2009年12月

2009年エロ漫画私的ベスト20作

本年最後の更新、2009年マイベスト20作発表となります。お待たせを致しました。
なお、管理人が2009年に発売された成人向け新刊単行本(発売日はアマゾン準拠)の中で購入・読了した作品数は286作(内未レビュー10作)。今年発売されたエロ漫画新刊が通常版などの重複を除いて570冊前後ですので、おおよそ半分は読んでいる計算になります。
上半期ベスト10下半期ベスト10を踏まえた上で、惜しくも選外となった作品も加えて33作品(上半期15冊・下半期18冊)を候補とし、その中から選考を致しました。
年間ベストに限って順位を付けていますが、これは管理人の主観がバリバリ入ったもので、あくまで目安とお考え下さい。
判断基準は、いつも通りに、“笑える”“インパクトがある”“泣ける”“抜ける”など、様々な要素を含んだ“エロ漫画としての面白さ”です。

各作品の詳細なレビューはそれぞれのリンク先の個別記事、または上半期ベスト・下半期ベストの短評をご参照下さい。
当記事内では、雑感やランクインの理由等を記しておきます。
さて、前置きが長くなりましたが、00年代ラストの本年を代表するに相応しい作品達を、第20位から発表です。

20位 にびなも凸面体『ネコキノと雨の町』(富士美出版)
CatMushroomGirls.jpg澤野明先生、大友卓二先生、浦辺克斗先生など、優れた新人作家を輩出した今年のペンクラ勢の好調ぶりを代表する新人作家。
長編シナリオの構築に詰めの甘さを残すものの、独創的なキャラ造形を可能にするオリジナリティー豊かな世界観を持っているのが大きな強み。
現代的なエロ作画・演出のレベルの高さも好印象。→単行本レビュー

19位 広輪凪『エロきゅん・実験室』(オークス)
EroKyunLaboratory.jpgキュートな絵柄とカオティックなアブノーマルプレイの乱舞、そしてほのぼのとしたギャグコメディが不思議に調和する著者初単行本。
雰囲気としては、例えばメガストアにおける「ゲノム」の様な、エロ漫画雑誌によく見られるエッチなギャグ漫画の発展系とも言え、それでいてエロは十分ハードコアなのが嬉しいです。
“何でもアリ”が売りであるコミックXOの面白みがよく出ていました。→単行本レビュー

18位 Rico『はちゅえち』(コアマガジン)
TheirFirstTime.jpgみやもとゆう先生、井ノ本リカ子先生を擁する萌えエロの本丸・ポプリクラブ勢を抑え、漫画ばんがいちの新エースが見事ランクイン。
少年少女の甘く蕩ける恋模様という初単行本における美点を維持しつつ、ヒロインの心身がさらに蕩けるエロへの踏み込みが爆発的に強まったのが見事。
萌え系エロ漫画の何たるかを堂々と示した1冊と言えるでしょう。→単行本レビュー

17位 青木幹治『さよなら、おっぱい』(コアマガジン)
GoodByeBigBust.jpgこちらも漫画ばんがいち勢からランクイン。“YES貧乳!! NOロリータ!!”な著者処女単行本。
“膝おっぱい”に代表される、茶目っ気のあるコメディセンスと、ばんがいち勢らしいリリカルな恋模様の描き方の調和が素敵。
エロの表現に関して未だ硬さが残っていますが、シナリオとの齟齬が少ない雰囲気の良いセックス描写になっており、絵の表現力が増すであろう今後に強く期待。→単行本レビュー

16位 フエタキシ『チューべろーず』(コアマガジン)
ChuBerozu.jpg帰ってきた乳神・琴義弓介先生、若手筆頭格・歌麿先生らをかわして2009年ベスト・オブ・おっぱいエロ漫画の栄冠を獲得した新鋭の初単行本。
濃く・激しく演出されるピストン運動も十分にパワフルながら、柔らかい質感とずっしりとした重量感のある乳房を指と舌とち○こで存分に堪能するパートがおっぱい星人のハートを直撃。
派手さはなくともユニークなヒロイン造形も◎。→単行本レビュー

