2011年07月

新刊レビュー1000冊を振り返る

どうも、当ブログ管理人のへどばんです。すっかり盛夏の趣きで、夏コミも近くなってきたなぁと感じております。
レビューの済んでいない新刊が溜まって来ているので心苦しくはありますが、記事タイトル通りに当ブログのエロ漫画新刊単行本レビューが1000冊に達しましたので、ちょっと振り返ってみようと思います。
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ベンジャミン『その手をとって』

HandIsTaken.jpgTVアニメ『花咲くいろは』第17話「プール・オン・ザ・ヒル」を観ました。映画に関してはあぁ、やっぱり・・・という結末ですが、縁が後継者となるためには彼の成長は必須なわけで、高い授業料でしたな。
今回は民子が可愛過ぎるわけですが(ジト目とか!)、次回はなこち回らしく、期待大でございます。


 さて本日は、ベンジャミン先生の『その手をとって』(茜新社)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『一振り、連れて』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
妖艶で耽美な雰囲気の中で描き出すピュアな百合ラブ触手エロとなっています。

HandIsTaken1.jpg 収録作は、内向的な性格の転校生と彼女に恋心を抱く少女との関係が、前者が転校初日に謎の触手に襲われたことで奇妙な方向へと変容していくタイトル長編「その手をとって」全8話+第4~6話の間に位置すると思われる番外編の幕間劇+おまけ後日談4P(←参照 二人の出会い 長編第1話より)。また、カバー裏にもおまけ漫画2P分が収録されています。
描き下ろしであるおまけ後日談を除き、1話当りのページ数は16~26P(22P強)と標準的な部類。単行本1冊分の長編作としてストーリー展開がしっかり固められており、その中で十分量のエロシーンを提供する良質な作品構築となっています。

【ホラーテイストを絡めて紡ぐ狂気の純愛】
 触手に襲われ、胎内に巣食うようになったその異形によって快楽中毒となった転校生の少女・弥月と、それをキッカケとして彼女と関係を持つことになる少女・結子とを描く本作は、ホラーテイストを纏った百合恋愛ストーリー。
 得体の知れない触手に体を支配される恐怖、および高められた性衝動で行われる性行為を介して、他者へその触手が感染していく恐怖は、ホラー系統のストーリーとして王道的であり、事態の“悪化”に歯止めがかからないシナリオ展開には読み手を引き込む魅力があります。
とは言え、その化け物は、宿主の性行為によって他の個体への繁殖を果たしてしまえば死んでしまうか弱い生物であり、本作のシナリオ展開を駆動するのは触手のもたらす性の快楽と同性愛を渇望する人間、特に結子の感情となっています。
触手に由来する性衝動だけでなくその本心から弥月が自分を求めることを望みつつ、触手を介した性行為の快楽の強烈さもまた求める結子は、倫理を超越した手段によって彼女の願望を実現させますが、柔和な表情の中に時々混じる彼女の“狂気”もまた、本作の妖しい雰囲気の形成に大きく寄与。
HandIsTaken2.jpg 例えば、『沙耶の唄』(ニトロプラス)などの数多の作品のテーマになってきましたが、“世界を代価としてさえ貫いた愛”における純粋性とそれ故に狂気性がじわじわと沁み出る終盤展開を示しており(←参照 閉じた世界 長編第8話より)、常識・倫理を拒絶する個人の情動に重きを置く点で耽美主義の本質に迫っていると評せます。
 しっとりとした雰囲気作りが非常に巧い作家さんであり、今回もその魅力がよく発揮されていますが、それだけに依存することなく、要所での鮮烈な印象を与えるストーリー展開が施されていたのが、今作の大きな特長と感じます。

