2010年07月

URAN『ちちぺでぃあ』

TiTiPedia.jpg若杉公徳先生の『デトロイト・メタル・シティ』最終第10巻(白泉社)を読みました。クラウザーさん・根岸の苦悩と狂奔の日々も終に大団円を迎えましたなぁ。色々と盛り上がった作品でした。
“デスメタル”の扱いに関して、メタラーとしては不満な部分は勿論あったのですが、112話のライブシーンには胸にこみ上げるものがありました。ライブ熱が高まってしまい、早くスラドミに行きたいものです。

さて本日は、URAN先生の『ちちぺでぃあ』(コアマガジン)のへたレビューです。先生の前単行本(初単行本)『誘惑はあかね色』(富士美出版)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
もっちもちなやわらかバスト&ヒップをお持ちな元気ガールズ達と繰り広げるラブコメ・エロコメが楽しめる作品集になっています。

TiTiPedia1.jpg収録作は、子供の時に助けたウリボウが褐色肌巨乳美少女になって恩返しに参上な中編「ツルに恩返し」全4話(←参照 猪ガール!そういうのもあるのか 同作第1話より)、および読み切り短編・掌編5作。
なお、巻末のゲスト作家がゴージャス宝田先生&おりもとみなま先生、帯の推薦文にも名だたるエロ漫画家さん達が集まる豪華なおまけ要素も楽しいところ。そこに何故か僕もまぎれ込んでいますが、一ファンとして応援させて頂きつつ、レビューはレビューとしていつものスタンスを今回も貫きます。
閑話休題。フルカラー作品である掌編「ラビットセラピー」(4P)を除き、1話・作当りのページ数は20~28P(平均21P強)と標準的なボリュームで推移。アイディア力に優れた作劇である分、適度な読み応えはありつつ、軽快なテンポの中でエロをこそたっぷり魅せる構築と言えるでしょう。

【コミカル&ライトにまとめたラブコメ・エロコメ作品群】
作劇面に関しては、ヒロインのチアフルなキャラクター性とアイディア勝負なエロシチュを作品の中核にするメガストア系らしいアッパーなラブコメディ・エロコメディで統一。
お兄ちゃん激ラブな妹ちゃんが兄貴に熱烈なラブエロアタックをかけまくる短編「イキヌキ・しようよ」や、猪・鹿・蝶の人外三人娘が恩返しに突如押し掛ける中編作など、エロ漫画的なテンプレ展開をある程度素直に踏襲しているので、かなり読み易いタイプと言えるでしょう。
また、恋愛感情の描出への踏み込みは、ドラマ性を持たせることを強く意識した中編作から、概ね快楽全能主義で貫く短編群まで幅がありますが、どちらにしても男女双方の素直な快楽欲求がスムーズなシナリオ進行を後押ししているのも、いい意味でのイージーな読書感を生み出しています。
TiTiPedia2.jpg中編「ツルに恩返し」ではヒロイン・みやびちゃんを主人公の元から奪おうとする“悪役”の登場で多少シリアスな展開になったり(←参照 必死に抵抗する主人公のピンチに 中編第3話より)、短編「テイスティングクイーン」では親父の借金のせいで取りたての悪漢達に(性的な意味で)ヒドイことをされてしまうダーク寄りの雰囲気になったりもするので、ラブエロとしての甘ったるい雰囲気を終始味わいたい方は要注意。
とは言え、雰囲気の的確な調節を行える作家さんでもあり、前者であるならば“悪役”の意外に可愛らしい正体を明かした上で仲直りを描いたり、後者であるならば、取り立て屋よりも親父の駄目人間度合いを思いっきり強調することで最終的にはコミカルにしてしまったりと、暗さや重さのある雰囲気を上手く回避してラブコメ・エロコメとして柔和にまとめている点は好印象。
短編作としてコンパクトにまとめている際には目立たないものの、この美点を逆に言うならば、話作りにやや落ち着きがない印象もあり、ストーリー進行が前のめり気味なのは△。ただ、これは勢いの良さをも意味しており、単純にマイナス要因だけではないでしょう。

【もちもちと柔らかなたっぷりおっぱいを満喫可能】
中編作の猪鹿蝶トリオに加え、巻頭の掌編「ラビットセラピー」ではウサ耳娘コンビが登場と人外ガールも豊富に登場させつつ、その他の作品ではハイティーン~20代前半程度の元気娘さん達が出演。なお、中編作のメインヒロイン・みやびちゃんの活躍もあって褐色肌美少女の登場が多いのも個人的には嬉しい点です。
猪突猛進のフレーズがピッタリなエロ&ラブに全力投球な中編作の猪娘や、売れない芸人のケツを叩く関西弁マネージャー(短編「好色芸人のススメ」)等、快活なキャラ造形のヒロインが多く、彼女達の明るい言動が作品にポジティブな印象を付与しています。
“柔らかおっぱいのハピネスとエロスとは何か?本作はその命題への一つの答えである!”と裏帯の推薦文に某へたレビュアーが書いている通りに、もちもちと柔らかい巨乳を備えるヒロインが勢揃いであり、柔肉がぱっつんぱっつんに詰まった乳房のハリの良さは何とも素敵。なお、中編作のサブヒロイン二人が貧乳・並乳ではありますが、ぺたんこから爆乳までのおっぱい百科事典としてのヒロイン造形を期待するのは避けるべきです。
TiTiPedia3.jpgこのたっぷりバスト以外でも、お尻や太股のむちむち感は非常に良好で、読み手のエロマインドを甚く刺激してきます(←参照 チャイナ風衣装が○ 短編「パッションモデル」より)。それでいて、四肢がスラッと伸びていたり、ウェストが適度にしまっていたりと全体的な肢体造形のバランスが取れているのも○。
なお、少年キャラを可愛らしく描く一方で、中年男性の描き方に妙な濃さがあるのが特徴であり、今単行本では特に短編「テイスティングクイーン」のおっさん3名に関しては結構好悪が分かれそうです。凌辱要素もある作品なので、ヒロインが汚されてしまうという点において決して間違った方法論ではありませんが。
少々クドさもありながら、ヒロイン達の可愛らしさを良く抽出するキャッチーな二次元絵柄は、濃くはっきりとした描線が身上であり、同時に適度なデフォルメ感も魅力。絵柄に関して安定感が強い方ではなく、作品間でも同一作品内でも微妙に印象が変化するのは一定の減点材料たり得るでしょう。