15位 鮭『サリーによろしく』(ジーウォーク)
SayHelloToSurrey.jpg様々なパロディを得意とするこの作家さんの強みが十二分に出た、破天荒ギャグと変態チックプレイで押しまくる3冊目。
小さくまとまらず、インパクトの大きいネタを核とした作劇ができており、かつ実用性との折り合いがしっかり付いているのが勝利要因。
原画で忙しいとは思いますが、もっと漫画を描いてほしいものです。→単行本レビュー

14位 しなま『ふぇてぃっしゅサークル』(ティーアイネット)
FetishCircle.jpgコアマガジン、キルタイムコミュニケーション、ティーアイネットと、それぞれ毛色が異なる出版社で活躍する実力派の3冊目。
変態チックなエロと王道のラブコメディとの組み合わせという形式はエロ漫画における定番の一つですが、双方の良さを十分に引き出している快作です。
TI系らしい濃密な作画が光るボリューミィなエロシーンも喜ばしい限り。→単行本レビュー

13位 まぐろ帝國『あいらんど』(茜新社)
IslandChapterTwo.jpg2巻構成ながら続きものなので1作品としてランクイン。なお、この表紙絵は2巻「~淫虐の章~」のものです。
コンビニ誌のシグマで“普通の”エロ漫画を描いている内に溜まったフラストレーションが終に爆発したかのような怪作であり、著者らしい批判精神が鋭い1冊。
ダークファンタジーの本質たる不条理性、不安感を露骨に強調するあまり、思い切りよく話を破綻させているので評価はかなり割れる作品でしょう。→単行本レビュー(1巻 2巻

12位 池上竜矢『おねえちゃんであそぼう』(ワニマガジン社)
PlayNotWithButOnSis.jpg頭のネジがちょっと緩んだ年上キャラを描かせると天下一品なこの作家さんの4冊目(新装版含む)。
もちもちバディがトロトロに蕩ける濡れ場の陶酔感の表現、テンションの高いコメディパートの魅力は短編・中編を選ばない武器になっています。
シリアス作品も上手く、幸福への慎ましやかな願いをしっとりと描き切った短編「在りし日の歌」は短編作として2009年最高傑作に推したいところ。→単行本レビュー

11位 岡田コウ『恋するぱんつ』(ヒット出版社)
PantsFallingInLove.jpg若手~ベテランまで堅調であったヒットのロリエロ漫画部門が送り出した驚異の新人の処女単行本。
犬星先生のヒロインのキュートネス、関谷あさみ先生の叙情性とエロの陶酔感、神寺千寿先生の熱っぽさなどをオールラウンドに兼ね備える作家性が心憎いです。
inoのアンソロ化に伴う阿吽本誌への移行により、描くヒロインの年齢層が上がってしまっているので、この作家のランドセル少女を楽しみたいならば押さえるべき物件。→単行本レビュー

10位 高津『それは歴史にカかないでっ!』(コアマガジン)
DontRecordItAsHistory.jpgコアマガ系らしい、定番のヒロイン押し掛け型コメディのテンポの良さと、個々に魅力的なヒロイン造形を評価してこの順位な著者2冊目。
ほんわかママンに定評のある作家さんですが、美少女キャラ描いてもやっぱり上手いなと再認識しました。
取り合えず、褐色肌好きならマストバイな1冊。→単行本レビュー


9位 おおたたけし『ナイショのりとるえくすたしー』(茜新社)
SecretLittleEcstasy.jpgロリエロ漫画の牙城・コミックLOが生んだ奇才にして尿道ドリラーの3冊目。
キュートなロリプニ美少女達との甘々恋模様から繰り出される、これでもかと言わんばかりの激烈ハードプレイで読み手を圧殺してきます。
これまでの積み重ねによって、この強烈なギャップのある世界観に何となく整合性と信頼感が生まれてきてしまったのが実にヤクイですなぁ。→単行本レビュー