【この作家さんの定番要素を詰め込んだキャラデザイン】
 基本的には弥月と結子の二人の少女に閉じたストーリーテリングであり、結子の弟であるキュートなショタボーイ・透キュンや触手の苗床となるサブヒロイン達の役割はかなり限定的。
HandIsTaken3.jpg 黒髪ロングで貧乳、物憂げな表情な弥月と、銀色に近い髪色で豊かな胸で柔らかい笑みを浮かべる結子は好対照なキャラデザインとなっており、両者の恋愛関係に対する積極性の高低の対比はシナリオ上の一つの核となっています(←参照 長編第4話より)。
なお、1本1本丁寧に描き込まれた黒髪やちょっと尖がった耳、古典的なセーラー服+黒ストッキング、妖艶さを醸し出す黒目がちな瞳など、この作家さんの定番のキャラデザイン要素が弥月にはふんだんに盛り込まれています。
 また、本作の名脇役である触手も、異形の存在として不気味に描かれており、かつ様々な“機能”を有することで、母乳噴出や吸引、催淫効果、感覚共有などなどエロシーンにおける各種の行為を可能にしています。
 トーンワークをあまり用いず、黒ベタによる鮮明なコントラストを基調とする作画が非常に魅力的であり、他にあまり見ないこの作家さん独特の武器。
イラストとしての魅力が強いため、特に大ゴマの放つ印象が鮮やかですが、小ゴマ~中ゴマをユニークなコマ割りで配置するページ構成なども作画上の巧さと言えるでしょう。

【抑制されたエロ演出の中に光る情動の激しさ】
 ページ数に幅があり、またエロシーンの分割構成もある程度設けられていますが、エロ描写自体の分量は十分にあり、妖艶な空気感をたっぷり充填した濡れ場は大変に実用的。
 百合セックスであるため、美少女同士の絡み合いで濡れ場は占められており、互いの性感帯の愛撫や乳首や性器の擦り付け合い、舌を絡め合うキスなどがプレイの核となっているケースが多め。
 そして同時に触手エロであるため、触手による性器への挿入や、触手の一部を男性器として利用して二人のピストン運動を描写することもあるため、「挿入シーンがないと抜けないぜ!」という諸氏も安心。
HandIsTaken4.jpg可憐な美少女の肢体を不気味な触手が這いまわり、乳首や性器などのウィークポイントを執拗に攻め立てるという描写では、両者の可憐さと不気味さがよく対比されており、未知の快楽に浸食されるという恐怖感と高揚感を誌面に満たしています(←参照 長編第6話より)。
 決して大量に描き出すスタイルではないものの、液汁描写の秀逸さはエロ演出における魅力であり、ホワイトを散らして愛液の飛沫を表現することもあれば、絡み合う少女の唾液や触手の粘液のドロリとした質感で表現したりと、肢体のエロスを更に高める工夫が為されています。
最も、エロ演出は比較的抑制が効いたタイプであり、派手なエロ演出よりも、墨で描いた様な擬音や量を絞ったエロ台詞、快楽への耽溺に茫然とした表情付けなどでじわじわと快楽曲線を盛り上げていくタイプと感じます。

技巧的な作画に裏打ちされたエロの魅力もさることながら、独特の耽美な雰囲気がエロだけでなくストーリー面でも十全に活かされているという意味で、この作家さんの作品として出色の出来と評したい所存。
透キュンの痴態をもちっと楽しみたかった感もありますが、弥月さんの溺れっぷりに大層愚息がお世話になりました。

あまぎみちひと『めがぱい』

MegaBust.jpg時雨沢恵一先生の『学園キノ』第5巻(電撃文庫)を読みました。毎度のことながらたっぷり練り込まれた小ネタのパロディですが、某学習塾のCMのフレーズが出てきた時には意表を突かれました(笑。
次回は魔法少女モノのお約束“正体がバれそうになるピンチ回”となりそうですが、どんなドタバタ模様が繰り広げられるのでしょうかね。きっとハチャメチャな解決法をしてくれるに違いないですが(笑

 さて本日は、あまぎみちひと先生の『めがぱい』(キルタイムコミュニケーション)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『むちえろ』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
柔らかお肉をたっぷりとまとったグラマラス美女・美少女達が激しく悶えるハードファックが目白押しな作品集となっています。

 収録作は、読み切り短編10作+各作品に関するおまけイラスト&4コマ(カバー裏含めて計6P)。1作当りのページ数は12~20P(平均17P弱)とやや控えめなボリュームで推移しています。
ページ数の関係上、特にシナリオは小粒にまとまっている感がありますが、エロの濃厚感はかなり強く、抜きツールとしての満腹感を十分に味わえる1冊となっています。

