
マコちゃんの好敵手・沙貴ちゃんも実に可愛らしいですが、真面目な突っ込み役の多美ちゃんが一番お気に入りですかね。第8話「多美ちゃんの内緒の巻」は本当にいい話ですよねぇ。
さて本日は、西安先生の『LOVEDOLL』(ワニマガジン社)のへたレビューです。前単行本『エプロンプレイ』(同社刊)のへたレビューもよろしければご参照下さい。
性に奔放な美少女達とのセックスをちょっぴりダークさを込めた作劇で魅せる作品集です。
収録作は全て読み切りの掌編・短編で15作。主に快楽天・失楽天の表紙絵をフルカラーで収録した「NISHI IORI COVER GIRLS」(6P)も含まれます。
フルカラー掌編3作は4~6P、白黒絵の短編は16~18Pと個々の作品のボリューム感は乏しいですが、エロ展開とシナリオを絡み合わせるコンパクトな作劇は良好でスムーズに読ませます。
【微ダーク系と能天気なラブストーリーが混在】
前単行本が人妻モノ長編がメインであったのに対し、今単行本は3分の1程年上お姉さま・人妻モノを含みつつ美少女モノの短編がメイン。
ただし、少女モノとは言え、適度に体も成長し、セックスの味も覚えたミドルティーンクラスの少女達が登場するので『玩具姫』(コアマガジン)などのガチロリ路線を期待するのはNG。

コンパクトな作劇でありながら、背徳的のエロスの魅力を下支えする登場人物の関係性を重視するスタイルも不変。
イトコの姉とのちょっと変わった恋模様な短編「毎日元気君」や二人の少年と少女の3人が幼馴染の関係性を保留しつつエッチに励む短編「おにいちゃん2といっしょ」など、能天気なハッピー路線の作品もありますが、脅迫凌辱や性的調教なども含めたダーク要素を含む作品も多いので、コンビニ誌王道の明るく楽しいチアフルなラブコメディのみを期待すると少々苦い気持ちになると思われます。

なお、「おてつだいマッシーン1号」のような不器用な恋愛表現が実に微笑ましい作品もあれば、後味の悪い退廃の宴が繰り広げられる短編「アイドル伝説」があったりと作劇の方向性が結構バラついているのはマイナス要因と映る方もおられるかもしれません。
【バラエティのある体型設定のヒロイン陣】
上述の通り、ミドルティーン少女か20代半ば程度のお姉さんで構成されるヒロイン陣は、美しさと力強さを兼ね備えるアナログ作画の粋を極めた高質な絵柄で官能的に描き出されています。
後書きでも言及されている通り、同じ10代半ばの年齢層でも体型的なバリエーションが施されており、まだ子供っぽさを残す体型の娘もいれば、より成人女性に近いスレンダーな肢体をお持ちの娘もいたりします。
ただし、ティーン少女に関しても全キャラが並~巨クラスのおっぱいを装備しているため、フルフラットなロリータさんをお求めな方には向いていないことはご承知されたし。

いい大人の美人教師にネコミミ衣装という、いい感じに馬鹿っぽいコスチュームを組み合わせた短編「先生の午後」もお気に入り。
【密度の高い作劇で魅せる快楽陶酔空間】
ページ数こそ多くないものの、シナリオ展開の処理の巧さもあって分量的には標準レベルを確保。
一見雑然としているようできっちり演出を計算されたエロシーンの画面構成の巧みさは素晴らしく、安易な性器ドアップの連発に走らずに快楽に跳ねる女体を躍動的に描き出す手腕は実に頼もしいです。

筆ペンで力強く描かれる擬音に微塵も負けないパワフルなエロ作画には生々しいエロスも宿っており、凡百なネオ劇画作品が束になっても叶わない程の濃厚さが実用性の構築に大きく貢献。
とは言え、その濃厚さが一種のアクの強さを生んでいるのも確かであり、ふんわりとした萌えエロ系が好きな方などにはあまり向いていない印象があります。
キャラによっては陰毛アリの女性器描写は、黒線複数本の修正がやや煩いですが、そもそも性器描写による直接的な煩悩刺激に重きを置かない対応なのであまり気になりません。
また、ちょこちょこ外出しフィニッシュもありますので中出し原理主義な貴兄は要注意。
余談に近いことを話せば、作品も当然楽しみにしているのですが、個人的には職人気質な先生の謙虚さと情熱が伝わるあとがき漫画が大好きで、常に創意工夫を心がけていることがよく分かります。
個人的には後半の美女さんとの快楽陶酔モノがより好みですが、帯や表紙でアピールされているの少女エロも十二分に高質なのでお好きな方は是非チェックされたし。