2009年08月

エロ漫画における夏の風景

今日は関東平野は台風接近による大雨で、このところ増してきた秋の気配以上にひんやりとした一日となりました。今年はちょっと例年の夏らしさに乏しい夏でしたね。
さて、今日で8月も終わりますね。9月に入ってもまだ残暑が厳しいと思いますが、8月が終わると何となく夏が終わったという印象を受けるものです。
現実世界におけるそれぞれの季節にそれぞれの趣や生活上の意味合いがあるのと同様、エロ漫画を含めた創作物において描かれる季節にも様々な意味が持たされており、その根底には我々が共有する“日本の夏”というイメージが存在すると考えます。
SceneryOfSummer1.jpg←は夏の一日を描いた甚六先生による屈指の名作短編「in Season」(『思春期は発情期。』p186,コアマガジン,2008)よりの一コマですが、蚊取り線香、バッテンの追加されたカレンダー、ヒグラシの鳴き声といった要素から、喧噪に満ちた夏の一日が終わる、何処とない寂しさが読み手と登場人物に共有されます。
そこで今回の記事では、このようにエロ漫画において描かれる夏の風景について、ちょっと書いてみようと思います。
吉田拓郎の「夏休み」あたりをBGMにお読みください(笑。
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Ash横島『3ANGELS SHORT Full Passion』

3angelsShortFullPassion.jpg安倍夜郎先生の『深夜食堂』第4巻(小学館)を読みました。料理の描写が物凄く上手いわけではないですが、読んでいると温かいご飯が食べたくなる漫画ですよねぇ。
今巻のお気に入りは第46話「冷やしトマト」で、古典的とも思える艶話の様式美的な見せ方が冴えています。期待半分不安半分なTVドラマ化ですが、主演の小林薫さんは結構よいキャスティングではと思っています。

さて本日は、Ash横島先生の『3ANGELS SHORT Full Passion』(コアマガジン)のへたレビューです。大変長いこと待たされたので単行本発売が物凄く嬉しく、早くレビューしようと思ってたのですが1巻から読み返していたらこんなに遅くなってしまいました。ごめんなさい。
迸るような圧倒的な激情を束ね上げて猛烈に駆け抜ける、壮大なストーリーと攻撃的なエロシーンが共に素晴らしい作品です。

3angelsShortFullPassion1.jpg収録作は、超駄目人間な主人公の元に天界から派遣された天使3姉妹と研究会の(性的な意味で)肉食獣な美人先輩とのドタバタ&エッチな日々が、天使を狩るフタナリ天使・カサブランカの登場で急変するタイトル長編第1~8話(以下続刊)+幕間のアナザーストーリー1話(←参照 手前のメイド服娘がカサブランカ 第2話より)。
1~8話と書きましたが、実質的には前単行本『3ANGELS SHORT』の続編に当る第9~16話(以下続刊)であり、登場人物の関係性やその感情など作品を楽しむ上で非常に重要な要素は前作を読んでいないと理解するのは不可能でしょう。話数をリセットしたりあらすじがなかったりする単行本の不親切なプロダクションはちょっとどうかと思いますが。
やたらと作品の発表速度が遅いことによる副産物でもありますが、1話当りのページ数は16~32P(平均24P)と十分に厚みのあるボリュームとなっています。
濃密な官能描写によって豪胆な煽情性を叩きだすエロも強力な魅力であると共に、非常に読み応えのあるファンタジー系群像劇の面白さがあり、2,3回読んだだけで判ったつもりになりたくない“読みの欲求”を刺激する作品と言えるでしょう。