【明暗それぞれの方向性がハッキリした短編群】
 前単行本と同様、RPG的世界観や日常の中に突如出現する怪異等、ファンタジー要素を絡ませることを共通させつつ、コミカルなドタバタ劇と陰湿な凌辱エロの双方を収録。
MegaBust1.jpg 主人公に死を告げに来た死神美少女さんが、彼を憐れに思ってHさせてくれる短編「しにがみっく★らばぁ」や、偶然ながらもドラゴンの角を折った戦士にそのドラゴンガールが求愛してくる短編「ドラゴンナイトストーリー」(←参照 強い男と見込んで求愛)などは、前者の例であり、人外美女・美少女との不思議な出会いが描かれます。
 これに対して、人間を守ろうと聖職者に転じた淫魔が魔界の追手に凌辱され、再び魔に堕ちる短編「漆黒の聖女」や、民のためにその身を魔に差し出した戦姫が魔物達の苗床にされる短編「魔畜の蛮餐」などは後者のタイプであり、ヒロイン達の弱点を握って抵抗を奪い、苛烈な凌辱・調教に突き落とす様を描写。
 “凌辱エロだけどラストでヒロイン大逆転!”といった両者の中間的な作品がないのが特徴であり、陽性のノリの作品ではエロに嗜虐性/被虐性を添加しつつもラブラブなハッピーエンドで終わらせ、凌辱エロではヒロイン達が漏れなく快楽の奴隷と成り果てるバットエンドで締めており、それぞれの方向性が明確と言えます。
エロのこってり感は共通しているものの、しっかり方向性を分けられた明暗双方の作品がほぼ同じ本数収録されているため、どちらかの作風で固めて欲しい方にはやや不向き。
 凌辱エロではひたすらに堕ちていく様でも、人外美少女との恋愛模様でもシナリオ展開に余裕がないため、話に平板な印象が無いわけではないものの、キルタイム系エロの様式美はしっかり踏襲している分、読みやすさがあるとも言えます。

【グラマラスボディの持ち主なファンタジー系ヒロインズ】
 ファンタジー系作品が揃っているため、ヒロインの設定は実に多様であり、死神さんに魔王、淫魔にエルフのお姫様、魔法使いにドラゴン娘などといったキャラクターが登場。
人外キャラが多いため、年齢層の推定は不可能ですが、見た目的にはハイティーン~20代前半程度の綺麗なお姉さんといった感じのキャラデザが主流ではあります。
MegaBust2.jpg 短編「ドラゴンナイトストーリー」の貧乳チビッ子な外見のドラゴン娘(約500歳)は例外ですが、表紙絵でその存在を激しく主張するヘビィ級爆乳、柔肉たっぷりの巨尻、そしてパッツンパッツンの太股を組み合わせた超グラマラスな持ち主がメイン(←参照 短編「供淫ノ刻」より)。また、お肌のツヤツヤ感も肢体の煽情性を更に濃くしています。
エルフ耳やケモノ耳(兎耳)、悪魔や竜のツノといった人外キャラクターの記号的要素に加え、巫女服や修道衣、制服に露出度高めのプリンセスドレスなどなど、各種の衣装もヒロインのセックスアピールを高めることに貢献しています。
 なお、コメディ系統ではショタ少年や好青年が登場する一方で、凌辱エロでは筋骨隆々たるオーク等の巨躯の化け物が登場しており、ヒロインのヘビィ級ボディを蹂躙するには好適な野郎キャラ。
 演出効果を含めての意図的技法なのか、単にムラッ気があるのかやや判別が難しいですが、絵柄は強固に安定しているとは言い難い部類。とは言え、表紙絵との落差はそこまで感じませんし、ベースとなる絵柄の質が低いわけではない分、そこまで大きな減点材料ではありません。

