
文字的表現の面白さはほとんど消失してしまうのは残念ですが、ラブコメとして読むには、まぁ普通に楽しい1冊かなという印象です。
さて本日は、ゆりかわ先生の『年上彼女オルタナティブ』(コアマガジン)のへたレビューです。なお、先生の前単行本(初単行本)『放課後ストロベリーバイブ』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
エッチなお姉さんと美少年達の織りなす、翻弄したりされたりなストレンジラブ&熱っぽいセックスが詰まった1冊となっております。

描き下ろし作品やフルカラー作品を除き、1話・作当りのページ数は12~28P(平均20P強)と幅はありつつコンビニ誌初出としてはボリューム感強めの水準で推移。これまたコンビニ誌らしい快活な雰囲気による読み口の軽さと、質的・量的に程良い濃さ・ボリューム感のエロとで構築された作品群という印象があります。
【読み口の良さとキャラクターの個性で魅せる恋愛ストーリー】
作風に関しては、ショタ系の美少年と年上美人なお姉さんキャラとの組み合わせ、いわゆる“オネショタ”を作品の軸としつつ、シナリオの骨組みはオーソドックスなラブコメ系でしっかり固めています。
とは言え、ラブストーリーとしての魅力とコメディとしての魅力のいずれを優先するかは作品によって異なっており、年の差カップルの恋心のもどかしさをストーリーに組み込みこともあれば、終始ドタバタと賑やかにエロに興じていく作品も存在しています。
お姉さんの“性欲処理係”として互いに割り切った関係で行為に及ぶものの、互いに相手への思慕や信頼を重ねていき、主人公を好きな第三者の女の子(いわゆるライバルキャラクター)が登場することで、互いの絆を再認識するという流れのタイトル中編は前者の例であり、明るさを持ちつつ程良くしっとりとした雰囲気を要所で醸し出しています。

主人公の少年の嫉妬が年上彼女さんへのSっ気溢れるいじわるプレイに発展するも、互いの気持ちに素直になることで円満に解決される短編「おねえさんはへっちゃらです」も同様に感情の機微で魅せるタイプですが、本数的にはイージーゴーイングなラブコメディがメインを占めている感もあります。
男女問わずにちょっと妖しい魅力を有するキャラクターの個性が立っている分、オーソドックスな構築に従っても単調さ・凡庸さがないのは間違いなく美点であり、明確な読みやすさとそこに含まされた個性が両立しているという印象があります。
【たっぷり柔らかボディの美少女・美女なお姉さん達】
各作品に登場するヒロインは女子高生級~30歳前後とやや幅はあり、どちらかと言えばアダルト美さんがメイン。勿論、男性主人公に対して年上であるか同年齢であっても優位に振る舞う、広義の意味での“お姉さんキャラクター”が勢揃いしています。

有能なキャリアウーマンで“出来る女”な年上美人さんながら、主人公とのラブ&セックスの関係の中で悶々としたり、嫉妬したり、素直になったりと小娘の様な純情さを見せる中編作のヒナコさんの様に、エロの主導権を把持するか否かに関わらず、年上美女達の可愛いらしさや素直さが表現されるのは、ラブエロ系としての甘さを相応に喚起。
ごく一部に貧乳さんもおりますが、その年上らしい包容力のある心と同様に、体の方もスレンダーな体幹ににたっぷり巨乳と桃尻を備えた柔らかく温かい肉感ボディを皆さん標準装備。JKキャラでは瑞々しさを強調しつつ、年増キャラ達には巨乳を垂れ気味に描いたり、肢体全体のお肉が少々余っていたりと、年齢層によって有る程度描き分けをしているのも嬉しいところです。
また、“オネショタ”のもう一端を担う男性主人公達は、中性的な魅力もあるイケメンボーイズ達であり、ショタ的なキュートネスを強調する場合もあれば、クール寄りのカッコよさを重視する場合もあります。彼らの描写量は相応に多いため、エロ的にウハウハ状態のイケメンキャラどもに舌を打ちたくなる諸兄には不向きですが、互いに中性的な容姿の男女の絡みなども描かれることがあり(「ふたごチャレンジ」シリーズおよび短編「当店甘え禁止となっております」)、そこらのちょっとした倒錯感は男性読者の諸氏にもグッとくると思います。
初出時期はある程度開いていることもあって、時期によって絵のタッチや画面の濃淡に差異を感じることはあり、また表紙絵と中身の絵柄の印象もやや異なりますが、繊細な描線と適度な修飾性が生むオサレ感をしっかり載せつつ、アニメ/エロゲー系の絵柄のキャッチーネスを保つ絵柄は、それ単品でも十分に訴求力が強い要素と言えるでしょう。
【適度な陶酔感とインモラルな空気で描き出す美しい肢体の絡み合い】
ページ数が多い場合でもシナリオ描写に十分な尺を設けることもあり、エロシーンの分量は多いとはやや言い難いものの、ショタキャラも含めたキャラクター達の魅力とエロの熱っぽい陶酔感でエロの密度を形成する抜き物件となっています。
前述したお姉さんキャラクター達の二つのタイプはそのままエロシーンのシチュエーションに活かされており、Sっ気のある年下の少年にメロメロに蕩けさせれてしまうという(男性にとって)嗜虐性のあるシチュエーションと、お姉様に押し倒されたり、緊縛されたりで彼女達に奉仕する(させられる)ことを主眼とするシチュエーションに大別されます。
エロ展開における男女の優位性の攻防変化は、尺の都合上設けられないことも多く、前戯パートにおいていずれか一方の優位性は確立されていると言えます。よって、ち○こを挿入すれば大逆転的なシチュエーションは少なく、彼女達自身が性的快楽を満喫する高揚感・陶酔感が基調となっている作品も目立っています。
フェラやパイズリ、お風呂での洗いっこやシックシナイン、アナル弄り(ただし男の子の)など、多彩なプレイを投入した前戯パートは、主導権を取る側の積極性が良く光っており、抜き所を伴いながら抽送パートへの橋渡しをしっかり行います。

尺の短さを補填しようと、比較的コマをぎっちり詰め込む作画となっており、そこが情報量の高さにつながるケースもあれば、視覚的にごちゃごちゃとした印象を生むケースもあるのですが、大ゴマでのフィニッシュシーン(中出しも外出しもあり)まで快楽曲線の盛り上げに切れ間がないのも◎。
オネショタ系としての濃度をしっかり持たせつつ、読書感の良さをしっかり維持しており、やや特殊性を持たせながらそれを読み手に強く意識させずに受容させる術が特長と言えるかもしれません。殊にキャラクターの良さでシナリオもエロも魅力を形成しているなと感じます。
個人的には、褐色金髪美少女とラブラブHなフルカラー掌編「白くてとろとろのアレ」と、メガネ爆乳な年上彼女さんにいじわるエロプレイな短編「おねえさんはへっちゃらです」がお気に入りでございます。