【数多の感情が炸裂するシナリオの強力なドライブ感】
某「ああ○女神さまっ」の主人公をファッキンな野郎にしてエロコメ化した如きのスタイルであった前単行本に対し、今回はシリアス色が色濃く、女神たちの感情やカサブランカの思惑、執行代理天使達に秘められた事実が徐々に明らかになる練りに練られたプロットは秀逸の一言。
3angelsShortFullPassion2.jpg表層的なコミカルさを適度に残しながら、嫉妬や憎悪、敵意といった生々しい悪感情を絶叫しつつ、暴力と性行為で激闘を繰り広げる登場人物達の姿には鬼気迫る迫力があります(←参照 マキ先輩に秘められていた憎悪と嫉妬 長編第2(10)話より)。
今単行本で一気に存在感を増した褐色巨乳お姉さんエンジェルなカエデさんの、率直で甘い恋愛感情の描出といった明るい要素もありますが、天使達が特殊な能力を操るカサブランカによって全身を蹂躙され、固き術式と気高い精神の扉を抉じ開けられ、そして天使としての存在の全てを奪われる凌辱描写に宿る“破滅”の凄まじさと美しさには息を呑むような威圧感を覚えます。
凌辱中心のエロ描写に加え、設定の各種ギミックによっていい意味でハッタリを効かせる戦闘描写も秀逸であり、姉と妹を毒牙に掛けられて激怒した(一応)正ヒロインのスノーボウによる猛反撃は痛快。
その苛烈な攻撃さえ凌ぎ切り、彼女達に秘められていた残酷な事実を打ち明けるカサブランカのキャラクター作りも冴えており、彼女の存在をもう一つの軸として更なる広がりを見せるであろう3巻目に期待を持たせる単行本ラストも◎。ただ、まぁ、次の単行本が一体何年後に出るかは相当な不安材料ではありますが。
なお、物凄く健気なカエデ・スノーボウの恋の相手としては相変わらずあまりに下種な主人公なので、その辺りでイラッと来る方もおられると思いますが、陰鬱で重い話をある程度軽くさせる中和剤的な役目も果たしていますし、彼女たちに課せられた枷の冷酷さをより顕著にしているとも言えるでしょう。

【カエデさんの存在感が一気に増した第2巻】
上述の通りですが主なヒロインは、銀髪褐色肌で巨乳な長姉・カエデさん、金髪ショートで並乳な(一応)正ヒロインのスノーボウ、ツンテールでぺたんこお胸な妹・チェリィの三姉妹天使と、彼女たちと敵対する快楽主義者で主人公の先輩なマキと貧乳ふたなり天使のカサブランカのコンビになっています。
単行本通して大活躍なマキ・カサブランカのコンビに対し、エロ・シナリオ共に天使三姉妹の間には存在感の大きな差があり、カエデ姐さん派(管理人含む)=大勝利、スノーボウ派=納得、チェリィ派=大惨敗といった状態になっています。
前単行本終盤からデレ始めた超ツンデレなカエデさんのデレ分が今単行本ではメーター振り切り気味なのが個人的には福音。ただし、上記の通り天使達は無残この上ない凌辱を受けますので、好きなキャラが陰惨な目に会うのが嫌いな方は要注意。
3angelsShortFullPassion3.jpgまた、ストーリーの進行とキャラ設定上、必要なことなのですが、カエデさんの艶やかな銀髪ロングヘアが中盤でばっさり短くなりますので(←参照 長編第3(11)話より)、印象が明確に変化した分、ご嗜好によってプラス・マイナスの双方の材料となるでしょう。管理人は連載時にはブチ切れたもんですが、今では納得しております。
約8年に渡る(というか渡ってしまっている)長期連載作故に、絵柄は前単行本の第1話から相当変化していますが、絵柄としてほぼ完成されてきたようで、今単行本での絵柄の変化はかなり緩やかになっています。
絵としての表現力や官能性の想像力を強化するとともに、初期の絵柄にあった無駄な無機質感と硬さ、描線の粗さがほぼ払拭されたと言えるでしょう。各コマの情報量を増加させる丹念な描き込みも大変良好。

【高質かつ濃密に激走するエロシーン】
各話に十分なページ数があることもあって、エロシーンの分量は充実していますし、重厚かつ強力無比な展開と演出を誇るセックス描写の濃厚さこそで実用性を飛躍的に押し上げるスタイルになっています。
決してスプラッタ描写など、あからさまな異常性はないのですが、各種淫液を洩らし続ける穴と言う穴に凶悪なサイズの剛直や触手を激しくピストンし、量感豊かな乳房やお尻を握り潰さんばかりに蹂躙するセックス描写には、和姦・強姦の別なく読み手の心胆を寒からしめる程の苛烈さがあり、常にゴリゴリと責め立てて激走するエロ展開は正に圧巻。
まるで何かの救いを求める様に快楽を求め、無慈悲とも言える程圧倒的な快感の波状攻撃に理性を崩壊させ、白痴めいた絶叫を上げつつ咽び泣くヒロイン達の姿は、極めて攻撃的であり、読み手の嗜虐欲を存分に奮い立たせます。
004af5a6.jpg以前はあまり目立たなかったカエデさんのミルク噴出やカサブランカの駆使する大量の触手など、アブノーマルなエロ要素を増強してきたのも特徴であり、かつ作品にしっかりとマッチ(←参照 FallenAngels 長編第8(16)話より)。
コマを埋め尽くす狂ったような嬌声、迸る各種淫液、ウェットな擬音、そして表情や乳尻、性器など見せ所を意識した女体によって切れ目のない濃密なエロ作画になっているのも大変高評価です。
抜き所を連続投入する多回戦メインの構成になっており、ぶっかけやらアナル中出し等も豊富に絡めつつ、フィニッシュは子宮内に大量の白濁液を注ぎ込む様を脳髄に突き刺さるような迫力で描いており、大層な抜き所。
凌辱系もOKでしたら、とにかく抜けるエロシーンになっていると個人的には思います。