【各ページにぎっちり詰め込んだ過激エロ】
 ページ数が多いとは言えないため、導入部で状況説明をサクサクと片付けてエロシーンへと導入しており、濡れ場の尺は概ね標準量を確保。
長尺であるとは言えないのですが、その分、上述した肢体の濃厚な煽情性と、その肢体を時にねちっこく、時に猛烈に攻める行為を各種の強力なエロ演出で固めることで、エロに対する満腹感を形成しています。
MegaBust3.jpg 作品の明暗に関わらず、冒頭では余裕綽々であったり、気高い態度を示していたヒロインが、男性側の与える快楽によってその心身を浸食され、最終的にはアヘ顔や白痴系エロ台詞を曝け出す凶悪な陶酔状態に陥るというエロ展開が共通しているのも大きな特徴(←参照 短編「らびっ★盗らっぷ」より)。
 ひょっとこフェラや(男性の)尿道攻め、たっぷり爆乳を活かしたパイズリなど、前戯パートにもある程度の尺とバリエーションを設けつつ、アナルセックスも含めたピストン運動のアグレッシブさが強みであり、透過図や断面図等も絡めつつ極太の肉竿がヒロインの膣の最奥まで蹂躙する様をパワフルに描き出しています。
 シナリオパートも含め、小ゴマを独特の配置で並べるページ構成を取っており、やや画面の追いかけ難さを感じるケースもありますが、ここぞでのコマぶち抜き絵や大ゴマの使用などは勘所を心得ており、ページにぎっちりと詰め込んだ印象があるのは、他の作画や演出の方向性とマッチしています。
MegaBust4.jpg やたらと粘度の高い白濁液の描写が特徴であり、前戯パートにおけるフェラ・パイズリからの顔面ぶっかけのシーンを一つの抜き所として設けています(←参照 短編「監獄戦艦2~要塞都市の洗脳改造~」(原作:Lilith)より)。加えて、輪姦シチュなども多いため目一杯広げられた秘所and/orアナルへの大量中出しに、ヒロインの肢体を白く染めるぶっかけ描写が添加されることもよくあります。

シナリオ面での分かり易さがしっかり担保されている故に、こってり&ハードなエロに集中し易い感があり、アンリアル掲載作として王道の魅力を持っていると評したい所存。
個人的には、高貴なエルフのお姫様を騙してがっつり凌辱な短編「供淫ノ刻」と、純情ドラゴン娘となんだかんだで夫婦になって平和に暮らす短編「ドラゴンナイトストーリー」が特にお気に入りでございます。

いくさりゅうじ『サカリザカリ』

SakariZakari.jpgTVアニメ『快盗天使ツインエンジェル』第4話「激撮激写!標的はツインエンジェル」を観ました。冒頭でいきなり犯人にツッコミを入れられてましたが、3人揃っての活躍?が始まっていますな。
くるみちゃん可愛いよくるみちゃん、ってのは勿論なのですが、アダルト美人な西条先生(30歳)のアンミラ風ウェイトレス衣装の年増ギャップ属性の濃厚さに僕はクラクラですよ!待ちかねたぜー!!

 さて本日は、いくさりゅうじ先生の初単行本『サカリザカリ』(茜新社)のへたレビューです。単行本の帯に“女の賞味期限は5年くらい”とありますが、そんな、30歳の西条先生の立場も考えて下さいよ!(謎激怒)
それはともかく、ピュア&キュートなロリ美少女達の華奢な肢体のエロスが魅力の作品集となっています。

収録作はいずれも短編で10作。1作当りのページ数は12~24P(平均21P強)と多少の幅はありつつ標準的なボリュームとなっています。
どちらかと言えば、エロの分量優先の構築であり、十分な尺を有するエロシーンとその前後を固める短めのシナリオパートで固めた作品が中心と言えるでしょう。

【朗らかさとダークさが微妙に入り混じる雰囲気作り】
 割合にポップ&キュートな雰囲気の表紙絵と、暗く重い雰囲気を醸し出す裏表紙の対比が示す様に、ハッピーロリータ系と凌辱系のダークさがある作品が混在。
SakariZakari1.jpg 例えば、男性が苦手になった少女と男性教師をコミカルテイストも混ぜながら甘ラブ系として描く短編「少女グルー」や(←参照 金的命中!)、臭いフェチであることが判明した少女が男子生徒達に輪姦される短編「蜻蛉雫」の様に、それぞれ明暗の方向性を明確に分けた作品もありますが、一つの作品の中で陰陽の雰囲気が入り混じる作品も目立ちます。
犯罪臭が強烈に香るいかにもな冒頭展開から、純愛ハッピーエンドへと至る短編「サルビア」などが好例ですが、起承転結における“転”をあまり明確にしないまま、怪しげな雰囲気と少女達の天真爛漫さが共存しているのがユニークなところ。
シナリオ面での抑揚の乏しさは、漫画としての面白さをスポイルしがちなのは確かで、どっちつかずでモヤモヤした読後感を覚えるケースもあります。
 とは言え、シナリオにあまり動きが無い分、ヒロインのキャラクター性の魅力を十分に引き出すことには大きく成功しており、全体的な雰囲気が明暗のいずれに傾こうとも、少女達を(少なくとも表層的には)不幸にすることはありません。
 また、作品のラストも良質なものが多く、朗らかさと業の深い暗さを両立させるケースでも、明暗をはっきりさせるケースでも、しっかり読後の余韻を形成しているのは○。

