Lovable.jpgご存じの方も多いかもしれませんが、僕は骨の髄までメタル野郎なので同好の士を見つけると物凄く嬉しくなります。
それが大好きなエロ漫画家さん達なら余計に嬉しいというものですよ!

というわけで、本日は鬼束直先生の『Lovable』(茜新社)のへたレビューです。前単行本でもそうでしたが、カバー裏に書かれた最近聴かれているバンド名(メタルコア系多し)を読むたびにニコニコしてしまいます。
それはともかく、ローティーンの少女達の飾らない感情を温かく描き出す手腕に更なる磨きがかかった作品集ですよ。お勧め!

収録作は全て短編で9作。単行本の1P目が前単行本とほぼ同じで吃驚しましたが、それもそのはず冒頭の短編「だから愛だけじゃ生きていけないと何度言ったら・・・」は前単行本『ワンホットミニット』(茜新社)のやはり冒頭作「愛だけじゃ生きていけないの」の続きです。相変わらず傍若無人な知花ちゃんの活躍をご覧あれ(笑)。
1作当りのページ数は10~24P(平均20P強)と作品間でやや幅はありますが適度なボリューム。心に染みいる素朴な心情の描写のよさがずば抜けており、読み心地は非常に良好です。

【素朴な味わいの恋愛模様】
Lovable1.jpgイケメン男性二人を従えた魔法少女さんがクトゥルー的な何かの化け物と戦い、お約束として触手凌辱されてしまうコミカル短編「魔法少女マユリちゃん ちょお廉価版」(←参照 LOでは珍しいシチュエーションですね)は、なるほど安いエロゲーのようなお手軽コメディ&カオティックな作風で、良くも悪くも収録作中で異彩を放っていましたが(笑)、その他の作品はローティーン少女達を主役とする日常劇。
前単行本同様、少女と青年の純愛エッチか少年少女の幼いながらも素敵な恋愛模様かが描かれており、ちょっぴりコミカルな味付けをしつつも互いの優しい気持ちを嫌みなく紡いでいく心情描写にこそ重きが置かれる、落ち着いた恋とエッチの物語という印象です。
特殊な設定や派手なドラマ展開を絡めることは無く、いい意味で率直な恋心とお年頃故の性への興味が駆動するシナリオおよびエロシーンは大変気持ち良く読み進めることができます。
痛みや重みをほとんど伴わない穏やかな雰囲気が作品を包んでいますが、男性教師と女の子との睦み合いを描く短編「あ~ちょっと待ってみようか」のように、ごく自然に味わい深いシリアス要素を絡められる作劇力は高評価。
個人的には、自身の外面への気遣いと冴えない男の子への純粋な恋心との齟齬に葛藤する少女という、ロリエロ漫画でしか描き得ない題材をテンポの良い展開でハートウォームに描き切った短編「WINGS FOR YOUR HEART」が最愛です。

【心地よい心情描写】
本作最大の魅力と僕が考えるのは、思春期に入り始めた少女と少年のピュアな感情と性的興味との瑞々しい描写です。
Lovable2.jpg初めて意識する異性とその延長にある恋と性に、戸惑ったり恥ずかしがったり、そして心から喜んだりする彼ら彼女らの様子は(←参照 男の子に告白されて 短編「WINGS FOR YOUR HEART」より)、非常にヴィヴィッドでありかつ等身大の素朴さ故の温かさに満ちています
その活き活きとした少女たちの情動は、“少女”という年齢的・性別的なカテゴリに囚われることのない“人間”にとっての普遍性を確固として持たされており、読み手に彼女たちへの慈しみの気持ちを抱かせると同時に、読み手自身の少年・少女時代へと懐かしい思いを巡らせてくれます。
それ故に、熱烈なラブラブ演出や力強いドラマ展開がないにも関わらず、各作品には登場人物達の幸福と明るい未来への祝福を嫌味なく呼び込むだけの力が存在します。
登場する登場人物達は確かに幼く、“子供”なのですが、それ故に彼らの前に広がる開けた未来こそが、彼らが恋をすることができる(Lovable)所以なのではないでしょうか。
余談ですが、こういう作品を読んで目がウルウルしてしまうのは、僕が彼ら彼女らの年齢に郷愁を覚えるおっさんに近づいているということなんでしょうかねぇ(苦笑。でも、とっても幸せな気持ちになれる作風ですよ!

【活き活きと描かれる少女達】
登場するヒロイン陣は全て小○校高学年クラスのローティーン少女達。短編「Hug Hug」のヒロイン・夕貴ちゃんこそ膨らみはじめのけしからん乳を備えていますが、その他のヒロインはお胸ぺたんこ&お股ツルツルというロリーなボディデザイン
Lovable3.jpg正直ややクセを感じる表紙絵で店頭でのアピール的に大分損をされている感がありますが、中身の絵柄はもっと親しみ易い絵柄であり(←参照 今単行本での僕の最愛ヒロイン 短編「勝てる気しませんよ?」より)、感情の動きを雄弁に語る表情変化の良さがとっても素敵です。
ロリプニ感や萌えっぽさのない絵柄であり、衣装関連も含め悪く言えば野暮ったいタイプですが、その分肌の温かみや空気の柔らかさが色濃く出ており作風には非常によくマッチ。萌えるというよりは共感できるという感じの強いキャラメイキングと言えるでしょう。

【愛と優しさが包むエロシーン】
描かれるエッチは、白濁液大量注入によるボテ腹化まで描くカオティックエロな短編「魔法少女マユリちゃん ちょお廉価版」やお兄ちゃん(エロ漫画家)を誘惑してお金をむしり取るためのエッチな短編「だから愛だけじゃ生きていけないと何度言ったら・・・」といった変わり種を含みつつ、ほとんどはラブラブ純愛エッチ
互いを想う気持ちの延長にある性行為であるため、行為自体に激しさはそこまでなく、また挿入に至るまでおっかなびっくりされど興味津々にゆっくりとエロシーンへと導入されていきます。その間の穏やかなキスシーンや性への好奇心が刺激された様子が大きな魅力であるのは確かですが、直球勝負のエロシーンを連続投入するエロ展開を期待する方には不向きなのは確かでしょう。
日常パートの描写にしっかりページ数を割いているため、分量的にもエロがそこまで多くないことも抜き的な物足りなさを生んでいる感はあります。
Lovable4.jpgただ、単なる性的快楽よりも肉体的な結合が生み出す多幸感は極上であり(←参照 短編「こんな感じでいく?」より)、可愛らしい少女達とイチャイチャチュッチュッしたい貴兄にはむしろ好適と言えるでしょう。
また、エロシーンの終盤では一気にピストン運動が激しくなり、エロティックな嬌声を上げるヒロインに優しく中出しするまでのフラッシーな流れは結構使えます
個人的にはヒロインの魅力も相まってオナヌー見せあいっこからセックスへと発展していく短編「勝てる気しませんよ?」が実用的読書的にお気に入り。

決して成人女性の縮小型ではない“少女”という存在を描き出す作家様は結構いらっしゃいますが、ここまで純朴に快活にそしてハッピーに描くことができる作家性というのは意外に稀有であり本作に確固としたオリジナリティーを与えています。
何かと世知辛い世の中に疲れた時に読むと、ちょっと大袈裟ですけど「あぁ人間っていいなぁ」と温かい気持ちにさせてくれる作品だなと思いました。ロリ好きな方は勿論、多くの恋愛エロ漫画好きな方にお勧めな1作ですよ!