シナリオ・エロ共に高質で、双方の組み合わせによって作品としての読み応えが強固になるというエロ漫画としての理想的な構築が為されています。これでもっと執筆の速度が高ければ何も文句がないのですけどなぁ。
この作品を追い続けている熱心なファンである同志諸兄は既に読了済みだと思いますが、今回のレビューで興味を持たれ、読んでみようという方は是非前単行本と併せて購入してみて下さい。今単行本におけるストーリーの加速の凄みを是非味わってほしいのですよ!
漫画としても面白くかつがっつり使えるエロ漫画をお求めな方には強くお勧め!

みたらし侯成『家族どんぶり』

FamilyBowl.jpgTVアニメ版「大正野球娘。」第8話「麻布の星」を観ました。今回もオリジナルエピソードですが、これはこれで楽しませてもらっています。三郎君とのラブいラストは良かったですね。
あと、今回は前半で役者は女学生限定と言われていじけていたアンナ先生が可愛かったですな。小梅とたまちゃんのどちらが嫁かで悩む日々ですが、最近は両手に花でもいいかなとか思っています(←エロ漫画脳

さて本日は、みたらし侯成先生の『家族どんぶり』(松文館)の遅延へたレビューです。当ブログではこの作家さんの初めての単行本レビューとなりますが、「メイドに願いを」シリーズには大層お世話になったものです。
オーソドックスなエロコメディの安定感とヒロインのキャッチーかつエロティックなキャラ造形においてベテランらしい上手さを見せ付ける作品集です。

FamilyBowl1.jpg収録作は、オタで非モテな主人公に美少女姉妹と美人母が体当たりで恋愛&エッチ指南なタイトル中編「家族どんぶり」全3話(←参照 姉妹 同中編第1話より)、親戚関係にある勝ち気な姉と大人しいメガネっ娘な妹との棚ボタな淫蕩の日々を描く中編「姉妹といっしょ」全3話、夫を亡くした憧れの人妻を慰めようとしたら実はその女性の双子の姉妹で~な「隣のお母さん」前後編、および短編2作。
1話・作当りのページ数は短編「奴隷母」(16P)を除いて全て20Pで固定。連作・中編が多いこともあって適度に奥行きを感じ取れる作品になっていますし、エロコメ・ラブコメ系としての軽快な読書感も魅力的です。

【ハッピーな雰囲気で包むオーソドックスなエロコメ】
初出が4年前の短編「奴隷母」のみ以前描いていたダーク寄りの路線の残り香を感じさせますが、この作品にしても陰惨さはかなり乏しく、その他の作品は快活なエロコメディで統一されています。
FamilyBowl2.jpg家族の女性皆さんで主人公にエッチ指南をしてくれる中編「家族どんぶり」や、はたまた彼女と別れて傷心な主人公を飼い猫が美女に変身して慰めてくれる短編「ネコの恩返し」(←参照 褐色ケモ耳万歳!万歳!)など、エロ漫画的な“お約束”をあからさまに投入するスタイルであり、特段の個性を感じさせるシナリオではありません。
とは言え、その“お約束”の貫徹っぷりに無理・無駄を感じさせない自然な流れや心地よい雰囲気作りは流石ベテランの先生であり、無暗に浮つかないコミカル要素と重く沈み込まないシリアス要素を齟齬なく調和させた、正に中庸と言うべきシナリオになっています。
決して突破力にあるギャグではありませんが、随所に差し込まれるほのぼのとしたコミカル要素には一定のグルーブ感があり、シナリオ・エロに独特の“間”を設けるややレトロな手法も○。
話をほとんど動かさない作劇であり、ラストもフェードアウト気味にゆるく終わらせるため、あまり話として印象に残らないものの、エロへのスムーズな展開を可能にし、気軽に抜きに使いやすい雰囲気を生み出しています。
色々とドタバタを繰り広げながらも、最終的には登場人物全員がなんとなく幸せそうに映る、カラリとした能天気さが素敵だなぁと思いますよ。

