2009年03月

さめだ小判『桃園学園男子寮にようこそ!』

WelcomeToMomozonoDormitory.jpg情報量の多い雑誌なので読む時間が全然足りていませんが、『MC☆あくしず』Vol.12を楽しみつつちょこちょこ読む進めています。
毎度のこととはいえ、巡洋艦最上と三隅の衝突事故が西川魯介先生の手によって大変エロイえらいことになっていてコーヒー噴きました(笑。

さて本日は、さめだ小判先生の『桃園学園男子寮にようこそっ!』(ワニマガジン社)のへたレビューです。タイトルから一瞬今は亡き桃園書房を思い出したのは僕だけでしょうかね。
スタイリッシュな絵柄を武器とする熱っぽいセックスシーンと若い男女の温かい恋愛ドラマが楽しめる作品ですよ。

WelcomeToMomozonoDormitory1.jpg収録作は、主人公の青年が通う専門学校の男子寮が女子寮と合併して新たに赴任した美人管理人さんと恋人になって起きる長編ラブストーリー「桃園学園男子寮にようこそっ!」全11話(←参照 ラブラブ全開な序盤 第4話「同じクラスの柊です」より)+おまけ4コマ1Pとおまけイラスト1P。
1話当りのページ数は16~20P(平均18P弱)と平均を下回るボリューム。ただ、長編としての構成がしっかりとしており、エロの分量を確保しつつテンポ良く話を進めているため読書感は大変良好です。

【展開に緊張感のある長編恋愛ドラマ】
帯の煽り文には学園エロコメとありますが、コメディパートは話のよいアクセントになりながら量的には目立たず、むしろシリアス系のラブストーリーとしての印象が強くあります
序盤で割合あっさりイチャイチャラブラブになった主人公と管理人さんの恋路に、中盤以降、主人公に思いを寄せるクラスメイトのメガネ委員長と管理人さんの昔の男が登場して波乱を引き起こします。
WelcomeToMomozonoDormitory2.jpg委員長の主人公への想いを利用して修羅場を作りだしたり(←参照 浮気現場 第8話「サイテーな男」より)、かつては管理人さんに変態チックなプレイで性感開発をしていたりと、“悪役”である元カレな御曹司の暗躍はなかなか陰湿であり、適度に緊迫したシナリオ展開には読み応えがあります。
この“昔の男”の存在を序盤でほのめかしたり、一旦引いたと見せかけてもう一波乱を起こす中盤展開など、長編のプロットとしてよく練られているのも高評価の要因で、骨子としてはベタながら決して凡庸に映らない人間ドラマになっています。
表現としては主人公以外の男性と肉体関係を持つ“寝取られ”的な要素があるのは確かですが、そういった過去やそれが引き起こす恋路への障害に対し嫉妬し、戸惑い、葛藤する登場人物の人間的な姿こそが魅力であり、だからこそ過去の縛鎖を力強く振り切って迎えるハッピーエンドに嫌味のない幸福感が宿っています。
また寝取られ系の背徳感や三角関係のドロドロ感はかなり希薄であり、決して根っからの悪人ではない御曹司の描かれ方や主人公と管理人さんの関係を見守る姉御肌のサブヒロイン・チカちゃんの存在が陰湿感の少ないカラリとした雰囲気を作っているのも心地好いです。
初の長編への挑戦としてはストーリーに関して十分成功していると言って良いでしょう。

【快楽天系らしいスタイリッシュな絵柄が魅力】
序盤にちょっとだけそばかす娘のチカちゃんのエッチシーンもありますが、エロに絡むのは正ヒロインの管理人さんと主人公に横恋慕な委員長さん。
WelcomeToMomozonoDormitory3.jpg共に真面目な性格というのは共通していますが、黒髪ロング・太眉・やわらか巨乳・おっとり気味な管理人さんと茶髪ショート・貧乳・ツンツンした性格の委員長さんは好対照なキャラ造形(←参照 後者 第5話「今だけは私と」より)。
生き生きとした表情にこそ萌えっぽさは多少感じ取れるものの、宣伝で謳うような萌えエロ系絵柄とはかなり異なるスタイリッシュな漫画絵柄であり、肉体や情感の生々しさ、暗さや重さも兼ね備えるタイプ。
同じ快楽天系なら八十八良先生やめいびい先生、ムサシマル先生などと同じ方向性を持つ絵柄ですな。
前単行本『BEASTIE GIRLS』(ワニマガジン社)の時点で充分高質な絵柄でしたので、あまり気になりませんが、連載期間(特に序盤)に結構幅があるため話数が進むにつれて絵柄がますます端正さと官能性を増していく感があります。