【成長期な未成熟ボディのロリータ少女達】
 各作品に登場するロリータ少女達は、下は小○校4年程度で上は中○校2年と、帯の表記にある通りに約5年の幅が設けられています。
人数的には中○生クラスの思春期ガールズ達が主力で、そこに数名のランドセルガールズが加わる布陣となっていますが、成長期である故に年齢に伴って肢体造形にはある程度振れ幅があります。
64ff0c38.jpg ほっそりとした肢体に膨らみかけな薄い胸、ほっそりとした四肢やツルツル~薄ら生えかけな股間とロリボディの記号的な要素を着実に組み立てたボディデザインが多い一方(←参照 短編「君のとなり」より)、肢体の小ささをより強調したタイプや、比較的豊かな胸の持ち主なども少数登場。
 なお、この少女達と相対することになる男性陣の描写は一種独特であり、まるで能面の様な表情でその内面の陰陽を悟らせない男性達は、上述した暗さと朗らかさの入り混じった作風との相性がかなり高いです。ただ、多少不気味に見える感もあり、好みは分かれる要素でもあるでしょう。
 このキュートで純真な心根の持ち主であるニンフェット達は、表紙絵と同クオリティの二次元絵柄で描かれており、初単行本とは思えないほどに絵柄は安定しています。萌えっぽさもあるのですが、適度なオサレ感が先行しているのも絵柄の魅力と言えるでしょう。
ef26d7a4.jpg 少女と男性という組み合わせだけでなく、気弱な少年を女装させて強気な女子の集団と絡ませたり(短編「Imitation Lily」、少女同士の百合チックな絡ませ方をしたりと(←参照 先輩と後輩 短編「叙情倶楽部」より)、ある程度メジャーな“変わりネタ”を投入するフットワークの軽さもキャラクター描写における美点と感じます。

【少女の可憐な美しさとエロとしてのアタックの強さの塩梅】

 上記した通りにエロシーンの占める割合が高い作品構築となっており、未知の快楽に戸惑いながらもそれに陶酔していく少女達の痴態を十分な尺でお届け。
 エロ展開的には挿入するまでの段階を比較的重視するタイプと言え、少女の未成熟な肢体を指でたっぷりと弄る描写をメインとしつつ、フェラや手コキ、素股などによる行為で1回目の射精へと導入していきます。
挿入後は前穴一本槍であると言えますが、エロシチュエーションや付随するプレイは様々であり、スリル感の強い露出系セックスや女子軍団による逆レイプ、ぶっかけ連発の輪姦シチュエーションに、果てはロリっ子に茹で卵を“産卵”させる様をビデオ撮影といった特殊なネタまで投入。この点は単行本としての強みであると同時に、上述した作風の統一感の無さに拍車をかける要素でもあります。
f31691ed.jpg 端正な絵柄の性質上、過激なエロ演出は不似合いという印象があり、少女達の可愛らしさを維持しながら、抜きツールのセックス描写としての激しさを出そうとするバランスのしっかり取れた演出は高く評価できます(←参照 台詞演出のアタックの強さや効果線の使用 短編「サルビア」より)。
適量の液汁描写により、柔肌のしっとりとした質感を強調したり、淫猥さが過剰にならない程度の結合部見せ付け構図における性器描写の質を高めているのも巧い点で、どちらかと言えば未成熟な肢体そのもののエロスを煽情性の構築の基盤としていると感じます。
 大ゴマメインで、中出しに伴う絶頂のエロ台詞を叫ぶヒロインの姿を映し出すフィニッシュシーンまで、十分なエロのアタックを有しつつ、何処となく上品なエロティックさが維持されているのも特徴であり、ここを美点と捉えるか、物足りなさとして感じるかで実用面の評価は多少変動すると思われます。

作画・演出面は初単行本としてレベルが高く、キャラクター作りなども安定した技量を発揮していると感じます。個人的には、シナリオワークが今後どのような方向に進んでいくかに興味がありますね。
なお、健康的に日焼けしたナマイキ少女とブルマ体操服エッチな短編「少女グルー」とシナリオ面で(特にラスト)最も魅力を感じた短編「君のとなり」が管理人のお気に入りでございます。