【ロリから熟女まで幅広いヒロイン陣】
いたいけなロリっ娘からアダルトな色香の熟女まで何を描いても上手い作家さんであり、今単行本もヒロインの年齢層は広め。
中編「家族どんぶり」のお胸ぺたんこな妹ちゃんを除けば、20歳前後と思しきお姉さん方か、未亡人やママンなどの熟女さんという年上ヒロインが主体という印象です。
ただし、熟女としての側面を強調するタイプではなく、最年長と思しき中編「家族どんぶり」のお母様でさえ、成熟した色香を振りまきつつ大変若々しい見た目となっています。
寸胴ボディで幼さを強調されるロリっ娘さんを除けば、しなやかなスレンダーボディに適度にビックなぷるぷるおっぱいとむちっとしたヒップを備えるボディデザインとなっており、訴求層はシナリオ同様にかなり広いタイプ。
FamilyBowl3.jpg絵柄に関してはより端正になった感があり、清潔感もあるクセの無い漫画絵柄から、嫌みなく香り立つ女性の華やかな色気は、即効性こそないものの作品の煽情性を下支えする強力な武器(←参照 中編「姉妹といっしょ」第2話より)。
最古作の短編「奴隷母」のみタッチが粗い感がありますが、作品間で絵柄はほぼ安定しており、表紙絵とも完全互換と言ってよいでしょう。

【しっとりとした色気を香らせる上質の官能絵巻】
実用的読書にとって十分な分量が確保されているエロシーンですが、シナリオ同様に明るい快楽肯定主義が貫いており、濃厚な淫猥さや背徳感を期待するのは避けるべきでしょう。
基本的には1回戦をじっくりと描くタイプであり、パイズリやフェラでの射精シーンが少ないことに不満が出る可能性はあります。
しかしながら、前戯パートは十分な尺を以て描かれており、おっぱいや秘貝を優しく弄ったり、逆にお口によるご奉仕を受けたりで、ここで読み手の欲望に“溜め”を作ってガツガツとした抽送パートで放出させる展開は良好と言えるでしょう。そのピストン運動のシーンが場合によってはちょっと短すぎたりするのはマイナス要因。
頭のてっぺんからつま先までピンと緊張が張り詰めた女体の描き方は素晴らしく、見せるべきパーツを的確に見せる各コマの構図取りも大変良好。
FamilyBowl4.jpg三角関係の困難やら近親相関の禁忌など完全にほったらかしてチアフルに突入する両手に花な複数人エッチのゴージャス感も魅力であり、エロの明るく幸せな部分を抽出した方向性にマッチしています(←参照 「隣のお母さん」後編より)。
艶やかな唇やほんのりと粘膜感を出された乳首など、エロ局所描写の質も高いですが、松文館系の常として消しはかなり厳しいので性器描写に期待するのはNG。なお、ティーン美少女達こそパイパン仕様ですが、その他のヒロインは基本的にちゃんと陰毛が生えていますので、その辺りはご嗜好に合わせてご判断下さい。
中出しフィニッシュの方が多いものの、突き出された量感たっぷりヒップにぶっかける外出しフィニッシュも個人的にはよい抜き所です。

濃厚さや派手な技巧とは無縁ですが、着実に王道を歩む作劇・エロシチュであり、ライト嗜好な方から官能性の演出を重視する方まで幅広く支持されえるタイプと言えるでしょう。
個人的なお気に入りは、母姉妹3人とのウハウハ家庭内ハーレムな中編「家族どんぶり」も大好きですが、褐色巨乳ネコ耳お姉さんという管理人のストライクゾーンに剛速球を投げ込んできたヒロインにメロメロな短編「ネコの恩返し」でございます。

たまごかけごはん『Pure Select』

PureSelect.jpgコミックラッシュ10月号に収録されている工藤洋先生の読みきり短編「おき×らぶ」を読みました。巨乳おねーちゃん化された沖田総司が現代世界にタイムスリップという実に阿呆な素敵な作品です。
単純にコメディ漫画として面白く、エロ漫画のエロだけ薄めて無理矢理一般作品にしたようなどーしょもない作品ではないのは好印象。その一方で、たゆんたゆんおっぱいが大層魅力的なのは今作でも勿論変りませんよ!