【エロとしてのアタックの強さを十分に示すセックス描写】
上述した通りに、導入パートをサクサクと進行させる分、エロシーンの比率は高く、ヒロイン達の柔らかエロボディが快楽に蕩けて各種液汁に濡れる痴態をたっぷりと堪能可能な優良抜き物件になっています。
まず特筆すべき、各作品のエロのコンセプトがはっきりしている点であり、中編作では複数ヒロイン制を活かした多人数エッチ、短編「テイスティングクイーン」ではねっとりとした口淫描写への注力、短編「パッションモデル」での露出&羞恥系のプレイ等、明確な方向性と表現手法がよく噛み合っているのは実用性の強化に大きく貢献。また、恋愛エッチなら甘さが、凌辱寄りのセックスなら嗜虐性がしっかりと味付けされているのも上手いところ。
舌に絡まる唾液の表現が淫靡なフェラやボリューミィな巨乳を有効活用なパイズリ、むちむちバディを全身まさぐりなどで構成する前戯パートで互いの興奮をグッと高め、おねだり台詞や挑発的なポージングによって挿入が開始されれば、一気に濃厚な陶酔空間へとご招待。
TiTiPedia4.jpgピストン運動のシーンにおいても、乳吸いや乳揉みを絡めたり、熱っぽい官能の表情を豊富に示したり、マッシブな断面図・透過図を絡めたりと、各種エロ演出で力強い抽送の表現の脇をしっかり固める技術力には大変信頼感があります(←参照 中編「ツルに恩返し」第4話より)。各種に配置されるぶっかけ描写や口内射精時のドロっとした白濁液や、はわわ口から漏れ出す涎など、各種液汁表現の煽情性の高さも高評価の一因。
絵柄にこそ多少の不安定感はあるものの、適度なインパクトを生み出すエロシーンの構図はよく練られており、歓喜・驚愕・痛覚・陶酔と千変万化なエロフェイスや躍動する女体の滑らかな動きをしっかりと表現しています。
パイパンな股間の結合部を見せつける構図も多用しつつ、キツキツな媚肉が締めつける膣内and/orアナル内にたっぷり射精する様を大ゴマ~1Pフルでがっつり提示なフィニッシュまで疾走しており、ドライブ感と陶酔感の双方がある濡れ場として構築されています。

キャラ的にもエロ的にも魅力的なヒロインをシナリオ・エロ双方においてコアとしている作品群であり、楽しい読書感と確かな実用性に満足できる1冊と言えましょう。このような秀作の帯に推薦文を書かせて頂き、一人のレビュアーとして大変光栄なことと思っております。
個人的には、何と言っても褐色肌ケモ耳娘なみやびちゃんが素敵に過ぎる中編作と、全身これお餅の如く柔らかなエロエロ妹とのエッチが実に使える短編「イキヌキ・しようよ」が特にお気に入りでございます。おっぱいスキーな諸氏にお勧め!

イコール『たわわん』

TheAbundant.jpg宮下裕樹先生の『正義警官モンジュ』第10巻(小学館)を読みました。性悪野郎・三堀の(事情があるにせよ)かなりのシスコンっぷりも含めて、家族という要素が強い巻でしたな。
しかし、結婚式エピソードの下品極まりないおっさんコールがあまりに強烈で、もう爆笑でしたね。実際式場で叫んだら、社会人失格の烙印を押されるレベルですが、一度は思いっきり叫んでみたいなぁ(←おっさん

さて本日は、イコール先生の『たわわん』(三和出版)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『ましゅまろフィアンセ』(コアマガジン)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
単行本タイトル通りに、たわわなもちもち巨乳をお持ちな美女・美少女さんと繰り広げるエロコメディが楽しめる作品集となっています。

収録作は全て短編・掌編で計12作。フルカラー作品である掌編「くいちんぼう」(4P)を除き、1作当りのページ数は16~24P(平均18P強)と中の下クラスのボリュームの作品が多め。余談ですが、おっぱい愛好の同志諸兄はカバー裏必見。
基本的にお話はコンパクトにまとめられており、読み応えには乏しいですが、ヒロインの柔らかボディを満喫するエロシーンと合わさってなんともハッピーな読後感を保障する構築になっています。

