
さて本日は、東鉄神先生の『ふたりでできるもん』(ワニマガジン社)のへたレビューです。黄色い楕円付きのエロ漫画で読めて幸せです。
パンチ力のある台詞や状況設定に彩られたコミカルな雰囲気を楽しみつつ、巧みな表現力に支えられたエロシーンの実用性にも満足できる作品集です。

1作当りのページ数は16~24P(平均19P強)と、初出が快楽天であることを考えれば標準的な量。漫画としての読み応えは軽いですが、エロの質・量共に水準をしっかり上回っています。
全体的にシナリオはコミカル色が強く、好き合う男女を登場させる「ふたりでできるもん」シリーズや短編「個室の花園」においても恋愛感情の描出にあまり力点は置かれていません。
特に短編作では快楽至上主義の色合いが強めであり、凌辱的な要素は感じないものの、心のつながりが介在しない性行為が描かれる短編「ボクの家庭教師」や「またお越し下さいませェ」などもありますので、「軽くても良いから恋心の描写がないと駄目」という貴兄は注意を要します。

少しダークな「ボクの家庭教師」を除けば、物語のラストはおとぼけコメディなハッピーエンドですので読了感もよいと言えるでしょう。
個人的には、開始1P目を使ってポンポンと天丼ギャグを繰り広げた「ふたりでできるもん」1~3話が大好きです。
キャラクター造形に関してはそれ程オリジナリティーのあるものでは決してないのですが、そういったキャラクターを風変りな状況下に置くことで生じるユニークさがとても面白い印象があります。

絵柄的には萌えっぽさや色気を適度に織り交ぜた親しみやすい二次元絵柄。ヒロインのキャラクターによって、可愛らしさを強く出したり女の色気を強く出したりと、多少タッチを変化させているように感じます。
背景等、細かい所までしっかり描き込んでおり、エロシーンとはあまり関係しないものの個人的には好印象。
コミカルパートは売りの一つながら決して分量は多くなく、その分エロシーンのボリュームはしっかり確保してあります。
淫乱な年上女性に責められちゃうシチュエーションが少しありますが、基本はそこそこねちっこく描かれるフェラやクンニリングス→ぬれぬれなあそこに突っ込んでズンパンズンパンというコンビニ誌らしいオーソドックスなエロ展開です。
シリーズ第2話「もっとふたりでできるもん」で女性器の形状をネタにしただけあって、リアル寄りに丁寧に描かれながら過剰な生々しさやエグさのないオミャンコの描き方のバランス感覚はお見事。
さらに、修正の厳しい成人指定なしの雑誌で活躍しているだけあって、舌や唇、乳首といった修正を要しないエロ局所の描写の水準の高さでエロスをしっかり確保できているのは東先生の大きな強みです。
ヒロインによってボディデザインに幅は多少あるものの、ボリューム感のあるおっぱいやお尻を印象的に魅せる構図やポージングの巧さがあり、セックスシーンでの体の動き(特に下半身と髪を含めた頭の動き)を時にダイナミックに時にリズミカルに魅せてきます。

プレイ内容そのものは平凡ですが、それの見せ方が大変上手いからこその実用性の高さがあると感じました。
外出しが2割程度混入していること、処女さんの場合にはアッサリ気味ながら破瓜描写があることについては、人によっては気になるかもしれません。
ラブラブな雰囲気が味わいたいという貴兄には必ずしもお勧めは出来ないのですが、美人さんと存分にエッチを楽しみたいという貴兄にはベストマッチな単行本です。
現在連載中の「栗本さん」シリーズが収録されるであろう(黄色い楕円付きの)次巻以降が今から楽しみです。