
その吹きすさぶ“大きな嵐”の中で、離れ離れになってしまった久城君とヴィクトリカさんですが、彼女の想いに応えて久城君がソビュールに戻ることが如何にして可能になるのでしょうか。ハッピーエンドになって欲しいものですなぁ。
さて本日は、シロタクロタ先生の『本命彼女』(茜新社)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『召しませ・愛玩メイド』(エンジェル出版)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
キュート&エロエロな美少女さん達と繰り広げる平和なラブストーリーが楽しめる作品集となっています。

なお、「毎日がモラトリアム」シリーズの第1話や、短編「男×更衣室×女2」の前作などは、茜新社における前単行本(冊数的には5冊前)『すけーぷ★ごーと』に収録されています。ただ、ストーリーの連続性は弱いので、今単行本から入ってもそれ程読みに支障はないと思われます。
1話・作当りのページ数は16~22P(平均19P強)と中の下クラスの分量で推移。軽過ぎも重過ぎもしない適度な読書感と、一定の濃厚さを備えたエロとで満足できる1冊となっています。
【オトボケ風味なラブコメディから真摯な青春恋愛ドラマまで】
彼氏君とのエッチに少し満足できないヒロインが彼氏の兄貴に隙を付かれて寝取られ展開となる短編「蜜室」を除き、男女の恋愛ストーリーを描く作品で概ね統一されており、平穏な読書感を維持。
「毎日がモラトリアム」シリーズのように、コメディ色を強めてエロまっしぐらに駆け抜けるタイプの作品も多い一方で、もどかしい男女関係を描き出すタイトル中編やコミカルな幕開けからちょっと心温まるお話に変化する短編「ほしふるよるに」など、恋愛におけるアンビバレンツな心情を比較的丁寧に描き出す作品にも存在感があります。

お気楽ノリな他の短編群では、主人公の男性が流されっぱなしとなるケースが多いものの、中編作においては少年の誠実さがちゃんと描写されているのが好印象であり、それ故に安易な両手に花エンドでなく、二人のヒロインがそれぞれの未来へ向かって歩み出すことをラストで可能にしているのも○。
恋愛感情の描写がそれ程為されていないケースでも、若者らしい純粋な快楽追求が登場人物達を幸福に導くというスタイルは共通しており、濃い目のエロの前後をよく整えている感があります。
青春ドラマとして描く場合でも、ラブコメディとして描く場合でも、やや構え過ぎている分、パンチ力に欠ける傾向を感じますが、それぞれよくまとまっており、硬軟織り交ぜても読みやすさがあるのは長所でしょう。
【たっぷりサイズのバスト&ヒップ装備なエロエロガールズ】
ヒロイン陣の年齢層は、女子高生~女子大生級の10代後半~20歳前後のキャラクターで構成されており、絵柄の特性故かどちらかと言えば“綺麗なお姉さん”的な色香を香らせるタイプとなっています。
短編「杏奈先生のご褒美」に登場する見事なアバズレさんは極端な例ではありますが、ビッチ級も含めて性に対してかなり積極的なヒロインが多め。上述した中編のように、このタイプのキャラクターとの対比を図るために、性に奥手なヒロインを同時に投入するケースも認められ、それが帯の“処女vsビッチ”の意味するところとなっています。

肢体造形そのものは王道的で、これといって特色があるわけではないものの、個々の体パーツの持つ淫猥さを大きな武器としており、薄めに生える陰毛と艶めかしい淫肉の蠢く秘所をの股間描写や、やや多めな乳輪と小粒な乳首が組み合わされたバストトップ、エロシーンで色香を増す黒目がちの瞳などで、意外にえげつないエロさを醸し出してきます。
腰までめくれ上がったスカートを常に残存させるなど、着衣セックスが大半を占めており、競泳水着やメイド服、学校の制服などの定番ドコロをきっちり押さえたサービス精神も有難い点。
各出版社から勢力的に単行本を出されていることから窺えるように、業界の中でも筆の速い作家さん(コンビなので正確には作画担当の方が)であり、絵柄をしっかり固めた上で量産しているので単行本を通して絵柄のクオリティはしっかり安定しています。
【陶酔の表情と肉感たっぷりのエロボディで魅せる濡れ場】
シナリオの趣向に依らず、エロへの雪崩れ込みがかなり早めに行われるため、エロシーンの分量は十分にあり、かつ快楽曲線の盛り上げに切れ目のないエロ展開を形成できています。
このエロ展開において、前戯パートと抽送パートの両方にバランス良くページ数を配置し、双方に射精パートを設けて抜き所を形成する展開の安定感は実用性を高めており、両パートにおいてヒロインのもちもちとした肢体を有効活用。

じっとりと滲む汗や、蜜壺から溢れだす愛液、口角から垂れる唾液などの液汁描写によって、ヒロインの肢体のシズル感を行為の進展に併せて高めていますが、そのことがヒロインの柔肌に粘膜的なエロティックさを生じさせているのも特徴でしょう。
結合部描写には分量を割くものの、アヘ顔や断面図といった強烈なエロ演出とは無縁であるため、ややエロさの即効性に難を感じる方もいるかもしれませんが、メロメロに蕩ける表情や上述の肉感溢れる女体などで紙面に濃密な官能性を常にキープしており、フィニッシュシーンへと向けて着実にエロさを積み上げていくタイプと評せます。
すっかりアクメフェイスを曝け出し、日本語にならない嬌声を搾り出すヒロインを大ゴマ~1Pフルで描き出すフィニッシュシーンは、まれにぶっかけをチョイスしますが、基本的には中出しを決め込んでおり、結合部見せ付け構図でそれらをダイナミックに提示しています。
読書感の良さとエロの満足感が両立されており、これまでの作品群と比して特段の新規性こそ感じないものの、ウェルメイドな恋愛系エロ漫画と感じます。
個人的には、相変わらずドエロなキュートガール・姫子さんとの変わり種エッチが楽しめる「毎日がモラトリアム」シリーズに、引き続き愚息がお世話になりました。