8位 内々けやき『戻れない彼女』(富士美出版)
GirlWhoCannotReturn.jpg能天気コメディ、しっとりとしたシリアス系、素朴なラブストーリーと新路線に挑戦するたびに、どれもピタッとはまる作品が描ける実力派の4冊目。2008年に引き続いてのランクインとなります。
表現としては穏やかながら、そこに込められた狂気に思わず背筋がゾクっとするラストなど、ダーク&インモラル系としての鋭さが今単行本の高評価の要因。
着実な成長を示しながら、作家としての伸びしろをまだまだ感じさせるのが嬉しくこの順位に。→単行本レビュー

7位 天竺浪人『凌鬼の刻』(マガジン・マガジン)
ArchaicAngel.jpgエロ漫画界の大ベテランが送る、暗く淀んだ凌辱長編。
ヒロインに生きるための希望の光を与えながら、その光の筋が憎悪の闇に飲み込まれ、徐々に狭まっていくストーリーの流れに有無を言わさぬ凄みがあります。
モノトーンの何たるかを知り尽くしたアナログ作画の表現力の高さも見事。年内に完結編が出るはずだったんですが・・・。→単行本レビュー

6位 町田ひらく『たんぽぽのまつり』(茜新社)
FestivalOfDandelion.jpgロリエロ漫画の重鎮による渾身の1冊。なお、『黄泉のマチ』に収録された長編作の完結までを描くため、該当単行本は事前購読が必須。
作品世界中の“この国”の中枢までにその鋭い筆先を伸ばした胆力には衝撃を受けました。
抜きツールとしての利便性は高くないものの、暗く淀んだ“死のエロス”に宿る退廃感が大変素晴らしい濡れ場になっています。→単行本レビュー

5位 まよねーず。『少女型性処理用肉便器』(ティーアイネット)

MeatToiletShapedAsGirls.jpg肉便器モノを描き続けるこの作家特有のニヒリズムとヒューマニズムが存分に発揮された2冊目。
“人間”が“モノ”化される現代社会において、個が周囲の人間と共に逞しく生きていくことを描いており、極端な題材を用いながら極めて普遍的な人生讃歌・人間讃歌になっているのがユニーク。
作画に残るやや垢抜けない感じとエロシーンが小刻みな構成さえ改善されれば、さらに上位を位置したであろう傑作。→単行本レビュー

4位 オイスター『美徳乃不幸』(一水社)
MalchanceDeLaVertu.jpg凌辱エロの帝王と称されるオイちゃん先生の12冊目。業界トップクラスをひた走る苛烈な凌辱エロは相変わらず凄まじいです。
激痛描写やスカトロ成分などの尖った要素を抑え気味にし、快楽洗脳的なエロに徐々にシフトしていますが、地獄絵図の中で人間存在の美醜を描き切る豪腕は健在。
今回収録された中編「神隠し」はこの作家さん屈指の傑作だと思っています。→単行本レビュー

3位 MARUTA『彼女が恋人を好きになった理由』(富士美出版)
ReasonForTheLover.jpg繊細で丹念な作画と趣きのあるストーリーテリング、情熱的なエロシーンが魅力な作家さんの6冊目。
奥行きのある雰囲気の良さをしっかりと保ちながら、話の要点がより絞られることでより心に響く作品になっています。
少女のふとした微笑み、ある日のセックスがそのまま日常のドラマとしての魅力に直結する作品構築が実にすばらしいです。→単行本レビュー

2位 F4U『今夜のシコルスキー』(コアマガジン)
SikorskyTonight.jpgインパクトのある台詞回しやポージング、蠢く断面図・内臓描写を含めた狂気的なエロ表現など、徹底した非現実さをさも現実であるかのように魅せるハッタリ力が痛快な初単行本。
アッパーなキャラ造形や阿呆な展開に練り込められた、独特のシュール感やドス黒い性愛と情念などに、個人的には道満清明先生のミームを感じます。
凌辱系にしろ和姦系にしろ圧倒的なドライブ感で抜かせるタイプ。全くコアマガらしからぬ作風なのに単行本まで出してくれたコアマガジンにも感謝。→単行本レビュー

