OrgasmDeliveryRecommend.jpgシギサワカヤ先生の『ファムファタル』最終第3巻(電撃コミックス)を読みました。相変わらず掴み所のない海老沢さんに翻弄された主人公でしたが、ハッピーエンドで終わって良かったですな。
まぁ、無自覚にというか、“照れ”故に悪女(Femme fatale)であったわけですが、そこらが何とか解きほぐされたのは、この超絶にもどかしい話の終わり方としてよろしかったのではないでしょうか。

さて本日は、命わずか先生の『坪井産婦人科医院物語 快楽出産のススメ』(オークス)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『女竿師』(エンジェル出版)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
変人揃いな患者達とこれまた変人な美人産婦人科医が繰り広げる荒唐無稽なドタバタコメディが楽しめる1冊となっています。

8e6be890.jpg収録作は、童顔美形の看護士・森本君が配属された先は大変優秀ながら変人な美人医師がいる産婦人科で~なタイトル長編全6話+番外編(←参照 坪井先生 同作第1話「妊婦と夜の生活のススメ」より)、および独立した短編「ねこ耳の溜まり場」。
描き下ろしの長編作番外編を除き、1話・作当りのページ数は22~24P(平均24P弱)と適度なボリュームで安定。キャラクターが多いながらも話が散らかることなく、適度な読み応えを生んだ作劇も良好ですが、アクの強いエロによってゲップが出るほどの満腹感を強制されることが何より強烈な1冊と言えましょう。

【ワン・アンド・オンリーな命わずかワールド】
丸太の如き肉棒を備えるフタナリ娘や、妖艶な容姿&バキバキのチ○コのシーメールなどの性的フリークスがニコニコ笑いながら闊歩する“命わずか”ワールドは、ある意味フォロワーの存在を許さない独特の作風ではあり、またその尖り具合は好き嫌いが明確に分かれるタイプではあります。
とは言え、今単行本の長編はそれでも読みやすい部類であり、女装させられるイケメン看護士・森本君や不妊治療中のふたなりお姉さまといった性別超越者達も登場する一方で、一応設定的には普通の女性が多いことも作品への敷居を下げています。
また、相変わらず常識を平気でブッチ切った世界ではあり、常識人(本作では森本君の役回り)にツッコミを乱発させながら、各登場人物がそれぞれに“真面目”であることが奇妙な面白さを生み出すことも過去作品と共通しており、坪井医師がそのゴールデンハンドを振るって妊婦さん達のお悩みを解決していく流れはなかなかに頼もしいところ。
OrgasmDeliveryRecommend2.jpg不妊治療であったり分娩のトレーニングであったり、リラクゼーションのヨガや水中歩行といったエクササイズであったりと、治療行為そのものは非常に真っ当なのですが、そこに胡散臭いロジックを無理矢理ブチ込んで破天荒なエロプレイに突入していくカラッと明るい狂気に、読み手の意識はクラクラとさせられることでしょう(←参照 ヨガですが、実在しそうにないポーズ 長編第2話「妊婦体験のススメ」より)。
常識の埒外にあるエロプレイを描きながら、我が子の出産という行為がもたらす女性の幸福や、妊婦の母体や子供の体調を慮った坪井女史の治療など、意外に細やかな部分にまで配慮が行き届いている分、ラストでの全妊婦の出産というドラマチックなのだが馬鹿なのだが分からない展開に至るまで、勢いで押すだけでないしっかりとした作劇になっているのは好印象。
また、ひょんなことから関係を持つことになったネコ耳美少女と彼女に想いを寄せるネコ耳ボーイとの恋を取り持つことになる短編「ねこ耳の溜まり場」は、人外達との交流を描くちょっといいお話であり、この作家さんらしからぬ訴求層のかなり広い1作となっています。

