
1巻の時のロシア遠征ではビクトルはひょうきん者な感じでしたが、今回はすっかり歴戦の古参兵といった印象ですね。
さて本日は、五十嵐唱乃先生の『○○○好きな僕の嫁が女教師な件』(富士美出版)のへたレビューです。“イソラシ”名義での前々単行本『ハミ恥女』(ジーオーティー)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
繰り返されるインモラルなシチュエーションに淫らに変容していく人妻ヒロインの痴態をたっぷり拝める1冊となっています。

描き下ろし作品を除き、1話当りのページ数は20~24P(平均22P弱)と標準的なボリュームで推移しています。長編作としてストーリーに一定の読み応えがあり、またエロシーンの満腹感も適度に強く仕上がっています。
【王道の堕ちモノ系かと思いきや終盤の意外な展開】
かなり奇妙な出会いから夫婦となった主人公とヒロインは、元々倒錯的なプレイを隠れながら行っていたものの、そこに別の男性キャラが入ってきてヒロイン奈々未さんのエロボディと性癖が更に開発されてしまう流れとなっています。

ストーリーとして人妻堕ちモノ系や寝取られ系の要素を持っていることは間違いなく、特にヒロインが戸惑いながらも快楽に飲み込まれていく流れを構築しているわけですが、主人公とヒロインの関係性が特殊であることが、オーソドックスな堕ちモノ系や寝取られエロと異なる展開を生み出しています。
詳細は決定的なネタバレになるので説明が難しいですが、実はすべてが仕組まれていたということ、徐々に本性である変態性癖に目覚めていったヒロインがその境地にたどり着くことで、主人公との新たな関係性を確かなものにすることの両ポイントにおいて、インモラルでありつつ一定のポジティブさを有したまとめ方になっており、後味の悪さや読み口の重苦しさを残さないタイプの作劇と評し得ます。
カラッと明るい作劇でも、逆にウェットなインモラルさがあるタイプの作劇でもないため、読み手によって好みが分かれるタイプとも思えますが、ある意味ではメインヒロインの淫靡な者としての発展・成長を描く故にポジティブさがあり、最終的には彼女が“勝者”となっていると評し得るでしょう。
【熟したエロボディ&秘所の美人女教師】
サブヒロインとして、最愛の姉であるヒロインを主人公と引き離そうとする奈々未さんの妹で女子大生な夏さんが途中で乱入してきてエロシーンもしっかりありますが、基本的には20代半ばと思しき女教師・奈々未さんのほぼ一人ヒロイン制。
前述した様に、明るく優しく人気者の女教師でありつつ、その淫らな性質を主人公にもその他の男達にも徐々に開花させられていくギャップがヒロイン描写上の一つの魅力であり、そのインモラルさがエロシーンの実用性のベースとなっています。
なお、男性主人公である彼女の教え子君は、サディスティックな側面のあるご主人様的キャラクターでありつつ、“寝取られる”側という複雑な立ち位置ですが、それ以上にクセモノなキャラクターであり、妻を寝取られる単なる間抜けではなく、ストーリーの展開に非常に大きく関与するポジションを占めています。

控えめサイズの乳輪ながら大粒の乳首、全体の形は整えながら濃いめに茂る陰毛、そしてこの作家さんの大きな特色である、びらびらまで丁寧に描き込んだクロアワビめいた媚肉がひくつき、パクパクと開閉する淫猥さたっぷりの女性器描写など、各種体パーツ描写が女体のエロさを大きく増強しています。
繊細さも感じさせる細目の描線で、全体的にさっぱりとした印象を持たせつつ、前述した淫猥な女体描写や痴態描写の程好い濃さとの間に程好いギャップを生み出す絵柄は、描線の細やかさが塗りで減衰した表紙絵とやや印象が異なるものの、キャリア相応の安定感を示しています。
【結合部関連の描写が充実した熱っぽい痴態描写】
サクサクとエロシーンに進展することもあって濡れ場のボリュームは十分確保されており、たっぷり長尺という程ではないものの、ヒロインが快楽に飲み込まれ積極的に痴態を曝け出していく変容のシークエンスをしっかりと見せていく構成の余裕は感じます。
脅迫されてのセックスや拘束されてのアナル調教、主人公による羞恥プレイやお仕置きセックスに、終盤でのトドメ的な乱交エロなどなど、凌辱系の要素も含めてインモラルなエロシチュが多く、ラブエロ系をお求めの諸氏には不向きですが、同時にヒロイン側がそれらの快楽を自らの物として、ある意味では糧にさえして、首謀者の思惑を上回る程の存在になっていく流れが、本作の見どころとも言えます。
イラマチオや乳揉み、手マン、ご奉仕パイズリなどの各種プレイを搭載する前戯パートではヒロインのエロボディの感触や、性感帯を刺激されたの反応を楽しむ描写を投入しており、ここで射精シーンを設けることもありますが、分量的にはむしろ抽挿パートに重点を置いた濡れ場の構成となっています。

各種擬音も、抽挿の水音であったり、はたまた膣口から引き抜かれる時の音であったりとこの性器描写に付随するものが多く、それ以外では、蕩けた表情に漏れ出る嬌声など、ベーシックな演出で痴態の熱っぽさを表現していきます。
絶頂の感覚にビクビクと肢体を震わせ、美しい顔の目をキュッと閉じて強烈な感覚をこらえようとする表情付けと、思わず漏れ出る喜悦の声、そして白濁液が子宮内に注ぎ込まれる断面図の同時投入によって十二分なアタックを叩き出す大ゴマ~1Pフルのフィニッシュで濡れ場を〆ています。
ヒロインの変容を描く長編作として、主人公の策謀とそれが生み出したモノの意外性など、話が平板にならない工夫が為されており、その中でヒロインの淫靡さが確固として花開いていく流れが魅力的。
意外にカテゴライズが難しいタイプの作品であるため、どの層にお勧めとシンプルに言い切りがたいですが、年上お姉さんのエッチな姿を楽しみたい諸氏には間違いなくお勧めできる1冊です。