【上品なエロスに包まれるラブラブエッチ】
各話で多少エロのボリューム感に幅はあるものの、ソツのない話運びによって実用的読書に耐えうる分量を毎話しっかりと確保しています。
ただし、そのあまり多くないページ数において多回戦を行ったり愛する故に丁寧な前戯に分量をある程度さいたりするため、特にピストン運動において少々駆け足気味であり、どうにも早漏なケースが多いのはマイナス要因。
その原因を考えてしまうと少々モヤモヤ感が生じそうですが、普段は真面目な管理人さんがいざエッチという時にはスイッチが入って積極的&トロトロになるまで性感を甘受する様子はエロの盛り上がりに一役買っています。
WelcomeToMomozonoDormitory4.jpg話としてやや暗くなる時もあり必ずしもイチャイチャ純愛エッチだけではありませんが、恋心によって体を交えることが基本であり、互いに生まれたままの姿を晒して熱く火照る肌を合わせるセックス描写は作風にマッチ(←参照 第7話「いわゆる御曹司」より)。
口から吐き出される熱い吐息や艶ややかな黒髪、小さく散りばめられた書き文字の嬌声など上品なエロ演出が素晴らしい魅力ですが、逆に言えばアへ顔とかマシンガンなエロ台詞といった派手な視覚的演出には乏しいことには注意が必要。
結合部魅せ付けの構図が多い割にあまり表現としての水準が高くなく、黒線がバシバシ入るキツメの修正もあって性器描写におる直接的な煩悩刺激力は弱め。中途半端な使用が残念な透過図や断面図にも魅力は薄く感じます。
中~大ゴマ主体で白濁液の量も現実的な中出しフィニッシュは、十分エロティックでよい抜き所ですが、もうちょっとエロの爆発力が欲しいのも確か。がっつり使える作品となるには何かもう一つエロの起爆剤が必要というのが素直な感想です。

緻密で端正な絵柄といい、ちょっと凝ったシナリオ展開といい、実に現在の快楽天系らしい作品です。
今後も是非長編作に積極的に挑戦して頂きたいなぁと思いました。強力な抜きツールをお求めですとちょっと苦しい面もありますが、恋愛ストーリーを軸に据えたエロ漫画作品が好きな方にはばっちりお勧めできる1作ですよ。

あべもりおか『めがもりみるき~ぱい』

MegaSizeMilkyBoobs.jpg伊藤悠先生の『シュトヘル』1巻(小学館)を読みました。人の思いや存在、それらが紡ぐ歴史を伝える“文字”というものの大切さ、美しさを1つのテーマとしているのにはシビレましたなぁ。
というか文字があってこその“史”ではあるのですが。それはともかく、ユルール君ラブ、色々な意味で(マテ

さて本日は、あべもりおか先生の『めがもりみるき~ぱい』(ヒット出版社)の遅延へたレビューです。表紙絵ですが、トリプルパイズリが嫌いな男子なんていません!
それはともかく、特盛りおっぱいなお姉さん達と繰り広げる多人数プレイ中心のエロシーンを楽しめる1作です。

収録作はすべて短編で7作。収録本数は多いとは言えないながら、1作当りのページ数は24~36P(平均29P弱)とかなり多めで個々にしっかりとした読み応えがあります。
このページ数の多さが余裕のある話運びと充実感のあるエロシーンとを可能にしており、実にコミック阿吽掲載作らしい、シナリオとエロのバランスの取れたエロ漫画作品になっています。