【お気楽&ハッピーなラブコメ・エロコメ作品群】
上述した通りに、今単行本はお気楽ノリなラブコメ・エロコメがメインであり、エロに対して大層積極的なヒロインさん達がそのエロエロな肢体を活かして(性的な意味で)大活躍する様を明るい雰囲気の中で描いています。
1冊目がロリ、2冊目がティーンガール主体と来て、3冊目の今単行本では団子屋の女将さんやOLさん、女医さんなどアダルト美人さんの登場頻度がかなり高まっていますが、この年齢層故に、エッチなお姉さんに身も心も任せてリードされる幸福感があるのは間違いなく美点でしょう。
TheAbundant1.jpg作品の展開としては、隣りに越してきた奥さんが初恋の人で旦那も交えて3Pエッチに発展したり(←参照 何言ってんだ、この旦那 短編「ダブルラブインジェクション」より)、ツンツンしているが初心な女医さんが包茎治療にトライしたり(短編「うぶいしゃ」)、ボロアパートの管理人さんが入居さんに専属サービスしたり(短編「そーからこーぽ」)と、素敵にエロ漫画的ご都合主義が炸裂する棚ボタ展開が勢揃いしております。
とは言え、そこにやたらとストレートなエロ欲求であり恋心があり、終始柔和でコミカルな雰囲気の中にシナリオを包み込むことで、安直さをあまり感じさせずにほわほわとした幸福感のみを先行させているので、読み口は非常に良好。
この辺り、シナリオ重視派にはお勧めしがたい点ではありますが、ラブ&セックスが全てを解決して、ちゃんちゃん♪と話がまとまる心地よさには単行本を通して安定感があります。
恋愛要素は作品の雰囲気を柔らかくする上で重要な要素になっていることも多いですが、概して恋愛ストーリーそのものとしては薄味な作品が多いのでラブい雰囲気を強く期待するのは避けるべきでしょう。

【女盛りなアダルト美人さんを中華うとするヒロイン陣】
ロリビッチな巨乳妹キャラ(短編「おっきいもーと」)やツンデレ幼馴染な女子高生さん(短編「ビンカン・ドンカン!」)などのティーン級美少女も少数登場していますが、上述の通りに20代前半~30代前半程度と思しきアダルト美人さんがあくまでヒロイン陣のメイン。
TheAbundant2.jpg行き遅れな団子屋の女主人さん(←参照 それを ことわるなんて とんでもない! 短編「たべごろ・だんご」)や、母子家庭を逞しく支える美容師ママさん、勤務に疲れて電車内でぐっすりなOLさん(短編「OLさんのどっきどきにゃんにゃんでんしゃ」;余談ですがこのタイトルはどうかと思う、いい意味で)などなど、働く女性が多く、彼女達の適度な生活感は読み手の感情移入を易しくしています。
また、職業設定に合わせて、女医さんの真面目な白衣姿や、アパート管理人の裸エプロン、OLさんのスーツ姿に、団子屋女将の和装や気風の良い定食屋のお姉さんのコック姿などなど、服装面に関しても多様なのは単行本単位での華やかさに大きく貢献しています。
熟女キャラを含むアダルト美女さん達のキャラ造形的には、エロへの熱っぽい欲求と年齢不相応な可愛らしさを折衷させたタイプであり、ロリっ娘への強いコダワリが無ければかなり受容し易いキャッチーなタイプ。柔らかく丸っこい描線を駆使する絵柄も、ヒロイン達の肢体のプニプニ感を強調しているのも特長でしょう。
良く言えば裏も表もない純粋なヒロイン達のキャラクターは、悪く言えば性格設計的に浅いのではありますが、読者に妙な勘ぐりを抱かせずにハピネス溢れるエロに集中させやすい作品構築の基礎を為しており、エロ漫画作品としてこれはこれで正攻法の一つ。
そして、勿論、全ヒロインがコリコリとした先端を備えるもちもち巨乳をお持ちであり、単行本を通してその柔らかおっぱいをたっぷり味わえるのは巨乳好きな諸氏には大変嬉しいところでしょう。

【もっちりおっぱいが八面六臂な大活躍】
お気楽にテンプレ展開を踏襲するシナリオとそれによくマッチしたキャラ造形の適切さとを以て、スムーズにエロシーンへと導入してくれるため、エロの分量は十二分。
TheAbundant3.jpgエロシーンにおいては、ヒロイン達の豊かなバストを勿論有効活用しており、かなりの高率で投入されるパイズリに加えて(←参照 短編「そーからこーぽ」より)、その重みと柔らかさを指や舌で満喫する乳弄りもエロ展開の各所に配置しています。
ヒロインの熱烈エロアタックをメインとする前戯パートでヒロインの口やら顔面やらに一発出してから、やはりヒロイン側の誘惑によって抽送パートに移行しますが、この女性主導型の流れにおいてヒロイン側の戸惑いであったりラブい感情であったりを描出してくるので、ヒロインの“肉食”的な印象が先走らないのは雰囲気の調節として的確。
TheAbundant4.jpgそれでも、快楽のスイッチがオンになってしまった美女・美少女達が更なる性感を積極的に求め、肉感豊かなお尻と乳房をゆさゆさと振って乱れる艶態は大変エロ可愛いものがあります(←参照 洗面台に手を付いて 短編「マっぷるパイ」より)。アヘ顔的な演出は抑え目で、紅潮した表情の甘い蕩け方で陶酔感を柔らかく演出しているのも雰囲気に合っています。
年齢問わずに無毛地帯な股間がぷにぷにっと盛り上がっていたり、断面図では丁寧に描き込まれた淫洞の媚肉がち○こにいやらしく絡みついていたりと、女性器関連の描写に強い淫靡さがあるのもエロにおける武器の一つ。それでいて、リアル寄りの性器描写にありがちなクドサや臭味がないのも◎。
ヒロインの肢体をがっちりホールドしてその肌の柔らかさを征服する様な軽い嗜虐性も付与しつつ、淫蜜をたっぷり垂らす秘所にがっつり中出しするフィニッシュへとまっしぐらに疾走する流れも大変アグレッシブに仕上げられています。さして多くないページ数の中でも、このフィニッシュシーンを1Pフルか見開きでインパクト豊かに描くスタイルも実に頼もしい点ですね。