さて本日は、たまごかけごはん先生の『Pure Select』(マックス)のへたレビューです。前単行本にして初単行本な『よくかきまぜてめしあがれ』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
突き抜けたパワフル加減で激走するエロとシナリオの思い切りの良さこそを評価したい1冊です。

収録作は読みきり短編11作+カラーイラスト集4P。1作当りのページ数は16or20P(平均17P弱)と標準をやや下回るボリューム。
とは言え、エロ・シナリオ共に豪快に突っ走っているため、ページ数の多寡をあまり感じさせません。話としての読み応えやエロの濃厚さを求めるのは避けるべきですが、作品としての個性的な面白みはあるタイプと言えるでしょう。

【テンション任せに力押しするシナリオ】
一部作品に関して強要エッチ寄りになっていますが、全般的にカップルか恋愛関係一歩手前な男女の恋愛エッチを描く作品となっており、萌えエロ系らしい能天気な明るさがあります。
コミカル系とシリアス系が明瞭に分割されていた前単行本に対し、今単行本では両者の境界は曖昧になっており、エロ漫画的ご都合主義と破天荒ギャグ、恋愛のロマンティシズム、あざとい萌え要素をゴチャ混ぜにしたような独特の雰囲気になっています。
PureSelect1.jpg特に特徴的なのは、導入パート・エロパートの別なく投入される青臭いまでに力強く真っ直ぐな愛の叫びであり、登場人物の恋愛感情を文章表現としてポエティックに綴っています(←参照 “クサイ”ですなぁ 短編「緊急事態」より)。
このテンションの高さとある種の泥臭さは、好みによっては白々しさやお寒い印象を与える可能性もありますが、みうらじゅん氏・伊集院光氏辺りが言う所の“童貞力”を想起させ得る、迸るような無駄な熱情には読み手を有無を言わせずねじ伏せるパワーがあるように感じます。
基本的には勢い任せなエロへの突入を示す作劇であり、構成としてはかなりヌルイのでお話重視派にはちょっと進め難いには確かですが、大真面目でいて大馬鹿とも言うべき独特の雰囲気は端的に言って面白いです。
唖然としている内にいつの間にか終わっているシナリオのラストは、例え途中がダーク寄りなケースでも、登場人物達が笑顔で迎えるハッピーエンドであり、何となくいい話にしてまとめてしまうのが凄いところ。

【萌えエロ系としてオーソドックスなヒロイン陣】
ヒロイン陣は、母娘ダブルヒロインな短編「ダブルドルフィンへようこそ!」の巨乳ママンと短編「彼女は女子アナ」の女子アナさんを除いて、ミドル~ハイティーンクラスの制服美少女達で構成。
PureSelect2.jpg妖しげな薬を調合中の魔法研究部の部長さんやら(←参照 「葉鈴ちゃんと恋の不思議な魔法薬」より)、天真爛漫なドジっ娘、ツンデレ剣道少女にコスプレイヤーな女の子など、萌えエロ系作品では比較的お馴染みなキャラ造形で固めてきています。
おっぱい的には貧乳さんから巨乳さんまでお取り揃えではありますが、プルプルと震える大きめおっぱいをお持ちのヒロインがメイン。
絵柄に関しては、よりコテコテの萌え系絵柄として完成度を増して来ましたが、どことなく無機質な印象が強くなったことと力強い感情表現に見合う絵としての表現力が追い付いていないのはマイナス要因。
PureSelect3.jpg学校の制服に加え、華やかなウェイトレスさんの衣装、水着、剣道着など、ティーン美少女さんによく似合う衣装が沢山登場しますが、むしろやたらと高い縞パンの装着率の方が気になります(笑。(←参照 縞ブラ+縞パン 短編「彼女は女子アナ」より)。
表紙絵は中身の絵柄の雰囲気を忠実に表しているため、表紙にピンとくるか否かは今単行本を楽しめるかの指標となるでしょう。