【コミカル系とダーク系が混在するシナリオ】
シナリオの方向性に関しては作品間で結構バラつきがあり、表紙絵から想起されるようなエロコメやラブラブ系が半数以上を占めますが、ダーク色の強い陵辱系や快楽調教系もあるので要注意。
MegaSizeMilkyBoobs1.jpgヒロインが好意を寄せる男性に裏切られ、その目前で悪漢どもに陵辱される短編「Wake Up Call」(←参照)や、冒頭ではラブコメと見せかけて実は寝取られマゾな青年がヒロインを乱交へと連れ込み、他の男性に犯させる短編「ご主人様は雌奴隷」など、なかなか攻撃的な陵辱・調教エロの路線は個人的には好印象です。
苦痛描写は乏しく、圧倒的な快楽によってヒロインの理性を崩壊させていくタイプであることに加え、快楽奴隷エンドか逆転のハッピーエンドなので後味の悪さはそこまで強くはないと思います。
エロコメ系統に関しては、狐憑き(短編「とりつき・ゴメン」)やライダースーツ撮影会(短編「せめ☆どり」)など特殊なシチュエーションに登場人物達を放り込み、ドタバタ劇を展開しながらエロへと雪崩式に進行していくタイプ。
これらコミカル系にしても上述のダーク系にしてもシナリオとしての密度や展開の巧みさというものはあまりありませんが、エロ展開と歯車を合わせて状況を変化させていく流れはスムーズで、かつ“次に何が起こるのか?”という楽しみを生んでいます。
358bf09b.jpg才能と富を授ける弁財天の嫉妬深い性格、元々インドの女神であることを示すエスニックな衣装とが魅力であった短編「縁は異なもの?」(←参照 弁才天ではなく弁財天)と小ズルイ狐とお間抜けな狸が女の子達に取り付いて(エロ的な意味で)大騒動な短編「とりつき・ゴメン」とが個人的には特にお気に入りで、ファンタジー要素がシナリオ展開と意外に調和して楽しかったです。

【もっちり巨乳を備える明るい性格のお姉さん達】
登場するヒロイン陣はハイティーン~成人女性クラスの年齢層。上は20代半ば程度くらいまでで熟女系の女性は登場せず、いわゆるお姉さんタイプのキャラが多い印象があります。
一部サブヒロインに貧~並乳さんも存在しますが、表紙でアピールしている通りに立派なサイズのおっぱいをお持ちのヒロインさんが中心。
2冊目というキャリアにしては若干古めのアニメ/漫画絵柄ではありますが、非常に親しみ易く絵柄もなぜか1作混ぜられた4年前の最古作を除いて安定。エロシーンの陶酔の表情も含めて多彩な表情による感情表現はシナリオ・エロ双方の魅力を高めています。
MegaSizeMilkyBoobs3.jpg可愛らしく描かれる表情と全身むちむちとした淫猥ボディとの組み合わせはエロ的にはかなり強力です(←参照 お尻の量感も○ 短編「しぇいく・ひっぷ」より)。
因みに、表紙絵の左上の女性の様に、結構ニッチな属性である太眉ヒロインがちょこちょこおりますので、好きな方は是非チェックしてみて下さい。
なお、ギャグ系・ダーク系どちらのシナリオにしても、またエロ作画においても、割合濃い目に描かれる男性キャラの存在感が強いのが大きな特徴。個人的には大歓迎ですが、女の子の挙動と痴態に集中したいという方にはマイナス要素たり得るので多少留意されたし。

【強いボリューム感のあるサービス満載なエロシーン】
十分なページ数を有しているだけあってエロシーンのボリューム感はかなり強く、かつ余裕を持って多回戦をこなしています。
男性複数×女性複数、または男性一人×女性多数の多人数モノ・乱交系がメインのエロシーンであり、同時に絡み合うそれぞれの男女の痴態をたっぷり描き出していくエロシーンの構成は大きなアドバンテージ。
フェラ・パイズリなどの前戯、前穴でのピストン運動、アナル関連などエロの基本的な主要素と放尿、脇舐め、スパンキングといった味付け的な変態要素とをどの作品においても幅広く抑え、かつそれぞれに十分な分量を割り振っているために、“抜き所”が多いのは嬉しいです。時々投入してくる見開きページの有無を言わせぬ迫力も◎。
男性の時にアグレッシブな時にねちっこい責めによって燃えるような性感の渦に飲み込まれ、笑顔で堕ちていくヒロインの痴態は実にエロティック。
MegaSizeMilkyBoobs4.jpg熱狂を示す書き文字や豊満なおっぱいの乳揺れ描写など激しい肉弾戦の脇を固めるエロ演出も上々で(←参照 短編「とりつき・ゴメン」より)、むっちりと柔らかそうな肢体全体と、丁寧に描かれた各種ボディーパーツのアップとを織り交ぜるバランスの良い作画にも信頼感があります。
というわけで非常に強力な抜きツールであるのですが、少々読み手を選ぶ要素もあります。
男女ともにもモジョモジャor剃り跡の残る陰毛描写、色々と濃い男性キャラ、ぶっかけ多めでフィニッシュにおいて膣内射精を重視しない構成などは好き嫌いが結構分かれる可能性が高いでしょう。