1位 Ash横島『3ANGELS SHORT Full Passion』(コアマガジン)
3angelsShortFullPassion.jpg4年半もの間、管理人を含むファンが待ちに待った著者2冊目であり、前単行本から続く長編作品を収録。
甘く優しい恋心に暗く燃え上がる嫉妬など、明暗に冴えわたる感情描写と圧倒的な快楽陶酔感を誇るエロシーンが壮烈の一言。
話の続きとなる3冊目の発売が何時になるかだけが悩みの種ではありますが、読んで面白くかつガッツリ使える秀逸なエロ漫画作品として本年No.1を獲得。→単行本レビュー

と、このような順位になりました。やはり、20作に絞るというのは難しいもので、他にもお勧めしたい作品はいっぱいあるのですが、選んだ20作品はどれも大変なお気に入りです。
個々の単行本レビューも参考にして、是非チェックしてみて下さいな。

まずは、今年読んだ全ての作品達とその作者さん、関係する編集・出版者の皆様に心よりの感謝を。
いつも良い作品を楽しませて頂いております。

このブログや記事を紹介して下さる全てのサイト様にも厚く御礼申し上げます。相変わらずコツコツと単行本レビューを積み重ねる以外に能がないのですが、今年は考察系の記事等を御紹介頂く機会が増えまして有難く思っております。
これからもソースサイトとして精進して参ります。

そして、当ブログの読者諸氏にも敬意と感謝を。皆さまのエロ漫画への愛情に支えられて本年も頑張ることができました。
来年も読者諸氏の期待に少しでも応えられますよう、へたレビューの質を上げるための努力をしたいと思っております。

エロ漫画の世界においても、様々な変化があった2000年代でしたが、その最後の2年間にレビューという形式で微力ながらもエロ漫画の盛り上げに寄与できたことは、一人のエロ漫画ファンとして大きな喜びです。

2010年も素敵な作品に沢山出会えることと、エロ漫画を愛する全ての人に幸せな一年であることを願って、
一エロ漫画愛好家 へどばん拝

2009年メタルCD私的ベスト10枚

どれだけ楽しんで頂ける方がいるかは不安ですが、エロ漫画とメタルミュージックを愛する同好の諸兄に送る記事でございます。
2008年にも書いてますので、興味ある方はそちらもどうぞ。
エロ漫画関連の記事ではないので続き以下に収納しますが、ヘッドバンキングとメロイックサインが得意な愛すべき諸氏は是非!
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エロ漫画私選10作(2009年下半期)

時が経つのは速いもので、00年代最後の年・2009年も残すところ僅かですが、大晦日に発表予定の年間ベスト20作を選ぶためにも、上半期に引き続いて下半期のベスト10選出となります。
本年7月から12月に発売された(アマゾンの発売日に準拠)大好きな作品達の中から特にお勧めする作品を10作選びました。
エロ漫画の評価とはいうのは様々なカタチがありますが、今回も“エロ漫画として”面白い作品を選びましたので、年末年始の読書(実用的読書含む)のご参考になればへたレビュアーとして嬉しく思います。

なお、12月29日現在で2009年下半期の新刊購入・読了数は145冊(内、未レビュー8作)。今年も、年間ベスト20の方では順位を付ける予定ですが、現段階ではまだ順位付けをしていません。
加えて、各作品の詳しいへたレビューは短評内のリンク先をご参照下さい。
それでは下半期に輝いていた作品達をご紹介!

鮭『サリーによろしく』(ジーウォーク)
SayHelloToSurrey.jpg魔法少女モノのパロディに大量の社会風刺ネタを詰め込んだ笑えるエロ漫画。
個々のネタのインパクトが大きい分、小さくまとまらないダイナミックなギャグに勢いがあるのが最大の美点。
触手やらレズやら集団レイプやらと多彩なアブノーマルテイストのエロが笑いとしての側面もありつつ、密度の高い作画でしっかり使えるエロになっているのも嬉しいところ。→単行本レビュー