霧恵マサノブ『魔法少女まじかるゆかたん』

MagicalYuHuka.jpg普段はこの冒頭で、漫画やアニメ、メタルCDの話なんかに軽く触れておるのですが、今回の単行本は発売を待ちに待ち、焦がれに焦がれた作品であることを代わりにまず明記。
一度は、打ち切り決定で続きが読めなくなる可能性さえ高かったのに、ちゃんと作品が完結にまで至り、こうして単行本として読み、そしてレビューすることが出来たのは大変な喜びであります。

 というわけで、本日は約3年ぶりの新刊となる霧恵マサノブ先生の『魔法少女まじかるゆかたん』(ジーウォーク)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『海宴』(ヒット出版社)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
激流の如く迸る感情と欲望が生み出す強烈な快楽と心温まる“ファンタジー”が不思議な共存を示す1冊となっています。

003d6c27.jpg 収録作は、交通事故で瀕死となった女の子の前に現れたのは彼女を魔法少女へと誘う不思議なカニで!?という冒頭展開から始まる中編「まじかるゆかたん」全4話(←参照 どうにも締まらない冒頭である 同中編第1話より)、および短編3作+フルカラーのエピローグ掌編(4P)。なお、中編作と短編3作はストーリー面で直接のつながりは無いものの、同一世界を舞台としています。
 また、単行本のサブタイトルに“BehEMotH”とありますが、これは全3冊の『海』シリーズの副題である“LeviAthaN”とある種対になるフレーズであり、作中でもリンクする部分があるため、既刊を読んでいると面白みが増します。
 フルカラー作品を除き、1話・作当りのページ数は20~28P(平均25P弱)と中の上クラスのボリュームで推移。情報量の多さによる読み応えの強さと、勢いのある話回しが両立されており、そこに強烈無比な攻撃性を誇るエロシーンが十分な量で付随するというヘビィな構築を示しています。

【“変容”が一つのテーマな多彩な登場人物達】
 魔法少女になってしまった主人公の女の子が、生前の心残りを果たすために魔法を駆使してゆく中編作はどちらかと言えば人間ドラマとしての部分が大きく、複雑に絡み合う人間模様が徐々に明らかになっていきます。
少女が恋をしていた少年、その友人、そして少女の憧れていた女教師の“素顔”が明らかになるなかで、ショタ少年の同性愛や先生の生徒への倒錯的な愛情が明らかになっていくため、性行為は通常の男女関係のソレとは限りません。
MagicalYuHuka2.jpg これに対して、短編3作はよりファンタジー色が鮮明であり、熱帯林の林冠に住む人外の少女が登場する短編「しりざる」や、釣りあげた人魚型の“魚”との交流を描く短編「あしうお」(←参照)では、人外の美女・美少女との異種姦が描かれており、彼女達の造形や行動が人間とは大きく異なることに意味のある描かれ方となっています。
 中編・短編群併せて、エロに絡む人物の属性は、小○生ロリ&ショタ、年上お姉さん、褐色肌な人外美少女、ふたなりキャラなど、かなり多彩であり、また中編作を初めとして“変身”に意義を持たせる作品では、登場人物達の容姿における変化の前後を、交錯させる様な描き方をしているのも特徴。
 体型的にもグラマラスボディな大人ヒロイン、ちみっこい肢体のょぅじょさんタイプ(ただし人外)、おかっぱヘアなショタ少年にスレンダーな肢体の美女等様々で、肢体描写において骨格や筋肉を意識しつつも肉の柔らかい質感や肌の艶やかさを感じ取らせる描写も○。
 実際に一般誌でも作品を発表している通り、萌えっぽさというよりは適度な健康さのある絵柄は、創作系特有のクセっ気はあるものの、基本的に万人向けするタイプ。ギャグパートでのデフォルト絵なども含め、作画が自由闊達であるのも評価したい点です。