個人的には弁財天様とがっつりファックな短編「縁は異なもの?」、ダブルフェラも投入するライダースーツの美女3名(表紙絵の3名)と大乱交な短編「せめ☆どり」、ケモ耳美少女2名と川原で大乱交な短編「とりつき・ゴメン」に股間の愚息が大層お世話になりました。
少々マニアックな要素が絡みますが、読んでいて楽しい漫画パートと強力なエロシーンが楽しめる良作なのは間違いないでしょう。特に多人数エロがお好みな貴方にお勧めです!

シロガネヒナ『もえひな』

MoeHina.jpg休みということでやっとこさ『かんなぎ』DVD5巻を観ました。むぅ、我らがナギさまの登場シーンが少なめなのはちょっと残念ですな。
しかしながら、貴子先輩大活躍なカラオケ回のテンションの上がりようと言ったらね!“反動”と称されたあの振り付けとアニメ声は反則ですわな。

さて本日は、シロガネヒナ先生の『もえひな』(マックス)のへたレビューです。一目でポプリコミックスと分かる萌え萌えな表紙絵ですなぁ。
キュートな萌え系美少女達と繰り広げるエッチなラブコメを楽しめる作品集ですよ。

MoeHina1.jpg収録作は、オタ趣味が高じてショタホモ方面に目覚め始めた幼馴染を更生させるため、ボーイッシュな女の子がその身を犠牲にして(笑)頑張る中編「でぃーきゅーえぬ」全3話、および短編9作。
1話・作当りのページ数は6~24P(平均16P弱)と幅があり、コミックレヴォリューションやプロメロを初出とする各作品のページ数の少なさ(6~10P)が平均値を引き下げています。
ページ数の多寡に依らず、漫画としての読み応えは非常に希薄であり、エロも含めて全体的にライト感覚が強い単行本と言えるでしょう。

【ヒロインの可愛らしさ最優先なラブコメ】
作風的には萌えエロ系の一大拠点・ポプリクラブの王道スタイルと言え、美少女の可愛らしさを前面に押し出す萌えエロ系ラブコメ。
MoeHina2.jpg某アイマス的なゲームをプレイしていたら画面から飛び出して来たアイドルキャラに恋とエッチを教えてあげたり(←参照 何という棚ボタ展開! 短編「バーチャル★スタァ」より)、何かとツイていない男性が偶然出会ったシスターに慰めてもらったり(短編「しす★こん」)など、この手の作品ではよくある脳味噌お花畑なお気楽シナリオをチアフルに展開しています。
ちょいS気味の男性に振り回される美少女ヒロインのキュートな挙動でお話を動かすタイプではありますが、シナリオ的な面白みという点で評価し難いのは事実。
ヒロイン側の恋心の表現は少なめながら一生懸命さが伝わって意外に悪くなかったりするのですが、男性との感情の絡み合いに乏しくラブラブな雰囲気があまり出ていないのはちょっと残念。
エロの官能性よりもキャラの可愛らしさを強調するエロシーン(後述)と併せ、エッチな萌え系一般漫画の延長線上にある萌えエロ漫画という位置付けがおそらく適当でしょう。