青木幹治『さよなら、おっぱい』(コアマガジン)
GoodByeBigBust.jpg非ロリなぺたんこ美少女に特化した、茶目っ気とリリシズムを兼ね備えた青春ラブストーリーの伸びやかさが強い魅力。
貧乳さんにしても巨乳さんにしても、彼女達のコンプレックスが恋愛を通じて解消されていく流れが実に清々しく映ります。
エロ表現にはやや硬さが残っているものの、温かい雰囲気が漂っており居心地の良いエロシーンとなっており、今後への期待も含めてランクイン。→単行本レビュー

おおたたけし『ナイショのりとるえくすたしー』(茜新社)
SecretLittleEcstasy.jpgキュートなロリっ子達との激甘恋模様と激烈ハード&カオティックなエロシーンの奇跡の融合が楽しめる1冊。
小さな女の子の尿道とアナル(と時々前穴)を凶悪なフォルムも小道具で徹底的にほじくりまくるストロングスタイルに全くブレがなく、それでいて最後は平和なハッピーエンドに至るという妙な安心感があるのも面白いです。
ロリエロ漫画界のゴアグラインダーの威容をまざまざと見せつけるいつも通りの怪作。→単行本レビュー

池上竜矢『おねえちゃんであそぼう』(ワニマガジン社)
PlayNotWithButOnSis.jpgちょっぴり垂れ気味な巨乳お姉ちゃん達が勢揃い。10代の小娘にはない、女盛りの色香がキャッチーな絵柄の中に香り立っています。
お馬鹿コメディのテンションの高さも素敵ですが、シリアス系の作品にも独創的な魅力のある作家さんであり、短編「在りし日の歌」は2009年屈指の傑作短編。
もっちりバディが蕩けまくる実用性の高いエロと魅力的な話づくりの両立という点で、正に“エロ漫画”として面白い作りになっている実力派の良いお仕事と言えます。→単行本レビュー

Ash横島『3ANGELS SHORT Full Passion』(コアマガジン)
3angelsShortFullPassion.jpg管理人を含むファンが待ちに待った4年半ぶりの単行本。作品タイトルを変更していますが、実質的に前単行本『3ANGELS SHORT』(同社刊)からの続編となっています。
1巻目のお気楽エロコメ風味から一気にシリアス群像劇へとストーリーを切り返し、明暗に冴えわたる感情表現によってストーリーを躍動的に駆動させる手腕が実に見事。
ヒロインの全身を正に蹂躙するという表現が相応しい圧倒的な快楽陶酔の表現も凄まじく、淫液に塗れながら光悦の表情を浮かべる天使達の姿が実にエロティックです。→単行本レビュー

まぐろ帝國『あいらんど』(茜新社)
IslandChapterOne.jpg『淫悦の章』と『淫虐の章』の2巻構成を取る長編ダークファンタジー。記憶喪失の主人公の周りに蠢く様々な謎と妖しいのヒロイン達を描いています。
メタ構造やループ展開など、ファンタジー作品の作劇に多用される手法を大量に用いながら、最後の最後で計算された破綻を作品にたたき込み、全てを放棄することで御都合的ファンタジーに喧嘩を売る不条理ファンタジーという、この作家本来の批判精神が強く発揮された意欲作。
官能性の構築が綿密に意図された作画も上質であり、強烈な快楽を前面に押し出す淫靡な濡れ場を形成しています。→1巻単行本レビュー2巻単行本レビュー

高津『それは歴史にカかないでっ!』(コアマガジン)
DontRecordItAsHistory.jpg古代エジプトの眠りから目覚めた褐色肌母娘の押し掛けラブコメディ。キュートなむっちりママンに定評のある作家さんですが、美少女キャラを描いても上手いことを改めて証明。
コアマガジン的な明るく楽しいラブコメ模様をテンポ良く描けており、定番の良さをきっちり出せているのが◎。展開が安定している分、魅力的なキャラ達に焦点が当り易いのも上手い構成と言えます。
十分にハードコアながら、決して重すぎたり濃すぎたりしないちょうど良いエロのパワフルさも美点。艶やかな褐色肌と白濁液とのコントラストが何とも言えませんな。→単行本レビュー