【質・量共に不足はあるも得難い勢いと熱気が魅力なエロシーン】
ページ数がさほど多くないこともあって濡れ場の分量は平均をやや下回る程度で、がっつりとセックス描写を楽しみたい貴兄には物足りない可能性があります。
ピストン運動に関しては、派手に飛び散る淫液とその水音、および効果線の多用などにより、かなりアグレッシブな表現になっているので、抜き物件として必ずしも力不足ではありません。
その一方で、陶酔感の演出力と変化に乏しいヒロインの表情や描出がかなりなおざりな性器表現などが煽情性の構築の足を引っ張っている感が強くあります。
PureSelect4.jpgヒロイン側のエロ台詞よりも、恋とセックスに迸る感情をパワフルに吠えまくる男性陣の台詞が目立っており、そのことが生じさせる不器用なパワフルさはエロ的な魅力には乏しいですが、読んでいて爽快感を覚えます(←参照 短編「ImoBoh」より)。
派手な擬音を奏でつつ、ヒロインに中出しを決めるフィニッシュシーンは1Pフルで力強く描かれており、かろうじて万人受けする抜き所を確保。
全体的にエロシーンの構成の粗さが目立ちますが、その点も含めて魅力的な疾走感になっているのも確かでしょう。

必ずしも使いやすい萌えエロ系抜き物件としてお勧めはしにくいのですが、作品に宿る愚直なまでの恋愛ロマンスはなかなか得難い個性ではないかと思っています。
この面白い作家性の作劇への活かし方というのは今後の課題なのかなぁとも思います。個人的には男性のお馬鹿でかつ超真剣な台詞の畳み掛けで激走した短編「ImoBoh」が最愛。

大孛輝*はな『もっと&er Girls』

MoreerGirls.jpg曽野由大先生の『オレら連邦愚連隊』最終5巻(角川書店)を読みました。最後まで黒い策謀と哀しい憎悪の渦巻く重い話でしたが、それ故に主人公の真っ直ぐな熱血さが一層輝いていましたね。いいラストでした。
今巻は何時にもまして戦闘描写がド派手な格闘戦主体で、もはやガンダム無双というかGガン状態でしたな。特に、コルテスとの一騎打ちのラストは物凄い迫力になっていました。次回作も楽しみですなぁ。

さて本日は、大孛輝*はな先生の『もっと&er Girls』(茜新社)のへたレビューです。難読な作家名でも有名な先生ですが、これで“だいぼっき・はな”先生とお読みします。
リリカルな絵柄で描き出されるティーン少女とのチアフルなラブコメディがとっても魅力的な作品集です。

MoreerGirls1.jpg収録作は、ロリーな姪っ子とのラブラブ&エッチな日常を優しく描く連作「瑞穂とお兄ちゃん」前後編(←参照 同作前編より)、この二人の隣室に住む男性と妹さんのラブラブ近親相姦な「ミヨとジン」前後編、中○生カップルの恋とエッチな日々な連作「長谷川と谷口」前後編、および独立した短編4作。これらにおまけ漫画として全作品のカップル達が集合する描き下ろし短編(8P)が付属します。なお、カバー裏のおまけ四コマには爆笑させて頂きました。
各連作をまとめて掲載せず、飛び石状に配置して複数のシナリオラインを同時に進行させる凝った構成になっており、各作品は同一の作品世界を共有していることも前単行本と同様。
描き下ろし作品を除き、1話・作当りのページ数は16~22P(平均18P強)と中の下クラスのボリューム。連作が多いこともあって、十分な分量で描かれるカップルさん達の甘いキャッキャッウフフ状態に浸れる心地よさが魅力と言えるでしょう。