【萌えエロ系王道のコスチューム美少女達】
時代の流行の最先端を走る二次元萌え絵柄によって描きだされるヒロインは、天然気味なシスターさんだったり、エッチなメイドさんだったり、健気な幼馴染だったりと萌えエロ系ではベタながら十分にキャッチーなキャラクターを各種お取り揃え。
修道服やメイド服、和風メイド服、某種ガンダムっぽいアニメコスプレ、セーラー服など記号的なコスチュームのバリエーションも華なキャラデザは魅力の一つ。
一部成人ヒロインも存在しますが、概ねミドル~ハイティーン級の美少女さんが中心であり、膨らみけな貧乳さんかふかふかと柔らかい巨乳さんかというニ正面作戦を実施しています。
キャラクターの構築を行うにはページ数とキャラ心理への踏み込みが不足していますが、男性の欲望を優しく受け止めるヒロイン像はぬるま湯的な心地よさを作り出しています。逆に言えば、ご都合主義満載で人間味のないキャラ造形ではありますが萌えエロ系でそれを批判するのは野暮というものでしょう。
MoeHina3.jpgなお、ショタ趣味が話的にも一定の役割を果たす中編「でぃーきゅーえぬ」や短編「きゅーてぃー×2ハニィ」ではショタ少年達も実に可愛らしく描かれており(←参照 男の子ですジュルリ 中編「でぃーきゅーえぬ」第3話より)、これまたコスチュームでラブリーさを増しているのは個人的にはプラス要因。
一応男×男はギリギリ回避されていますし、分量的にも多くはないのでショタが苦手な方もそれ程気にしなくても大丈夫です。

【エロというよりはエッチなセックスシーン】
導入部のシナリオをさっくり終わらせているためエロシーンの分量は少なくはなく、実用的読書に没入できるボリュームは確保されていると思います。
MoeHina4.jpgキュートなお顔を紅潮させながらハートマーク付きのエッチな声を紡ぐヒロインの痴態は萌えエロ系の勘所をしっかりと押さえており、それらを描く作画も安定感があります(←参照 短編「きゅーてぃー×2ハニィ」より)。
口ではいやといいつつも柔らかい肢体で男性を進んで受け入れるアンビバレンツな演技や逆に積極的にエッチなご奉仕をしてくれる流れの、これまたゆる~い安楽感が支配するピンク空間の創出に大きく貢献。
とは言え、シナリオ同様に、あくまでヒロインの可愛らしさや健気さを演出することこそを目的とするセックスシーンであり、ハードコアエロの迫力や攻撃性、読み手を酔わせるような官能性に乏しく、必ずしもガツガツ使える抜き物件とは言えないことには要注意。
大ゴマでの表現に依存した、やや画としての密度に乏しいコマ展開でもヒロインの表情とエッチな肢体を見せることに終始しており、特に男性の存在感は希薄です。また画面に映る映らない以上に、どうにもエロ欲求に乏しい草食男子揃いであり、キュートな女子と激しくピストン運動したいという願望の担い手としては役者不足な感は否めません。
絵柄や作風にはよくマッチしていますしエロ作画上あまり重要視されていませんが、かなり簡素な性器描写も少々マイナス要因。
萌えエロ系の方法論としては全く間違っていませんが、同じポプリクラブ作家陣においてもキュートな萌え要素とエロの実用性を両立させている方はしっかりおられるわけで個人的には評価を落とさざるを得ません。

TIのバスターコミックスやコアマガのメガストアなどのガチな抜き物件を楽しむ諸兄や、阿吽やオークスといった漫画としての面白さも大切にするエロ漫画愛好家の諸氏にはとってはちょっと進め難い感はあります。
ただ、エッチな萌え漫画が好きでこれからエロ漫画を色々読んでいきたいという方には非常にマッチした作品であるのは確かであり、エロ漫画初心者の入門用としては安心して進められる1作と言えるでしょう。

海野螢『アンバランスな制服たち』

UnbalancedGirlsInUniforms.jpg桜を初めとして花が咲き誇る季節になってきましたなぁ。キリシマツツジ、雪柳、日向ミズキ、木蓮と全部大好き。
日曜日はお弁当でも作って友人と花見に洒落込みたいものです。しかし、3月内に桜が満開とはやっぱり温暖化なんでしょうかなぁ。入学式に散ってたら寂しいでしょうに。

さて本日は、海野螢先生の『アンバランスな制服たち』(松文館)のへたレビューです。海野先生の前単行本のへたレビューもよければご参照下さい。
エロティックな白昼夢とありふれた現実を彷徨う短髪少女達を陰陽混ざり合う情念を以て描きだす作品集です。