町田ひらく『たんぽぽのまつり』(茜新社)
FestivalOfDandelion.jpg前々単行本『黄泉のマチ』(茜新社)から続く長編作の完結編であり、今単行本でさらに鋭さを増したストーリーテリングに痺れます。
読み手に強烈な印象を残すドス黒い世界の業の深さに圧倒されつつも、その中に響き渡るこの作家の少女達への愛の叫びがさらに深い味わいを生み出しています。
正直、使いやすいエロシーンとは言えませんが、写実的な絵柄はベテランらしい安定感を見せており、退廃のエロスを味わいたいならむしろ好適。→単行本レビュー

まよねーず。『少女型性処理用肉便器』(ティーアイネット)
MeatToiletShapedAsGirls.jpg肉便器モノという危険な題材を描くことに執念を燃やすこの作家さんの2冊目。
“モノ”扱いされる肉便器の少女達の“人間”としての感情とその成長を丹念に描き出し、“社会と個”“勤労の苦労と尊さ”“友人と家族の大切さ”といった普遍的なテーマを練り込める作家性は他に類を見ません。
人間としての彼女達の苦痛を、苦痛として描くことから決して逃げない故に、凌辱エロとしての踏み込みも十分強力です。→単行本レビュー

MARUTA『彼女が恋人を好きになった理由』(富士美出版)
ReasonForTheLover.jpg夏の田舎で繰り広げられる少年少女の瑞々しく甘酸っぱい恋愛模様を絶妙な雰囲気作りで魅せる1冊。
不全なコミュニケーションとしてセックスを描きながら、単純に理解しがたいからこそ、一層少年少女達の感情をビビットなものにすることを可能にしています。
互いの素直な欲望と感情が交錯する性行為は、上品でありながら若さゆえの熱情が溢れており、“生の快楽”としてのエロティシズムが大変味わい豊かです。→単行本レビュー

と、以上が下半期ベスト10です。
ギャグエロ作品もあれば、陰鬱で重厚なシリアス作品があったりと相変わらず雑多な選出ですが、たぶんその多様さこそが、僕の好みであり、またレビュアーとしての個性なのかなぁと思っています。

上半期ベスト10と今回の下半期ベスト10の作品、および双方の惜しくも選外な作品を含めて、現在33作を年間ベスト20選出にノミネートしております。
どれも大好きですし、順位を付けるのが相変わらず苦手なこともあって選出が大変なんですが、これはこれで楽しい作業です。
該当作品をちゃんと再読して(あと出来るだけ再び“使って”(笑))順位付けをしますので、大晦日の年間ベスト20作まで、もうちょっとお待ち下さい。

下半期に紹介した全ての作品達とその作者様方、そして読者諸氏に心よりの感謝を込めて
一エロ漫画愛好家 へどばん拝

飛龍乱『ママの子宮にいらっしゃい』

InvitingToMamsWomb.jpg勇人先生の『はなまる幼稚園』第7巻(スクウェアエニックス)を読みました。子供たちから大人たちまで皆優しくて可愛らしい癒し空間ですなぁ。まさかの柊山先生にはコーヒー吹きました(爆笑。
なお、今回が単行本レビューとしては今年最後となります。読んだけれどもレビューを書く時間が取れなかった作品が結構あって、そのことがどうしても心残りですなぁ。申し訳ない。

さて本日は、飛龍乱先生の『ママの子宮にいらっしゃい』(茜新社)のへたレビューです。最近不足していた熟女成分を補給せんと遅ればせながらの購入&レビューとなりました。
ベテランらしい作画・作劇の安定感で魅せるむっちりママンとの背徳の行為が満喫できる1冊です。

InvitingToMamsWomb1.jpg収録作は、(性的な意味でも)スキンシップ過剰な優しい母との愛欲の日々とそこに訪れる急展開を描く長編「ママは心配性」全7話(←参照 当ってます 第1話より)、および独立した掌編・短編6作。
フルカラー掌編の「きょーいく★ママ」(4P)を除き、1話・作当りのページ数は16Pでほぼ固定。安定した仕事ぶりの証左でもありますし、長編作についてはたっぷりとしたボリュームの中でエロもシナリオも十分量を見せることに成功しています。

