
高校生のボーイズ&ガールズにとっての一大イベント、修学旅行が始まったわけですが、爽子以外の面子達にも恋の一波乱が起きそうですが、一体どうなりますやら!
さて本日は、なるさわ景先生の『熊切さんはデレない』(茜新社)のへたレビューです。なお、先生の前単行本(初単行本)『つよカノ』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
キュートな萌え系美少女さん達と繰り広げる甘く平和なラブラブエッチにまったり浸れる作品集となっています。
収録作はいずれも短編で11作。1作当りのページ数は16or20P(平均18P)と、どちらかと言えば控えめのボリュームで推移。
お話的な読み応えも控えめですが、その分エロに量的満足感を高めようとする構成を取っており、スムーズな読書感と十分な実用性が担保されている1冊と言えましょう。
【まったり平和な空気の中でのイージー展開】
前単行本に引き続き、今単行本においてもほのぼのとした雰囲気の中でのラブコメディを作風の基本としており、若い男女の甘ラブ模様を描出。
掲載紙(ビデオボーイ)の関係上か、純真なお嬢様を騙してAV出演→お嬢様エッチに夢中にという短編「お嬢様探訪」は身も蓋もない印象が参考しますが、その他の作品は男女ラブい関係を緩やかに紡いでいく分、読書感は良好に仕上がっています。

冒頭展開における少年少女の関係性についての説明が相当ざっくりしたものであり、状況がよく飲み込めないままにエロへと雪崩込んでしまうケースもあるのは、作劇面における難点であって、展開にややノリ切れない感もあるのはそれなりの減点材料でしょう。
萌えエロ系に相当する作風であり、ヒロインのキャラクターを作劇の中核に据える分、キャラ立てに分量的な余裕の無さが感じられるのは残念ですが、上述した様に、キャラクターとシナリオ展開が王道的に組み合わされているため、取っ付きやすさが減少していないのは○。
また、作中での性行為が、双方の恋愛感情に基づき、かつ相互に相手を求め、それが満たされる幸福感が濡れ場も含めて作品全体で表現されているために、その優しい空間に浸れる心地よさは確固として維持されています。
【もちもちとした柔肉をまとう萌え系キュートガールズ】
各作品に登場するヒロインは、ミドル~ハイティーン級の女子高生さんで統一されており、コミックRin作家陣らしく美少女さん揃いの1冊。

この点は評価が割れる可能性のある点であり、テンプレ的な造形が明確な萌え系美少女を望む方と、個々の属性の典型から少しずらして曖昧な部分を残す造形を好む方ならば、後者の諸氏により適したキャラメイキングと考えます。
制服美少女達のキュートウェイスの位置するボディは、もっちりとした質感&重量感を備える巨乳を中心に比較的肉付きのよい健康エロボディであり、エロシーンにおけるじっとりとした汗の描写の添付によって体温感が醸成されやすいのは、エロの熱気感の増強に大きく寄与。

描線に少々荒さも残存し、ラフな印象があるのは確かですが、適度な萌えっぽさを有する現代的なアニメ/エロゲー絵柄であり、美少女キャラの造形とも相性が良い画風は単行本と通して概ね安定を示しています。
【挿入感の深さを強調するパワフルファック】
上述した通り、シナリオの導入部を必要最小限に切り詰め、エロシーンを実用的読書に用いるのに十分な量を設けると共に、その中で双方の恋愛感情の強さを確認させる構成を取っています。
女装少年ネタやいつも凶暴な熊切さんを拘束エッチといった変化球を交えてくることもありますが、基本的には若い性欲の赴くままにお互いの肢体を求めあうラブラブエッチであり、女性側のリードから始まって男子の反転攻勢、もしくは終始主人公の少年が女の子を完全にリードするエロ展開のいずれかを選択。
これといって特殊なプレイを介在させず、フェラ・パイズリ主体の前戯パートとその後の性器結合の抽送パートとの双方に尺を割り振りつつ、複数の抜き所を設ける標準的な組み立てがメイン。なお、前戯パートをヒロインの愛撫に留めたり、フェラでの射精目前で寸止めして抽送パートに移行したりといった、タメのあるエロ展開を用いているケースもそれなりの頻度で存在しています。

上述した肢体のもちもちとした肉感を作画によって前面に押し出しつつ、大股開きで結合部を見せ付ける構図を多用しており、迫力豊かな擬音を奏でる秘所の直接的な煽情性で押しまくるスタイルはなかなかにパワフル。
アングル変化の流れや、同時複数視点でのコマの割り方など、エロ作画においてより良く魅せようとする意図が明確であるのは大変頼もしいですが、場合によってはやや雑然と感じる部分もあり、エロの淫猥さを高める役目も担っている作画の荒さのコントロールに多少の課題を残す感はあります。
キャラ造形の妙によるほわほわと柔らかい空気と、パワフルファックはよい塩梅で調和しており、使い心地の良い抜き物件としての完成度はしっかり高いと感じます。魅力的なヒロイン作りが出来ている分、その掘り下げがもう少しあれば、作品の魅力はさらに高まるのではと個人的には感じるところ。
それはともかく、エッチな奔放お姉さんにショタ系ボーイが美味しく頂かれる短編「ミラクル♡スイーツ」とツンツン乱暴娘の熊切さんの中に白濁液を連続発射なタイトル短編「熊切さんはデレない」がお気に入りでございます。