収録作は全て短編で11作。1作当りのページ数は全て16Pでボリューム感には欠けています。
しかし、個々の作品が短くまとめられていることによってミステリアスな空気の味わいが凝縮されている感があり、読後の満足感はむしろ高まっている感があります。
また、読者の心を幻惑するシナリオ展開が生む独特の不安定感、そこからパッと突き放されるラストが生む味わい深い余韻を楽しめる短編群と言ってよいでしょう。

【正気と妄想が絡み合うミステリアスな世界観】
『“アンバランスな”制服たち』というタイトル、および海野先生の後書きが示すように、今回の単行本は「思春期の少女の不安定感」というテーマが共通しています。
少女2人少年1人の幼馴染という関係が思春期の淡い恋愛によって大きく変化しながらも決して崩壊はしない短編「桜の花咲く頃」、および季節外れの雪が舞う寒村で理想を追う少年と現実を見る少女の別離を描く短編「風花ごよみ」は共に日常の中で揺れ動く少女の心情を描く作品ですが、その他の多くの作品は幻想的な雰囲気の中で少女を描き出します
UnbalancedGirlsInUniforms1.jpgそれらの作品において夢と現の境界は曖昧であり、無人のはずの電車内で数多の痴漢に襲われ快楽に悶える少女(←参照 背景に注目 短編「渚の分岐線」より)、リアルな感触を伴う“夢”の中で交わるクラスメイトと交際を始めることになる少女(短編「千夏の夜の夢」)、はたまた延々と虚像が続く合わせ鏡の空間で交り合う双子の少年少女(短編「鏡の国の亜理沙」)など、怪しげな幻想空間においてセックスを描くことが大きな特徴。
得意とするSF的要素を介入させず、そのミステリアスな幻想・妄想に説明を加えないことによって、少女達が内包し、現実と複雑に絡み合う不安定性に一種の生々しさを与えています。
UnbalancedGirlsInUniforms2.jpg静謐なモノクロームの中に例えようもなく多彩な感情とウェットなエロティシズムを兼ね備える官能幻想は、それでいて極めて刹那的であり、現実を生きる上でそこに耽溺することのできない少女の姿は時にカラリと明るく、時に儚く哀しげに描かれます(←参照 後者 短編「奈々と迷路と秘密基地」より)。
女性向けのティーンズラブ系雑誌を初出とする作品が半数を占め、少女の視点と時にポエティックでさえあるモノローグの多用とで夢と現の境を行き来する心象を描く手法は男性向けエロとはやや文法を異にしています。
ただ、その女性視点の描き方が、夢想と現実がせめぎ合いながらその一過性の不安定感に決して自己を揺るがせはしない“少女の瑞々しい生命力”をスポイルせず、輝く美点として表現できているように感じ取れ、大きなアドバンテージになっているように思います。

【ザ・定番 短髪美少女ヒロイン陣】
UnbalancedGirlsInUniforms3.jpgタイトルの通りにヒロイン陣は制服少女で統一。海野螢先生のファン的には当たり前でしょうが、全員貧乳でショートカットというキャラデザになっています(←参照 黒髪ショート娘万歳! 短編「風花ごよみ」より)。
凹凸の少ない、悪く言えば貧相な肢体はロー~ミドルティーンの少女として割合現実的であり、何処か中性的でもあるその未成熟な体は読み手の背徳的な欲望に火を付けてくれます。
キャラクターの心理や体の動きとリンクするコマ展開の技巧の面白さも相変わらずであり、トーンワークや効果線による多彩な演出を施すコマごとの魅力と併せて幻想的な作品空間の演出に大きく貢献。
短編「風花ごよみ」では、切ない過去の情事を描くシーンではコマの外を黒く塗りつぶし、現在に時間軸を戻すとまるで作中の雪が降り積もったかのようにコマの外を白くする手法など、情感の演出に秀でた漫画手法と言えるでしょう。
なお、女性向けの作品が多いということもあって男性陣は爽やかな美男子揃いですので、美男子×美少女がお好きな方は要チェック。

