IndecentWomen.jpg始めて日の浅いブログなもので、大好きな作家様の新刊をレビューさせてもらう際に、既刊のレビューをしておけば絶対より深くより分かり易いレビューが書けるだろうにと落ち込むことはあります。
今回に関しても時間がある時に既刊をレビューしておきたかったです。こんなだから僕はいつまでたっても三流レビュアーなんでしょう。

本日は、いのまる先生の2冊目『恥ずかし女』(ティーアイネット)のへたレビューです。2007年屈指の名作短編「小夜ノ事」が収録されている前単行本(初単行本)の『Indecent』(ティーアイネット)は管理人の宝物の一つです。
TI系らしい攻撃的なエロシーンを高水準の質・量できっちりまとめることに加え、リアルを失わない心情描写が登場人物のキャラクターを魅力的に立ち上がらせる作画・作劇の絶妙なバランス感覚が魅力的な1作です。

IndecentWomen1.jpg収録作は、前単行本にも登場した絵里子先生(←参照 シリーズ第1話「絵里子先生のお仕事」より)とエロ男子生徒で彼氏の周平君のラブ&エッチな日常から一転して絵里子先生の受難を描く「絵里子先生」シリーズ全4話、および短編3作。
1話・作当りのページ数は26~30P(平均27P強)としっかりとしたボリュームがあります。前作以上にエロシーンに重きを置く構成ながら小気味良いシナリオは健在であり、読んで面白く抜いて嬉しいエロ漫画という印象です。

時系列的には、周平君の受験終了後であった短編「いとしの絵里子さん」(前単行本『Indecent』に収録)以前の話と思われる中編「絵里子先生」シリーズは、絵里子さんが漫画チックな記憶喪失に見舞われる第2話中盤までハッピー&コミカルな雰囲気を持っています。
しかし、第2話中盤で、記憶喪失をいいことに周平君とは別の男性に“自分の妻”だと言い包められてしまった以降は、その男性による身勝手な性的調教に不安を覚えながら言いなりになるしかない絵里子先生の受難を結構ダークに描きます
2b94959e.jpg元々、陵辱系や脅迫系の作品も描ける先生なのでこの辺りの後ろ暗い淫靡さの描出は大変上手く、かつ夫であると信じ込まされた男性の非道な行いへの疑念が一気に爆発し(←参照 シリーズ第4話「絵里子先生の帰還」より)、さらに返ってこない返事に絶望して全てを投げ出してしまいそうになる絵里子先生の沈んでいく心理描写も実に巧いと思います。
とは言え、決して単なる男性側の快楽優先なダーク系に作品の幅を狭めないのがいのまる先生の大きな魅力。このシリーズ作においても、絶望の淵に佇むヒロインを颯爽と登場した想い人の周平君が全てを引き受けて軽やかに救出する大逆転のラスト4Pの爽快さ・力強さが本シリーズ作の魅力を抜群のものにしています。
その他の短編においても共通しているのですが、性の享楽をエロシーンにおいて存分に魅せ付けながらもそれにヒロインが支配されてしまうことは無く、いわばその人格・生の感情を決して否定されることの無い芯の強さがあるヒロイン達は大変魅力的です。
地に足の付いた恋愛ドラマとしての心地よさは前単行本の収録作「小夜ノ事」「束縛の館」がずば抜けているため、今単行本では恋心の力強さはやや弱くなっている感は正直あります。ただ、「確固とした生への意志を持つヒロインの心を最終的に開くのは性の快楽ではなく真っ直ぐな恋心」というシナリオの底に流れるテーマは決して変化していないように感じます。
なお、前単行本「風紀の娘」のような強気娘さんのコミカル短編「みんなの部長」といった作品もありますので、全体的にシリアスさや重厚さが過剰ということは無く、気持ちの良いテンポで読める作品であることは間違いありません

登場するヒロインさん達は年齢的にはハイティーン~20代半ば(推定)であり、男性に対して年齢または立場が上の年上系キャラで固定されています。
466f5768.jpg目つきの鋭い強気ヒロイン(←参照 今単行本では最愛のヒロイン 短編「モンキーホラーショー」より)を描くのがお得意な先生ですが、今単行本では美女の鋭い眼光の表現は減少しており、やや穏やかな表情が増えた感があります。
それでも、部員連中を叱咤する我侭な漫研部長さん(短編「みんなの部長」)や釣り目がキュート&クールな剣道少女(短編「モンキーホラーショー」)など嫌味にならない程度のプライドを持った強気娘さんはちゃんと揃っています。

そんなヒロインズが導入シーンでの理性と矜持をかなぐり捨てて一時の享楽に溺れるシーンは相変わらず高い作画能力と安定したエロシーンの展開力を以て描かれています。
純粋に互いを想いあっての純愛エッチこそないものの、「絵里子先生」シリーズにおける、いじわるな彼氏君による羞恥系プレイや卑劣な男性によるコスプレH・露出プレイ、短編「みんなの部長」のリビドーが暴走しての集団レイープなどアブノーマル系のシチュエーションを頻繁に絡めます。集団による陵辱行為も多めな印象。
IndecentWomen4.jpg全ヒロインが標準装備の特大ロケットおっぱい(←参照 シリーズ第1話「絵里子先生のお仕事」より)は十分な分量を割かれた前戯シーンにおいて揉まれたり挟んだりと大活躍な上、抽挿シーンでもダイナミックに弾んで読み手の目を楽しませます。肌の質感描写では劣るものの、その双球を魅せるためのコマでのおっぱい力(新語)は柔らかさと重さの見事なハーモニーを奏でる点で、管理人の大好きなヤスイリオスケ先生に匹敵する程だなと感じます。時々アップで見せてくる安産形なお尻も○。
十分なページ数があることもあってエロシーンは長尺であり、挿入に至るまでの愛撫、口淫、紅葉合わせといった各種描写もエロチック。ただ、前戯にてあまり射精せず、概ね1回戦仕様なのは個人的には残念です。
各コマの煽情性も十分高いながらコマ展開の滑らさも良く、小ゴマと大ゴマを適度に織り交ぜながら勢い良く進行して1Pフルに使ったフィニッシュシーンに駆け込んでいきます。
アングルや体位の変化を難なくこなす作画の安定性とコマぶち抜きを多用する大胆さを兼ね備えており、既に一線級の実力を見せ付けた前単行本から余計な粗が取れてより魅力的になった様に思います。
TI系らしいリアル路線の局所描写の水準は高く消しも無いに等しいです。ただ、結合部をなるべくコマ内に入れようとする努力をしているように見えますが、性器ドアップなどで視界の中心に持ってくるタイプではありません。

メイド服を着つつ写真を撮影される時の引き攣った笑顔がチャーミングだったヒロインさんの短編「みんなの部長」、目付き悪い女の子属性を持つ管理人垂涎な女剣士さんが登場の短編「モンキーホラーショー」、弟君の卑怯な悪戯を物ともしないヒロインのエネルギッシュな性欲が逞しい短編「窓の中」、そしてヒロインをお姫様抱っこして駆け出す周平君がカッコよ過ぎた「絵里子先生」シリーズと全部大好きです。
欲を言えば、今の作画水準で作劇面で1冊目のカラーを濃くして頂ければより嬉しいです。
何はともあれ、後書きにて“そう遠くないうちに出したい”とおっしゃっている3冊目が今から大変楽しみです。