やや年齢高め組中心とは言え、バラエティ豊かなヒロイン陣を要した、明るく楽しいエロコメディが最初から最後まで楽しめる作品集であり、「こんなエロくて幸せなことが実際あったらいいのになぁ~」と思わせてくれることが何よりの魅力でしょう。
個人的には、恋に育児に一生懸命な美容師ママさんが積極エロアタックを仕掛ける短編「マっぷるパイ」と、気風の良い美人料理人さんの蕩ける痴態が普段の姿とのギャップで実にエロい短編「ミハル食堂」が大層お気に入りで、ほっこりと幸せな気分になれました。

アシオミマサト『DREAM CHANNEL』

DreamChange.jpg 勇人先生の『はなまる幼稚園』第8巻(スクウェア・エニックス)を読みました。相変わらず停滞感バリバリの作品世界ですが、たまにはこのぬる~い世界に浸るのもまた心地よいものです。
今回一番面白かったのはパロディ要素満載の特別編ですね(それもどうかと思うが)。世紀末覇者的ぱんだねの“おまえころす”発言は必見ですわ、ホント。あと、茅は僕の嫁なのでそこのところよろしく。

 さて本日は、アシオミマサト先生の『DREAM CHANNEL』(ティーアイネット)のへたレビューです。この名義での前単行本『PINKS LINKS』(同社刊)のへたレビュー、および“時原マサト”名義での『セレブラムの柩』(キルタイムコミュニケーション)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
ちょっと不思議で上品な雰囲気の中で魅せる叙情派ラブエロストーリーが味わい深い作品集となっています。

DreamChange1.jpg 収録作は、想いが叶うまでの時間を刻むという不思議な時計を亡くなった姉から受け継いだ妹が、姉の想い人であった男性への愛情に揺れ動く連作「Countdown-Lag」前後編(←参照 後編より)、エッチな願望が映像として流れ出てしまう不思議な携帯が鳥持つ男女の恋なタイトルシリーズ「DREAM CHANNEL」全2作+フルカラー後日談4P、および独立した短編4作。
なお、お互いの性感がリンクする双子の姉弟が登場する短編「PINKS LINKS ~After Links~」は、その名の通り同名義での前単行本『PINKS LINKS』に収録された短編「PINKS LINKS」の後日談であり、二人が恋人になったドラマを知らない方は既刊を読まれることをお勧めします。
フルカラー後日談を除き、1話・作当りのページ数は20~30P(平均25P)としっかりとしたボリューム。恋愛ストーリーとして適度に読ませる作りであり、またシナリオ要素が熱っぽいエロの煽情性を高める構築は強い武器と言えるでしょう。

【上質な煽情性に包まれたちょっと不思議な青春恋模様】
 短編「PINKS LINKS ~After Links~」を除いて、作品世界は同一であるようで、謎の美少女が主人であるアンティークショップで登場人物達が買ったアイテムが作品のキーアイテムになる構成も共通しています。
 エロ漫画作品においては、エロ展開をイージーにするためのツールとしての便利アイテムの利用は一般的なものである一方、今単行本の作品群は、不思議な働きをする道具達の役割は登場人物達の感情を動かし、その想いを遂げさせるための“触媒”としての役割を担うものであり、恋愛ドラマにおける脇役として機能しています。
交際がなかなか進まないことへのもどかしさ(短編「Tail's emotion」)、兄妹相姦の罪科に対する哀切の情(短編「ROOMLESS LOVE」)、亡き姉への思慕と彼女が好きな男性に恋した罪悪感(連作「Countdown-Lag」)など、男女の恋路における障壁や苦悩を描きながら、骨董品の持つ不思議な力に勇気と希望を与えられた登場人物達が未来へと向かって歩を進める様子には、胸に沁み入る様な温かみがあります。
DreamChange2.jpg 話の雰囲気はコミカル系からシリアス系まで一定の幅を示しつつ、いずれにせよ“便利な道具”に縋るのではなく、各人の意志と感情こそがディスコミュニケーションを含めた困難な状況を打破するというこのスタイルは(←参照 兄の決意 短編「ROOMLESS LOVE」より)、前単行本に収録の長編「セレブレムの柩」と共通する要素であり、作品の上品な叙情性やドラマティシズムをよく引き立ているのも素晴らしいところ。
登場人物の感情が染み出てくる台詞回しやモノローグの上手さもあって、時に甘酸っぱく時に切ない雰囲気をよく整えていると同時に、雰囲気依存型の作劇にせずに要所要所で状況の説明を無理なく混ぜ込んで、話の流れを理解し易くしている作りも好印象です。
  総じて、話としての派手さには欠けるタイプであり、パンチの効いたコメディ等をお求めな方にはやや不向きですが、登場人物達の感情の機微を丁寧に紡ぐことでハッピーエンドの幸福感を読み手がしっかりと味わえるようになっています。

