宇宙人」のヒロインがちょろっと登場しています。
1話・作当りのページ数は22~28P(平均26P弱)と中の上クラスのボリュームで推移。長編作としても、個々のエピソードについても程好い読み応えのストーリーであると共に、ラブラブHの幸福感にたっぷり浸れる構築でもあります。
【違いを超越する誠実でエネルギッシュな恋心の微笑ましさ】
長編作は、雪花さんと英司君との恋愛関係の進展というものをストーリーの軸としつつ、彼らの周囲のカップルさん達の恋模様をオムニバスに近い形式で描いていきます。
体のつくりが違ったり、言語が違ったり、倫理観が違ったりと人間である少年達と、異種族であるヒロイン達が、それらの違いを乗り越え、種族如何ではなく、個と個として互いを好きになり、素直な感情を打ち明け、性愛の快楽を共にするという恋愛ストーリーとしての王道的な要素を、異種族ヒロインという設定によって印象的に打ち出すことを可能としているのはこの作家さんらしい美点。

登場人物達の微笑ましくも直向きな恋心の表現もあって、恋愛ストーリーとしての甘い幸福感を一貫させていますし、長編全体の構築として、恋愛の善なるものが新たな善なるものを呼び込んで皆が幸福になっていく様相にハートウォームなものがあると言えるでしょう。
また、登場人物達が皆善人であり、色恋沙汰における不器用さであったり、すっと素直な感情が表出されるいい意味での衝動性があったりと、親しみやすい感情の動きが描写されることで、彼ら彼女らが恋愛とセックスを通じて幸福に満たされることへの祝福を呼んでいるのも小さくない美点。
短編「理想の彼女」などのように、コミカルさを含めたオチに仕上げることもありますが、いずれも甘く優しいハッピーエンドに仕上げていて、心地良い読後感を残してくれています。
【人外としてのキャラデザとキャラとしての親しみ易さの両立】
短編「理想の彼女」の居候宇宙人ガールや、長編第3話の陸上とは異なる文明を築いている人魚さんなどは年齢層が不明ですが、その他のヒロインは作品世界における女子校生であって、その恋人となる人間の男性達も同年代。
ヒロインは人外キャラクターのみで占められており、角が生え青い肌の持ち主の氷鬼、首がとれるデュラハン、下半身が馬なケンタウロスに異なる言語を話す人魚、鼻や毛皮&尻尾にケモ要素が目立つ獣人サキュバス、はたまたスライム系ボディの宇宙など多彩な種族が登場します。

なお、温和な性格の好青年である英司君を含め、不器用な堅物ボーイであったり、温和な性格の幼馴染であったり、自己評価の低い根暗系ボーイであったりと、ヒロインと性格面での好対照を形成する男性が比較的目立っており、かつ読み手の共感を呼ぶタイプであることで、彼ら彼女らの恋の成就を読み手が素直に応援したり祝福できるのも恋愛モノとしての大きな加点材料。
下半身が人間のそれと大きく異なる構造であることもあって、単純な比較は出来ないものの、低身長&控えめおっぱいなケモサキュバスさんや、高身長スレンダー巨乳な雪鬼の雪花さんにトランジスタグラマータイプのその妹・歩雪ちゃんなど、おっぱいサイズや身長の高低といった(人間に類似した部分の)ボディデザインはキャラクターによって様々です。
細やかで丁寧な描き込みを示しながら、絵としての重さを感じさせず、描線の軽やかさや柔らかさが印象に残る絵柄は、漫画チックな親しみ易さや程好い華やかさを有するタイプであって、表紙絵・裏表紙絵と印象の差異を多少感じるものの、単行本を通して安定しています。
【幸福感と実用性を高める恋愛セックスとしての熱量の強さ】
登場人物の恋路とセックスに至るまでの流れを比較的丁寧に描く分、がっつりエロ特化という印象はない一方で、ページ数が十分であることもあって濡れ場の満腹感は適度に強い構成となっています。
通話しながらのほんのりドキドキ羞恥シチュやサキュバスさんの搾り取りエッチといった味付けを加えることもありますが、それらの場合も含めて愛し合う者同士の初めてのエッチの高揚感や解放感、そして双方の心と体が性的な快感を通じ合う幸福感を明確に基調とした恋愛セックスとして描かれています。

体から分離した頭部を少年が支えながらのフェラ、透明スライムボディである故の心臓のドキドキ感や自動的に透過図となるピストン運動、お馬さんボディへのバックからの交尾的体位などなど、人間では困難なプレイや表現を投入しているのは人外ヒロインらしい特徴ですし、その上でそういった差異とは無関係に好きな相手をがむしゃらに求める力強さが一貫しているのも作劇の傾向と合致しています。
好きな相手を気持ち良くしてあげたい一生懸命さの伝わるフェラやクンニといった前戯パートにも適度な尺を設けており、そこで射精シーンを投入することもありますが、抽挿パートに十分な尺を設け、そこで身も心も密着して気持ちが通じ合うという様相に重点を置いており、前述した様に前のめりなパワフルさと恋愛セックスとしての甘い幸福感を両立させています。
英司君への想いを募らせてお風呂で雪花さんがオナニーする様子をたっぷりお届けな長編第5話といった例外もありつつ、ヒロインのエロ可愛く熱っぽい表情と躍動感のあるパワフルな肢体の絡み合いを描いてラブラブ絶頂フィニッシュへと突入する抽挿パートを用意しており、適度なハードさをポジティブなエネルギー感に無理なく内包させたエロシーンに仕上げています。
人外ヒロインとのラブエロものの魅力が、作劇にもエロにもしっかりと組み込まれた作品であって、流石この作家さんと思いますし、緩やかなつながりでありつつ幸福が伝播し、メインの二人の関係が深まる長編としての構成の魅力も高く評価したいポイント。
不器用ピュアガールな雪花さんも大好きですが、個人的に一番好きなのは長編第3話の言葉によらず気持ちが通じ合った人魚さんですね。お勧め!