【アクの強さとふんわりとしたキャッチーさが同居する絵柄】
短編作のキュートな黒髪ネコ耳少女は別として、長編作に登場する妊婦さん達は20代半ば程度のお姉さま達。なお、途中から女装が固定される森本君もある意味でヒロイン的ポジションでしょう。さらに余談ですが、長編作のキャラクターの名前は全て某球団の選手名に由来しております。
無口無表情気味でちょっと不思議系なゴスロリ奥さんやド淫乱なフタナリお姉さん、中性的な顔立ちのスポーティ奥様などなど、それぞれキャラは比較的良く立っていますが、破天荒なノリに意識が飲み込まれていくため、キャラクター性如何にあまり目が行くタイプではありません。
OrgasmDeliveryRecommend3.jpg貧乳・並乳・巨乳とそれぞれのおっぱいサイズが用意されており、適度にふっくらとした女性的な体幹を皆さんお持ちですが、妊娠中ということもあって、お腹はぽっこりと膨れ、おっぱいからは母乳が飛び出たりします(←参照 膣口を開くエクササイズだそうです 長編第5話「マタニティスイミングのススメ」より)。よって、“普通”にボンキュッボンなグラマラスボディを求めるのは大きな間違い。
また、もじゃもじゃの縮れ毛が濃く茂り、プリプリとした陰唇が捲れた秘所やアナル、血管が表面を伝うふたなりち○こ&金玉など、一種の生臭ささえも感じさせる卑猥な局所描写も大きな特徴であり、艶々とした柔肌とえぐい粘膜表現とのコンビネーションは好みを分ける程に強烈です。
絵柄に関しては11冊目を数えるベテラン女流作家らしく、しっかりと単行本を通して安定。BLも得意な作家さんだけあって、その系統の絵柄の雰囲気も混ざってはいますが、上述した局所描写等を除けば一般的に取っ付きやすい絵柄ではあります。

【さも当然と言わんばかりに投入される変態ハードプレイ】
坪井先生のトンデモなロジックに翻弄されている間に、何時の間にやらエロシーンへと突入しており、ただでさえ肢体描写の淫猥さとプレイの過激性で圧倒するスタイルを十二分な尺でお届け。
効果がしっかりとした治療行為ではありながら、クスコで子宮口観察、マタニティスイミングで水中フェラ、フィストファック、アナルフィスト、浣腸、ニプルファック、尿道責め、(森本君の)前立腺刺激などなど、アブノーマルなプレイは目白押し。
OrgasmDeliveryRecommend4.jpg長編終盤に至っては、水中運動のために集まっていた妊婦さん達が一斉に産気づき、坪井医師と森本君の適切な(笑)フォローの下、皆さんお子さんを無事出産して、その刺激に絶頂アクメという物凄い展開を示しており、最早ツッコミをいれる気さえ失う怒涛の変態エロ連発のスタイルに惚れ惚れとします(←参照 説明不能 長編第6話「快楽出産のススメ」より)。
胎児(新生児)の描写があったり、便秘治療では肛門からかなりのサイズの一本糞がもりもりひり出されたりと、かなり極端な描写が多いのは流石ですが、読者によっては強い生理的嫌悪を引き起こすこともあることには要注意。
縦長・横長のコマを多用する、やや独特なページ構成を取っていますが、そのスタイルはただでさえインパクトの強い肢体描写やプレイ内容に、更なる情報量を乗っけてページに押し込むことを可能としており、ページ毎のエロとしての濃さはかなり高い水準になっています。
また、前戯→挿入から中出しor外出しの射精フィニッシュへとつなげてゆく一般的なエロ展開とは異なり、排便や出産も含めてヒロイン側の絶頂を迎えるタイミングが男性側の絶頂のそれよりも優先されているという印象があります。その一方で、男女共にエロシーンではイキまくりですので、ご嗜好さえ合えば抜き所は豊富と言えるでしょう。

一般的なエロ漫画読者からはキワモノ扱いされ、さりとてエッジの効いたサブカル系作品を好む層からはお馬鹿扱いされそうな、いつもと変わらぬ命わずかワールドであり、思わず“誰向け??”と唸ってしまう珍奇な作品世界こそが魅力と個人的には感じます。
ネコ耳少女がえらい可愛らしい造形の短編作が実は一番お気に入りだったりするのですが、それでも長編作のぶっ飛び具合にはたっぷり楽しませて頂きました。