【量感をたっぷり備える桃尻の存在感】
 短編「Return to Blue」のヒロインは美人古文教師さんですが、彼女も不思議アイテムの作用で高校生の主人公と同年齢に若返るため、登場するヒロインはミドル~ハイティーン級の女子高生キャラで実質的に固定。
  強い恋心の発露としてセックスに対して能動的である彼女達ですが、そこに明け透けな快楽追求的性質がなく、性愛への恥じらいや控えめな性質がコミュニケーションをもどかしくしたりする様子などは、むしろ古風な美点のあるヒロイン像としての形成に役立っている感があります。
DreamChange3.jpg  そんな純な思春期ガールズ達は皆さんむっちむちの柔肉をたっぷり備える柔らかボディであり、並乳から巨乳まで柔らかな質感豊かなおっぱいもさることながら、突き出される桃尻の弾けんばかりのボリューム感はお尻スキーには垂涎モノでしょう(←参照 文化祭のバニーコスプレ 「DREAM CHANNEL」第1話より)。正面からの構図に置いても太股の付け根周りにぷにっとお肉が余っている様なども大変眼福でございます。
このモチモチエロボディは、上気した肌や熱い吐息に宿る温度感や柔肌を濡らす汗のねっとりとしたシズル感との相性が非常に良く、また等身高めに設計されていることもあってポッチャリ系にはなっていないバランス感覚も良好と言えます。
 モノクロ絵においてよく映える、意識的に黒ベタを多用するゴシカルな絵柄は特徴的であり、キャッチーさはあまり無いと同時にネオ劇画系とはまた異なる独特のヘビィネスがあるタイプなので、万人向けとはやや言い難いのは確か。
とは言え、この絵柄の濃さ・重さによってシナリオパートでは雰囲気に落ち付きが、エロシーンでは濃厚な煽情性を生み出すことを可能としており、この作家さんの武器であるのは間違いありません。顔の造作などのキャラデザイン面も含めて、絵柄には収録作間でややバラつきが認められますが、クオリティとしての落差は小さく、そこまで大きな減点材料ではないでしょう。ただ、カラー絵では本領を発揮しがたいタイプでもあり、表紙絵は購入の判断材料としては弱含み。

【肉感ボディが熱っぽく蕩けるラブラブエッチ】
  シナリオパートにおいて、男女双方の感情の熱を大いに高めてある分、ヒロインが性の快楽にトロットロに蕩ける濡れ場の熱量との間に切れ目が無く、スムーズにエロシーンへと意識を変更することを可能にしています。
互いの性感帯を指と舌で弄り合い、舌をたっぷりの涎と共に絡め合う熱情的なキスを重ね、そして互いの下半身をひたむきに叩き合わせてゆくセックスに至るという、極めてオーソドックスな作りで統一してますが、恋愛エッチとしての幸福感とマッシブな交合としての煽情性を共に備えているので、抜きツールとしては大変有用。
 上述したお尻の量感を武器とするバックショットや俯瞰の構図を多用し、互いの下半身をぶつけ合ってパンパンと音を奏でるピストン運動は結合部描写や透過図の多用もあって、ストレートに読み手の性欲中枢を刺激してくるタイプと言えます。ただ、透過図に関してはやや乱発気味で、視覚的に少々五月蝿い印象も個人的にはあります。
DreamChange4.jpg  また、この抽送パートに加えて前戯パートにおいても、ヒロインのトロッと蕩けた表情が実に官能的であり、クリッとしていた瞳が涙で潤んで黒目がちになり、甘酸っぱい言葉を紡いでいた口からは熱い呼気と涎が漏れ出してくる様子は、ヒロインの痴態の熱っぽさを強く演出しています(←参照 ヒップの存在感と蕩けた表情に要注目 「DREAM CHANNEL」第2話より)。
加えて、抽送パートと同程度に十分な尺が設けられる前戯パートを中心に、キスであったりフェラであったりヒロインの性感帯弄りであったりな各種行為に過剰にならない程度のねちっこさがあり、重めで濃い絵柄と合わさって濃厚な官能性を作品に付与しています。
なお、行為自体は作品間で大きな差異はないのですが、ちょっと露出羞恥系の味付けがあったりコスプレH要素が投入されたりと、ある程度のエロシチュの多様性があるのはちょっと嬉しいサービスと感じます。
  複数ラウンド制の果てに、お互いにすっかり余裕が無くなって迎えるフィニッシュは、断面図・透過図で精液が子宮内に注ぎ込まれる様子も併せて描写する中出しフィニッシュであり、大ゴマ~1Pフルで絶頂に震えるヒロインの痴態をたっぷりお届けしています。

 今回は“不思議な道具”でしたが、短編「PINKS LINKS」におけるテレパシー要素など、作品におけるギミックの巧みな用法とそれに頼り過ぎない恋愛ストーリーとしての構築力が共に光っているのは素晴らしく、実用性の高いエロと併せてこの作家さんの個性がよく成長していると感じられます。
この群像劇の中心にいた骨董屋の不思議美少女な店主が今後登場する作品もどうやら拝めるようなので、TI系での次単行本を心待ちにしております。
個人的には、ドラマ性が群を抜いて優れていた「Countdown-Lag」と、コスプレH的な趣向がどハマりな「DREAM CHANNEL」シリーズが特にお気に入りでございます。お勧め! 

いのまる『いたずら専用 華比良生徒会長』

StudentCouncilPresidentHanahira.jpg柏原麻実先生の『宙のまにまに』第8巻(講談社)を読みました。姫ちゃん頑張れ派(造語)な管理人としましては、相も変わらぬもどかしさに苦しむ作品でしたが、これも全て朔が鈍感過ぎるのがけしからんのです。
しかし、修学旅行に受験勉強と、ゆったりとしていた作品世界の時間もついに、彼ら彼女らの卒業にまで至ろうとしているのですなぁ。若人が持つ未来への希望というのは見ていて頬が緩むものですね。

さて本日は、いのまる先生の『いたずら専用 華比良生徒会長』(ティーアイネット)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『Sex education』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
安定した構築で魅せるヒロインVSエロ校長の攻防劇とワガママボディが濡れて蕩けるエロシーンが共に魅力的な1冊となっています。

StudentCouncilPresidentHanahira1.jpg収録作は、ひょんなことから生徒会役員の少年と恋路を歩むことになった美人生徒会長と彼女を我がモノにしようとする悪徳校長との攻防戦なタイトル長編「華比良生徒会長」全8話(←参照 なお、こうなったのは校長の姦計のせい 同作第1話より)。
1話当りのページ数は24~31P(平均28P強)と中の上クラスのボリュームで安定。緩急を心得たストーリー展開は読み手の作品への引き付け力が強く、TI系らしくたっぷりと尺を設けられたエロとの量的なバランスも程良い、エロ漫画として理想的な構築になっています。

