
ヴェロニカさんに色々あって居酒屋あの世のシャキラさんの心中穏やかならずですが、黒ピンクバニーコスの完成たのしみれす!
さて本日は、ゴージャス宝田先生の6年半ぶりの新作『ッブラジャー!!』(ワニマガジン社)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『プププププリンセス!!』(ヒット出版社)のへたレビューや作家評等もよろしければ併せてご参照下さい。
“愛”の力で駆け抜ける怒涛のストーリーテリングと特殊プレイ満載のハチャメチャエロスが魅力の作品集となっています。

なお、中編「アグネスファイト!」にはゴージャス先生屈指の名作「キャノン先生トばしすぎ」からキャノン先生と貧太先生がゲスト出演しています。ファンには嬉しいサプライズと言えましょう。
1話・作当りのページ数は全て28Pと、中の上クラスのボリュームで固定。読み手の意識をグイグイ牽引する力強いストーリーテリングと、特殊プレイ等を含めてインパクト豊かなエロで満腹感を生み出しつつ、一気に読ませるスピード感にも優れた作品構築であると言えるでしょう。
【愛こそ全て!のシンプルでパワフルな描き方】
性表現、イジメ、親による搾取等々、扱われる事象は様々ですが、“抑圧されるモノ”と“その抑圧を撥ね退ける力強さ”はこの作家さんの多くの作品に共通するメインテーマであり、検閲と表現者の闘いを描いた中編作はエロ漫画読者にとって馴染み深い対立構造を設定することによってそのテーマ性を明瞭に描き上げています。
検閲体制下で、口リビッチな魔法使いがクラスメイトの男子連中を搾精しまくるエロ漫画を当然ながら出版不許可とされたエロ漫画家が、検閲官の要求をあの手この手で躱そうと奇天烈なアイディアを駆使して次々と新作漫画を描き上げてくる中編作は、現実の表現規制と表現の関係性をオーバーではありつつ鋭く突いた描き方であると言えるでしょう。
深刻なイジメ被害にあっている少女とヤクザにコンクリ詰めされかけのロック野郎との出会い(短編「スタちゅー」)、どう見ても不審者な自称正義のヒーローのおっさんがイジメにあっている少女二人を助ける話(短編「さらばキャプテン・エトランゼ!」)なども、設定や展開こそ荒唐無稽ではありつつ、前述したテーマ性は一貫しています。

野郎連中も含め、登場人物達の喜怒哀楽の感情を、時にコミカルに、時にシリアスに活写する技量も高く、スピード感のある展開やここぞの見せ場でのインパクト、キャラクターの人物としての奥行きを下支えしているのも◎。
作者自らあとがきで述べている通り、超メジャー指向のX-EROSの誌風において、このパンクで尖った作風を完全に発揮できたかは疑問が残る点ではあり、中編作も本来の着地点とは異なるまとめ方となった様に多少ギクシャクした部分は残りますが、ゴージャス作品としての真っ直ぐな愛の力強さはそれぞれの作品で十分発揮されたと評して良いでしょう。
【成長途中の人格としてリスペクトされる美少女キャラ達】
各作品において登場するヒロインはいずれもローティーン級の女の子達。中編作では、各エピソードにおいてボッキン堂先生が描いた漫画作品が登場していますが、こちらではごく一部に豊満バストの成人女性が登場していますが、基本的には小さな女の子達がメインで描かれています。
ゴス口リ衣装の検閲官やら露骨なエロ系のグラビアアイドルの女の子、お嬢様学校に通う女の子に、天才フィギアスケート選手などなど、漫画チックに多彩なヒロイン陣は、可憐な存在でありつつ、単なる比護や性欲の対象となる存在としてではなく、自らの感情や性欲を有した上で生きている一つの人格としてリスペクトして描かれている点が変わらぬ特長であると評し得るでしょう。
これは男性キャラクター陣についても同様なことが言え、少女性愛を含めて特殊性癖の持ち主であったり、破天荒な生き方をしていたりとコメディリリーフ的な役割もありつつ、自らに嘘を吐くことなく、相手に対して誠実さを貫く気持ちの良い人物像としての価値が高い人物であり、作品の力強さや爽快さを高める描き方と言えます。
中編の作中において「肉体が幼いことにそれ程意味はなく『今しかない』ということに意味がある(大意)」と語ると共に、「女の子にとって肉体より確かな宝はない」とも語っていますが、いずれにしても彼女達の肢体が未成熟ではありつつも成長“途中”であり、その瞬間を切り出すことに注力したボディデザインであることは共通していると感じます。

