
あと、常敏さんは変わり者とは思いましたが、まさかのムシキング的展開にはビックリしました。スタンド能力をどう絡ませるんですかね?
さて本日は、F4U先生の『好奇心はネコをもアレする』(ワニマガジン社)の遅延気味へたレビューです。約5年ぶりの成年向け新刊となりますが、成人向けでの前単行本(初単行本)『今夜のシコルスキー』(コアマガジン)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
陰陽を織り交ぜ独特のリズムで畳み掛けるテクニカルな作劇とハード&アグレッシブなエロ描写が光る作品集となっています。

描き下ろし作品を除き、1話・作当りのページ数は16~34P(平均25P)と幅はありつつ平均すれば標準的なボリュームとなっています。エロシーンをがっつり魅せる明瞭な抜きツールとしての構築ではありますが、そこへの導入やエロシーンでの語り回しの畳み掛けなど、十分な読み応えを持つ作品も揃っています。
【独特の語り回しで突き進む愚者たちの悲喜劇】
個々の作劇の骨子を観れば、例えば不倫エロであったり意外な組み合わせの恋愛話であったり凌辱エロであったりと割合にオーソドックスな題材ではあるのですが、心情描写や語り回しのユニークさや展開における独特のリズムが非常に個性的で、良くも悪くも一癖二癖あるスタイル。
お馬鹿な黒ギャルビッチ娘のトンデモでありつつ純粋な頑張りが周囲にも感化を及ぼし、彼女も周囲にも善きものを与えていく連作「偏差値15学園」シリーズや、ヤンキー娘がカツアゲ相手のちんこに惚れ込んでしまいそのままラブラブな関係に発展するタイトル短編「好奇心はネコをもアレする」などは、比較的明るくまた陽性の雰囲気を持つ作品群。
これに対し、大人しい性格の彼氏君との関係に卑怯な悪漢が入り込んで寝取り凌辱な短編「カラオーケストラ」や、キモデブ男にクラスメイトの少女が次々と凌辱され、自己保身のために優しい少女も自らの体を生贄にせざるをえなくなってしまう短編「絶対王様ゲーム」などは、ダークでインモラルな陰性の雰囲気を持つ作品と評し得ます。
唐突なトンデモ展開からヒロインの少女達の感情を丹念に蹂躙していく重苦しい展開に変化したり、お馬鹿娘の純粋さが善きものをもたらしたり、淫靡な不倫セックスからあっけらかんとしたお馬鹿オチになったりと、陰陽・善悪が変化していく展開の妙は魅力であり、そこから作品としての毒やら面白みやらが沁み出してくるのが実に魅力的。

前単行本のレビューにおいて、道満晴明先生に似たものを感じると書いたのですが、如何に捻くれた部分を持ちつつも道満作品の根幹は人の善性と感じるのに対し、F4U先生については露悪的な部分もありつつ陰陽の両面において人の愚かしさをベースとしてクレイジー(褒め言葉)に突き進んでいると個人的には考えております。
【多彩な設定の美少女・美女ヒロイン陣】
タイトルが全てを語る短編「妻を同窓会にやってはいけない」に登場する人妻ヒロインや、その場のテンションでチャラ系男子達に輪姦されることになる短編「あいつは!ノリでハメパコれる子さん」の上京してきた女子大生さんを例外としつつ、女子高生級の美少女ヒロインで固めた陣容。
明るく元気でビッチな連作の黒ギャル娘さんに、実は純粋なヤンキー少女、生意気ギャルにツインテールの華やか美少女、メガネの地味子さんに黒髪ロングの正統派?美少女のカルテット、悪漢の姦計にハメられるクールで清楚な美少女などなど、ヒロインの設定は様々に揃っています。
華やかな容姿の美少女も居れば、落ち着いた可愛らしさのある地味系ガールや、大人の色香を香らせる人妻キャラクターも登場するなど、キャラクターデザインの多彩さと設定に合わせた的確さも美点と言えるでしょう。

ヒロインの設定の多彩さもあって、ボディデザインにはある程度幅があり、華奢なボディに貧乳なデコ娘であるヤンキー少女もいれば、柔らかもっちりおっぱい装備の巨乳美少女キャラや、肉付きの良い豊満ボディの年増美女なども存在。どちらかと言えば等身高めですらっとした印象のあるボディデザインですが、もっちりとした質感の乳尻を中心に適度なだらしない色気を感じさせるのも○。
以前と比較して描線が軽く柔らかくなった印象があり、とにかくぎっちりと濃密な作画からはある程度軽さも感じる様な絵になったと個人的には感じます。短編「妻を同窓会にやってはいけない」のみ5年前の作品で多少タッチの際を感じますが、その他の作品はここ1年程度の範疇で絵柄には統一感があります。
【強烈なエロ演出・作画で圧倒する凶悪な痴態描写】
作品によってページ数がかなり異なるため、たっぷり長尺でねちねちと凌辱エロを描く短編「カラオーケストラ」の様なパターンから、コンビニ誌初出として標準的ながらコンパクトにまとめた短編「妻を同窓会にやってはいけない」の様な構成になっていることもあります。
いずれにしても抜きツールとして標準的な分量はクリアしていますが、前述した大仰な語り回しも含めて畳み掛ける様な独特なテンポでエロシーンが展開することや、複数の状況・プレイを多数搭載するやや小刻みなエロ展開を形成する場合もあることなどは、読み手によって好みが分かれると思われます。
連作「偏差値15学園」シリーズではビッチ娘のレナちゃんが余裕綽綽に野郎のち○こを抜きまくるシーンもありますが、凌辱系にしろ和姦系にしろ、セックスに伴う凶悪無比な快楽がヒロインの心と体を圧倒する様に描写しており、前述したインパクトのある文字表現と、紅潮し瞳を蕩けさせたメス顔や激しい擬音描写、悲鳴や苦悶、嬌声が入り混じる動物めいた喘ぎ声などの視覚表現を組み合わせる攻撃的なエロ描写が光ります。

これに関連して液汁描写、特に精液描写にも重点が置かれており、キュートな顔にドロドロの白濁液が絡みつくフェラからの顔射やデコ射、口内に強制的に大量射精された白濁液をごぼごぼと吐き出すシーン、秘所から漏れ出す淫液や精液でぐしゃぐしゃになった股間の表現や、イキまくるヒロインの潮吹きなどなど、きっちりと効果的に極まった構図と組み合わさることで下品さも含んだ官能性を生み出しています。
上述した液汁描写をアピールするフェラやイラマチオなども含めて複数ラウンド制で構成することが多く、強烈なドライブ感で射精しまくる印象を付与。フィニッシュは、すっかり発情しきった表情でアクメの快感に悶えて声にならない声を叫ぶヒロインの子宮内に白濁液を勢いよく噴出してトドメを刺す描写になっており、ぐったりと弛緩した肢体と膣内からたっぷり零れてくる精液を描写する追撃描写も備えています。
エロ演出の手法にしろ、シナリオにしろ、読み手によって好みが分かれる要素を相応に含んでいますが、インパクトを重視しつつも作画と語り回しの協調で常に畳み掛けていくテクニックはかなりレベルが高く、実用性の強化にも大きく貢献していると評し得ます。
個人的には、純粋でビッチな黒ギャル娘の頑張りとその恋路が素敵な連作「偏差値15学園」シリーズとクール娘の心も体も蹂躙する寝取り/寝取られエロな短編「カラオーケストラ」が特にお気に入り。エッジの効いたエロ漫画をお求めの諸氏にお勧めでございます。