【双方が決定打を探る攻防劇を多層的に魅せる技術】
初単行本『Indecent』が全て短編作、 2冊目『恥ずかし女』では4話構成の中編作「絵里子先生」シリーズを、3冊目『Sex education』では6話構成の長編「お義母さんの教育的指導」を投入し、そして今単行本では単行本フルの8話構成の長編作と、キャリアの積み上げに伴って続きモノの話数を増してきた分、長編作としての組み立て力には確かなものがあります。
女生徒に手を出したり、公金を横領したりと不正の疑いがある校長と、それを暴こうとする容姿端麗・文武両道な華比良会長とが、互いに相手の状況を探り合い、決定打を掴もうとするストーリー展開は、会長の恋人となる少年の動向によって攻防の天秤が双方にとって上下するという、なかなかに本格派の構成となっており、互いに十全を尽す分、話としての面白みがしっかり引き立ちます。
StudentCouncilPresidentHanahira2.jpg序盤こそ、お馬鹿さが前面に出ていて、妙に剽軽な印象もあった校長が、いわば本気を出した所から作品の雰囲気はシリアスな方向性に転じ、少年を“人質”とした状態でプライドの高い生徒会長さんがねちっこいエロ調教の前に屈服していく流れには、適度なサディスティックさがあり、調教モノおよび寝取り/寝取られ系としての旨味も十二分(←参照 長編第5話より)。
そして、名家の出である彼女が、その父親の政治的失脚と為してきた過ちを突き付けられることで、精神的にも折れてしまい、憐れエロ校長の性奴隷に・・・というバットエンド的な決着をさせないのが、これまでの作品とも共通するいのまる先生の作劇における真骨頂であり、話の最後まで双方の謀略・攻防が継続するのも冗長さの回避に大きく貢献しています。
具体的な方法については、是非作品を読んで彼女の捨て身かつ乾坤一擲な“一撃”を楽しんで頂きたいところですが、己の弱さを全て認めた上で決して折れない意志の力こそが邪を打ち破る様は、快哉を叫びたくなるような痛快さに溢れています。
少年との恋愛感情はヒロインの強さを支えるものではあり、またストーリー展開上重要な要素ではありますが、あくまで彼女自身の強さによって勝利をもぎ取る展開であるため、後半では少年の存在感がやや希薄になったのは勿体ないところではあるでしょう。

【しなやかな肢体に備わるモチモチ巨乳&桃尻】
一部サブキャラのエロシーンがあるものの、基本的には華比良生徒会長の一人ヒロイン制であり、ヒロインの豊富さとは無縁ではありますが、彼女の魅力的なキャラクター設計をたっぷり味わえる作品でもあります。
ツリ目な黒髪女性を描くと天下無双な作家さんであり、その造形とよくマッチした真面目で邪まなことを許さない正義感を持った性格設定も良好。そんな彼女が見せる性的なモノやそれが産む快楽に対して示す羞恥や困惑の表情が、強さの中にある弱さとして強調され、これまた男心をくすぐる要素となっています。
StudentCouncilPresidentHanahira3.jpgスラリと伸びる端正な肢体に、先端にツンとした乳首を頂く釣鐘型の柔らか巨乳と形の良い量感ヒップを共に備える肢体造形も、王道的なセックスアピールを潤沢に放つタイプ(←参照 名言“オッパイ感激”と羞恥の表情に注目のこと 長編第1話より)。
謀略によって校長の手に落ちてからは、バニースーツやらゴスロリ衣装やらを着せられたりもしますが、コスプレ的な要素は控えめで、清楚な黒のセーラー服があくまでメインなのも彼女のキャラクターにはよく合っているでしょう。どちらかと言えば、着衣セックスより全裸派ではあり、スッと服を脱ぎさるシーンにも艶っぽさがあるのも嬉しいところ。
ストーリー前半には結構な働きを見せるも後半ではあまり活躍できない少年や、とある理由で校長の謀略に協力する同じ学園の女生徒、要所でヒロインに助力することになるクールで武闘派な美人保険医等、キャラは十分に立っていながらあまり活躍できなかった人物がちょこちょこと存在するのはやはり勿体ない点でしょう。余談に近いですが、悪役たるエロ校長は長編「お義母さんの教育的指導」に登場する男性キャラ・ポチと造形や性癖が酷似しており、いのまる先生のファンにとっては一種のスターシステム的な面白さがあるでしょう。
等身高めのキャラ造形の凛々しさと色っぽさを両立させることを可能とする端麗な絵柄は、濃く・重くを主眼とするTI系の絵柄とはやや異なる清冽さを備えており、単行本を通してしっかり安定&表紙絵とも完全互換と安心のクオリティを誇ります。

