
果たして“本物”なのか疑いが生じた法務省の組織にしろ、集まり始めた元・受刑者達にしろ、信じるしかないのですが、現実においてもそれは何と難しいことでしょうか。
さて本日は、冬扇先生の初単行本『もう堕ちるしかない』(キルタイムコミュニケーション)のへたレビューです。表紙絵と単行本タイトルで内容を明確に示しておりますな。
ダーク&インモラルな雰囲気で包んだファンタジー凌辱エロが詰まった1冊となっています。
収録作は読み切り形式の短編8作と、各作品の雰囲気に比してかなりほのぼのとした印象の後日談を描くおまけ4コマ漫画(4P)。
1作当りのページ数は16~20P(平均19P)とやや控えめな部類。シナリオ面での読み応えは軽いですが、エロシチュエーションをしっかり下支えしており、またエロシーンのボリューム感は十分に感じられます。
【ファンタジーとしての自由度を生かした凌辱エロ】
表紙絵や単行本タイトルから推察できる通りに、近年キルタイム系で一大勢力となった広義での“不思議H”系ではなく、触手凌辱などを含めたファンタジー系凌辱エロが作風のメイン。
凛々しい女騎士が邪悪な魔導士に捕縛され、魔物達の苗床にされてしまう短編「生殖召喚獣」や、世界の荒廃を目論む美しい魔女が(うっかりミスで)みずから作り出した魔物の餌食となる短編「Re Spawn」などは、旧来のキルタイム系の王道をしっかり踏襲したタイプと言えます。
その一方で、それらのオーソドックスな戦闘ヒロイン凌辱に捕われるのではなく、マジックアイテムをキーアイテムとしながら欲求不満な奥様のショタ少年との火遊びや(短編「ツマカセ」)、特殊な塗り薬による貴族美少女の人体改造エロ(短編「豊胸薬の為ならば」)など、ファンタジーとしての自由度を生かした作品も存在。

展開としてはやや強引さがあるのは確かで、短編としてコンパクトにまとめている故にあまり意識させないことに成功している感はありますが、続きモノでじっくり描いたものを読んでみたいと感じさせます。
唯一の現代劇でハメ撮り凌辱&寝取られ系である短編「ハメ撮り療法」も含め、ダーク&インモラルな雰囲気はラストまで維持しており、快楽の奴隷へと堕ちたヒロイン達の様子でまとめるバットエンド寄りのラストで統一しているのも頼もしいところ。
【柔らか巨乳・爆乳なファンタジーヒロインズ】
復讐の鬼と化した元勇者の淫魔に凛々しい女騎士、普段は狩っていた人間に逆襲される悪魔ガール、冷たい美貌の魔女、貴族のお嬢様などなど、ファンタジーヒロイン達が勢揃いした陣容。
年齢不詳の人外さん達の見た目の年齢も含め、概ねハイティーン級の美少女さんが中核となっていますが、夫に魔法の貞操具を付けさせられているアダルト美人な人妻さんやぺたんこバストでロリっぽさのあるお嬢様など、ある程度上下に外れた女性キャラクターも登場しています。
性格面では、気丈な性格であったり、高飛車であったりと精神的な“強さ”を強調する傾向にあり、もちろんそれが凶悪な快楽によって蹂躙され、“弱さ”を曝け出すというギャップが凌辱エロのスパイスになっているのはこの類の作品として王道的な魅力。
ぺたんこお嬢様もお薬で豊胸させるなど、巨乳・爆乳を重視したボディデザインとなっており、小粒の乳首を先端に頂くふにふにと柔らかいたっぷりバストはそれ単体で魅力的。

初単行本ということもあって、描線の粗さや作画密度のコントロールの悪さといった難点が認められることもあり、表紙絵と比較すると多少質は劣るかもしれませんが、キャッチーなアニメ/エロゲー絵柄には単行本通して安定感があり、実用面にさほどの影響はないでしょう。
【過激なエロ演出を織り交ぜつつのアブノーマルエロ】
設定およびその利便性を十分に生かした作劇は円滑に回されており、十分なページ数をエロシーンに割いた上で、アブノーマルな快楽に揉みくちゃにされるヒロイン達の痴態をお届け。

また、前戯パートの分量を控えめに抑制しつつ、複数の状況を盛り込んでの中出し連発を基本とする多回戦仕様のエロ展開も特長と言え、個々の描写にタメが欠けるものの、強烈な快楽を連続して叩き込むことでヒロインの抵抗を排除するアグレッシブさは実用性の基盤を形成しています。
ピストンしながらの搾乳や自ら腰を振るヒロインの乳揺れ描写など、おっぱい関連の描写は煽情的である一方、断面図なども含めて性器描写に関しては質が高いとは言えず結合部アップの描写もあっさりし過ぎているのは減点材料。ただ、どちらかと言えば肢体全体の描写に重点を置いており、性器関連の描写はむしろ多用していないので難点を目立たせていない感はあります。

前述した通りに多回戦仕様のエロ展開は膣内射精を2回以上投入しており、その都度大ゴマ~1Pフルの描写量で中出しの感触に恐怖し絶頂する痴態を投入しているのも有難いサービス精神と評したいところ。
二次元ドリームコミックスレーベルの王道的なファンタジー凌辱エロであり、ストレートな抜きツールとしてまとめていますが、ファンタジーとしての自由度を生かした作品構築で単調な作品に落ちないのは頼もしいところ。
個人的には、人間狩りに赴いた悪魔美少女が悪漢達に捕まって孕ませ凌辱な短編「デーモン・ガール・ハント」と、悪しき魔女が自ら生み出した触手モンスターに拘束されて孕ませ凌辱な短編「Re Spawn」に特に愚息がお世話になりました。