
OVERKILL系のHR的ノリの良さがあるスラッシュサウンドで、おどろおどろしいメンバー写真に反してかなり聴き易いタイプですな。ライナーのホラーコミックもベタ過ぎてむしろ◎。
さて本日は、新堂エル先生の初単行本『晒し愛』(ティーアイネット)のへたレビューです。同人作品に疎い管理人ですが、商業・同人共にチェックしている作家さんの一人で、冬コミのモンハン本には大層お世話になりました。
アブノーマルエロ街道を突き進むアグレッションとそれを平和にまとめる若い男女のエネルギッシュなラブラブ感が強い魅力な作品集です。

描き下ろし作品を除き、1作当りのページ数は36~40P(平均38P弱)と、収録本数の少なさを補って余りある大ボリュームで安定。エロの濃さで一点突破するタイプであり、シナリオも止まらぬ性欲の暴走を描きだす実用性重視の構成になっています。
【変態エロと肯定感の強い恋愛模様】
恋心に素直になれない少年と足の障害を抱えながらも強く明るく生きていく少女の甘酸っぱいラブストーリーな短編「バリアフリー」のような作品もある一方で、メインは露出性癖であったり同性愛だったりと健全とされない性癖を抱える女の子達の青春ラブストーリー。
扱う題材故にラブコメディ的な明朗さは乏しいものの、個々の変態的欲望が恋愛関係の内に肯定され、アブノーマルな快感に溺れつつもそれぞれの未来が開かれている流れは、アブノーマルエロを描く上での王道の一つであり、展開はそれなりにスムーズです。

主人公のフォローというか煽りもあって、シリーズ各話の行為は個人の破滅に至っても何らおかしくない所まで突き抜けてしまうのですが、そんな状態を含めて「自分は自分でいい」という強い自己肯定感が揺らがないのは唸らされる点であって、やや強引な展開をそれと感じさせないのも作劇上の上手さと感じます。
同人作品では救いゼロの凌辱モノを描くこともあり、エロの内容からしてそちらの方向性も商業で描いて欲しいという個人的願望はありますが、若い情動が生み出すアッパーな雰囲気も魅力的であり、やりたいことと入り込み易いオーソドックスさのバランス取りが適切に為されています。
【キャッチーでありつつそれぞれに業の深いヒロイン陣】
登場するヒロインはミドル~ハイティーン級の制服美少女さんで統一されており、基本的には快活なキャラクターが中心。ただ、収録作品数が少なめであるため、ヒロインのバラエティーを求める諸氏は要留意。
某電磁砲の某キャラを思わせる凛々しい生徒会長が大好きなツインテール美少女や(短編「生徒会長は愛され系」)、某ツンデレアニメのメインヒロインを思い起こさせるウェーブヘアガール(短編「バリアフリー」)など、キャラデザ面で小ネタがあるのはニヤっと笑える楽しさです。

体型的にはスレンダーな肢体にカタチの良い巨乳と桃尻が備わるデザインがほぼデフォルト仕様となっており、適度に添加された肌のツヤツヤ感と併せて分かり易いエロアピールが強くあります。これといって特徴のある肢体描写ではありませんが、アブノーマルエロや後述する過激な演出との組み合わせという点ではそれらがより目立つようになっているため、むしろ好適と言えるでしょう。
なお、グニグニとした質感の大粒乳首やキャラによってはもっさりと濃く茂る陰毛描写などは、なかなかに生々しくてエロの増強に関して有効なワンポイント。
初単行本ということもあり、絵柄には統一感がやや欠けており、描線の濃淡やその整理整頓にバラつきは認められます。近作では表紙の絵柄とほぼ完全互換であり、重みとキャッチーネスとを適度に兼ね備える二次元絵柄は読み手をあまり選ばない魅力があります。
【強烈なエロ演出で固めたトリップ系濃厚ファック】
シナリオでかっちり固められるアブノーマル方面への加速を、過激なエロ演出によってさらに強調するスタイルを取っており、ただでさえ多めのページ数が生み出すボリューム感を質的な濃さで一層強固なものにしてきます。
序盤展開の変態プレイで既に淫液だだ漏れ状態のヒロインに即挿入すれば、イキナリ理性が壊れてヨガリ狂う痴態をガツガツと押し込んでくるエロ展開はかなり強烈で、ライトエロ嗜好な方ならドン引きになる可能性も高め。
特に露出系エロでは、行為が見られてしまうことへの甘美な恐怖感ではなく、他者の視線にそのみっともない乱れ具合を見られてしまうことにこそ悦びを見出しており、快楽と羞恥が正のスパイラルを描いて急上昇していく流れには有無を言わせない凄みがあります。

これら演出面において、女性の綺麗な顔が快楽に歪む醜悪さや下品さは、強烈な魅力である共に嗜好によっては忌避要因でもあり、断面図描写を含めた内臓描写のマッシブさなどと併せて好みを分ける要素でしょう。
長尺のエロシーンのシメは、白目を剥いて暴力的な快楽の嵐のただ中にあるヒロインの子宮内にたっぷり中出ししたり、自ら突き出す呆け顔にぶっかけたりと、そこまでの展開に見合ったインパクトのあるフィニッシュとなっています。
とまぁ、初単行本ながら期待通りに強烈な抜きツールとなっており、大変満足。エロにリアルではありえない演出の過激性を求めている方には文句なしにお勧めですよ。
(4月1日追記:最後の文章が削除されていますが、これは、当該部分に関して違法アップロードおよびそのダウンロードに対する肯定の意図は新堂エル先生および編集さん側に全くなかったことを確認できたためです。一人のエロ漫画好きとして安堵致しました。また、ご心配・ご迷惑をかけましたことを、お詫び申し上げます。)