【ヒロインの羞恥の表情が大変煽情的なハードコアエロ】
困惑と羞恥の味付けを施した彼氏君とのラブラブエッチと屈辱と嫌悪が徐々に快楽に浸食されてゆく調教エロの双方が収録されており、量的な配分は概ね半々という二正面作戦を展開。
エロ展開の構成において、やや小刻みな展開を施すケースがあり、その場合には個々のプレイを長尺で楽しむことができなくなっていますが、どちらのエロシチュにおいてもシーン全体としての分量はしっかりと確保されているので抜きツールとしては十分に頼もしくなっています。
全体的に、快楽への耽溺に対する羞恥心という彼女の数少ない弱点を突く様な味付けを施しており、露出的な要素を加えた上で行為が露見する可能性へのスリル感や、少年への貞操を抗しがたい性感によって徐々に破られてゆく寝取り系としてのダーク&インモラルな雰囲気の醸成などは、エロにおける勘所の一つでしょう。
StudentCouncilPresidentHanahira4.jpgアナル好きな校長のご活躍もあって、後ろの穴関連の行為が比較的多かったり、催淫薬を絡めたりと、比較的プレイ内容も豊富ですが、いずれのエロシチュにおいても、ヒロインの凛々しい表情が徐々に蕩けて、紅潮した頬と潤んだ瞳を晒す痴態こそが煽情性の積み上げに大きく貢献しています(←参照 長編第2話より)。
ヒロインのエロエロボディが行為に合わせて揺れ弾み、強烈な快楽に戦慄き、背を反らす一連の描写には適度なダイナミズムが存在し、淫靡に濡れる肉壺を激しくピストンしながらフィニッシュシーンへと誘導する流れは、ハードコアなエロとして十分な力強さを有しているのも変わらぬ美点。
見開きページでがっつり提示するフィニッシュシーンは良い抜き所である一方で、やや安易に見開きの迫力に頼り過ぎている印象があるのは△。また、絵とエロ台詞が上手く噛み合っていないと個人的に感じるコマが散見されたりと、細部の演出面でやや減点材料もある印象ですが、実用性を大きく減退させるレベルのものではありません。

ヒロインのキャラ属性を作品の魅力の中核にしっかりと据えながら、安定感抜群の作画・作劇によってエロ・シナリオをしっかり見せてゆく技術はTI系の中堅層の中でもしっかりと目立っている印象で、今単行本も大変お気に入りでございます。
ツリ目強気ヒロインの痴態をたっぷり楽しみたい諸氏は勿論のこと、エロとシナリオのバランスが取れた作品としてエロ漫画愛好家の諸氏に広く読んで頂きたい長編作です。お勧め!

オイスター『人デ無シ乃宴』

VeranstltungsraumeVonBrute.jpgTVアニメ『世紀末オカルト学院』第4話「文明の崩壊」を観ました。竹内文書って単語が出てくるアニメもそうないと思いますがなぁ。そして日本のピラミッド・皆神山ですよ。
先週は出番控えめであったマヤお嬢ですが、今回はそのドSっぷりも含めて大活躍で真に眼福。というか、いつのまにか脱出していた美風さんが一体何者なのか、俄然分からなくなってきました。

さて本日は、オイスター先生の『人デ無シ乃宴』(一水社)のへたレビューです。先生の前単行本『美徳乃不幸』(同社刊)のへたレビュー作家評等もよろしければ併せてご参照下さい。
読み手の胸を抉りながら目を背けることも許さない激烈な凌辱地獄を、情け容赦なく描き上げる1冊になっています。

VeranstltungsraumeVonBrute1.jpg収録作は、過去にレイプ事件の被害者となったことで男性を憎み、不良狩りを行う少女・レナとその同性愛の恋人であり仲間である少女・優が、圧倒的な暴力を振るう男子生徒・高須に率いられる不良グループに拘束されて迎える地獄の日々な長編「その瘢から滴るもの」全6話(←参照 “復讐”に生きるレナ 同作第1話より)、およびその前日談に相当する短編「その眇に写るもの」。
1話当りのページ数は18~24P(平均21P弱)と概ね標準的なボリューム。とは言え、猛烈な後味の悪さを残すストーリーは非常に重苦しく、また凌辱エロとして非常な凄みを有しているため、胸中を真っ黒に塗り潰されるかのような読書感にラストまで苛まれます。

【寒気がする程の暴虐性でひたすら突進する破滅の集団凌辱エロ】
“凌辱エロの帝王”の異名を誇る作家さんであり、業界トップクラスの過激さを以て描かれる凌辱行為は、身体・精神の禍々しい変容を伴う“取り返しの全くつかないモノ”として描かれており、絶望と悲嘆に満ちたその空気は確実に読み手を選ぶタイプ。
61165f88.jpg二人の少女を拘束し、凌辱し、心も体も“肉便器”へと改造する長編作は、直接的な暴力描写を辞さず、各所へのピアッシングや性器・肛門の変形および破壊といった肉体的損傷をも伴う苛烈な行為であり、その中で苦痛の絶叫と行為への怨嗟が響き渡る有り様は、地獄絵図という表現すら生ぬるいものでしょう(←参照 まだ大人しいシーン 長編第3話より)。
男性に対して縦横無尽に暴力を振るっていた少女の“強さ”が打ち砕かれるという点において、恒例の嗜虐的な味付けではあるのですが、特にストーリー中盤以降は、その肉体・精神のあまりの壊れ様に“意趣返し”としての暗い爽快感は霞んでしまうため、胡乱な表現ではありますが、過度の嗜虐性がむしろ読み手の自己破壊願望を呼び起こすかのような印象もあります。
なお、近作では間違うことなき暴力行為として描きつつ、流血沙汰やスカトロ要素での大便の直接描写等のあまりに過度な要素を排するなど、細やかな点において“気配り”をしていたのですが、今作ではそれらの描写の復活に加えて恐怖と自失に歪む少女の表情が放つ醜悪さの度合いをさらに高めたりと、初期~中期作品のブルータリティを取り戻したかのようなスタイルを示しているのは、今単行本の特筆すべき点でしょう。
子宮壁ごと腹の皮まで押し上げる巨根や凶悪なフォルムを持つ各種性玩具など、オイスター先生の作品ではお馴染みのギミックも投入され、その一つ一つの責めに非常に強い力・動きを含有させることで、ヒロインの全身を蹂躙する描写に痛々しさを生じさせているのも見事。
輪姦凌辱主体ということもあり、中出し・ぶっかけ混交型ですが、射精としてのフィニッシュ以外にも浣腸液の噴出や潮吹きなどの派手な液体の噴出で、嗜虐/被虐欲の爆発的な盛り上げを各所で図る構成。エロ展開的にもページ構成的にも詰め込み過ぎな感が少々あるものの、有無を全く言わせない暴虐性で遮二無二突き進むスタイルであるため、欠点として印象に残ることはほとんどないでしょう。

