天野うずら先生の描くデレを見せてくれるエイジャックス様やゆぐる先生の描く大鳳VS隼鷹も漫画チックに楽しかったですね。
さて本日は、しょむ先生の『大好きだからめちゃくちゃに犯して』(クロエ出版)のへたレビューです。先生の前単行本『Fall In The Dark』(エンジェル出版)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
ボーイズ&ガールズの微笑ましい青春ラブ模様とアブノーマル寄りな趣向でのハードなセックスが詰まった作品集となっています。

描き下ろし作品とフルカラー作品を除き、1話・作当りのページ数は22~38P(平均31P強)と幅はありつつ、平均値としては標準を優に上回る水準。作劇面にも適度な存在感を持たせつつ、濃厚&ハードなエロ描写をたっぷり提供する濡れ場の満足感の強さも明確な特色となっています。
【相互認証としての性愛のポジティブさを描く青春ラブ模様】
『エンジェル倶楽部』では重苦しい読み応えのハードな凌辱系作品を描く作家さんですが、真激レーベルからの今単行本はエロ描写のアグレッシブさはそのままに、微笑ましくポジティブな青春ラブ模様という大きく異なる作風が揃っています。
男性的な服装をしながら可愛らしいことに興味津々な女の子や、普段は可愛らしい優等生ながら実はド変態な性癖でそれを受け入れてくれる他者を求めている女の子、男性に対する嫌悪感や抵抗感がある姉と陥没乳首なコンプレックスな妹と、いずれの作品でもそれぞれ悩みやコンプレックスを抱えている少女達が、恋愛関係の中でそれを解消していく流れが共通しています。
これは男性キャラクター達にも同様なことが言え、中性的な容姿で女の子っぽさがある少年や無口で感情伝達が下手な少年、チャラそうに見えて実は一途に幼馴染のことを思っているイケメン男子など、彼らの悩みもまた恋愛関係の中で解消されたり、本当の気持ちを打ち明けることが出来たりしており、性愛が男女双方に救いや喜びをもたらすものとして描かれています。

後述する様に、アブノーマルな趣向があったり、エロ描写としての激しさがあったりしますが、これらの恋愛模様における素直な感情や欲望と密接にリンクしており、作劇とエロの間に意外に違和感を持たせないのも面白いところ。
幸せそうな二人の姿やあっけかんとコミカルな様子を描くハッピーエンドでまとめており、読後も柔和な印象を残してくれる作りになっており、青春ラブストーリーというこの作家さんの新たな魅力に驚かされた次第です。
【キャッチーさのあるキャラ造形とドスケベ肉感ボディ】
いずれの作品も女子校生ヒロインが登場しており、男性キャラクターも同世代で統一されています。
前述した様に、男女双方にコンプレックスや悩み、不器用があって、それが解消される流れが特徴的。それに加えて、連作「木下くん×安藤ちゃん」では男性側の主導性が、短編「無口くん×変態ちゃん」では変態ガールの積極性が示されていますが、それらも含めて男女双方の積極性や対等性が担保された描き方であり、相互理解が進んでいく流れの中で、ヒロインの魅力も高まっているのがキャラクター描写上のポイント。
また、ド変態暴走ガールやら暴力的だが中身はピュアでもあるヤンキー娘、元気いっぱいのスポーツガール、これまた中身はピュアな凛々しいクール美少女とそれぞれキャッチーな属性付けが為されており、前述の奥行きのあるキャラクター描写もあって平板さを回避しつつ、取っつき易さがあるヒロイン設定と言えるでしょう。

このドスケベボディを共通させつつ多彩なキャラデザのヒロインと同じく、男性キャラも女子っぽい可愛らしさのある男の子や面倒見の良い強面男子、実は誠実なチャラ男ルックスな少年などキャラデザに多彩さがあって、エロシーンではセックスに夢中になっている表情を曝け出すことも共通。
ダークな凌辱系の作品では、絵としての重さや濃さをより重視していますが、ラブエロ系の今回は明るい印象やキャラ造形のキャッチーさを意識した作画という印象。キャラデザも含めて、ややクドさがあるタイプで好みが分かれる部分はありますし、表紙のフルカラー絵と多少差異を感じることもありますが、一貫して描き込みの密度は高く、またコミカルなものも含めて登場人物達のリアクションや喜怒哀楽をチアフルに描いているのも魅力的です。
【淫猥な粘膜描写の威力と濃厚なエロ演出の組み合わせ】
各エピソードに十分なボリュームを有するエロシーンが用意されており、一シークエンスを長尺で押しまくるというよりかは、前半でじっくりと興奮を高めたり、プレイのエスカレートを描いたりした上で、後半一気にアグレッションを高めていくという構成を主としています。
変態露出オナニーや拘束されてのソフトSM的プレイに興じる変態ガールに、陥没乳首を治すための乳首開発&調教、気弱な女装男子と徐々に男性との接触になれていくヤンキー娘との各種エロプレイ、目隠しプレイや隠れながらの羞恥プレイで快感を知るクールガールなど、アブノーマルなプレイ・シチュを用意していますが、倒錯性や過激性を追求するタイプではなく、和姦エロにおける性的奔流の一形態として表現されていると感じます。
前述した様に、前戯パートや挿入を意図していない性的行為のパートに十分なページ数を割いており、フェラやパイズリなどのサービスプレイとそこからの射精シーンを用意することもしばしばありつつ、柔らか巨乳や淫猥な粘膜の秘所、舌などの性感帯への丁寧な愛撫とそこからのアクメ潮吹きなどを充実させているのが特徴。

汁気感たっぷりの液汁描写、興奮が高まるにつれて乱れた描き文字とハートマーク乱舞が増えてくるエロ台詞など、その他の演出も十分な密度で打ち出して濃厚感を形成すると共に、ねっとり舌を絡めるキスやクリ弄り、乳首責めなど、ピストンしながらの手数をある程度稼いでくる描写の情報量の多さも長所でしょう。
大ゴマ~2P見開きのボリュームで、結合部から溢れ出るほどの大量中出しがされる結合部、蕩けきったアクメフェイス&アクメボイスをがっつり見せつけるフィニッシュも十二分にハイカロリーであって、前戯パートからのじっくりとした盛り上げ方もあって、長尺のエロシーンをダレさせることなく、フィニッシュに最高潮をスムーズに持ってくる構成も○。
上述した様に、これまでと大きく異なる作風へのチャレンジは大いに成功しているという印象であって、元々強力なエロ描写を作劇面での精神的負荷が無い状態で楽しめるのは訴求層を広げていると感じます。
個人的には、怖いヤンキー娘さんの実は弱気なところやピュアなところを知ってラブラブに~な「山崎姉妹」シリーズ第1話「女装後輩くん×男嫌いちゃん」が最愛でございます。