【意外にシナリオは目立たない明朗快活なラブコメディ】
明瞭に少女漫画寄りの絵柄から、繊細で叙情的なピュアラブストーリーを期待される方もおられるかもしれませんが、TL(ティーンズラブ)系や所謂“女流”タイプの作劇とはかなり異なるタイプで、どちらかと言えばカラリと明るい雰囲気を有するエロ重視なラブコメ系。
既にカップルさんという状況のおかげでもありますが、エロへの導入は比較的イージーなタイプであり、最初と最後のそれぞれ1P以外は全部エロシーンという豪胆な構成さえ軽々とやってのける作劇スタイルは前単行本から変わりません。
487b31b4.jpgとは言え、多少の強引さを気にさせない雰囲気の良さもありますし、テンションの高い台詞回しや(←参照 コーヒー噴きました 短編「未来と泰人」より)ほんわかとしたコメディで読み手の笑いを誘発しつつ、さらりと甘くリリカルな恋愛描写を要所で織り交ぜるという、緩急を付けた作劇も大変面白いです。
また、分量的に作品の大半を占めるセックス描写においても、恋し合う男女の初々しさや想いが遂げられる多幸感がしっかりと添加されており、抜きにだけ特化した作品群ではありません。
読んでいるこっちが恥ずかしくなるぐらいに極甘なラブラブ台詞で終わらせるハッピーエンドも含め、甘い読書感のシナリオがラブラブエッチの魅力を十分に高めていました。

【少女漫画絵柄で描かれる思春期入りたて美少女達】
登場するヒロインは小○校高学年~中○生クラスの思春期ガールズのみであり、二次性徴期の真っただ中にある体型描写はロー~ミドルティーン美少女を愛する諸兄には打ってつけの物件。
逆に言えば、ぺたんこロリータ娘は「瑞穂とお兄ちゃん」のランドセル少女・瑞穂ちゃんぐらいで、あとは甘食クラス~ソフトボール大のおっぱいの持ち主が多いので1桁クラスのローボールヒッターな諸兄にはちょっと厳しいところでしょう。
負けず嫌いなボクっ娘やツンデレさん、生意気盛りだけど根はとっても素直なロリっ娘、お兄ちゃん大好きな妹などなど、類型的なキャラクター造形を各ヒロインに施していますが、甘く優しいラブ空間が凡庸さを上手く中和しているのは好印象。
前単行本では比較的キャッチーなアニメ/エロゲー絵柄を指向していた感があったのですが、表紙絵で強く主張している様に、少女漫画系の絵柄に大きく回帰しており、繊細かつ装飾性の高い絵柄となっています。
809c03a4.jpgトーンワークやコマの演出なども、古典的な少女漫画における表現手法を意図的に踏襲しており(←参照 連作後編「ミヨとジン2」より)、恋にときめく少女達をきらびやかに描き出しています。
漫画的な崩しも多用する快活な表情変化も魅力の一つであり、明るいギャグ描写でも繊細な恋愛描写でも共に光っています。

【恋愛の熱と幸福が練り込まれる長尺のエロシーン】
上述の通り、作品の構成においてエロシーンには十分な分量が割かれており、実用性の高いロリエロ漫画となっています。
エロに用いるページ数の余裕もあってか、ほぼ多回戦仕様であり、小さなお口での一生懸命なフェラにたっぷり顔射でお応えしてから、あとはとにかくピストン運動を長尺で描いて中出しフィニッシュへと持ち込んでいくエロ展開となっています。
MoreerGirls4.jpg比較的直球勝負なエロシチュと言え、特殊な要素を濡れ場において期待するのは避けるべきですが、まだ幼さが残る肢体を快楽に染め上げ、ラブ成分が詰まったエロ台詞を歌い続けるヒロイン達の姿は大層エロティック(←参照 短編「つばさと先生」より)。
愚直なまでのピストン運動メインである一方、このエロ台詞や行為の激しさなどの表現を終盤に近づくほどよりアグレッシブにしていく流れの形成の上手さがあるため、決して一本調子に感じさせないパワフルさがしっかりとあります。
ごく自然に挿入されるキスシーンや力強い抱擁、手の握り合いなどによって、恋愛感情の発露としてのセックスも適度に強調されているのも好印象。
依然シンプルな女性器描写ですが、前単行本に比べれば大分扇情的になってきましたし、また絵柄にはこの程度てマッチしている印象です。
なお、女装少年とお姉さんの倒錯エッチを描く短編「昭乃と充」はこの手の作品としての雰囲気がしっかりと出ているため、ご嗜好によって評価が割れそうなので苦手な方は留意されたし。個人的には勿論好物ですが。

可愛らしい少女達が恋とエッチに身も心もときめかせ、優しく蕩けていく様子を楽しみたい貴兄にはお勧めな1作と言えるでしょう。
個人的にはロリロリな姪っ子とのラブい日々が大層微笑ましく、かつがっつり使えた連作「瑞穂とお兄ちゃん」が一番のお気に入りでございます。
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