【少女の儚い肢体を染め上げる刹那の陶酔】

あとがきにてエロが薄いと先生自ら書いておられますが、そこまで分量に乏しいわけでなく作画も安定感抜群でちゃんと実用的読書は楽しめます。
UnbalancedGirlsInUniforms4.jpg不可思議で淫靡な空気に飲み込まれて、快楽に染まり身もだえする少女の肢体は瑞々しい色香と少女エロスのタブー感覚を併せ持っており、少女属性持ちのハートをがっちりキャッチ(←参照 短編「絵美里の肖像」より)。
多彩さという点で見劣りはあるものの、涙滴を浮かべキュッと閉じられた目や歯を食いしばる口などが潤沢な性感を物語る陶酔の表情も○。
男性エロでは結構重要である性器ドアップや結合部描写はいつにも増して少なめであり、全身を以て快感を受け止める姿をこそ描くのは女性向けらしいといえばらしいでしょう。
フィニッシュもうっすらした茂みの中央に位置する可憐な秘所にドクドク中出しという構図を大ゴマ~1Pフルで描いており、射精と同時に絶頂を迎える少女達の姿は十分過ぎる程にエロティック。
一部強要的な性行為も描かれますが、恥辱を倒錯的な快楽に変化させる流れであり苦痛描写は少なく、かつ終劇もさっぱりしたタイプが多いので心を痛めるようなことはあまりないでしょう。

女性的な泥臭さを伴う独特な叙情性と官能性に満ちたシナリオラインの絶妙な味わいが幻想的なエロシーンと密接に結びつく技術は流石です。
僕のレビュー書きの技量ではこの作品群の面白みが十分に伝わらないのが残念ですが、雰囲気重視のエロ漫画がお好きな方には是非お勧めしたい逸品です。
個人的なお気に入りは、虚像の中の並行世界をほのめかす作劇のテクニカルさが光った短編「鏡の国の亜理沙」とラストページにしてやられた短編「奈々と迷路と秘密基地」。

水上蘭丸『小悪魔ファック』

FxxkingWithSweetDevils.jpg平野耕太先生の『HELLSING』最終10巻(少年画報社)を読みました。『トライガン・マキシマム』と並んで我が青春のアワーズ作品が終わった実感を再び噛みしめています。
11年間、本当に楽しませて貰った作品だなぁと思っています。あと、久しぶりに婦警のパンチラが!(台無し

さて本日は、水上蘭丸先生の『小悪魔ファック』(東京三世社)のへたレビューです。萌えエロ系、ショタホモ、そしてギャルエロ漫画とほんと何でも描ける作家様ですなぁ。
生意気盛りながらも人間味のある黒ギャルさん達の描き方が面白いギャル系エロ特化の作品集です。

FxxkingWithSweetDevils1.jpg収録作は、確かな友情で結ばれるギャル2人が不良グループにさらわれてしまって~な「恋のミューズ」前後編(←参照 例え凌辱されようとも 後編より)、およびその他短編7作。
1話・作当りのページ数は全て18Pとやや物足りない分量。単行本としてもあまり厚みはなくコストパフォーマンスがあまり良好でないのは難点。

【友情や愛情、自身の興味を大事にする黒ギャルさん達】
いわゆる黒ギャル系のエロ漫画というと、ギャルさんに気弱な男が虐められたり逆に悪漢に高慢なギャルさんを凌辱したりと、割合殺伐とした作品が多い感がありますが今単行本に関してはさにあらず。
FxxkingWithSweetDevils2.jpg亡き父の後妻が黒ギャルさんという珍妙な設定ながらそこに温かい母子の愛情が宿る短編「ママギャルゆり★」(←参照)、二人の女の子の誠実な友情が不良グループの使い走りをさせられてる少年の心を打ち、凌辱から救い出す原動力を与える「恋のミューズ」など、黒ギャルさん達を単なる珍奇な存在や横暴な存在として描かずに等身大の感情や友情、愛情を付与する姿勢は◎。
外見に捕われていた女の子が“私は私でいい”と気付く短編「女友達理央」の心温まるラストや短編「あねき鳩子」における弟君の“どんなに外見が変わっても(優しい姉としての)中身が変わったわけでない”というモノローグが示すように、黒ギャルであるという外見を必ずしも重要視しない姿勢はこの系統のエロ漫画ではなかなか新鮮。
こういったハートウィーム系にしろ、短編「コスプレイヤー鈴香」や短編「東大生真奈」といったコミカル系にしても割合親しみ易いキャラ作りが黒ギャルさん達に為されているのはアピール層を広げている印象があります。
一部の作品はガチな凌辱劇でもありますが、不良の集団に無残にレイプされながら周囲の友情や愛情によって凌辱の口惜しさや辛さを力強く撥ね退ける姿を描いており、読後感は決して悪くありません。
とは言え、雑誌自体の傾向を受けてか、特に男性の描き方などにインテリジェンスに乏しい作劇となっており、シナリオ展開の妙や話の厚みを期待するのは避けるべきでしょう。