少年漫画チックな活力あふれる描線が特徴的な絵柄であり、これがキュートな美少女キャラクターと独特のケミストリーを生み出しているのが一つの特徴。細かな背景等も含めて目一杯情報量を詰め込む密度の高い作画ですが、同時にエネルギッシュな印象を失わず、パワフルに突き進むのは作劇と同様の美点と評し得るでしょう。
【愛の力で特殊プレイもなんのそのな力強さと描写の技巧】
十分なページ数が各エピソードにあることもあって、エロシーンの分量は十分に多く、特殊プレイと愛やらエロやらを叫ぶ台詞回しをたっぷり搭載してパワフルに突き進むエネルギー感でも満腹感を叩き出します。
アグネスさんに敢えて愛のないセックス描写を例示するケースなどを除き、基本的に作中の行為は少女達の意志を尊重する和姦エロではあるのですが、少女時代の映像を流しながら特製ぷに穴オナホを使用しての新婚セックス、ハチミツ充填コンドーム連続アナル産卵、黄金水コンドーム腸内作成、女の子15人を組み上げての桃色卍尻驚天動地タワー(原文ママ)、股間からの尿ビーム顔面受け等々、読者の嗜好によってはドン引き確定という、何が何だかな特殊プレイがどしどし投入されるのはゴージャス作品の名物。
無論、これらの特殊プレイも含め、“愛があるからこそ気持ち良い”というスタンスは非常に明確であり、男女双方の欲望や感情が素直に発揮され、ストーリーもそれに基づいて駆動されている分、そのスタンスに言い訳めいたものを感じないのは美点であり、そういった特殊な性癖やプレイが許容されるほどに、登場人物達に信頼関係があるのだという描き方で堂々と押し切れるタイプでしょう。
前のめりな勢いで進行するエロ描写ではありますが、局所アップの連続コマや主観構図等を含めて多角的なアングル、情報量を担保する小ゴマとインパクトの強い大ゴマをテンポよくつなぐ画面構成など、二人の交合とヒロイン達の痴態を余すところなく描き出す漫画として技巧的な手法を十全に活かしているのはベテラン作家らしい強み。

エロシーンの台詞回しも、ギャグに匹敵するレベルでかなりユニークなのですが、当人たちは至って真剣であり、互いに性的快楽を高め合おうと激しく体を動かし合って絶頂へと向かって疾走しており、前戯パートで小さなお口にブビュブビュと精液を吐き出したり、中出し連発だったりな勢いのまま、想いを全て受け止めよと言わんばかりのハイエネルギーな射精を膣内や直腸で受け止めてアクメを迎えるヒロイン達の痴態でがっつり〆ています。
一つ所に安住せず、非常に尖った作風と熱いパッションを持ち、いざ作品を繰り出せば相手をノックアウトするパワーを持つという、映画『スナッチ』(ガイ・リッチー監督 2000年)のミッキー・オニール(演じたのはブラッド・ピット)みたいな作家さんですが、今回もパワフルな作品に心地よくKOされました。
個人的には、自称正義のヒーローなおっさんが本当に少女二人を救い出す短編「さらばキャプテン・エトランゼ!」の終盤の痛快さと日焼け肌3Pセックスの充実度もあって最愛でございます。お勧め!