【過激な演出が絨毯爆撃なエロシーン】
 異なる種族同士のコミュニケーションとしての性愛、苛烈な暴力を伴う歪んだ愛、独占欲から来るか嗜虐的な責め、そして相手を求めてやまぬ尊ぶべき人の業と、込められたテーマ性こそ様々ですが、感情と欲望が炸裂するセックス描写は強烈無比の一言。
 アヘ顔、白痴系エロ台詞、断面図に透過図、乱れた描き文字による台詞表記や迫力のある擬音の用法など、主要な過激系エロ演出を漏らすところなく、かつ大量にぶちこんだエロ描写の圧倒的な迫力とドライブ感は業界屈指の水準に達しています。
嗜虐的なエロシチュエーションにおける台詞回しの秀逸さも、このエロのドライブ感に拍車をかけており、畳みかけるような台詞の連発で読みをグイグイと牽引しています。 
MagicalYuHuka3.jpg これらの視覚的な強烈さを武器としているのは間違いありませんが、そういった過激なエロ演出が上っ面だけのインパクト勝負になっていないことこそが最大の美点であり、明暗様々な他者への渇望が激しい行為を求め、その欲望が満たされる喜悦が、心身を変容させるかの様な凄まじい快楽を生む、という構図を紙面に漲るようなエネルギー感で描き上げています(←参照 中編「まじかるゆかたん」第4話より)。
ブルータルに、攻撃的に、過激に性を描き出しながらも、時に悲哀や絶望を、時に喜びや安堵を漂わせており、抜きツールとしてのアタックの強さを高く維持しながらも、饒舌な心情描写ともなっていると評し得るでしょう。
 上述した様に、登場するキャラクターの設定が様々であるため、必然エロシチュエーションも多様でありますが、ショタエロやふたなりエロなど好みを分ける要素があることは要留意。とは言え、そこらの好みのブレさえ、強烈なエネルギー感で押しまくれる魅力は有しています。

【共に在ることの喜びをもたらす“性”】
 他者の精神に踏み入ることと同様、性器を相手に挿入するセックスは、短編「あたまどり」で示される様に、その扱い方を間違えれば他者を傷付ける“暴力”となりえるものであり、作中で描かれている、何かが壊れるかの様な強烈な快楽は他者に対する“侵犯”を象徴しているとも言えるでしょう。
その“暴力性”を人は理解しながらも、それでも他者を求める狂おしい渇望故に、相手と自己に与える“ダメージ”への覚悟をしつつ、他者と向き合い、互いを曝け出していこうとします。作中で描かれる“性”の在り様は、その発現様式こそ様々ながら、相手の内側に対して一歩踏み込んでいく意志の顕れと言えるでしょう。
d27f322d.jpg 共に在りたいという願いは時に種族・言語の壁を越え(←参照 ただ手を広げるだけで 短編「しりざる」より)、倫理を踏破し、純粋な愛を保たせ、死の絶望を乗り越えさせていきます。霧恵マサノブ作品の一つの特徴である、登場キャラクターにとって“広がる世界”は、そういった一つ一つの融和の積み重ねによって可能になっていると評せます。
 読みの面白みを残すために、詳細は伏せますが、急展開に次ぐ急展開で加速度高く駆け抜けた中編作は、作家さんがこれまでの作品と共通させる壮大なロジックによって丹念に固められた“夢オチ”であるとも言え、エピローグにおいて作中の世界は現実へと回帰していきます。
この作品構築は、夢オチという単語から想起されるような軽薄なものでは決してありません。ストーリーと性描写の両面において非常に重要な役割を担った“共存の欲望”は、この終盤展開によって、現実と幻想の壁を超越し、両者の幸福な共存を可能に為し得たと言え、物語冒頭の個に閉じた世界が大きく羽ばたく様を描いています。
 “性”を描く“漫画”であるエロ漫画にある、一つの本質的なテーマ性を高らかに謳い上げる作品であり、その揺らがぬ作劇スタイルが清冽な感動を呼び起こすことを一エロ漫画レビュアーとして激賞したい所存。

コミック阿吽の再編でヒット出版社から放り出された時にはファンとして大変心配したのですが、この傑作がちゃんと世に出たことを喜んでおります。
また、おそらく他社のエロ漫画雑誌ではなかなか通らないようなプロットやエロシチュにバンバンOKを出しまくったジーウォークの編集さん方にも、厚く御礼を申し上げたいところ。
今更言うまでもないでしょうが、超オススメの作品でございます。特に、漫画として面白いエロ漫画をお探しの方はマストバイですよ!
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