【心と体が徐々に変容してゆく美少女ヒロインコンビ】
長編作の前日談である短編「その眇に写るもの」では、高須グループに正面から戦いを挑む美人女教師(柔道三段)が登場しますが、トラウマを徹底的に植え付けられた挙句の輪姦凌辱の末にボロ雑巾と化して早々に退場するため、ヒロイン枠はレナ・優のコンビのみに固定。
登場する美少女キャラの多様さを期待する方には全く不向きですが、恋人である二人の関係性を救いの手綱であり、また枷としても描きつつ、共に人間性を削ぎ落されて壊されてゆく様子を、読者が許しを請いたくなるような徹底さを以て延々と描き連ねるスタイルは圧巻の一言でしょう。
勝ち気な黒髪ショート娘の可愛らしさには定評のある作家さんであり、正にそのタイプのメインヒロイン・レナと、金髪ロングで巨乳の持ち主な優とは造形面での良い好対照となっています。ヒロイン達の明暗の感情描写も丁寧であり、彼女達のモノローグこそが作品のドラマ性の中核を大きく担う描き方の巧さもベテラン作家らしい持ち味。
そのキャラ造形には十分なキャッチーさがありますが、物語後半ともなれば性器や乳首を痛々しく伸長させられ、日常生活に支障が出る水準の性器・肛門の損壊を示し、終始白痴じみた表情を晒し続ける存在と化すため、キャラクターにキュートネスを強く求めるのは当然避けるべきでしょう。8b86f4b4.jpg特に彼女達のかつての幸福な笑顔は、優しく可愛らしく描かれている分、涙と汚液に塗れた醜悪な表情との対比によって、読み手の心を猛烈に締めつけてきます(←参照 二人の出会い 長編第3話より)。
また、高須を筆頭に男性キャラを無思慮で冷徹な“悪徳の権化”として描く一方で、彼女達を善良で一方的な被害者としてのみ描くことを許さないこの作家さん特有の哲学が発揮されており、地獄の中で互いの保身のために相方への凌辱に加担してゆく様も、猛烈な絶望感と悲劇性の創出に貢献しています。
円熟味を増した絵柄は単行本を通して安定しており、上述した様に日常シーンでの適度なキャッチーさを有しつつ、みっちり描き込んだエロシーンでの作画は描線や構図が良い意味で暴れ出しており、その絵柄から受ける印象の変化が魅力的なタイプ。

【自己が壊れることの耐えがたい恐怖】
作家評等を含め、これまで度々書いてきましたが、オイスター先生の作品の本領の一つは、普段は意識の隅に追いやっている、人間存在が意外なまでにか弱いものであること、そしてそれに牙を剥く人間の悪意と暴力が確固として存在することを、読み手の眼前に突き付けることで生じる“恐怖感”であると僕は思っています。
人は、自分自身が自分自身であるための何かを持ち、それに頼ることで一人の人間として生きてゆけます。短編作の女教師にとっては教師としての正義感と柔道の鍛錬への自信が、優にとってはレナへの一途な恋心が、そしてレナにとっては過去の惨禍を生んだ男性性への憎悪がその“何か”に当るでしょう。
過酷な凌辱の日々の中で、レナを思いやり、彼女の有名無実化した誇りを肯定し受け止める優の姿、過去のトラウマを必死に撥ね退け、男への憎悪を燃やして抵抗を続けるレナの姿は、その道徳的な善悪の判断はともかく、必死に生きようとする彼女達の“強さ”であり、人間本位主義としてのヒューマニズムにおける“美徳”でもあるでしょう。
既存の作品と同様に、その美徳を美徳としてしっかりと描き切りながら、その上で美徳を更なる暴力で徹底的に破壊し、人間としてのアイディンティティの寄る辺を執拗に剥ぎ取ってゆくストーリーラインは、鉈の如く重く鋭い斬激を読み手の心に加え続けてきます。
VeranstltungsraumeVonBrute4.jpgその先が漆黒の闇であることを分かりながら足を止めることを許されず、社会から断絶され、己の頼ってきたモノを胸中から抉り取られ、自分で自分の存在を否定するに至る絶望と恐怖は、読み手自身の立つ瀬もまた、波間に沈んでおかしくないという厳然たる可能性を改めて思い出させます(←参照 長編第6話より)。
美徳の儚き閃光も、悪徳の無慈悲な栄えも、愛も憎も、全て人の間にこそあるものだ、そこに神も悪魔も必要ないし、むしろ介在などさせるものかという強固な哲学を相変わらず感じさせる悲劇でありました。

少女達の淡く優しい交歓とその禍々しい変容の描出や、アブノーマルな各種凌辱行為の再投入など、これまでの作品群で示してきた美点をフルに盛り込んできた印象があり、これまでのキャリアの集大成的な作品と言っても過言ではないと個人的には思っています。
無論、この作家さんの作品として例に漏れず、安易にお勧めできるような作品ではありませんが、真っ黒に塗り潰され、ぽっかりと空洞を開けられた胸中から読み手一人一人が何らかの感じ取れるモノがあると一人の大ファンとして信じております。
凄まじかったのただ一言でも良かったのでしょうが、長々と書き連ねたレビューの筆をここらで置かせて頂きます。
記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

月別アーカイブ
  • ライブドアブログ