【艶やかな褐色肌が魅力な元気なギャル達】
短編「戦場に咲く華」のみキャバ嬢の白ギャルさんが登場しますが、その他の作品はお肌をこんがり焼いた黒ギャルさん達がヒロイン。肌の焼け具合は表紙絵のように割合浅めの印象であり、真っ黒に近い黒ギャルさんをお求めな方には残念でしょうが、おそらくこの程度の方が訴求層はより広め。
FxxkingWithSweetDevils3.jpg黒ギャルさんの魅力演出の上で重要な要素である、褐色肌のツヤツヤ感や派手な衣装の描写は充実しており、属性持ちには嬉しいところ(←参照 こう見えて東大生です 短編「東大生真奈」より)。
スラリとしなやかな肢体に並~ギリ巨乳のおっぱいが備わるボディデザインですが、“黒ギャルである”ことそのものが売りであるタイプなのでエロ漫画的に派手なセックスアピールは少なめ。
おそらく黒ギャル系の作品ということで純愛果実などでの萌えエロ系を描く時と絵柄を意図的に変えている感があり、こちらの作風では可愛らしさよりもセクシーさや華やかさを演出する華美な絵柄という印象です。
なお、男性陣の描き方にも面白みがあり、ショタな男の子やイケメンギャル男などはいかにもショタ系も得意とする水上先生らしいです。いや、短編「東大生真奈」に出てくるオタク少年がなかなか萌えまして、ショタ×ギャルという意外な組み合わせにやられました。
あと、どこからどう見ても秋葉系のキモオタな男性(童貞)がギャルと仲良くしたいがためだけに自己改造して超イケメンなギャル男に大変身な短編「ギャル男つとむ」には笑わせて頂きました。というか、変身前の顔が某国民的漫画家でコーヒー噴きました。

【修正に難ありなエロシーン】
基のページ数があまり多くない中、シナリオの楽しさの演出やキャラクターの心理描写にある程度ページ数を割いている分、エロシーンは分量的にさほど多くないのはちょっとマイナス要因。
FxxkingWithSweetDevils4.jpgとは言え、豊潤な汁気の演出によって淫靡さを増すヒロインの褐色肌やプライドの高さを物語るツンとした表情が苦痛や快楽に崩されていく様子は強い魅力で実用性の強化に貢献(←参照 短編「あねき鳩子」より)。
比較的頻度の高いアナル関係や足コキ、コスプレHなど幅のあるエロシチュも魅力であり、ショタ×ギャル、オタク兄×ギャル妹、ギャル女装少年×ギャルなど変わり種の多いカップリングの面白さを合わせて読み手を飽きさせません。
今単行本最大のマイナス点は、コンビニ誌であるチョベコミ!掲載時とほとんど変わらない修正の厳しさであり、決して水準が低くないはずの秘所を覆う白ボカシには正直ゲンナリ。
性器や結合部のドアップ構図にあまり頼らず、むしろ下着をつけた状態での股間の熱気・汁気にエロスがあるタイプで影響はそこまで強くないとはいえ、黄色い楕円マーク付きとしては×。

作劇面で単調になりがちなギャルエロ漫画において斬新で面白い方向性を示した1冊といえ、エロに多少弱含みな点がありつつ実は結構気に入っています。
個人的にはヒロインの力強い友情が素敵な「恋のミューズ」とエロ的にお世話になりました短編「東大生真奈」が特にお気に入り。
記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

月別アーカイブ
  • ライブドアブログ