ThePhysicalDevil.jpg和月伸宏先生の『エンバーミング』第4巻(集英社)を読みました。おぉ、ジョン=ドゥ強すぎですな。“血液機能特化”という性質がどのように戦闘に利するのかは今後の展開で明らかにされるのでしょうか。
しかし、霧の倫敦に続いて地下水道と、異形を大行進させるが和月先生は本当にお好きな様で。あと、ケーキ食べてるタイガーリリィ可愛いよタイガーリリィ(シルエットのみですが)。

さて本日は、奈塚Q弥先生の『肉体の悪魔』(エンジェル出版)のへたレビューです。先生の前々単行本『女子交性活!』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
調教・凌辱系セックスの与える歪んだ快楽に溺れてゆく美少女さん達の姿が大層エロティックな1冊となっています。

ThePhysicalDevil1.jpg収録作は、オタクな主人公を馬鹿にするクラスメイトの少女を催眠術で性奴隷に~な中編「肉体の悪魔」前中後編(←参照 定番です 同作前編より)、高飛車でドSなお嬢様と彼女に従う執事君のエロエロ(+ちょっぴりラブ)なライフを描く「お嬢様は振り向かない」シリーズ2作、および読み切り短編3作。
オタクな外国人美少女ティータとその下僕な女装コスプレ少年がお風呂で裸のお付き合い(色々な意味で)な短編「異文化コミュニケーション 銭湯で交流編」は前々単行本に収録された連作の続きに当りますが、話のリンクはそれほど強くありません。また、このティータ・明徒コンビが中編作に登場するように、各作品は世界観を共通させている模様。
1話・作当りのページ数は20~24P(平均21P弱)と標準的なボリュームで安定。概ね予想の範疇内のシナリオで脇を固めた大ボリュームのエロ描写という抜き特化型の作品構築であり、エロの満腹感は強めとなっています。

【恋愛系と調教系に分かれる主従の倒錯エロ話】
タイトル中編を筆頭に、主従の関係性にある男女を描く作品が多いものの、すっかりラブラブモードになったオタクコンビを描く短編「異文化コミュニケーション 銭湯で交流編」やお嬢様と執事のツンデレラブな「お嬢様」シリーズの様に恋愛色がある程度ある作品から、催眠術やクスリを用いた中編作や短編「身体測定」などの調教・凌辱系まで雰囲気はある程度バラけています。
どちらにしてもエロシチュエーションの形成に集中した作劇である分、シナリオを追う楽しさはそこまでないですが、とにかく凌辱・調教色をエロに絡めようとする無理矢理感も含めてマッシブな作劇は頼もしいところ。
また、恋する少女のために鈍感な少年の背中を押すエロ姦計を敢行する短編「相談する人は考えよう」や、身体測定と称して徐々に少女の体を侵犯してゆく短編「身体測定」のように、ベタなシチュエーションではありながら、徐々に状況が深みにハマっていく流れ自体は作品に意識を没入させやすくなっています。
タイトル中編は、ストーリーの骨子自体は生意気な美少女が嫌っていたオタク少年にエロ調教を受けて快楽の虜にという、堕ちモノとして基本的なタイプなのですが、面白いのが序盤で見事な小悪党ぶりを見せていた主人公の悪行からヒロイン自身の内面へと焦点が移って行く点。
ThePhysicalDevil2.jpg肉体の快楽と精神の理性の相反というのが、堕ちモノ系の定番要素であって序盤まではこの要素も描かれるのですが、中盤以降は“肉体が受容する快楽”と“精神が志向する快楽”のズレに話の軸が移り(←参照 何が“足りない”のか? 「肉体の悪魔」中編より)、催眠術による隷属そのものよりもヒロイン自身の性癖の開花が重要性を帯びるラストに転じています。
雰囲気の陰陽に関わらず、フェードアウト気味の緩い終わり方となっていることもあって、シナリオの印象はかなり弱いのですが、ある意味ストーリーを意識させないことに意味があるコンストラクションでもあり、上述の心と体のズレなども含めてエロシーンの脇を固める作劇としては上々の出来という感もあります。