【安定した作劇力で魅せる多様なシナリオ】
ほのぼのラブ模様からダーク&インモラル系まで、またヒロインについてもつるぺたローティーンからフェロモンムンムンの熟女さんまで何でも器用にこなせる力量のある作家さんであり、今単行本も母子相姦劇に、美人保険医のイケメン生徒食い、ロリっ子の姦計劇、綺麗な先輩との甘酸っぱい青春恋模様など、方向性は実に多様。
和姦系においても微妙に暗い雰囲気や毒気を漂わせて話を引き締める巧さがある作家さんでもありますが、コンビニ誌(シグマ)での発表作で構成された今単行本は、せいぜい“デキちゃう”ことを匂わせる程度で明るめの雰囲気を維持しているため、読み易さが一層明瞭になっています。
母子の爛れているんだけれども満たされる愛情故に幸せな日々を中盤まで描く長編「ママは心配性」は、交通事故で母親のエッチで世話焼きな性格が“普通の”理想的な母としての性格に変化してしまうという急展開を示して、穏やかで甘い雰囲気から話を一気に動かしてきます。
59e5a91c.jpg二つの人格に対し“ママ”と“お母さん”という呼称を分けることで、ヒロインの立ち位置の変化による主人公の困惑をしっかり描出すると共に(←参照 ママだけど“ママ”ではない 長編第4話より)、母というキャラ造形の魅力の根幹にある“母性”と“女性”の混在を描き出す手腕は実に見事
快楽全能主義によるゴリ押しを行っているようで、極端なカタチでありながらも通い合う母子の愛情を丁寧に紡ぐことで、ハッピーエンドに落ち着くストーリーラインに説得力を付与しているのもベテランらしい巧さと言えるでしょう。
可愛らしい顔の少年に悪戯を仕掛ける保険医さんが逆に罠にハマる短編「センセイの保健室」、意外な展開を2連続させることで作品全体の整合性が完成する短編「お隣の事情」など、短編作に関しても小粒ながら面白みのある作劇が味わえるのも嬉しいところ。

【フェロモンたっぷり熟女さん+ティーン美少女】
表紙絵通りに30代~40歳前後と思しき実母、友母(友人の母の意)、保険医、後家さんといった魅惑の熟女さん達が勢揃い。
それらフェロモン全開おばさんお姉さま方に加え、ぺたんこお胸のロリっ娘や古風なセーラー服がよく似合う清楚な女生徒、ちょっとS気のあるウェイトレス娘などロー~ハイティーンもある程度居てくれるのは個人的には嬉しい限り。
また、お色気満載の年増さん達との対比として少年をショタっぽく描ける先生なので、絵柄に現代的なキャッチーさを取り込んできた分、女装少年などを描いても実にしっくりときます。
InvitingToMamsWomb3.jpg生活感溢れる私服などに強い魅力がある一方で、熟女さんのムチムチボディにブルマ体操服やセーター服といった年増ギャップ萌え属性を刺激する衣装を重ねたり(←参照 “初めて”というのはプレイの一環(笑) 長編第3話より)、逆にセクシーランジェリーで艶やかさを倍増させたりとツボを心得たコスチュームチェンジが楽しいです。
かなりベテランでありながら、萌えアニメから映画まで何でも楽しみ、創作物における流行りを肌で感じて自らの作画・作劇に取り込み、弛まぬ進化を続けるスタイルこそが飛龍先生の素晴らしいところ。
そのため、人妻・母モノのメインストリームであるネオ劇画系の絵柄にある硬質さや過剰感を必要分を除いてオミットし、例えば横井レゴ先生的なクラシカルな印象はありつつも柔和さとキャッチーさが目立つのは広い訴求層を保つ上で大正解です。

