
今回一番印象に残ったのは「梅干しと梅酒」の回ですかね。気の早い話ではありますが、僕も急死したら大量のエロ漫画蔵書はどうするべきかとか考えちゃいますよ。それこそ化けて出てくるかもですねぇ(笑
さて本日は、宵野コタロー先生の『発情ベイビー』(ワニマガジン社)のへたレビューです。なお、先生の前単行本(初単行本)『ちゅーLip!』(三和出版)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
もっちり肉感ボディの美少女・美女が快楽に流されていく様が官能的な作品集となっています。

フルカラー作品である短編「男❤コン」(10P)と描き下ろし後日談を除き、1話・作当りのページ数は16or20P(平均17P弱)とコンビニ誌としては標準並みながらやや控えめな部類。ページ数の都合上、やや小粒な作品群ではありますが、エロ展開を作品の話運びに組み込む構成であるため、抜きツールとしての満足感は相応にあるという印象です。
【快楽に捕らわれていく流されHと誘惑H】
大別すると、押しの強い男性にヒロインが流されてセックスの快楽に捕らわれてしまうタイプと、エッチなお姉さんヒロインの妖しげな誘惑に虜にされるタイプが揃っており、どちらかと言えばほんのりダークさや淫靡さを香らせるスタイルが主力。
双子の義妹がエッチな方面も含めてお兄ちゃんに甘えてくる短編「思春期ツインズ」や、ちょっぴり変態趣味なヒロインがちょっとしたトラブルもあって主人公と結ばれることになる短編「すぱっちゅ!」の様に、ラブコメテイストであったり、棚ボタ的な幸福感を主軸にする作品も存在感を有していますが、甘エロ模様をたっぷりと楽しみたい諸氏は留意されたし。

とは言え、そこは読み口の軽さ・穏やかさが重視されるコンビニ誌ということもあって、暗く重い方向性に踏み込んでいくことはあまりありません。この男性優位でやや強引な展開においても、後付け的ではありながらも恋愛感情の形成や、ヒロイン側の快楽の甘受による幸福の獲得を追加することで、エロの攻撃性を生み出しつつも終盤展開で丸く収めることで読後感を良くする配慮を示しています。
また、年上美人達の誘惑展開においても、前出したインモラル感はどちらかと言えばある種のスパイスとして機能するに留まっており、最終的にはやはり棚ボタ的な幸福感を形成してハッピーエンドとして幕を引くケースが多いと言えます。
悪く言えば明暗の方向性に関して中途半端さを感じさせるケースもあり、シナリオの方向性も統一感に欠けますが、いずれにしてもエロシチュエーションの盛り上げに寄与し、かつ後味を悪くしない作劇は訴求層を広く保つ上で美点であるとも評し得ます。
【巨乳&桃尻をお持ちなもちもち肉感ボディ】
登場するヒロインの年齢層は幅広く、ミドルティーン級と思しきロリ系美少女から20代半ば~後半程度と思しき美人さんまでが登場。なお、人数的には女子高生~女子大生クラスの美少女達が主力のヒロイン陣と言えます。
そのキャラ設定に関しても多彩であり、クラスメイトや妹、OLさんにバツイチなママさん、モデルさんなどが登場。また、どちらかと言えば、エッチに積極的なヒロインが多いのですが、能動的にエッチへ持ち込んでくるのか、徐々にその積極性を男性に引き出されていくかでシナリオの方向性は大別されています。

加えて、このむっちりボディにぴったり張り付く水着やスパッツ、艶めかしく濡れ光るリップ、年上ヒロインを中心に股間に薄めに茂る陰毛など、細かい部分でも肢体の肉感や調度良い淫猥さを高めてくるのも美点でしょう。
程良くオサレ感や端正さを感じさせつつ、繊細で軽い印象のキャッチーな漫画絵柄であり、ベタやトーンワークで画としての濃さをある程度形成するスタイル。多少、描線の荒れや乱れを感じさせるタイプですが、それは後述するようにエロ演出で淫猥さを出すうえで有効に機能するため、減点材料だけでは必ずしもありません。
連作の前編と後編で2年間間が空いてしまい、絵柄の質的変化が目立ってしまうなど、勿体ない部分もありますが、ふわっと柔らかい質感と前述の程良い密度の高さがしっかり調和している近作の絵柄が中心ではあります。塗りが線の好ましい乱れを殺していない上で、質感を強化する表紙絵は秀逸で、印象は多少異なるかもしれませんが、中身とほぼ完全互換と言って良いでしょう。
【メロメロに蕩けるヒロインの表情のエロティックさ】
男女いずれかが相手を誘導してエッチへと持ち込む展開であるため、エロシーンの尺は標準並みをしっかりと確保しており、前戯パートで十分タメを作りつつ抽送パートへ移行する安定的なエロ展開を示しています。
前戯パートではヒロインの性感帯を的確に刺激して抵抗感を奪い、ち○こを咥えさせて奉仕を半ば強制する様な嗜虐的なスタイルと、もちもちボディの感触を味わいつつヒロイン達の積極的なエロサービスを満喫スタイルの双方が存在し、主導権を男女いずれかが有しているかは異なるものの、共に性的な高揚感が徐々に高まっていく流れが魅力。
分量的に前戯パートに圧迫されがちで、挿入から射精までの尺が多少短めと感じるケースも多いものの、エロスイッチを強制的にオンにさせられたり、逆に性欲がオーバーヒートしたりなエロ娘達が、淫蜜をたっぷり潤滑した淫らな媚肉をたっぷりピストンされてグシャグシャに乱れていく痴態描写は大変にエロティックに仕上がっています。

蕩け顔を中心とするヒロインの表情付けもエロ演出上の魅力であり、身体を駆け巡る性的快感に恍惚とした表情を浮かべたり、描線のふやけた口から唾液を零したり、目を見開いて快感に驚愕したりと、ヒロイン達の乱れっぷりを雄弁に語り出しており、この描き方において描線の意図的な乱れがよくマッチしています。
大ゴマの間で投入する小~中コマで意図がはっきりしなかったり、緊張感の抜けた画が散見されるものの、肉感豊かな肢体全体と結合部をたっぷりと描き出す大ゴマの魅力は強固であり、1Pフルで描くヒロインの中出しアクメでパワフルな抜き所で的確に〆ているのも実用性に大きく貢献しています。
エロへの導入に関してある程度の嗜虐性を添加するケースが目立つため、多少好みは分かれるかもしれませんが、肉感ボディの美少女・美女をセックスの快楽で染め上げていく官能性は抜きツールとしての強い魅力でしょう。
個人的には、清楚な様で淫らな本性をお持ちなバツイチ美女が口止めのためにエロサービスをしてくれる短編「真夜中のお遊戯会」と、美人OLさんを酔わせてやや強引にセックスに持ち込む短編「酔わされ蘭ちゃん」に愚息が大変お世話になりました。