【ツン気味なスレンダー巨乳な美少女ヒロインズ】
各作品に登場するヒロインはミドル~ハイティーン級の女子高生ガールで統一されており、お金持ちのお嬢様や陸上部少女、オタクガールなどキャラ設定は適度にバラけています。
ThePhysicalDevil3.jpgオタクを小馬鹿にする中編作のヒロインやシリーズ作のSっ気を素敵に発揮するツン多めのツンデレお嬢様(←参照 定番ですね 「お嬢様は振り向かない!」より)など、強気な女性の登場頻度が高く、凌辱・調教系ならばそれを屈従させる征服感を、恋愛系ならばその関係性が恋心によって一定弛緩する幸福感をそれぞれ喚起。
美少女キャラ達のボディデザインに関しては、スラリと等身高めのスレンダーボディに並~巨クラスの柔らかおっぱいを備える一般的なモノですが、お尻回りや手足がスラッとしている分、バストの局所的な肉感の良さに目が行きがちになるのは良いところ。
催眠術で従わせた女の子に様々な衣装を着せてエッチするタイトル中編作を筆頭に、セーラー服や陸上競技用運動着、浴衣等、衣装面での多彩さもあり、エロシーンも着衣エッチでほぼ統一されています。
なお、弱弱しさも感じさせる気弱ボーイと割合に醜い顔とお腹な成人男性が男性キャラの主体であり、好みを分ける要素ではありましょうが、ヒロイン達の唯我独尊なワガママっぷりや年頃らしい可愛らしさをより引き立てる要素であったのは確か。
最先端とは言わないものの、キャッチーなアニメ/エロゲー絵柄は訴求層の広いタイプであり、作画に少し不安定感を感じさせつつも、絵柄自体は単行本通して表紙絵と同じクオリティで安定しています。

【エロ展開も画面構成も量的な飽和感を追求したタイプ】
ページ数の大部分をエロシーンに割く構成であることに加え、多回戦仕様を徹底させていることもあって、抜き物件としての量的な強みはさすがエンジェル倶楽部掲載作。
一部の作品のエロシーン構成において、1回大コマでの絶頂で区切りを付けつつも、そこから再度行為を再開させて再び大ゴマ~1Pフルのフィニッシュを投じるなどアタックの強いパートを特に終盤において連発させる手法を取っており、質的な意味でも実用性の構築に抜かりはないタイプ。
また、催眠術でのセックスを描く中編作ではモノローグと(言わされている)台詞の間の落差で嗜虐性を生み出していますが、恋愛系ならば素直になれない台詞と相手を求める恋心なモノローグでまたギャップを形成させているのも上手いところ。ただ、エロ台詞に関しては少々硬いというか、冗長な印象を受ける時もあります。
ThePhysicalDevil4.jpg全体的な傾向として前戯パートは比較的短めですが、おっぱい、性器、そして被虐と羞恥の快楽に染まる表情とをがっつりと見せ付けながら進行する抽送パートはガツガツとした欲望の熱量で牽引しており、ヒロインの理性にトドメをさす中出しフィニッシュへと疾走していきます(←参照 薬とおっさんのテクでメロメロに 短編「身体測定」より)。
スラッと伸びる肢体を画面に詰め込んでいるせいか、構図によってはデッサンに多少の不安を覚えることもありますが、細かい擬音や局所アップコマの配置など、各ページにとにかくエロ画を詰め込むのだというパワフルさ自体は実用面では非常に好ましい要素でしょう。
調教開発系であるにも関わらず、主人公の意図しないところで輪姦が発生する、ツンデレラブもので他の野郎が登場する、そもそも素直なラブラブエッチはほとんど無いという状態なので、甘々エッチをお求めな方には回避推奨ですが、作品の雰囲気よりエロのハードさ・嗜虐性をお求めな方には好適なエロシチュと言えましょう。

女の子の精神を凌辱なり恋愛なりで侵犯しつつも、ヒロイン側の優位性が失われないという点が特長であり、多分にご都合主義的でもありますが、エロのハードさと読み心地の良さが兼ね備えられているのは美点でしょう。
個人的には短髪ボクっ子陸上部が妙な入れ知恵をされてラブエロトラップを仕掛けるハメになる短編「相談する人は考えよう」と、爆乳美少女を薬で蕩かせてエロエロ健康診断な短編「身体測定」が特にお気に入りでございます。