【グラマラスな肢体を淫汁塗れに】
必ずしも単体で強い性的アピールがあるとは言えないものの、黒茂った陰毛を伴う成熟した秘貝やサイズは控えめながらもプリプリとした乳首、ルージュが映えるリップなどの局所描写がボリューミィな肢体との組み合わせで実にエロティック。
皮膚の下にたっぷりと蓄積された柔肉を指や舌で存分に味わう前戯パートも大層強力であり、グラマラスな肢体に包まれる幸福感とそのエロエロバディに対する征服欲を存分に刺激してくれます。
フェロモン漂う蜜壺に挿入すれば、淫蜜が留めなく溢れ、パワフルな抽送によって飛び散る滴がヒロイン下半身をぐっしょりと濡らしていく様が官能性を強く演出。
やや凡庸な説明台詞が続くものの、母子相姦系では行為の背徳感を煽るようなフレーズを適度に混ぜ込んでくるのは地味な巧さ。涙滴を端に浮かべる潤んだ瞳やキュッと歯と唇を食いしばる口など、前面には押し出さないものの如何にも人妻・母モノらしい表情の官能さも素敵です。
InvitingToMamsWomb4.jpgアグレッシブなピストン運動のラストは、マッスたっぷりの下半身を抱え込みながら、膣内に熱い白濁液をたっぷり注ぎ込んでおり、結合部から精液が噴水の如く溢れだす中でアクメを迎えて大きな嬌声を上げるヒロインの様子を1Pフルで読者に叩きつけてきます(←参照 短編「ほーむ・えでゅけーしょん」より)。
また、ページ構成の面で上手いと思うのは、左側のページではヒロインの頭を左側に、右側のページでは右側に配置し、ページを開いた時にヒロインの痴態が左右にパッと広がる様に配置されているのは実用的読書の際に強いアタックを生み出しており、この手法には唸らされました。

絵柄にしても作風にしても、この手の作品に必須な、いい意味でのクドさをちゃんと残しつつ、キャッチーさを十分意図されています。そのため、ダイハードな熟女好きから「思春期ガールが大好きだけどたまには熟女もいいよね!」というライト層まで幅広く楽しめる1冊になっています。
個人的には、スチーリー的な旨味のある長編作に加えて、ロリっ子と酔いどれキャリアウーマンの母娘コンビを同時に美味しく頂ける短編「お隣の事情」が特にお気に入り。

黒子のオイルは俺が塗る!な雑記

佐天さんは好きです。でも、黒子ちゃんがもっと好きです、なぜなら奴は変態だから!
どうも、管理人のへどばんです。多分、今年最後の雑記になると思います。2009年もあっという間でしたなぁ。
一部書店では既に来年頭発売のエロ漫画新刊が発売されていまして、本当に年末なんだなぁと妙なことから実感しております。
まぁ、当然の如く買ってますが、29日以降は2008年と同様に、下半期ベスト10、一部読者だけが楽しい2009年メタルアルバムベスト10、そして31日には2009年マイベスト20作を発表しますのでお楽しみに。
というか、まだ選んでる途中なんですが(汗。大概愛している作品ばかりなので、順位をつけたり数を絞ったりするのが本当に苦手なんです。

さて、珍しく雑記で漫画、しかも一般作品のお勧めを御紹介します。
ZIZZ960.jpg海野螢先生の『オールリーフ大進撃』(ウェッジホールディングス)という本で、先生によるリーフ作品のコミカルパロディが詰まった楽しい1作です。
また、表紙が実にレトロ調で先生らしいなと(笑。エロ漫画では少女の繊細な感情や味わい深いSF(すこしふしぎ)作品が強みの作家さんですが、お茶目なコメディというまた違った側面が見える楽しい1冊です。
僕の様な30手前のオタクにとっては、『痕』とか『To Heart』とか『こみっくパーティー』とか『うたわれるもの』といったリーフ作品は、こうオタとしての基礎教養的な側面があったので読んでいると懐かしさがこみ上げてきますなぁ。
ところで、管理人は『To Heart2』では、一番好きな子が笹森さん、2番目に好きな子がるーこでしたので、この二人の登場頻度が高かったことが実は大きなポイントでした(笑。
アマゾンでも取り扱っているので、海野先生のファンは早速ゲットだ!

以下、相変わらずの亀レスで申し訳ない拍手コメントへのお返事。覚えのある方はどうぞ~。
では次回のレビューにて! と言っても2009年はあと1本しか書けそうにないですが(爆
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